#36【入試情報】法政大学千代田三番町が爆誕
法政大学(東京都千代田区)が、東京家政学院大に併設されている東京家政学院中学・高校を2027年度から系列校化することになりました。
東京家政学院中は、学校名が変わることになります。
その名も、
「法政大学千代田三番町中学校・高等学校」
読み方は、「ちよださんばんちょう」のようです。
系列校化の概要
東京家政学院中のホームページを見ると、すでにいくつかのQ&Aが発表されています。手回しのよいことで本当にありがたいです。
せっかくなので重要なポイントを箇条書きしておきましょう。
・中高の運営は、学校法人東京家政学院が行う。
・法政大学の系列校となり、中高大連携が強化される。
・法政大学への入学者は増える予定だが、推薦枠や条件は今後発表。
・男女共学化は既定路線だが、いつからかは今後発表。
・入試制度の変更はほぼ確実だが、これも後日発表。
・法大付属校の校長経験者が校長に就く。
・家政学院の理事会の3分の1を法大関係者とする。
細かな点は後日発表や今後発表が多いのは仕方ないことだと思います。
しかし、学校名に「法政大学」を冠する以上、大学付属校として、新たな一歩を踏み出すことは確実でしょう。
では、どんな学校になっていくのでしょうか。
まだ情報が少ないですから、いったんほかの例をみてみましょう。
三輪田学園中の例
例えば、法政大学の近隣にある三輪田学園は、法政大学と高大連携協定を結んでいます。この高大連携協定というのは、コロナ禍前後から特に増え、流行りだしたもので、大学入試制度の不安定さへの不信の裏返しとみるべきものです。
つまり、平たくいうと「大学の早期確保」につながる制度です。
高大連携は、様々な中高が様々な大学と結んでいるので、いろいろなかかわり方がありますが、ほとんどの場合、
①高校生が大学の授業や企画に参加することができる
②高校生が大学生と交流する機会を得ることができる
③大学教員が高校まで出張授業をしにくる
こういったケースほとんどです。
高校生のうちから大学のキャンパスに出入りするチャンスを与えられ、講義の一部に参加することで、大学に通うイメージが持ちやすくなり、あわよくば、その連携大学を受験しよう、という流れが作れる、というわけです。
高校側にとっては大学受験への流れを作りやすくなりますし、
大学側にとっては受験生確保にもつながる。
まさに、Win-Winの関係性を築けるというわけです。
しかし、法政大学ー三輪田中の高大連携は、この枠を大きく超えたことで話題になりました。
なんと、三輪田中は法政大学への推薦枠を30与えられたのです。
(協定校推薦制度といいます。)
三輪田中の1学年は170名程度ですから、推薦枠30は相当な割合となります。
これによって三輪田中の人気ははねあがり、偏差値も上昇することとなりました。
三輪田中と法政大学の結びつきはとても古いものです。
そもそも、立地がほとんど隣同士。2015年から高大連携協定を結んできました。2023年にこの関係を一歩進め、具体的な推薦制度の設置に至ったという流れです。
しかし、そんな長い友好関係にある三輪田中ですら、「法政」の名を冠する系列校にはなっていません。今回の発表で、東京家政学院は、法政との結びつきにおいて三輪田を飛び越えた形となります。
法政大学千代田三番町が期待できる理由
結論から言ってしまうと、法政大学千代田三番町は必ず偏差値が上昇するとみています。
その理由を説明しましょう。
①都内から見た立地の良さ
学校の所在地は千代田区三番町。市ケ谷駅、半蔵門駅、九段下駅のいずれからも徒歩圏です。女子学院、大妻、三輪田学園などが集まる都心の文教地区であり、都心でありながら閑静。治安の心配はありません。
偏差値だけで学校を選ぶ家庭は実際にはほとんどありません。
毎日通うのです。朝何時に起きるのか、通学経路は、部活終わりだと何時に下校するのか。こういった交通の便は非常に重要です。
そうした現実的な条件が最終的には大きな意味を持ちます。
たとえば同じ偏差値帯なら、都心の学校の方が受験者を集めやすい傾向があります。
広尾学園。開智日本橋。広尾小石川。
近年学校改革を行い、人気を伸ばした学校を見ても、立地の良さは共通しています。
②大学付属であるということ
高大連携のところでもふれましたが、大学入試制度の変化とともに、今は
「早めに大学まで保障された環境で学びたい」
というニーズが高まっています。大学付属の人気は決して陰っていません。もちろん、隔年現象で多少の上下はありますが、今でも根強い人気を誇っています。
さらに、最近はもっと欲張りな声も増えてきました。
「大学が保障された状態が望ましいが、大学受験もあきらめたくない」
これが、早稲田中の人気が急上昇している原因です。
早稲田中は付属の早稲田大学へ進むのは50%程度。ほかは積極的に国公立などへ外部受験をしていきます。いわば「半付属」。付属校と進学校のよいところどりです。
このようなタイプの学校は近年かなり人気を博しています。早稲田意外だと、東京農大第一や芝浦工大附属、専修大松戸、明大世田谷などがこれにあたるでしょう。明大世田谷は共学化したばかりですが、明治大学への推薦をおさえたうえで、国公立大の受験を許可するという方針がアナウンスされています。
法政大学千代田三番町も、同じような路線を標榜する可能性は大いにあります。また、仮にほとんどが法政大学に進学できるように整えられるとしたら、それはそれで大きな魅力でしょう。
法政大学というブランドが保障されるわけですから。
③大学付属の立地問題
山手線の内側から東京東部は、もともと学校が少ないエリアなのです。
例えば、近年タワーマンションが立ち並び、子どもの人口も多い有明・豊洲・晴海などの湾岸エリア。
かえつ有明・芝浦工業大附属の2校が建ちますが、それだけです。
おのずと、湾岸エリアの子どもたちは都心方面への通学が増えることになるのです。もし湾岸や下町エリアの子どもたちが大学付属、それもGMARCH以上を狙うとなると、実は渋谷の青山学院、田町(三田)の慶應中等部あたりが最も近い学校になります。
しかし、青山学院も慶應中等部も、95%以上、ほとんどが付属大学へ進学します。外部へ出る、という選択肢は存在しないに等しいです。もっというと、慶應中等部は、男子の場合、慶應義塾高校へ進学します。慶應高校は神奈川県の日吉にあります。近さ、というアドバンテージは失われてしまうわけです。
そんな状態で、山手線の内側に共学の系属校を持つことになるのは、法政大学の強みになるでしょう。
東京東部、湾岸エリアの、大学付属志望者を、かなりの数引き付けることになると思います。もう、かつての東京家政学院のころの受験規模とは比べ物にならなくなることでしょう。
さすがに、麻布・武蔵までを抜こうとしている早稲田中と争うほどになるとは思いませんが、早稲田は男子校、法政大千代田三番町は共学校。すみわけは十分に可能だと思います。
上位大学付属校の立地
慶應義塾
慶應義塾普通部 男子校 神奈川県 日吉
慶應義塾中等部 共学校 東京都 田町・三田
慶應義塾湘南藤沢中等部 共学校 神奈川県 湘南台からバス
早稲田
早稲田 男子校 東京都 早稲田
早稲田実業 共学校 東京都 国分寺
早稲田大学高等学院中等部 男子校 東京都 上石神井
学習院
学習院 男子校 東京都 目白
学習院女子 女子校 東京都 西早稲田
明治
明治大学付属明治 共学校 東京都 調布※スクールバス
明治大学付属中野 男子校 東京都 東中野
明治大学付属世田谷 共学校 東京都 明大前
明治大学付属八王子 共学校 東京都 八王子※スクールバス
青山学院
青山学院 共学校 東京都 表参道
青山学院横浜英和 共学校 神奈川県 蒔田
青山学院系属浦和ルーテル 共学校 埼玉県 北浦和
立教
立教池袋 男子校 東京都 池袋
立教新座 男子校 埼玉県 新座
立教女学院 女子校 東京都 三鷹台
中央
中央大学附属 共学校 東京都 武蔵小金井
中央大学附属横浜 共学校 東京都 センター北
法政
法政大学中 共学校 東京都 吉祥寺からバス
法政大学第二 共学校 神奈川県 武蔵小杉
法政大学千代田三番町 共学校(仮) 東京都 市ヶ谷
こうして並べてみると、大学付属の中で、法政大千代田三番町の立地が並外れてよいということが分かると思います。
明大明治は調布。しかもそこからバス。中央大附属は武蔵小金井。こうしてみると、東京の西側にずいぶん集まっているのです。
学校名にわざわざ「千代田三番町」と入れてきたのも、都心であるという立地をアピールするためなのかと勘繰りたくなります。
なぜ三輪田ではなく東京家政学院なのか
古くから交流のあった三輪田中は、法政大学への推薦枠30を持っている状態ですが、決して法政と経営統合したり、正式な系属校になったりしているわけではありません。
なぜ三輪田ではなく、東京家政学院が系属化したのでしょうか。
まず、東京家政学院は近年中学入試で苦戦しており、生徒集めが十分にできていませんでした。ブランド力の低下、資金力の低下がある中で、法政大学から助け舟を出される形です。
よって、経営面で、法政大学から「改革する余地が大きい」「大きな介入が可能」とみなされた可能性があります。
一方の三輪田中は、駅近であることと立地のよさもあり、伝統女子校として一定の評価を得てブランド化しています。受験者数も安定、偏差値も、午後入試に積極的に取り組んだことで高止まりの傾向があります。
私も三輪田中の学校見学に行ったことがありますが、床暖房のついた温水プールなど、設備の良さに驚きました。
三輪田中は法政大学と肩を並べる存在、別の学校法人として、まだ十分にやっていける、というのが双方の判断だったのかもしれません。
また、東京家政学院は、学校法人として大学も持っています。東京家政学院大学は長らく女子のみでしたが、2026年春から全学部が完全に共学化しました。
東京家政学院大の学部はかなり特徴的です。
生活デザイ学科
こども教育学科
現代家政学科
人間栄養学科
生活共創学科
少人数でアットホームな環境、管理栄養士などの食と栄養、あるいは幼児教育など、女性が活躍しやすい環境の教育に特に特化し、就職実績も強いのです。
法政大学は、将来的にこうした学部のノウハウを取り込みたいという意図があるのかもしれません。
と、長く書いてしまったのですが、
一番は「千代田三番町」という場所の住所が欲しかった。
これに尽きるような気がします。
法政大学は、東京女子学院ではなく、「三番町」を買ったのです。
法政大学が欲しかったのは女子校だったのでしょうか。
私はそうは思いません。それなら三輪田との提携で十分です。
法政大学が欲しかったのは、
市ケ谷キャンパスから歩いて行ける場所に、中高一貫校を持つこと。
それも、共学の、法政色を出しやすいもの。
東京家政学院なら、大学ブランドと立地ブランドを同時に手に入れられます。そう考えると、今回の提携はかなり理にかなっているのです。
まとめ
まだ提携の具体が明らかになっていませんし、入試日程もわかりません。どのくらいまで偏差値をのばしていけるのか、未知数です。
しかし、法政大学に直通で進学できる付属校として、確実に人気が出る学校になることでしょう。
流れとしては、香蘭女学校が立教大学の推薦枠を得て「半付属」(実態はほとんど付属)になった時と似ています。香蘭は立教女学院よりも都心ですし、午後入試も駆使していますから、いまや模試によっては、立教女学院より偏差値が高くなりました。
法政大学千代田三番町は、間違いなく2027入試の注目ポイントです。
西の明大世田谷、東の法政大千代田三番町。
大学付属の新たな「台風の目」の誕生です。
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