大相撲の世界が丸わかり!本場所・巡業から力士・裏方・神社との関わりまで徹底解説
大相撲は、日本相撲協会が主催する「本場所」と、その合間に全国を回る「巡業」を軸に運営されている、日本を代表する伝統スポーツ・興行です。土俵上の力士だけでなく、行司・呼出・床山など多くの裏方、そして神社や神事との結びつきによって、独自の世界観が形づくられています。
この記事では、大相撲の基本情報として「力士と番付」「本場所と巡業」「力士を取り巻く裏方の役目」「大相撲と神社・神事の関係」を一つにまとめて、初心者でも全体像がつかめるようにわかりやすく紹介します。観戦の前に予習したい方や、大相撲に関するnote記事・ブログを作りたい方にも役立つ基礎知識の総集編です。
大相撲の基本構造と番付の仕組み
大相撲は、公益財団法人・日本相撲協会が運営するプロの相撲興行です。力士の地位は「番付」と呼ばれる階級表によって決まり、すべての力士はその番付の上で戦っています。
番付は、上から横綱、大関、関脇、小結、前頭(幕内)、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口というおおよそ10段階に分かれています。横綱〜前頭までが「幕内」、十両が「関取」と呼ばれる給料支給対象の力士で、それより下は養成員的な位置づけです。
本場所ごとの成績によって番付は上下し、勝ち越しや優勝が続けば番付が上がり、負け越しや休場が続くと番付が下がります。実力がそのまま地位に反映される「完全な実力主義の世界」が大相撲の基本構造です。
力士の報酬と生活のリアル
力士の報酬は、番付によって大きく違います。十両以上の関取になると、会社員と同じような「月給制」の基本給が支給されます。
一般的な目安としては、横綱が月額約300万円、大関が約250万円、関脇・小結が約180万円、幕内平幕が約140万円、十両が約110万円といった水準だとされています。これに年2回の賞与や褒賞金、優勝賞金・懸賞金などが加わり、横綱クラスになると副収入も含めて年収1億円規模に達する場合もあります。
一方、幕下以下の力士には十両以上のような月給制はなく、本場所ごとの「場所手当」が中心となります。年間トータルでは数十万〜百数十万円ほどで、部屋での共同生活(ちゃんこ・寮)が前提の厳しい環境です。十両昇進は、収入面でも生活面でも大きな転機となる「出世の第一関門」と言われています。
本場所とは?年6回の公式戦とその流れ
本場所とは、日本相撲協会が年6回開催する公式の大相撲興行で、力士の番付を決める真剣勝負の舞台です。
開催月は1月・3月・5月・7月・9月・11月の奇数月で、それぞれ15日間連続して取組が行われます。開催地は、1月・5月・9月が東京・両国国技館、3月が大阪、7月が名古屋、11月が福岡と決まっていて、各都市で「初場所」「春場所」「夏場所」「名古屋場所」「秋場所」「九州場所」と呼ばれています。
本場所の一日は、朝から序ノ口〜幕下の取組が始まり、昼過ぎから十両、夕方に幕内へと続き、最後に弓取式で締めるという流れが基本です。ここでの勝敗がそのまま次の番付に反映されるため、力士にとっては技量審査であり、ファンにとっては優勝争いや昇進・陥落のドラマを楽しむ場になります。
巡業とは?地方で味わう「魅せる相撲」
巡業は、本場所のない時期に力士たちが全国各地を回って行う地方興行です。目的は相撲文化の普及とファンサービスで、相撲を地方のファンに届ける役割を担っています。
春・夏・秋・冬と季節ごとに巡業が組まれ、体育館やアリーナに特設土俵をつくって、1日完結型の興行が行われます。巡業の取組結果は番付には影響せず、勝敗よりも「魅せる相撲」と観客との交流が重視されます。
公開稽古や子ども相撲、初っ切り(禁じ手をコミカルに紹介する寸劇)、相撲甚句(力士が歌う民謡のような歌)、櫓太鼓打分(太鼓の打ち分け解説)、髪結い実演など、本場所ではほとんど見られない演目が豊富です。力士との距離が近く、サインや写真撮影、握手なども行われるため、家族連れや初心者にも人気の高いイベントになっています。
力士を取り巻く裏方の仕事
大相撲は、力士だけでは成立しません。土俵の安全な運営や興行全体を支えているのが、行司・呼出・床山などの裏方です。
行司の役目
行司は、土俵上で勝敗を裁く審判役として知られますが、それ以上に多くの仕事を担っています。取り組みの裁きのほか、決まり手の場内アナウンス、番付や取組表を相撲文字で書き上げる作業、土俵祭や断髪式など儀式の進行など、運営の要となる役職です。
また、巡業ではバスやホテルの手配、部屋割り表の作成など、移動・宿泊のマネジメントも担当します。行司にも階級があり、序ノ口行司から立行司まで番付に準じた序列が存在します。
呼出の役目
呼出は、取り組み前に力士の四股名を読み上げる役目が知られていますが、実態としては「土俵づくりのプロ」であり、興行全体の現場担当でもあります。
場所前には大量の土を使って土俵を築き上げ、俵を埋め、表面を整える作業を数日かけて行います。場所中は、拍子木で進行の合図を出し、懸賞旗を持って土俵を一周し、塩や土俵の状態を整えるなど、ほぼ一日中動き続けます。太鼓の打ち分け(寄せ太鼓・一番太鼓・はね太鼓など)も呼出の重要な仕事です。
床山の役目
床山は、力士の髷を結う専門職です。普段のちょんまげから、十両以上の関取だけが結う「大銀杏」まで、力士の象徴である髷を一手に担います。
相撲部屋に所属して力士と寝食を共にし、朝稽古後の結髪や本場所・巡業会場での大銀杏の結い上げを担当します。巡業では髪結い実演として、観客の前で大銀杏を結う様子を披露することもあり、その職人技は大相撲の見どころの一つです。
若者頭・世話人・おかみさん
若者頭は、若い力士たちの生活と稽古を管理する「現場監督」のような役割です。態度や規律の指導、問題を起こした力士の指導など、親方とは少し違う距離感で支えます。
世話人は、事務手続き・備品管理・スケジュール調整などを通じて、相撲部屋や協会の運営を支える事務方です。
親方夫人である「おかみさん」は、食事や健康管理、部屋の雰囲気づくり、広報活動など、公式な肩書きはなくても部屋運営に不可欠な存在です。相撲部屋の「母」として、弟子たちを日常生活の面から支えています。
力士の身分と相撲界で働く人たちの立場
力士の身分は、公務員ではありません。日本相撲協会は国や自治体の官公庁ではなく、公益財団法人という民間の非営利組織なので、力士は「協会員」として団体職員的な立場にあります。
裁判例などでは、力士と協会の関係は「準委任契約」と整理されており、法律上は労働者というより個人事業主に近い扱いをされることもあります。一方で、実務上は協会に専従する職員として生活しており、団体職員としての性格も強いという、少し特殊な立場だと言えます。
行司・呼出・床山などの裏方も、日本相撲協会に所属する協会員であり、階級と勤続年数に応じて給料や手当が支払われる仕組みになっています。
大相撲と神社・神事の深い関係
大相撲は、もともと神社の神事から発展した文化であり、今も神社や神道と深い結びつきを保っています。
相撲は古くから、五穀豊穣や天下泰平を祈るために神前で行う「奉納相撲」として位置づけられてきました。寺社の修繕費を集めるための「勧進相撲」が興行として発展し、それが現在の大相撲の源流になっています。
本場所の前日には、土俵の上で「土俵祭」が行われます。立行司が祭主となり、行司が祝詞をあげ、供物を土俵に納めて、場所中の安全と興行の成功を祈る儀式です。土俵は単なる競技場ではなく「神様の宿る場所」とみなされており、取り組み前に塩を撒いて浄める所作や、四股を踏んで大地を鎮める動作には神事としての意味が込められています。
両国国技館近くには「野見宿禰神社」があり、日本書紀に登場する相撲の神様・野見宿禰を祀っています。新横綱が誕生すると、東京本場所前にこの神社で奉納土俵入りを行うのが通例です。明治神宮や伊勢神宮などでも横綱による奉納土俵入りが行われており、大相撲の年間スケジュールの中に「神社への奉納行事」が組み込まれています。
横綱が締める白い綱と紙垂は、神社の注連縄と同じく「ここが神聖な場である」という結界を示すものです。大相撲は、勝負のスポーツでありながら、今も神前への奉納という側面を強く残していると言えるでしょう。
まとめ
大相撲は、年6回の本場所と季節ごとの巡業を軸に、力士の番付と報酬、行司・呼出・床山など多くの裏方、そして神社・神事との深い結びつきによって成り立つ、日本独自の伝統スポーツです。
本場所では番付をかけた真剣勝負が展開され、巡業では相撲文化の普及とファンサービスが中心となり、どちらも相撲の魅力を違う角度から見せてくれます。力士は、厳しい番付社会の中で昇進を目指すプロの世界に身を置きつつ、日本相撲協会という公益財団法人に所属する協会員として活動しています。
その周囲には、行司・呼出・床山・若者頭・世話人・おかみさんなど、多様な役割の人たちが関わり合いながら、一つの興行としての大相撲を支えています。そして、その根底には、土俵を神様の宿る場所とみなし、奉納土俵入りや土俵祭を続けてきた「神社・神事との関係」が息づいています。
今後ニュースなどで大相撲の話題が出た時には、この記事でお伝えしたような背景があることを思い出すと一層深く楽しめることでしょう。
