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選挙がミカン選びに、ちょっと似ている理由

選挙が始まる。
参院選である。投開票日は7/20だ。

大きな選挙が始まれば、毎回のように呼びかけてきた。

「投票に行こう!」

政治に関心のない人にも届いてほしくて、選挙の話を気軽にできるよう、LINEスタンプまで作った。

未来を変えたいネコのスタンプ

「投票に行こう!」と、言いにくくなってきた

だが今後の選挙も、これまでのように「選挙に行こう!」と気軽に言っていいのかどうか、正直軸が揺らいでいる。もっと言えば、どこか怖さすら感じている。

なぜか。

「投票すれば政治は変わるかもしれない。だが、投票先を見誤れば、“良くなる”どころか“悪くなる”かもしれない」という、当たり前すぎて見落としがちな現実に、今更ながら怖さを感じ始めたからだ。

「腐った自民党を終わらせよう!」
「投票で日本を変えよう!」

最近、こうしたポストをSNS上でよく目にする。言っていることは分かる。しかし、その発信者のプロフィールを確認すると、オレンジ色をシンボルにした“新興極右政党”の支持者であることが少なくない。

それは、Threadsだけでなく、Xにも、TikTokにも、YouTubeにも現れている。

ちょっと政治に関心を持った人が、
ショート動画や印象的な演説を見て、
「あ、これかも」と思ってしまう──
その入口が、あまりにも身近になっているのだ。

誰にでも、似たような「入り口」はあったかもしれない。疲れていたとき、不安だったとき、シンプルでわかりやすい言葉や動画に「うん、そうかも」と思いかけたことが、ゼロとは言えないかもしれない。

だからこそ、「なぜ多くの人が共感してしまうのか」を他人事ではなく、自分ごととして捉える必要があるのだ。

彼らは、無関心層の取り込みが「ものすごく上手い」

ここは正直、認めざるを得ない。

彼らのアプローチは、一般的な政党よりも、圧倒的に「わかりやすく」「気持ちいい」のだ。

  • 「怒っていいんだよ」「あなたは特別なんだ」と言ってくれる

  • 現状の不満を、敵や陰謀のせいにしてくれる

  • 難しい言葉を使わず、「心」に訴えてくる

  • 見慣れたSNS動画のフォーマットに乗せてくる

問題をシンプルに語り、スローガンでまとめ、感情に訴える
だがこれは、かつてナチ党がやったことと構造的に同じであり、現代のYouTube/TikTok時代に最適化されている。

支離滅裂でも支持される「気持ちいい」主張

彼らは、複雑な社会問題に対し、スピリチュアルや精神論で“答え”を提示してくれる。その“分かりやすさ”と“正しいことを言ってそうな実感”こそが、人々を惹きつけてしまう。

実際、その政党の主張を見てみると──

  • 「日本は天皇を中心とした国であるべき」とし、「国民主権」の文言を憲法草案から削除

  • 複数の党関係者が、一夫多妻を容認するような発言

  • 子どもの予防接種や定期健診にも否定的な言動

  • 「魂の教育」「波動が下がる」「日本人のDNAが特別」など、科学的根拠のないスピリチュアル思想を政策に混入

  • 「医者は信用するな」「テレビは洗脳装置」と主張し、既存メディアを全面否定

  • 「真の歴史教育」として、戦前の日本を美化し、戦争を正当化するような教育方針を提唱

  • 党関係者の中には、「小麦は毒」「メロンパンを食べると死ぬ」など、医学的根拠に乏しい極端な健康論を展開する人物もいる

などなど、民主主義や科学的知見、そして戦前思想・陰謀論・精神論が“ごった煮”になったような一貫性に欠け、事実との乖離も目立つ主張が多く見られる。

切り貼りキャッチーで誘う“政治マーケティング”

支持を広げる手法にも注意が必要──

彼らは、思想的に一貫した政策を訴えているというより、
キャッチーで耳あたりの良い言葉やイメージを“切り貼り”して共感を集めている

その素材は、こんな感じだ。

  • 「無農薬」「オーガニック」「自然派育児」──ナチュラル志向で健康不安に訴える

  • 「お母さんが教える武士の心」──懐古主義と精神論を家庭教育に持ち込むスローガン

  • 「日本人のDNA」「魂の教育」「目覚めた人」──スピリチュアル系の言葉が混ざる

  • ポスターの顔ぶれは、徳川家康、聖徳太子、特攻隊員など──歴史的文脈も思想もバラバラなのに、なんか見たことある“それっぽい人”を並べる

  • 漫画・アニメ風のキャラ演出や、和風フォント、筆文字、家紋風アイコン──「日本ぽさ」の記号を濃縮してブランド化

  • 「誇りを取り戻そう」「本当の日本を知ろう」「目を覚まそう」──問題提起だけは大きく、具体策はあいまい

つまり、中身はバラバラでも、“なんか良さそう”な雰囲気だけを大量に浴びせてくる
そのうえで、
「あなたは気づいた人です」
「周りはまだ眠ってます」
という優越感と孤立感のセットを、じわじわと刷り込んでくる。

共感の入り口が「雰囲気」に依存しているため、異なる意見との対話が生まれにくい。

これは、マーケティングとしては巧妙だが、
政治としては極めて危うい。

表現や情報発信の仕事をしている人であれば、こうした「わかりやすくて刺さる言葉」が、どれほど強い影響力を持つか、実感があると思う。実際、以前に「表現を仕事にする人が、歴史と政治を学んだ方がいい理由」という記事で書いたが、表現と政治の関係を知らずに発信することが、結果として誰かのプロパガンダに加担してしまうことすらあるのだ。

「自民党はもうダメだ」「今の日本はおかしい」──
そんな不満から、別の政党に期待を寄せる人は少なくない。

だが近年、それに加えて、これまで政治にまったく関心がなく、衆議院と参議院の違いすらわからない層までもが、オレンジ色の政党に吸い寄せられている。

情報の入口は「なんとなく共感した」「SNSで見かけた」程度であっても、
出口には、排外主義や陰謀論、極端な国家観が待っている。

……その出口に繋がる“地盤”を、作ってしまったのは誰なのか。

外れた蓋と残ったツケ

「安倍さんが言っていた『美しい日本🇯🇵』は本当だった。岸田や石破が日本を壊した」そんなポストを目にした。

目眩がした。

本当に、そう思っているのだろうか?

安倍政権のときに行われた政策の数々──インバウンド依存、外国人観光客の急増、国土の投機化、円安による資産流出。「美しい日本」を掲げた安倍政権の“副作用”が今になって、ツケとして噴き出してきているだけではないのか。

彼が存命中は、それらの問題が噴出しないように報道・官僚・学術界に圧力をかけていたが、その蓋が外れただけではないのか。

にもかかわらず、それらの現実を「岸田や石破が壊した」と叩くのは、あまりにも都合が良すぎる。因果のすり替えだ。
まるで、火をつけた人が去ったあとに、煙だけを見て「今の管理人が悪い」と言っているようなものだ。

そして今、「腐った自民党政治を終わらせよう!」と叫びながら、堂々と排外主義を掲げているのは──
かつての総理・安倍晋三の思想を受け継ぎ、より濃縮し、発酵させた“オレンジ色の男”にほかならない。

本来、私たちが向き合うべきは、政治の失敗や社会の構造的な問題のはずだ。それなのに、そこから目をそらすように、「外国人が悪い」「あいつらのせいだ」といった排外主義的な言説が広がっている。

さらに、「日本人ファースト」という耳障りの良いスローガンも、その延長線上にある。一見すると自然な愛国心のように響くが、「自国民だけが優遇されるべき」という発想は、憲法が掲げる人権の普遍性と相容れない。

それはやがて、社会の中で少数派や弱者を切り捨て、「国にとって都合のいい人」だけが保護されるような空気を作り出していく。

貧困や格差、社会の不安定さといった“原因”には触れず、スケープゴートを作って叩く。それは「怒りの向かう先」をズラす、きわめて危ういプロパガンダの手法だ。

「日本人が先」「外国人は後」という単純な優先順位は、愛国心というよりも“選民意識”の別の顔だ。このような発想が社会に広がっていくとき、過去の歴史──特に1930年代ドイツで何が起きたか──を思い出す必要がある。

「なぜナチ党が支持されたのか」を、いま日本で実感する

もう一度言う。これはかつてドイツで、ナチ党が支持を集めた構造と極めてよく似ている。

「ナチス?昔のドイツでしょ?関係なくないw?」と笑うかもしれない。だが、今の日本の状況を見ていると、なぜヒトラーがあそこまで支持を得たのか、初めて実感を伴って理解できた気がする

もちろん、現代の日本と1930年代のドイツは同一ではない。だが、人の心理、構造、プロパガンダのやり口には、あまりに似た点が多すぎる。たとえば、当時のドイツでナチスが台頭したプロセスは、こうだ。

どこかで見覚えがないだろうか?


ナチ党が台頭した構造(要約)

  • 敗戦と経済危機で苦しむ国民の不安と怒りを「敵」のせいにする

  • ユダヤ人、共産主義者、外国人など「スケープゴート」を作り、わかりやすい悪役として叩く

  • 「ドイツは特別」「アーリア人が優れている」という優越思想を掲げる

  • メディアは嘘つき、自分たちだけが「真実を知っている」と叫ぶ

  • 教育や文化の中にまで入り込み、若者を巻き込む

  • 選挙で議席を伸ばし、合法的に権力を掌握。最終的には言論弾圧や暴力で支配を強化


…どうだろうか。この構造、すでに今の日本でも始まってはいないだろうか。そして、何より恐ろしいのは、それが「国民の選択」によってじわじわと進行しているという事実だ。

党の内情や実態にも深刻な問題

「何を言っているか」だけでなく、「どんな組織なのか」にも目を向けてほしい。

  • 幹部による不倫報道やスキャンダルが複数報じられている

  • 関係者の自殺問題も明るみに出ており、組織内でのパワハラやセクハラが疑われている

  • 内部批判や異論が出にくい、閉鎖的かつヒエラルキー型の構造が指摘されている

  • 信者的な支援者による“選民意識”や“敵認定”の空気感が、SNS上でも確認される

これらを総合すると、単に「過激」なのではなく、主張の内容・拡散の手口・組織の体質すべてにおいて「カルト的」と批判される構造が見えてくる。

なぜ「カルト的」と言われるのか?

いわゆるカルトと言われる集団には、以下のような構造がある。

  • 自分たちだけが「目覚めた人間」であるという選民思想

  • 異論を「まだ眠っている」「洗脳されている」で切り捨てる

  • 批判や疑問はすべて敵対視し、内省が生まれない

  • 身内だけの情報空間で盛り上がる“閉じた世界”を作る

  • 信じる人は、伝道欲で他人に伝えずにはいられなくなる

  • 家族や友人との分断が起きても「それも試練」と受け入れる

  • 絶対的な「教祖」的リーダーを中心に、異論や批判が封じられるピラミッド型の支配構造がある

だがこれは、いわゆる宗教団体だけでなく、あらゆる“極端な運動”に共通する現象だ。そして、今まさにこの構造が、政治の世界に出現してしまっている。

信じた人を救い出すには、“対話”しかない

一度ハマった人を「脱会」させるのは、極めて困難だ。だからこそ、周囲の人には、それを上回る熱量と誠実さが求められる。

  • 論破ではなく、「対話」

  • 嘲笑ではなく、「観察と共感」

  • 情報の押し付けではなく、「問いを共有する」

  • 敵認定ではなく、「時間をかける」

つまり、彼らよりも魅力的で、誠実で、粘り強い説明と問いかけが必要だ。

これは本当に骨が折れる。しかし、それくらいでないと、彼らの「手法」の強さには太刀打ちできない。

完璧な答えはないけど、できることはある。

では、どうすればいいのか。考えうる手段はこうだ。

  1. 仕組みを知ること
     彼らのやり口がどういう構造か、ナチスとの共通点を含めて理解する。

  2. 感情の動線を予測すること
     なぜ共感されるのか、なぜ響くのか、否定せず理解する。

  3. 信頼の“貯金”をつくること
     「この人の話なら聞く」という状態を、日々の言動の積み重ねでつくっておく。

  4. 攻撃的な態度をとらないこと
     「お前は間違ってる!」ではなく、「なんでそう思ったの?」と問う姿勢。

  5. 政治を“自分ごと”として語れるようになること
     知識でマウントを取るのではなく、生活や体験の言葉で語る力を持つ。

強い信念を持った家族・友人に、別の視点を届けるような手順を、参院選公示日から始めて果たして間に合うのかは、正直、疑わしいがやるしかない。

選挙はミカン選びに、ちょっと似ている。

私は昨年の衆院選の頃から、選挙はちょっと「ミカン選び」に似ているなと思うようになった。

自分が投票しなくても、白票を投じたとしても、他の大多数が選んだミカンを、結局みんなで食べることになる。

たとえ、それがカビて腐ったミカンであっても、
明らかにお腹を壊すと分かっていても、
「みんなが選んだ」以上、避けられないのだ。

こちらは今年の参院選版

だとすれば、たとえ不味そうなミカンばかりだとしても、生産者や品質を調べて、最悪お腹を壊さないミカンに一票を投じるしかない。

「選挙に行こう!」は大切だ。しかし、「どのミカンを選ぶか」まで考えなければ、“良くなる”どころか、悪くなってしまうかもしれない。

どんなに「無農薬です!オーガニックです!」と宣伝されていても、中身に有害な成分が含まれているようなミカンだけは、慎重に避けてほしい。

必要なのは、「疑う力」と「学ぶ意志」だ。陰謀論にハマった人を笑う前に、
自分もその渦中にいるかもしれないという前提で、世界を見る必要がある。

最後に──どうか、あなたの一票を。

私たちは、完璧なミカンを見つけることはできないかもしれません。
でもせめて、「なるべくマシなミカン」を選ぶことはできるはずです。

そのためには、「誰に入れるか」ではなく、「なぜ、その人に入れるのか」を、自分なりに考えてみてください。そしてもし、「迷ったけど、自分で考えた」──その結論にたどり着けたなら、それだけで十分に価値ある一票です。もし、

「いや、だからその考える時の指針がわからないのよ!」という方は、先に歴史を勉強すると、その軸がある程度決まります。こちらにザックリまとめています。

むしろ、いきなり政治に興味を持つよりも、歴史に興味を持てば、いま必要な政治が見えてくるはずです。

あなたの選ぶミカンが、みんなの明日を決めます。

それでは、長文読んでいただきありがとうございました。

もしこの記事が、少しでも考えるきっかけになったり、共感いただける部分があれば、「スキ」やフォローでリアクションいただけると、とても励みになります。これからも、表現と社会のあいだについて、考えていきたいと思っています。

追記:

そんなことを、ウニウニと悩んでいたら、参院選公示日の今日、素晴らしいタグとイラストがTLを流れてきた。

#差別に投票しない

大事なことが短い言葉とイラストに集約されている。これぞ、表現の力だ。そうだ。向こうがわかりやすい言葉を並べてくるなら、こちらもわかりやすく行けば良いのだ。必要なことはシンプルだったのだ。

#差別に投票しない

ミカンを選ぶ時の第一の基準にしたい。

青はオレンジのカウンターです。他の色は統一した方が綺麗なのですが、あまり統一すると別の政党の色に偏ってしまうので、バラバラにしています。セブンイレブンのネットプリントに登録したので、良かったら使ってください。


🗳【投票の方法について】

  • 参議院選挙の投票日は、2025年7月20日(日)です。

  • 期日前投票は、7月4日(金)から全国の自治体で始まっています。

  • 仕事や予定がある方は、最寄りの期日前投票所で済ませることも可能です。

  • 旅行や出張中でも、不在者投票の制度を使えば、滞在先の自治体で投票できます。

※詳細は、お住まいの市区町村の選挙管理委員会ホームページなどでご確認ください。


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