勝手に絵画考察~『チェステッロの受胎告知』~
はじめに
どうも皆さん、本のすけの右京です。
この『右京の勝手に絵画考察』では、様々な名画に対し、完全な芸術素人である僕が考察・妄想をしていきます。
ここで書かれている内容は、あくまで妄想。「これが答えだ」とは思わず、「ちょっと変な妄想」と考えて見ていってください。
今回のテーマは『チェステッロの受胎告知』。あの『ヴィーナスの誕生』で有名なボッティチェリの作品です。
女の人のポーズや顔、どこか違和感を感じませんか?この絵はどんな場面だと思いますか?
是非皆さんも一緒に考察してみてください。

本編
『チェステッロの受胎告知』とは?
『チェステッロの受胎告知』は、サンドロ・ボッティチェリが1489年に制作したパネル絵です。
イタリアのチェステッロ修道院に飾るために作られたので、『チェステッロの受胎告知』と呼ばれています。
絵のテーマはタイトルにもある「受胎告知」です。
受胎告知はキリスト教の聖典、新約聖書のエピソードの一つです。

昔、マリアという信心深い女性がいました。マリアは結婚していましたが、まだ旦那と性行為はしていませんでした。ある日マリアの前に、天使ガブリエルが現れます。ガブリエルは『マリアよ、あなたは子供を妊娠した』と教えるのです。マリアはまだ処女のままなのに。これは神による奇跡でした。
マリアはこれを受け入れ、一人の子供を産みます。その時生まれた子供がキリスト教の開祖、イエス・キリストでした。
これは新約聖書の中でもとくに有名なエピソードで、これを「受胎告知」といいます。
この「受胎告知」は非常に人気で、多くの芸術家がこの場面を描きました。
ボッティチェリもその一人で、受胎告知の絵を何度も描いています。
嫌がるマリア?
さぁ!さっそく考察timeといきましょう!!
まずマリアに注目しましょう。

よーく見てください、何か気づきませんか?
突き出した手、若干丸めた背中、及び腰・・・そう、これって拒否のリアクションじゃないですか!?
「あー、いえ必要ないです。」とでも言ってそうな感じ、しません?
そう見ると、天使の顔も「え、マジですか?」と言いたげなような…。

他の受胎告知
今度は別の絵と比べてみましょう!
ボッティチェリは受胎告知の絵をたくさんかいています。
例えばこの絵。

こちらのマリアは天使に向かって祈りをささげているような絵です。
まるで「お告げをありがとうございます」とでもいっているようですね。
それに画面全体が明るい色で構成されていたり、陽の光がさしています。
いかにも「祝福の場面」といった感じです。
それに対し『チェステッロの受胎告知』は、外が真っ黒な雲で覆われて、薄暗い雰囲気があります。

真相
さて、ここまで『チェステッロの受胎告知』を見るとあまりおめでたい場面だと感じられませんよね。
キリスト教の教祖であるイエス・キリストを生む場面なのに、そんなことあるんでしょうか・・・
実は、この謎を解き明かすヒントがあるんです!
そのヒントは、受胎告知が初めて描かれた新約聖書にあります!!
新約聖書は、誰か一人が書いた本ではないんです。
たくさんのキリストの弟子たちが書いた書物を、一つ本にまとめた本のことを新約聖書というんです。
今で言えば「イエス・キリストをテーマにしたアンソロジー」のようなものです。その書物の中に、「ルカの福音書」というものがあります。
そこにはこんな一節があるんです。

「御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」
この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。(ルカの福音書1章28~29)
この一節を見てわかるとおり、マリアは一度お告げを受け入れていなかったんですよね。
まぁ考えて見れば、全く覚えがないのに「子どもできてるよ」なんて言われても、そりゃ信じられませんよね。
この後、天使がマリアに安心するように告げ、ようやくマリアは自分が
イエス・キリストを身ごもったと認めます。
つまり、この『チェステッロの受胎告知』は、不安に駆られたマリアを描いた絵だったのではないでしょうか!?
まとめ/最終結論
では結論といきましょう!
ボッティチェリは複数の「受胎告知」の絵を書いていた。
しかし、受胎告知のシチュエーションはそれぞれ異なり、『チェステッロの受胎告知』では、お告げをされて不安になるマリアをテーマにした…。
「奇跡の力で、あなたは神様の子供を宿しましたよ」
これだけ聞くと、なんだかおめでたいような感じがしますが、もしあなたがマリアの立場だったらどうでしょう?

翼の生えた変な奴『お告げするで。今君のお腹に子供がおる。しかもその子は神様の子供や。君の旦那の子供ではないけど、まぁ安心せぇや。おめでたいことやで。』
マリア『えぇ・・・。(困惑)』
・・・普通ならこうなりますよね。
そりゃ一度拒否するのも当然というもの。
というわけで、今回の妄想はここまで!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
次回もお楽しみに。それではまた。
