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#003 「九州じゃんがら」

おふろとごはんときどきお酒は…
小杉湯原宿の番頭“宇井”が、銭湯の外、街へと飛び出し、おいしいものを求め、原宿界隈を巡る企画です。

宇井のプロフィール
普段から銭湯と居酒屋をセットにして、巡るのが趣味。2025年2月に神宮前2丁目に住処を移してから、どんどん原宿の魅力に気付いてる次第であります。


九州じゃんがら
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1丁目13−21 1F

まだとんこつラーメンがほとんどなかった東京に、とんこつブームを起こした立役者が『九州じゃんがら』です。

今回訪れたのは、学習塾から始まった『九州じゃんがら』。1984年(昭和59年)、福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石らが新札として登場し、ギザギザハートの子守唄が鼓膜を揺らした年に、秋葉原にオープンしました。原宿店はその2年後から現在まで続いています。

まずは店を代表する3本柱をご紹介します。
『名物 九州じゃんがら』は、上品であっさりマイルドな、九州にはない東京風とんこつ。
『ぼんしゃん』は、博多系のこってりトローリクリーミーなスープ。
『こぼんしゃん』は、熊本系で自家製マー油が香ばしく香るラーメンです。

『じゃんがら』のラーメンは、メニューごとに全く違う元ダレから作られており、それぞれにしっかりした味の個性があって、通う人を飽きさせません。

ここまで読んでお腹が空いた方に朗報です。『九州じゃんがら 原宿店』は小杉湯原宿があるハラカドから徒歩4分ほど、原宿駅からは2分。まさに原宿の真ん中、いますぐ食べに行けます。

 九州じゃんがら名物『全部入り』をいただく

原宿駅から徒歩2分。大通りに面したビルの階段を数段登り、暖簾をくぐると、さまざまな『絵と言葉』で埋め尽くされた店内が広がっています。

「こんにちは」と入店してメニューを見ると、10種類ほどのラーメンたちが「私が一番うまい」とばかりにこちらを見てくるようで、思わず驚きました。優柔不断で、普段居酒屋に行った際も「すみません」と店員さんを呼んでおきながら、そこから注文を考える良くない客になりがちな私は、この品数の多さにプレッシャーを感じつつも、主軸のラーメンが分かりやすく表示されていたので、まずはそちらを選びました。

券売機で『名物 九州じゃんがら 全部入り』を購入し、カウンターに着席。
厨房でラーメン鉢にリズムよく盛られていく様子を眺めるのは至福のひとときです。
さらに、『じゃんがら』には、それ以外にも目を引くものがたくさんあります。
至るところに掲示された手描きの言葉と絵は、描いた人の人間味が伝わる温かみのあるPOPで、それらを眺めているうちに、ラーメンが完成。次の瞬間、目はラーメンに釘付けになりました。

全部入り、やばい。
「やば」なんて言葉で済ませたくはないけれど、まず見た目の満足度がやばいのです。
「そうかー、これは美味しいに決まってる…」と、ひとまず目で味わってしまう盛られ具合に、ため息が出ます。

九州じゃんがら 全部入り

基本の具材は、ねぎ、メンマ、きくらげ、チャーシュー。そこに角肉、博多名物オリジナル明太子、トローリ半熟卵が加わります。この3つがのってこそ、筆者がため息を漏らす理由、全部入りの正体です。

「え?角肉?」と戸惑った方もご安心ください。
これは長崎卓袱(しっぽく)料理人、故・野田利政氏直伝の角煮のこと。なお、卓袱料理とは長崎の郷土料理のこと。この野田氏は、昭和天皇に卓袱料理を献上したほどの名料理人で、ラーメンに角煮をのせることには喜びつつも、その価格があまりに安く設定されていることに苦笑していたそうです。

多くの具材がのったラーメンを、スープ・具材・麺とそれぞれワンプレート的に楽しみながら食べていきます。
「美味い!」
感動したときに出る一発目の言葉なんて、抽象的で当たり前。脳を通さず脊髄反射で出てしまう「美味い」が出ました。
そして2口目も「美味い」。その後も「美味い」「美味い」と、ひたすら連呼してしまいました。
具材が豊富で食べ応えがあるのはもちろん、添えられた明太子、卓上の高菜、紅生姜で味に変化をつけられ、最後の最後まで「美味い」と感じさせてくれる大満足の一杯でした。

ご馳走様です。


学習塾から始まったラーメン屋さん『九州じゃんがら』

『九州じゃんがら』は創業40周年、『ブルカン塾』は45周年を迎えました。

1979年。ソニーのウォークマンが発売され、ドラえもんと機動戦士ガンダムが放送を開始し、インベーダーゲームが大流行。マザーテレサがノーベル平和賞を受賞し、一方でさだまさしが『関白宣言』を発表した年に、進学補習教室『ブルカン塾』が開塾しました。

当時、塾では夏季合宿がありましたが、ある中学2年生の女の子が「田舎に行くから」と言って不参加を表明します。実はそれが経済的な理由による『優しい嘘』だったことを知り、塾は、どんな家庭の子も受け入れていこうと決意します。

しかし当然、経済的に通わせられない子どもたちを支えるには資金が必要でした。そこで先生たちは「塾の経営基盤としてラーメン屋をやろう」と考えます。

当時の東京ではとんこつラーメンは珍しく、「代表に縁のある九州ラーメンを東京でやってみては」というアイデアが生まれました。

そうして、塾の先生たちはさまざまなラーメン店を食べ歩き、アイデアを出し合い、試作を繰り返し、1984年、秋葉原に『じゃんがら』がオープンします。

しかし、当時の東京ではとんこつラーメンの匂いがきついと敬遠され、なんと開店からわずか3日で一時閉店を決断。再び研究体制へと戻りました。

その試行錯誤の末に完成したのが『じゃんがらスープ』です。
クセが少なく、誰にでも親しまれるマイルドなとんこつスープ。この味は『東京マイルドとんこつ』と呼ばれるようになり、とんこつブームの火付け役として数々の賞や人気ランキング1位を獲得する存在へと成長しました。

今では当たり前となったマイルドなとんこつスープ、その原点が『じゃんがら』にあったのです。


「美味しいものを、美味しいまま届ける」

原宿で40年近く続く九州じゃんがらに、続けるための秘訣をお伺いしました。

続けるために大切にしていること。それは「美味しいものを、美味しいまま届けること」。

「美味しいものを不味くするのは簡単。だからこそ、美味しいと思ってもらえるように、大事に届けないといけない」
これが、じゃんがらのモットーであり、基本となる考え方です。

「お客さんが、お腹いっぱいになって、元気になってくれたら、それが一番うれしい。」
そのためには、居心地のよい空間を保ち、「ありがとう」の気持ちで接することが大事だと教えてくれました。

この話、どこかで聞いたことがあるような気がします。

話は少し逸れますが、『小杉湯原宿』も場を大切にしています。
湯は完成されていて、あとはそれをどう届けるか。
『綺麗で、清潔で、気持ちいい』その場を通して、スタッフとお客さんがつながる。
お客さんにもスタッフにも偏ることなく、共有できる場を第一に保つこと。
それが小杉湯原宿の大切にしていることです。
すごく似ているところがあると思いました。

当たり前のことを、当たり前に行う。同じことを伝えるにも、その伝え方によって印象はまったく変わる。思っていることと実行することは、まったく違う。
当たり前のことのようで、実際にそれを実行できている人はどれだけいるのでしょうか。

私は全然ダメです。でも、そのことにあらためて気付けてよかったです。
『じゃんがら』さんを見習って、これからも精進していきます。
ご馳走様でした。


九州じゃんがら 原宿店

住所: 東京都渋谷区神宮前1丁目13−21 1F
アクセス:JR山手線「原宿駅」 表参道口から徒歩2分。
営業時間:(平日)10:45~22:00 / (土・日・祝)10:00~22:00

🔗公式HP
https://kyushujangara.co.jp/

🔗Instagram
https://www.instagram.com/kyushujangarasn

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