およげたいやきくんメソッド
こんなに暑い、街中を歩いているだけで辛い程の暑さの中を懸命に耐えながら生きているのにも関わらず、運命からの残酷な打擲は問答無用で容赦無く浴びせられる。留まる気配も緩められる気配も今の所は感じられない。
あんなに心を込めて歯を磨いていたのにいつの間にか虫歯になっていた。いや、厳密に言うとまだなっていない。「むし」くらいで止まっている。決定的なカタストロフィまで残りは約3分の1。優秀な弁護士さえ雇えるならばギリ無罪で逃げ切れるかも、といった状況だろうか。俺はちゃんと歯を磨いていたんだよ。それなのにこうなった。
中年の虫歯が何故ここまで悲しいのかというと「自分では絶対に治せない」という点がやはり大きいと思う。「体力」や「免疫力」や「気の持ち様」や「仲間との心のふれ合い」で虫歯を回復させた人間は有史以来一人もいないだろう。専門医に縋るしかもう解決策は無い。「人生にはどうにもならない喪失が存在する」という辛い事実が、自分自身のどうにもならない半生と共に重く伸し掛かってくる。
アメリカでは歯並びでその人の自己管理能力が評価される為に口内に虫歯が有る人間は出世できない、みたいな話があった事を思い出す。そんな事やってた結果としてドナルド・トランプが二回も大統領になってるんだからガバガバの判定方法じゃねえかよ、とも思うが、とにかくそういう価値観の国もあるのだ。そういえば二日前に公式アップされたばかりのGWARの新曲のプロモを見たらティラノサウルスが普通にトランプを喰っていて、現在の状況でこんな映像を出したらメチャクチャ面倒臭い事になりそうな物なのによく発表したものだと尊敬の念すら覚えた。レベルミュージックかくあるべきだと思ったよ。まさかGWARを尊敬する日が来るとはね。What's Going onだよマジで。
GWAR /Tyrant King (Official Video)
子供の頃からテレビでよく流れていた唄、「虫歯のこどもの誕生日」。明日はボクの誕生日だからケーキを食べたい、しかし虫歯だから無理だろうという内容の一節「ボクは アー もう駄目だ」を聴く度に「そこまで嘆く程のもんかね」と、若かりし頃の自分は単純にそう思っていたし、なんなら嘲笑すらしていた。それが今となっては心から共感できる。恐らく当時、もう若くは無かった作詞家が自身の虫歯に対する恐怖感を素で吐露してしまった結果があの歌詞に違いない。「このまま俺は朽ちて惨めに死ぬのだろうか?」と。できる事なら表記も「アー」ではなくて「嗚呼…」にしたかったであろう。鮮明に想像できる。

鬱々とした気持ちでXを開くと、著名な男性の不倫についての報道が週刊文春によって成され、そしてその現場のスクープ写真がタイムラインに流れて、それら全てに対してその男性の配偶者がXのアカウントを通して滅茶苦茶にキレまくっていた(現在はアカウントごと消えている)。真っ当に生きていたつもりなのに自分に纏わる機構が気付いたら崩壊していた、そういう点では不倫も虫歯も同じだ。本当に辛いだろうなと思いながらボンヤリと配偶者の方の一連の発言を眺めていたのだが、不倫した男性が相手の肩に腕を回して歩いている写真に対して彼女が付けていた、「こんなん全員にやってよばーか!」というコメントが気になった。夫の「この行為」を「全員」に対してやれと配偶者の方が言っている。となると、この方は「自分自身」の事を「全員」だと思っているのだろうか。「およげ!たいやきくん」を思い出した。
まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの
うえで やかれて いやになっちゃうよ
あるあさ ぼくは みせのおじさんと
けんかして うみに にげこんだのさ
たいやきくんは鉄板の上で焼かれて人間に食べられるだけの一生なのだが、自分自身を「ぼくら」だと規定する、自己の境界を取っ払って他個体と自我を共有する事によって「自分が網で焼かれる前の世界」「自分が食べられてしまった後の世界」を「まいにち まいにち」と認識する事ができる。要するに、個を失う事で死を超越した概念へと隷属させられている。「およげ!たいやきくん」の主人公はその様な画一的で退屈な生き方に反旗を企て、そして無惨な結末を迎える。
この曲は当時サラリーマンに人気だったらしいが、海の底で気ままに遊んでいる「たいやきくん」に感情移入してアウトローとしての自由を満喫するも良し、最後に「世の中そんな甘くはないぞ」とばかりにたいやきくんをたべる「おじさん」に感情移入して己の社会への帰属意識を満たすのも良しという、「二つの立場が楽しめてお得」な所が、個を失いながらも生を実感したい社会人達からの強い支持を集めたのだろう。ポストモダンの先駆けって感じで。適当に言ってるだけですが。
それはともかく、自分の事を「全員」だと考えるような生活はさぞかし大変だろうと思いました。配偶者の方に幸多からん事を願っております。
という事で、ここでYouTubeの動画を貼らせて下さい。最近サジェストされたCheeses From Franceというバンドの曲、"Hey Quincy!"を…このバンドの事が気になったので検索して調べた所、80〜89年までインディアナポリスで活動していたらしく、音源は一作も発表してない様です。最初見た時に「人数が多いなあ」と思って、さっき「全員」について書いたので丁度良いかと…こういう謎のバンドの数十年前のライブが気軽に見れる時代ってのは、まあ、やっぱり凄いんでしょうね。俺はこの曲好きですね。「出ている音が多いから」という単純な理由によってサビの部分が重奏的になる事が、間抜け、かつ、儚いドラマを生んでいる。と思います。
Cheeses From France/Hey Quincy!
話は変わるが、最近YouTubeの広告で「ちびまる子ちゃんの20年後を再現したビールのCM」が流れる様になった。なんか、大人になったまるちゃんとたまちゃんと花輪くんがヘリコプターに乗り込んでグランドキャニオンを飛び回り、その後着陸して雄大な地層を眺めながら缶ビールで乾杯、そういう内容だ。実写のCMであり、三人とも有名な俳優の方がそれぞれ役を担っている。目の前の地層には二十億年の歴史が刻まれており、それに比べればアタシ達はまだまだミジンコだねぇ、親愛なるミジンコ達に乾杯、そんな感じの気の利いた会話と共に映像は締め括られる。
わざわざこんな事を指摘する必要も無いんだろうが、あのですね、自宅にシャガールが置いてある様な金満家の男性が嘗てのクラスメイトと共にヘリコプターでグランドキャニオンを飛び回りましたと言われた所でね、こっちは「それは良かったですね」としか答え様が無いんですわ。「20年後のちびまる子ちゃんを再現したCM」を製作する際に、普通に考えて、絶対に、真っ先に出演させるべきは「ゲヘ」と「カツヤン」だろう。なんで基本を外すのか?敢えて応用から行くのか?ゲヘとカツヤンからだろ!?どう考えても。ちびまる子ちゃんと同じ世界に属していた、クンチャン漫画界の最恥部・深淵のその後を何故に追わない?!誰もがあの二人にもう一度会いたがっている。いや、実際は俺だけかも知れないが、ここは「およげたいやきくんメソッド」を用いて"全員"と表記させて欲しい。昔、少年少女だった全ての人達がゲヘとカツヤンを心から愛している。
花輪くんが、20年の歳月を経たゲヘとカツヤンをヘリコプターに乗せてグランドキャニオンを滑空、その後地面に降り立ったゲヘが徐ろにアンドロイドを開き、二十億年の歴史が刻まれた雄大な地層をバックにAIが生成した著作権ガン無視のエロ動画を一心不乱で鑑賞、それを見たカツヤンが「すごいなゲヘっ!それ、お前が作ったのかっ!?ハリウッドの監督になれるぞっ!」とビールを飲みながら褒めそやす。そういう内容のCM一本も作れないで何がクールジャパンなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!答えろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!正直ね、花輪くんの20年後とか別にどうだっていいんですよ。だって幸せに生きて無い筈が無いんだから。ゲヘとカツヤンなの。マジで。皆が会いたいのは。本当に。次作で是非お願いします。
というか本音を言うなら、「ちびまる子ちゃん」よりも岡田あーみんの漫画のキャラの20年後が知りたいよ俺は。「ルナティック雑技団」の人達とか、20年後にどうなってると思う?成金薫子とか愛咲ルイのその後をマジで知りたい。次作で是非お願いします。
と、いろいろ書いた所で、最後に自分の好きな曲を貼ってこの文を終えようと思います。最近就業中にブツブツとリアル3区の「ロンリープラネットバスター」を呟いている事が多く、これは何故だろうと理由を考えてみたのですが単に「守れ〜ない約束〜 好き〜にするがいい〜」の箇所が今現在の自分のnoteの状況を表しているからだと気付きました。「◯曜日に文章を投稿します!」と告知して当日に「間に合いませんでした!」と投稿する、その繰り返しっつう。まあ、これからちゃんと期日を守れたらいいな、とは思っております。次回更新予定が水曜の夜なんで、まあ、間に合わせたいですね。はい。
リアル3区/ロンリープラネットバスター
なんつう素晴らしい曲なんでしょうね。それではまた、水曜日にお会いしましょう!どうも〜!!
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