数字に強い営業は、計算が速いわけじゃない
「営業も数字に強くないとダメだ」と言われて、簿記の本を買った。3日で挫折した。でも今、僕はバイヤーから「数字に強い人」と呼ばれてます。簿記は関係ありませんでした。
白状すると、僕は暗算が遅いです。会議で%の計算をパッと言える人を見ると、今でも少し焦る。でも商談の場で「田口さんは数字で話してくれるから助かる」と言われるのは僕の方です。この逆転には、はっきりした理由があります。商談で問われる数字力は、計算力じゃなかったんです。
なぜ"計算が得意な人"が商談で数字に弱いのか?
「計算力は基礎でしょ」と思いますよね。じゃあ思い出してください。商談中に、速い計算が必要だった場面、直近でいつありましたか。
ほぼ、ないはずです。細かい計算は持ち帰ればいいし、今ならその場でスマホでもAIでもできる。にもかかわらず「数字に強くなきゃ」と焦る人が計算練習に向かうのは、数字力の正体を取り違えてるからです。
計算が得意なのに商談で数字に弱い人は、実在します。彼らの共通点は、正しい数字を、相手に関係ない形のまま出すこと。「弊社製品のシェアは◯%で、前年比◯%増で」——数字は正確。でもバイヤーの顔は動かない。計算は合ってるのに、会話として外れてる。商談の数字力は、正しさの勝負じゃなく、届き方の勝負なんです。
バイヤーに刺さる数字と、刺さらない数字の違いは?
「正確な数字なら刺さるでしょ」——刺さりません。僕が身をもって学んだ法則はこうです。自社の数字は刺さらない。相手の数字は刺さる。そして相手の損益に翻訳された数字は、突き刺さる。
3段階あります。
「弊社の新商品、出荷が好調です」——自社の数字。相手には他人事です。 「御社のこの棚、回転が落ちてます」——相手の数字。顔が上がります(信頼編でやった第一声はこれです)。 「このままだと、粗利で月あたり◯円くらい取りこぼす計算です」——相手の損益への翻訳。ここで会話が変わります。
バイヤーが社内で詰められるのは売上じゃなく利益です。だから利益の言葉に訳された数字だけが、相手にとって「自分の問題」になる。数字に強い営業と呼ばれる人がやってるのは、複雑な分析じゃなくて、この翻訳です。
数字に弱い人は、何から始めればいいのか?
「じゃあ分析の勉強が必要では」——要りません。断言します。僕が商談で使ってる数字は、種類でいえば3つだけです。
前年比、構成比、粗利換算。この3つで、商談の数字仕事は9割回ります。統計も関数も、商談では出番がない。しかも計算そのものはAIに任せられる時代です(僕のやり方はAI準備編に書きました)。人間に残ってる仕事は、3つの数字を「どこで使うか」だけ。
その使い方を、順番に落とします。
僕が商談で使う数字は3つだけ——「前年比・構成比・粗利換算」の使い方とは?
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