売上はあるのに利益が残らない?一人親方・建設業がまず見るべき4つの数字

「今月も忙しかった。売上も上がった。それなのに、なぜか会社にお金が残っていない」

職人さんや一人親方、小規模な工事会社では、珍しくない悩みです。月末に通帳の残高を見て、「こんなに働いたのに」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

売上があることと、利益が残ることは同じではありません。現場が増えるほど材料の立替や外注費も増え、入金より先に支払いが来れば、黒字でも通帳の残高は減ります。

今回は、建設業の利益管理・原価管理の第一歩として、忙しいのにお金が残らない主な理由と、現場ごとに最低限確認したい4つの数字を整理します。この記事を読むと、利益を見えるようにするために、まず何を記録すればよいかが分かります。

■ 売上と利益は別のもの

売上は、お客様に請求する金額です。利益は、売上から、その仕事にかかった費用を引いて残る金額です。

たとえば、100万円で請けた現場でも、材料に35万円、外注に30万円、人工に25万円かかれば、残るのは10万円です。ここから車両費、家賃、通信費、保険料などの固定費を払えば、会社全体では赤字になることもあります。

「100万円の仕事をした」という感覚だけで判断すると、実際に残る金額とのズレが大きくなります。大切なのは、売上の大きさよりも、その現場でいくら残ったかを見ることです。

■ 4つの数字から見える、お金が残らない5つの原因

1.見積に入っていない作業が増えている

現場では、追加作業や予定外の手直しが起こります。短時間だからと記録せず、そのまま対応していると、売上は増えないまま人工と材料費だけが増えます。小さな追加でも、積み重なると利益を大きく削ります。

2.自分や従業員の人工を原価に入れていない

自分が現場に出た時間を「自分の給料だから」と原価から外すと、その仕事が本当に儲かったのか分かりません。従業員も、給与だけでなく社会保険料や交通費などを含めて考える必要があります。

3.材料費や外注費の値上がりを見積に反映できていない

以前と同じ単価で見積を出していても、仕入価格や外注単価が上がっていれば利益は減ります。過去の感覚ではなく、直近の原価で見積を作ることが大切です。

4.請求と入金のタイミングが遅い

利益が出ていても、入金より先に材料費や外注費の支払いが来れば、手元のお金は減ります。完工後すぐに請求できているか、入金予定日を把握しているかは、資金繰りやキャッシュフローを守るうえでも重要です。

5.会社全体の経費を現場利益だけでまかなえていない

現場単体では利益が出ていても、車両、事務所、通信、保険、会計ソフトなど、毎月かかる固定費をカバーできなければ会社にはお金が残りません。

■ 現場ごとに確認したい4つの数字

原因を感覚で探す前に、まずは次の4項目だけでも現場ごとに記録してみてください。電気工事、電気通信工事、設備工事など、工事の種類が違っても基本は同じです。

1.売上

追加工事を含め、その現場で最終的に請求できる金額です。見積額ではなく、実際の請求予定額で確認します。

2.材料費

主要材料だけでなく、細かな消耗品、送料、現場までの運搬費なども含めます。少額のレシートも現場名とひも付けておくと、後で確認しやすくなります。

3.外注費

協力会社や応援に支払う金額です。日当だけでなく、交通費や駐車場代など、自社が負担した費用も合わせて記録します。

4.人工

自分と従業員がその現場に使った日数や時間です。まずは「誰が何日入ったか」だけでも構いません。人工単価を決めて掛け合わせれば、人件費の目安が見えてきます。

現場の粗利益は、次の式で確認できます。

売上 − 材料費 − 外注費 − 人工 = 現場の粗利益

たとえば、売上100万円、材料費30万円、外注費20万円、人工30万円なら、現場の粗利益は20万円です。この20万円から会社の固定費を支払う、と考えると、売上だけを見るより現実が分かりやすくなります。

■ まずは1現場、スマホのメモから始める

最初から完璧な表を作る必要はありません。まずは進行中の1現場を選び、スマホのメモに次のように書くだけでも十分です。

現場名:○○事務所 改修工事
売上:1,000,000円
材料費:300,000円
外注費:200,000円
人工:自分8日、従業員7日
追加作業:コンセント2か所、配線変更1件
請求予定日:8月31日
入金予定日:9月30日

ポイントは、完工してから思い出すのではなく、費用や追加作業が発生した日に記録することです。毎日1分でも記録すれば、見積と実際の差が少しずつ見えるようになります。

■ 数字が見えると、次の見積が変わる

現場ごとの数字を残す目的は、終わった仕事を反省することだけではありません。

「この種類の工事は材料が想定よりかかる」
「この作業は2人工では終わらない」
「追加工事をその場で記録しないと請求漏れになる」

こうした事実が分かれば、次の見積に反映できます。利益管理は経理のためだけではなく、次の仕事で同じ失敗を繰り返さないための現場道具です。

■ 一人で整理しにくいときは

現場ごとの原価や利益を整理したいけれど、「何から記録すればいいか分からない」「自分の仕事に合う管理方法を一緒に考えてほしい」という方もいると思います。

ウデトチエでは、ココナラで一人親方・小規模事業者向けのご相談を受け付けています。今使っているスマホや表計算を活かしながら、現場ごとの利益が見える管理方法や、ご自身の仕事に合った管理表づくりを一緒に整理します。

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■ まとめ

売上があるのにお金が残らないときは、仕事量を増やす前に、現場ごとの中身を確認することが大切です。

利益管理でまず見るのは、売上、材料費、外注費、人工の4つ。この4項目を1現場ずつ記録するだけでも、原価と粗利益が見え、利益を削っている原因を具体的に探せるようになります。

忙しさを利益に変えるには、腕に加えて、数字を見る知恵が必要です。完璧を目指さず、今日の現場から一つ記録してみてください。

次回は、人工をどのように考え、見積に入れるかについて、もう少し具体的に書く予定です。

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