ぼく(ら)の七日間戦争 ムクドリ編
_僕たちの日々は冒険に満ちていたことを教えてくれた宗田理へ捧ぐ。
これは、わたしとムクポンの七日間に渡る闘いの記録である。
2024年、春、おだやかな陽光に包まれた七日間の出来事の記録である。
振り返れば闘ってばかりいる。
それが人生なのかもしれない。
人生って、不思議なものですね。
歌姫もそう言っている。
Adoではない。昭和の方。
最初に説明する。
ムクポンとは、ムクドリのことである。
🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛🐦⬛
春が近づくと風が変わる。
東風が吹き始める。すると、
ムクドリの群れを見にする機会が増える。
目を覚まして窓を開けたある朝、
わたしは、とある異変に気づく。
ベランダの手すりに緑色の糞が落ちていたのだ。これまであまりない現象であった。
_ありえない。
とつぶやいた訳ではないが、わたしは数々の公式と定理を使って、ある仮説を導いた。
『ムクドリのフン仮説🐦⬛』
💩
💩
💩
である。 💩
そうね、そういうこともあるだろう。
もうすぐ春ですからね
ふんふふん♪と鼻歌を歌う。フンだけに。
わたしは自分に言い聞かせ、クールに糞を処理した。
(内心では、糞がっ!と毒づいていたが)
翌る日。
嘲るように大量の糞が残されていた。
(さすがに、アイコンの羅列は控える)
どうやら、畑に食べ物があることが共有されたらしい。
家の目の前の畑には、でっぷりとした春キャベツが並んで生っている。
並んだキャベツは、表面の朝露に陽を受けて、つやつやと綺麗であった。
彼らは美味いものをよく知っている。
鳥の味覚は人間よりも優れていることが、研究により明らかにされている。
猫の味覚はよりゆたかとのことである。
ドラ猫がサカナを咥える訳だ。
おひさまも笑ってる。ルールルルルルー♪
どうやら彼らは鳴き声で仲間を連れて来ているらしい。しょうもないヤツめ。
わたしは、厚紙と新聞紙を使って、ひとつひとつ糞を処理した。
ここはおまえらの公衆トイレじゃないぞと、クールに独りごちる。
(内心では、糞どもめがっ!と毒づいていたが)
🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻🚻
翌る日。
朝から、こしこし。
厚紙と新聞紙で、
こしこし、こしこし。
厚紙と新聞紙で、
こしこし、こしこし。
厚紙と新聞紙で、
こしこし、こしこし、、、あれ?
俺、タイムリープしてる⁈
な訳ない。糞が大量にあるだけだ。
わたしは、非常識にも程があるバスにも乗車していなければ、鬼才率いる劇団にも属していない。
まして、時をかけまくる勇敢な少女でもない
うん、してないね、俺。
(このご時世、ユーしちゃいなよというツッコミは差し控えることとする。この件については、わたし、本気でプンプンしているのだ!プンだぞ、プン!)
腹を立てながら、
わたしは、ふと思った。
「俺、何やってんだろ、、、」
「ドラえもぉほほぉ〜ん(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」
と叫びたいところだが、2024年8月現在、万能ネコ型ロボットは開発されていない。
ChatGPTに頼んでみたが、ダメだってさ。チッ。
ちなみにうちのGPTは、静香ちゃん風に答えるようにカスタマイズしてある。
静香ちゃんと言っても、源静香ではない。
荒川静香だ!
彼女のイナバウアーは美しい。閑話休題。
ドラえもんにすがれないのび太なわたしは、知恵を振り絞った。
小学四年生(※アニメでは五年生)ののび太なわたしの頭の中で、ひとつかふたつの公式を使い導き出された仮説がある。
「そうだ💡ひられる前に追い払えばいいんだ」

どうやら、やつらは、朝と夕が飯時のようだ。
その後が件のトイレタイム。
というか、食べたら出す。
いやむしろ、食べながら出している。
もう、ゆるゆるなのだ、きゃつらの肛門は。
ゆるゆるできゅるきゅる。
ゆるゆるのきゅるきゅるが、きゅうるりきゅるりらよ。
効率的!
と危うく感動しかけるも、ここは勝負の世界。
絶対に負けられない戦いがある。
わたしは心を鬼にする。
まるで、元卓球女子日本代表の平野早矢香ばりの鬼となる。
平野早矢香が鬼の形相でピンポンに向きうなら、わたしは、鬼の形相でムクドリ、いや、ムクポンに向き合わねばならぬ。

日が暮れる。
わたしの仮説は正しいことが証明される。
どこからともなく腹を空かせたムクポンが群れ集う。
姿は見えずとも、囀りが聞こえる。
羽音が近づき、窓越しに姿がチラつく。
高速で移動するピンポン玉を目で追うかのごとく、わたしの目はムクポンの陰影を捉える。
タイミングを見計らう。
高速ドライブを決めてやる。
わたしの体にペコの魂が宿る。
(そこんとこよろしく)

♪〜(フェイドインするBGM)
(YUMEGIWA LAST BOY)
いまだっ!わたしは叫ぶ。
「Yes we can!」(間違えた…少し泣く)
気を取り直してもう一度。
「I can fly!」
わたしは、ガラッと勢いよく窓をドライブする。
同時にここに人間がいる気配をドライブする。
これが効果的面ドライブよ。
ムクポン近づく、
窓開ける、
ムクポン、逃げる。
つかの間の平穏。
ムクポン近づく、
窓開ける、
ムクポン、逃げる。
つかの間の平穏。
ムクポン近づく、
窓開ける、
ムクポン、逃げる。
つかの間の平穏。
何度か繰り返すうち、ふと思った。
「俺、何やってんだろ、、、」
何が一等賞だ。
頭のまわりで星がまわっているのか。
まわっているかもしれない。
わたしの頭のまわりではたくさんの星とひよこが。
⭐️🐥⭐️🐥⭐️🐥⭐️🐥⭐️🐥⭐️🐥ぴよぴよ。
これでは埒が開かない。
というか、すげえ疲れる。
あ、カカシってそういうことね!
と、昔の人の知恵に感心する。
シカシここにカカシを立てるわけもナシ、NO!
ムカシワタシはロクデナシ、YO!
(おまえは、いつからラッパーになった)
(ヘイ、ブラザー、現実をみろよ、現実を)
現実を見て考える。
CD、、、あれはカラスだっけ?
ペットボトル、、、は猫か。
こうなれば奥の手を出そう。
今現在、ドラえもんはいないけれど、人類にはマグニフィセント7がいるのだ。
早速、検索、検索ぅ!
「ムクポン、いや、、、
「ムクドリ、フン、対策」で🔍
ほぉ、結構、被害が多いではないか。
調べていると、ムクドリが嫌がるモスキート音なるものがヒットする。しかも、人間には聴こえない。必要なものはスマホひとつでオーケーとある。
これ、これーい!
と、わたしは小さくこぶしを握る。
翌る日、
ブックマークして待ち構えているわたし。
(ヒヒ、ヒヒヒ、、、)
すでに笑うのを堪えきれていないわたし。
(イーヒッヒッヒーッ!)
(ハヒハヒィーヒッヒッヒーッ!)
(いっちゃってるぅ☝️)
いっちゃってるわたしの前に、やつらが現れる。
わたしは足早にベランダへ向かう。
そしてわたしは、エンター・キーを押すときだけやけに勢い良く打つ部長の手つきで、モスキート音を放つためにタップする。
タタァーーーーーーンッ!!!
モスキート音が放たれる。
ん? 放たれてるよな?
人間には聴こえないので確認のしようがない。
まあ、出ていると信じよう。
変化が起きるのをジッと待つ。
1羽、2羽と、逃げていくものが現れる。
これは! とわたし。
「大きく振るようにすると効果が増します」
なるほど。素直に説明に従おう。
すると、今度は、残っていた数羽のムクポンが一斉に飛び去って行くではないか。
すごい効果である。
しばし、その効果の余韻に浸る。
別の群れがやって来る。
わたしは素早くスマホをかかげる。
流れるようにモスキート音を出す。
そして、おおきく、おおきく、左右に振る。
気分はフジロック。
グリーン・ステージのトリを務めるのロック・スターとともにシンガ・ロングする。
ムクドリたちが逃げまどう。
感動しながら、おおきく振り続けるわたし。
これぞ、カタルシス。
まさに、ラブ&ピース。
しかし、ここは苗場ではない。
アンセムも鳴ってはいない。
地方都市の住宅街である。
道路の脇から不思議そうに、わたしを見つめる親子連れがいる。
わたしは、ふと思った。
「俺、何やってんだろ、、、」
こっそりと、部屋に戻る。
しばらく体育座りで恥ずかしさに悶える。
(内心では、糞がっ!と毒づいていたが)
(どうか、通報されませんようにと祈る)
探すのをやめたとき、見つかることも良くある話で、
足掻くのをやめたとき、収まることも良くある話。
翌る日から、何もしてないのフンの数は激減した。
きっと、忌み嫌うものとして拒否していた一連の行為が、悪い波長となり、一層彼らの行為を悪化させていたのかもしれない。
受け入れたことで、その悪い波長がなくなり、それを感じた彼らも行為を改めてくれたのだ。
そう解釈した。
これが、自然との共存なのかもしれない。
感慨に耽りながら、暮れゆく夕陽に目を細める。
ふと、前の畑を見下ろしたわたしが目にしたもの。
それは、無惨にも食い尽くされたキャベツの残骸であった。
それが、すべてを語っていた。
どこからか歌が聴こえる。
歌姫は歌う。
あなたが思うより健康です、と。
そうなのかもしれない。
ぼくらよりもムクポンの方が、ずっと、ずっと、健康なのかもしれない。
こうして、ぼく(ら)の七日間戦争は終焉を迎えたのであった。
ある、春の、出来事であった。
いま、わたしは、つぎの春のことを考えはじめている。
ムクポンとわたしが共生する未来を作ることはできないのかと。
(しかし、そのときのわたしは、まだ知る由もなかった。)
(それが、これから始まる長い闘いの序章に過ぎなかったことを。)
-完-
『ぼく(ら)の七日間戦争 ムクドリ編』
