“そのうち好きになる”を信じて恋愛してきた結果
「好きな人ができないまま、大人になってしまった人へ。」
学校で当たり前のようにされる“恋愛の話題”に、うまく乗れなかったことはありませんか。私はずっと、それができませんでした。
1. 「好きな人がいない」ことが普通じゃなかった頃
小学生の頃、ドラマ『花より男子』が流行っていた。
クラスの女子たちは毎日のように、
「花沢類派か、道明寺派か、それとも西門か」
そんな話で盛り上がっていた。
当然のように、私にも話が振られる。
「で、誰が好きなの?」
そのときの私は、ほんの少し考えてから、こう答えた。
「えーと、特にない……かな」
その瞬間、空気が止まった。うまく言えないけど、「あ、やっちゃったな」という感覚だけはあった。みんなにとって当たり前の会話に、私はうまく入れない。人とのコミュニケーションに失敗した、みたいな感覚。
今思えば、あれが最初の記憶かもしれない。
あの頃の私は、“擬態”が下手だった。
そもそも、どうして「誰が好きか」という話になるのかが分からなかった。ドラマは普通に好きだったし、会話も面白かった。でも、「人を好きになる」という前提そのものが、自分の中に存在していなかった。
みんなが当然のように持っている感覚を、私は持っていない。
2. 擬態しながら過ごした学生時代
そんなことに気づくはずもなく、
「まあそのうち分かるようになるんだろう」と、ぼんやり思っていた。
中学、高校と進むにつれて、周りはどんどん恋愛をしていく。好きな人ができて、告白して、付き合って、別れて、また好きな人ができて。そのサイクルが、当たり前のように回っている。
一方の私は、ずっと同じ場所にいた。
誰かを好きになることもなければ、
誰かと付き合いたいとも思わない。
でも、「それはおかしいことなんじゃないか」という気持ちだけは、なんとなくあった。
だから、考えた。
3. 「そのうち好きになる」を信じた恋愛実験
「まだ本気で人を好きになったことがないだけなんじゃないか」
「きっかけさえあれば、ちゃんと恋愛できるようになるんじゃないか」
大学に入ってから、その仮説を検証することにした。
いわゆる“恋愛実験”である。
自分でもどうかと思うけど、当時は割と真剣だった。
ありがたいことに、私はそれなりに告白されるタイプだった。
「愛は育むものだよ」と言われたこともあった。
それなら、付き合ってみれば分かるかもしれない。
そう思って、マッチングアプリや街コンで出会った何人かと付き合ってみた。
4. 手を繋げなかった夜の話
一人目。
夜道、歩いているときに、相手がそっと手を伸ばしてきた。
少し迷ってから、小指だけ繋いだ。
数秒後、鞄をあさるふりをしてそっとほどいた。
理由はシンプルで、
“触れたい”という感情が、1ミリも発生しなかったからだ。
嫌いとかではない。ただ、必要性がなかった。
5. デートに行けなかった理由
二人目。
「今度、めんたいパークにデートに行こうよ」と誘われた。
正直、意味が分からなかった。
めんたいパーク自体は楽しそうだけど、
それを“デート”として成立させる文脈が理解できなかった。
行ったら何が起きるんだろう、と考えたときに、
その先の展開に一切の興味が持てなかった。
結果、行かずに終わった。
6. 「楽しい」と「好き」は違うと気づいた
三人目。
金髪の俳優みたいな人だった。
一緒にいて楽しいし、会話も弾む。
でも、ある日ふと気づいた。
この人のことを「好きか」と聞かれたら、答えはNOだ。
じゃあ何が楽しいのかというと、
“会話”とか“雰囲気”であって、その人自身ではない。
そのことに気づいた瞬間、やり取りは自然消滅した。
7. いい人なのに続かない
四人目、五人目。
いわゆる「いい人」。
優しいし、誠実だし、付き合う相手としては何も問題がない。
むしろ、普通に考えれば“当たり”だと思う。
でも、続かない。
なぜか。
めんどくさいのだ。
連絡を取ることも、会う約束をすることも、
関係を深めていくことも、全部が“作業”に感じてしまう。
相手のことが嫌いなわけではない。
ただ、そこにエネルギーを使う理由が見つからなかった。
8. 落とした瞬間に終わる恋愛
今振り返ると、一番おかしかったのはそこかもしれない。
付き合う前までは、楽しいのだ。
やり取りをして、距離が縮まって、
「もしかしていけるかも?」みたいな空気になるあの感じ。
でも、相手が私を好きになった瞬間に、全部終わる。
なんというか、ゲームでいう“クリア画面”が出たみたいな感覚で、
その先をやる理由がなくなる。
手を繋ぐとか、もっと仲を深めるとか、
そういう“次のステージ”に進みたいと思ったことが、一度もない。
だから、だいたいそこで飽きる。
最低だと思うけど、当時の感覚で言うと、
「落とすまでが一番楽しい」
本当に、それに近かった。
でも、これって別に、人を軽く見ていたわけじゃない。
そもそも「好きになる」という感覚自体が、
私の中に存在していなかっただけだった。
付き合うたびに、同じことを言われた。
「本当に俺の事好き?」
ぶっちゃけ、全然好きじゃない。
1ミリも。
ごめんなさい。
でも、このときはまだ思っていた
「そのうち、本当に好きな人が現れるんだろう」と。
ーーー
ちなみに、この考えが一番やばかった。
次の記事では、
「なぜ私は“好きになれないまま”恋愛を続けてしまったのか」
について書きます。
