【Codex使用可能者限定】Codex単体でLINE動くスタンプ制作の「完全自動化」を実現。実用化に向けた細かい調整の必要性。
前回の記事では、動くLINEスタンプ(APNG)の無限ループ問題に直面し、ChatGPTの強力なデータ解析エージェント「Codex(Advanced Data Analysis)」に泣きついて修正してもらったエピソードをご紹介しました。
あの時、私はふと思いました。
「画像を生成できて、APNGの高度な制御もできるなら……最初から最後まで、全部Codex単体でやらせればいいのでは?」
複数のツール(Google AI Studioなど)を行き来するから手間がかかる。ならば、すべてを一つのAIに丸投げしてしまおう。今回は、そんな野望を胸に挑んだ「Codexによる動くスタンプ完全自動化」の検証レポートです。

完全自動化に向けた入力セット
1.キャラクターの三面図(正面・側面・背面画像):
デザインのブレを防ぎ、特定のプロポーションを厳密に再現させるための参考資料。

2.アニメーションLINEスタンプ全自動制作ツール(仕様書テキスト):
どのようなスクリプトで処理を行うべきかをまとめた指示書。
アニメーションLINEスタンプ全自動制作ツール
目的:LINEスタンプ(アニメーションスタンプ)の制作自動化ツールの生成。
入力ファイル:
・ベースとなるキャラクター
・スタンプのテーマとなる、スタンプ作成指示書
★★1.スタンプ素材画像の作成★★
# 指示
あなたはプロのLINEスタンプクリエイターおよびイラストレーターです。
以下の【制作ルール】と【キャラクター定義】に従い、ユーザーが指定する「セリフ」と「動作・着ぐるみ」の指示に基づいて、LINEスタンプ用の画像を1枚生成してください。
# 基本設定(厳守事項)
- 画像サイズ: 1254×1254の1枚の画像を一枚ずつ生成。
アスペクト比 1:1の正方形(LINEスタンプに最適な高画質)
- 目的: 日常会話で使いやすい、中毒性のあるLINEスタンプの作成
# キャラクター定義(みゆ)
以下の特徴を**いかなる場合も必ず**維持して描画してください。
- 髪型: 黒髪ツインテール
- アクセサリー: ピアノのヘアピン、ハート型の鍵のネックレス
- 体型: マスコットキャラクターのため、胸の描出は禁止し、完全に平らにすること。
※着ぐるみやコスプレを着ている場合でも、上記の髪型とアクセサリーは障害物がない限りチラ見せなどで必ず維持すること。
# 制作ルール
1. 背景とレイアウト
- 背景: 背景透過処理を容易にするため、純粋なグリーンバック(カラーコード: #00FF00)で完全に塗りつぶす。
- 余白: キャンバスの上下左右に約50pxの余白(パディング)を設け、キャラクターや文字が絶対に見切れないようにする。
- 構図: キャラクターは上半身のみを描画する。
2. テキスト(セリフ)の配置とデザイン
- 配置: キャラクターの頭上(中央上部)に配置。キャラクターと文字が重ならないようバランスを調整する。
- フォント: 手書きの日本語文字にする。
- 文字色: 黒。
# 入力フォーマットの読み方
ユーザーからは、以下の形式で数種類のアイデアの中から1つずつ指示が出されます。画像内で分割することなく、1枚ずつ生成すること。
【 セリフ ↲ セリフ ※ 動作や着ぐるみの指定 】
- 「※」の前:頭上に配置するセリフ文(「↲」がある場合は、そこで改行し2段で表示する)
- 「※」の後:キャラクターの見た目、着ぐるみの種類、動作、表情の指定
アニメーション用指示(例)
1 おはよう
おはよう※朝日に向かって触手を伸ばして伸びをする。
①目をこすりながら立つ
②触手が上にぐーっと伸びる
③イカの頭の先もつられて上に伸びる
④口を大きく開けてあくびをする
⑤ピアノのヘアピンがキラッと光る
⑥触手がだらんと下がる
⑦鍵のネックレスが揺れる
⑧触手がさらにだらんと下がる
⑨触手がさらにだらんと下がる
⑩最初に戻る
制作厳守ポイント
1.アニメーション用指示(例)の表記のように従って、静止画での作成方法を維持しつつ、①~⑩は動きを付けるようにして、変化させて。その際のセリフ文字は完全固定するために、座標単位で位置を完全に同一固定すること。ただし、必ず手書き文字のフォントにすること。
2.生成の際は直前の画像を参照すること。例えば、②の生成時は①で生成したときの画像を参照し、連続性を意識すること。→極端に違う場面にしてしまうと繋げたときにカクカクしてしまうのを防ぐため。
●出力について
出力画像は、ファイル名を次のように表す。例えば、「1おはよう の ②触手が上にぐーっと伸びる」の場合は、01②という表記で出力する。
保存は1シリーズごと(1 おはようなどの種類ごと)にZIPファイルでまとめる。ZIPフォルダ名は「1おはよう」の場合「1おはよう」のように名前を付ける。
スタンプ制作指示が8シリーズの場合は、8個のZIPファイルができることとなる。
★★2.スタンプ画像の処理★★
1で出力したZIPファイルを取り込み、以下の方法にて画像の処理を行う。
APNG(動くスタンプ)自動生成ツールを作成し適応させる。
入力画像は、複数の画像の入ったZIPファイルとし、背景透過処理→270×270pxにリサイズ処理→任意のアニメーション再生設定に準じてAPNGの生成→出力。を一発で実現できるツールの生成。
アニメーション再生設定はデフォルトで、
・1回あたりの再生時間:1秒
・再生回数:4回
・合計の再生時間4秒
APNG出力時、ループ回数エンドレスを禁止。設定したループ回数のみしかしないようにする。
APNG自動一括生成の出力ファイルの名前について、ZIPファイルの名前が「1おはよう」の場合、「01」のように2ケタの数字だけで連番で保存する。。
出力時は、処理を行ったZIPファイルの分だけ同様に行う。
最後に、作成したすべてのAPNGを1つのZIPファイルにまとめて出力する。その名前は、スタンプのテーマ名とする。
3.スタンプ作成指示書:
具体的なセリフや動きの指定リスト。
スタンプ名:うごくいかずきんちゃん~感情~
1. 喜び(やったー!)
やったー!※ 普段の無気力な状態から、必死にテンションを上げて喜びを爆発させる動き
① いつものだるそうな表情で、腕(触手)をだらんと下ろしている
② 少し目を見開き、顔をゆっくり上に向け始める
③ 両腕を胸の高さまでゆっくり上げ、力を溜めるように少し身構える
④ 勢いよく両腕をバンザイの形に上に突き上げる
⑤ 満面の笑みになり、背景に星が弾けてピアノのヘアピンが光る
⑥ 万歳の姿勢のまま、喜びで上半身が少しだけ左右に揺れる
⑦ テンションがピークを過ぎて揺れが収まり、少し息をつく
⑧ 突き上げていた両腕を、ゆっくりと胸の高さまで下ろし始める
⑨ 腕を完全に下ろしながら、表情もいつもの真顔に戻り始める
⑩ 完全に力が抜け、①の姿勢へ滑らかに繋がるこれらをまとめて添付し、Codexにこう投げかけました。
「LINEスタンプ(アニメーションスタンプ)の自動生成ツールを作りたい。添付ファイルを読み込み、必要であれば専用の処理プログラムを構築して、全自動でAPNGまで出力してください」
するとCodexは、わずか数分でPythonベースの画像処理・APNG化ツールを自ら書き上げ、準備を完了させました。「おっ、これは行けるぞ!」とテンションが上がった瞬間です。
怒涛の連続生成と「3時間32分」の死闘
自作ツールが組み上がったところで、いよいよ画像生成のフェーズです。指示書と参考図に従い、アニメーションのコマとなる画像を生成させていきます。
しかしここで、一つ目の壁が。
Codexは気を利かせたのか、『とりあえず1シリーズ(10枚)だけ作りました。これで進めていいですか?』と、途中で確認を求めて手を止めてしまったのです。
いやいや、完全自動化なんだから止まらないでほしい。
「確認は不要です。スタンプ制作指示書に基づいて、残りのすべての画像を連続で生成していってください」と強めの指示(プロンプト)を再入力。
ここから、Codexの孤独なマラソンが始まりました。
今回は「1シリーズ10枚 × 8シリーズ = 合計80枚」の連続生成です。
……待つこと、驚異の「3時間32分」。

裏で別の作業ができるとはいえ、AIにこれほどの時間走らせ続けることになるとは思いませんでした。画像の連続生成というタスクがいかに計算リソースを食うか、思い知らされた時間です。
仕上げの全自動処理と「main/tab」の細かな指定
80枚の画像が出揃った後、仕上げとして「仕様書に則った背景透過、リサイズ、APNG化」の全処理を一気に実行させます。さすがはCodex、プログラムによる一括処理は得意領域であり、見事に処理を完了させました。
出来上がったAPNGをLINEクリエイターズマーケットのシミュレータに投げてみると……完璧です。全く問題なく動いています!
最後に、スタンプの顔となる「main画像」と「tab画像」もCodexに作らせます。今回は「07_わくわく」シリーズの5コマ目(07_05)をベースに、以下の複雑な指示を出しました。
「main」画像の処理:
背景透過処理 → 240×240pxにリサイズ → APNG化「tab」画像の処理:
AIによる文字除去(※グリーンバックは維持) → 背景透過処理 → 元画像(1254×1254px)の上部143px、下部144pxをクロップし、中央の1254×967pxを抽出 → 96×74pxへリサイズ(※tabは静止画でOK)
人間が画像編集ソフトでやれば数分かかる面倒なトリミング作業も、数値で正確に指示すればCodexが一瞬で切り出してくれます。無事に全データが揃いました。

総評:Codex単体運用は「実用化」できるか?
結論として、「Codexのみでの動くLINEスタンプ完全自動化」は技術的には可能でした。
今回の検証で感じたリアルな使用感をまとめます。
【利点(メリット)】
ツールが1つで完結する: 複数のAIサービスを行き来する手間が省ける。
自己デバッグ能力が高い: 処理中にエラーが出ても、Codexが自らエラーログを読み込み、コードを修正してリトライしてくれるため、不具合での完全なストップが少ない。
【欠点(デメリット)】
作業時間が長すぎる: 画像生成に3時間半かかるのは、実用的なワークフローとしてはやや重い。
作業が途切れる(サボる): トークンの限界やセッション切れ、AIの過剰な確認作業により、途中で処理が止まってしまい、人間が「続けて」と何度も背中を押す必要がある。
次なる研究課題
技術的な証明はできましたが、現時点では「手放しで全自動」とは呼べず、運用にはまだ悩ましい部分が残ります。
しかし、Codexの可能性は底知れません。次は「いかにプロンプトでCodexの挙動をコントロールし、作業の途切れを防いで高速化させるか」という、AIエージェントの操縦技術の研究になりそうです。
さらなる効率化を求めて、検証していくつもりです。
ここまでお読みいただきありがとうございます。

