ディスクライブ・メソッド・オンライン《水曜日のエッセイ by 鳥飼アミカ》
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
◆◆◆
「さぁ、この広大で豊かな土地を自由に歩むが良い」
セリフを背に、呆然と目の前の風景を見つめる。
「何これ……」
ざっぱーーん!
応えるように、波飛沫が立つ。
目の前は海。
……まじか。
寒いんですけど!
振り返ると、ひょっとこ仮面が笑いを浮かべたまま消えようとしていた。
怖い……
添削するとき、あんな感じなのかな。
見てはいけないものを見た気がして、そっと目を逸らす。
手に持っているのは……地図だ。
景色と照らし合わせると、今は北と西の間の海岸あたり。左手に見える山脈に雪が積もっているのが見える。冬の国が近いのかな。
双眼鏡で見渡すと、遠くに町も見える。
町めざして震えながら、歩く。
「街に行って……どうする?」
この様子だと、お金がないと宿にも泊まれないのでは?
いや、ここのお金って円なのかな?
財布を探ろうとして、気づいた。
あるのは双眼鏡と地図、ノートとえんぴつだけだ。
締切に追われて徹夜中、突然やってきたメッセンジャー。放課後ライティング倶楽部からの連絡がひどく気になり、タップしたらここにいた。スマホをつかむ余裕はなかった。
どうしよう。
ゲームっぽいし、モンスター的なものでも倒す?
……何も持ってないのにどうやって?
頭を抱えつつ歩くと、町に到着していた。
とりあえず近場の飲食店らしき店に入る。
談笑していた男女が、こちらを振り向いた。
「あ、あの〜……」
びびってもしょうがない。
拳を握りしめ状況を説明すると、男性の方が大きく頷いた。
「たまに来るよ。
ここは大陸に4つある国の間にある宿だ。あんたみたいな旅人を案内するためのね」
「ここにきた旅人はひょっとこ仮面のクエストをクリアしないと元の世界には戻れないんだ。クエストに挑戦するには装備も必要だしお金もかかる。やり方を説明するのがここの役割だよ」
(本当にゲームっぽいな)
「お金はどうやって稼ぐの?」
「ここの住人はエピソードに飢えてるんだ。面白い話はお金に代えられないからね。お金持ちも一般市民も、みんなエピソードを聞きたがっている。
いかに面白い話をしたかでお金の稼ぎ具合は変わるよ」
「どうやって提供するの?」
「文章さ。
あんた、ノートとえんぴつを持ってるだろう? 旅人オリジナルのエピソードを文章にする。それを町の人に読んでもらって、いい文章だったらお金が手に入るよ」
「いい文章ってどんな文章なの?」
「そこが腕の見せ所だろう?見せ方の工夫によって稼ぎは変わってくるだろうねぇ」
「……」
面白い文章を書けだなんて、放課後ライティング倶楽部のお題みたいだ。
文章が書けないから参加してるのに。
ああ、放課後ライティング倶楽部のメンバーがここにいてくれたら! 何かいいアドバイスくれる気がする!!
……いやいや、人を頼るのは。
眉間にシワを寄せる私を見て、女性が言った。
「ねぇ、文章を書くのが苦手なんでしょ?」
「?!なんでわかったの……?」
「そういう人、いっぱい見てるから。書くの苦手なんだったら、ここに行くといいよ」
そういって女性がくれた紙を見て、私は驚きの表情を浮かべた……!!
続く!
[ライター:鳥飼アミカ]
◆あとがき
ヤスです。書くにまつわる冒険譚。なにこれおもしろい! 先週の水曜日にメンバーさんが書いた記事を読んで「ライティングクエストみたいだねー」と私はコメントしたんです。ドラクエみたいな。そしたらこんな物語がうまれて。ほんとねぇ、書けないから放課後ライティング倶楽部に入ってるのに、「書け!」とか言うもんねぇ。ひょっとこ仮面がねぇ。
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