※二度目の告白は対面で成功しました
「そんで別れて帰った後、家に帰ってから電話で告ったけぇ」
初めての彼女との馴れ初めを、広島弁で堂々と語るイシダ。
僕は「ふぅーん、ま、そんな事もあるわな」と恋愛中級者の装いで聞いていた。心の中では「すげぇ!そんな方法あるのか!」と勝俣州和のような分かりやすいリアクションを取っていたというのに。
大学入りたての当時、恋愛における「告白」というイベントを一度もして来なかった僕が、友人のイシダにインスパイアされた時の一幕である。
入学式の流れでA子ちゃんと仲良くなった僕。この好機は逃すまいとなんとか「告白」に漕ぎつけようと必死だったわけだが、考えれば考えるほど告白の難しさを痛感していた。
そもそもなんだ告白って。本当に皆んなやってるのか。ありえないくらい勇気がいるのだが。
ファンキーモンキーベイビーズですら告白しているというのに、僕はファンキーにもなれずモンキーにもなれない、哀れで醜いベイビーズだと言う事なのか。
ああ、早く届けたい。大好きだ大好きなんだ、それ以上の言葉をもっと上手に届けたい。
そんな悶々とした日々を送る18歳の僕に舞い降りたのが、イシダが実践したらしい冒頭の告白方法であった。
面と向かって言いづらい対面を敢えて見送り、帰って落ち着いて電話すれば良いのではというこの方法。
今思うと問題先送りの究極的境地ともいうべきメソッドなのだが、当時の僕は「これなら僕でも出来そう」となぜか背中を押された記憶がある。
季節は夏祭り前の初夏。
これ以上待ってもチャンスは来ないかもしれないという、明日やろうはバカヤロウ精神がある日の僕を告白に突き動かした。
5コマ目の終わりから何の話をするわけでもなくA子ちゃんと合流し、構内の出口に向かって歩き始めた。もう講義の話も教授の話も何一つ聞こえちゃおらず、「告白」の2文字の前に全てが雑音となって耳を通り抜けていた。
口は無意識に「お疲れ〜」と喋り、足は無意識に自宅の玄関を跨ぐ。
心臓バクバクでガラケーを開き、電話帳から彼女の連絡先を開き、受話器が上がった形のボタンを押す。押したと思う。そこから先は、覚えていない。
君に伝えたいことがある
胸に抱えたこの想いを
うまく言葉にできないけど
どうか聞いて欲しい
夏祭りは友達といくことになった。
殻の割れる音がした、18の昼。
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