文章力、売ります。
『文章力、売ります。』
なんとも胡散臭い有料記事を見つけてしまった。販売者さん、ひどいことを言ってごめんなさい。でも言わせてほしい。
説明文にはこう書かれている。
・だれでも文章を書く力を身につけれます。文章でモノを売る力が手に入れられます。そのテキストをあげます。
なんだこれ、誇大広告じゃないか?
「だれでも」と言うのなら小学生でもOKというわけなのか。いや、そもそもこの販売者の文章力はだいじょうぶか?「身につけれる」は「ら」抜き言葉だし「身につきます」でいいのではなかろうか。しかも「あげます」だなんて。販売してるのに「あげます」なんだろうか。口語だし。説明文はまだ続きがある。
・限定販売です。10個売れたらもう売りません。
また添削したくなる。「10個」って。テキスト記事なら「10部」のがよくないか? しかもこの手法は販売数を限定してレアに見せ即購入を煽るものではないか。いまどきベタすぎるぞ。使い古された常套手段は知られてるだろ。
・文章力、欲しくないですか?
いきなり問いかけが来た。なになに?なにかの販売マニュアルでも読んだの?「読者に問いを与え考えさせよう。読者の思考を利用し、より良い未来を想像させよう」ってか!
・私は、文章力が欲しいです。
そうでしょうね!ええ!わかるよ!君くらいの文章力ならね!
・あなたも文章力が欲しいです。
英語の翻訳文かよっ! なんだ、この論法は。私は欲しい。ゆえにあなたも欲しい。ロジックがおかしいぞ。それにあなたから買うのは怖すぎるわ。だいじょうぶか?逆宣伝になってるぞ、この説明文。
・もうお気づきでしょう。私には文章力がありません。
知ってるわっ!オマエがっ!この商品をっ!使いこなせてないだろお!読み込めよぉぉぉ、テキストをよぉぉぉぉ。あ、オマエとか口が悪くなってごめんよぉ。
・なぜなら私は本テキストを読んでいないからです。
買ってぇぇぇぇぇ。お願いだから自分の商品を自分で買ってぇぇぇぇぇ。
・まずあなたに読んでほしいから、販売者が先に読むことはしません。美味しい料理をつくったからってシェフが先に食べるなんてことはありえないのです。
急に屁理屈きたーーーーー。そうだよ、そうなんだけどシェフでもその料理は味見したりしながら完成させるでしょ?!
・でも私はシェフではない。
そうね!そうよね!そうだよね!知ってるよ!
・だから先に私が本テキストを読んでもいいのですが、もしそれで私の文章がダメダメなら誰も買ってくれないので私は読まないのです。
お・か・し・い・だ・ろ!
おい、テメエ言ってることめちゃくちゃだぞ!
・私はもういい。文章力は諦めました。
諦めないでぇー!あなたはまだ頑張れるわよ!テメエとか言って悪かったよー!
・だからあなたに託します。気になるお値段なんと300縁。
「円」を「縁」って書くタイプのやつー!ってか300円なら気になるし買うわっ!
……あ、ポチっちゃった。
~ショートショート『文章力、売ります。』
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[画像協力:さちわ]
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