「竜とそばかすの姫」感想文
※ネタバレ含みます
今年の夏、故郷を舞台にしたアニメ映画が上映されていると知った。けれど不自由な環境で見に行くことはかなわず、退屈な毎日に埋もれて内容も分からず、夏が過ぎるとともに忘れていった。
ほんの2週間前自由な環境に移り、今までできなかったことがこれから何でもできることに呆然として、何から手をつけていいか判らなかった時、noteで「読書の秋2021」が開催されることを知った。その中の課題図書に、細田守さんの「竜とそばかすの姫」があった。見に行きたかった映画の原作本だ。迷わずAmazonで電子書籍を買って、読み始めた。
読み始めてすぐに、主人公鈴と自分との間に共通点がたくさんあることを知ってびっくりした。歌うことが大好きだけれど長いこと歌から離れていたこと(私の場合、それがトラウマのせいではないのだけれど)、過去に大きなトラウマがあること(中身は違うけれど)。そのせいで性格が変わり、元々の明るい性格から、自己肯定感の低い自信のない性格になってしまったこと。
ドラマの舞台は多分私の母校をモデルにした中高一貫校、私の家は市内だったけど、伊野から通ってきている子も数人いた。そんな青春の思い出。物語世界に入り込み、一気に読んだ。「U」の描写、設定。私はゲームは苦手であまりやらないのだけれど、SF的なそれはアニメや実写のCGシーンを思わせて、ワクワクした。竜の苦しみはなぜか重さとなって感じられ、ジャスティンの底の浅い正義感はアルミの鎧のように感じられた。後ろ盾がなければ竜には勝てないと思った。
歌えなかった鈴がアンベイルされて現実の姿のまま歌うシーンでは、しのぶくんや合唱隊の仲間、ヒロちゃん、ルカちゃん達と一緒に「歌って!」と応援していた。私のトラウマは、長い間こういうシーンに感情移入することを許さなかった。感情移入して、自分の内面と向き合うことが怖かった。でも、今は違う。私はトラウマを乗り越えた。「鈴、あなたも頑張って!」と心の中で叫んでいた。気づくと涙があふれていた。珠玉のクライマックスだ。しばらくページをめくる手を止めて、涙があふれる感触を楽しんだ。本当に長い間、こんな感動とは無縁だったのだ。戻ってこられた。本当に嬉しかった。
大きなクライマックスのあと、物語はまだまだ続いて、竜を救いに行く2つめのクライマックスへ。このときの鈴の行動力はとてもまねできないほどだ。まるで、鈴自身の母親の愛を写したかのよう。多くの人たちに応援されながら自力で歌ったことが、彼女を一気に強くしたのだろう。
本来の鈴はとても行動的で、歌が好きな明るい子だったのだと読み終えて思った。私も負けちゃいられない。まず体力をつけることが先ではあるけれど、まだ映画は公開中のようだから、できるだけ早く見に行こう。「U」のヴィジュアルは大画面で見たい。クジラのシーンも。
大きな感動をありがとうございました。。。

