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悪人面の私が見つめる、働く人の「手」

私の顔はいわゆる「悪人面」だ。 初対面で勘違いされることは日常茶飯事。そんな損な見た目の私だからこそ、人の内面を知りたくて、まず「手」を見てしまう癖がついた。

職人の手には、その人の生き様が刻まれている。 印刷会社の社長さんの手には、かつての現場の記憶として中指の第一関節がなかった。 製造業に携わる人の爪先には、どうしても落ちない黒い仕事の跡がある。 運送業の人の腕は、左右で日焼けの跡もシワの深さも違う。

清掃担当の人の荒れた指先。 かつての事務方の指にあった、誇らしげな「ペンダコ」。 仕事をしている人の手は、皆違う。そこには言葉以上のプロ意識が宿っている。

では、今の時代はどうだろうか。 キーボードを叩く音は響くが、ネイルで飾られた長い爪が増えた。タイピングは速くても、昔ながらの正確なブラインドタッチができる人は減ったように思う。ペンダコがある人も少なくなった。

私自身の手には、今もはっきりとしたペンダコがある。 キーボードを叩けば、自然とブラインドタッチになり、打鍵音は人より大きくなる。かつてタイピング大会で優勝したこともある私の指は、無意識に「プロの音」を刻んでしまうのだ。その音を「うるさい」と揶揄されることもあるが、音を抑えようとすると、不思議とミスタッチが増えてしまう。

親にさえ「可愛い」と言われたことがないこの顔だが、なぜか誰とでも話すことだけは得意だった。

長年お世話になっている美容師さんは、一見「チャラ男」風の男だ。 けれど、彼の手は本物だ。手首には染色剤の跡が残り、痩せ型なのにハサミを握り続けるための筋肉だけが、腕に力強く張り付いている。

彼は私の変化に敏感だった。 「曲を作ったならYouTubeに上げなよ。映画評論も毒舌で面白いんだから」 そんな風に、いつも背中を押してくれる。

最近、転職したばかりの仕事のストレスで限界だった私に、彼は言った。 「そんな仕事やめな。俺ならやめる。こんな髪の抜け方、普通じゃないよ!」 見た目はチャラくても、彼は顧客の心身の変化を見抜く、真のプロだった。

「悪人面でも、本当は面白い人なんだからさ。喋りながら歩いてればいいじゃん!」 彼の突飛なアドバイスに、思わず吹き出してしまった。

彼にそう言われたことがきっかけで、私は色々なことを「再スタート」し始めた。 流石に喋りながら歩くのは怪しいけれど、この顔と、この手と一緒に、新しい道を歩いてみようと思っている。

勝手にマガジン登録させていただいております。
ごめんなさいです。
私が個人的にまた読み返したい記事がほとんどです。
皆さんの記事に励まされ、奮い立つ気持ちが芽生えたこともあり、
新しいことを始める前に初心を忘れたくなくて勝手して申し訳ございません。

これからもよろしくお願いします。

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