デジカメが、壊れてなかった話。
1年ほど前、デジタルカメラを買った。
2万円ほどのものだが、私にとっては大きな買い物。
人の笑顔を見るのが好き。
私が見つけた笑顔を、私が切り取って残したい。
身近に、本格的にカメラとともに生活している友人が数人いる私は、触らせてもらう機会も多く、そんなことを思ってしまった。
だから、どうしても自分のカメラがほしかった。
買ったのはいいものの、デジカメをわざわざ出すのが恥ずかしい。
あなたの自然な一部を残したい。でもカメラを出している間に、表情はよそ行きに変わっている。
なんだか、モヤモヤして、
あまりデジカメとともに生きることはできなかった。
大好きな友人と、彼女が行きたいと言うカフェに行った日、なんとなく気が乗ってデジカメを持って家を出た。
その日、壊れていることを知った。
なんか暗くぼやがかかったように写ってしまってほとんどなにも見えない。

買う前の期待感から、買った直後の、なかなか仲良くなれないもやもや。そして、壊れてしまった。
とことん裏切られた、そんな気持ち。
それから数ヶ月、写真を撮ること自体あまりしなくなっていた。
2026年1月31日、1ヶ月を振り返りたい、残したいと思った。
自分のカメラロールに人の顔があまりないことに驚いた。
人と写真を撮ることが、2月のテーマになった。
深夜にふと、デジカメを触ってみた。
数ヶ月ぶりに触ったデジカメは、最後に触ったときのまま。
部屋で1人、カチカチといじってみたら、
壊れてなかった、
デジカメの設定をいじっていた時に露出を極端に低くしてしまっていたらしい。
この数ヶ月はなんだったのだろう。
思い通りにいかない日々が続いていた私。デジカメに映る深夜の部屋が、明るくて、なんだかどうでもよくなった。
そしてもう一度、ゆっくりでいいからしっかりと、向き合ってみようと思えた。
以降、私はデジカメと生活中。
私を通して見えた、私が切り取った、好き、の一部。
今度はなにを見に行こう。私のデジカメに、なにが登場するのだろう。

kinusa/uchimake
