見出し画像

JR東海の南紀方面企画乗車券整理について

今回は、JRグループが発表した企画乗車券整理について取り上げます。


突然の割引きっぷ終了の告知

2026年1月28日に、JR各社で企画乗車券を整理するニュースリリースが発表されました。
JR東海でも発表があり、名古屋~豊橋間の割引きっぷの発売終了が話題になりましたが、他にも終了するものがあります。
それは、三重県中部から三重県東紀州方面の往来に使える特急南紀の割引きっぷの設定終了です。
ニュースリリースは、こちらからご覧ください。
発売を終了するのは、自由席用の南紀特急回数券と、指定席用の南紀往復割引きっぷの2種類です。入れ替わりに設定されるのは、ネット予約専用の「在来線特急指定席早特3」です。

普通車指定席の価格はどうなるのか

まずは、往復指定席で移動した場合の価格を比較してみます。価格はいずれも大人料金で、定価は通常期のものです。

$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
\text{} & \text{定価} & \text{南紀往復} & \text{早特3} \\ \hline
\text{津~紀伊長島} & \text{6,500} & \text{5,240} & \text{6,100} \\ \hline
\text{津~尾鷲} & \text{8,740} & \text{7,040} & \text{8,340} \\ \hline
\text{津~熊野市} & \text{10,060} & \text{8,110} & \text{9,660} \\ \hline
\text{松阪~紀伊長島} & \text{5,800} & \text{4,700} & \text{5,400} \\ \hline
\text{松阪~尾鷲} & \text{6,500} & \text{5,240} & \text{6,100} \\ \hline
\text{松阪~熊野市} & \text{9,400} & \text{7,590} & \text{9,000} \\ \hline
\end{array}
$$

南紀往復割引きっぷは、通常期定価から19%の割引でしたが、在来線特急指定席早特3は一律400円引きで、割引率は4~6%に変更されています。
割引率は大幅ダウンで、利用当日に購入できないことから、サービスダウンと言わざるを得ません。
表には載せていませんが、今回の変更で三瀬谷・新宮・紀伊勝浦が発着となる設定はなくなります。

代替となりそうなきっぷはあるのか

南紀・熊野古道フリーきっぷ(伊勢路コース)を利用する
津発・松阪発共に特急南紀の普通車指定席を往復利用できて7,860円のため、区間によっては早特を利用しなくても安くなる場合があります。伊勢路コースのフリー区間は三瀬谷~熊野市間です。
東紀州発の場合、この方法は使えません。
・青空フリーパスを利用する(土休日ダイヤのみ)
三瀬谷・紀伊長島を発着とする場合は、乗車券は青空フリーパスを使い、特急券は別途購入する方法があります。
青空フリーパスは2,620円で発売されており、津~紀伊長島間は片道1,520円ですので、往復するだけで元が取れます。

普通車自由席の割引率はどうなっているのか

次に、普通車自由席の定価と回数券の価格を比較します。
南紀特急回数券は、普通車自由席用の4枚回数券で、有効期間は購入日から1ヶ月間です。

$$
\begin{array}{|l|l|l|} \hline
\text{} & \text{定価} & \text{回数券} \\ \hline
\text{津~紀伊長島} & \text{2720} & \text{2190} \\ \hline
\text{津~尾鷲} & \text{3840} & \text{3100} \\ \hline
\text{津~熊野市} & \text{4500} & \text{3640} \\ \hline
\text{松阪~紀伊長島} & \text{2370} & \text{1910} \\ \hline
\text{松阪~尾鷲} & \text{2720} & \text{2190} \\ \hline
\text{松阪~熊野市} & \text{4170} & \text{3360} \\ \hline
\end{array}
$$

こちらも割引率は一律19%です。自由席用商品は代替となるものがなく、大幅な値上げとなります。

割引きっぷが存在していた理由

競合していた特急バス(車両)。現在運転されている高速バスは名古屋・VISONでのみ乗降可能

JR東海が三重県中部から東紀州の間で割引きっぷを設定していた理由として考えられるのが、かつては競合になる交通機関が存在したことです。
三重交通は津・松阪から東紀州方面へ特急バスを運転していました。当時は高速道路が整備されておらず、ほとんどの区間で国道42号線を走行していました。
しかし、特急バスは利用者の低迷で廃止され、2018年に一般路線バスへ転換されましたが、こちらも2025年に廃止されています。
競合になる交通機関がなくなったことから、今回の割引きっぷを見直すことができたともいえます。
津・松阪方面からはフリーきっぷが残っているため救いはありますが、東紀州方面から向かうにはお得なきっぷの設定がなく、大幅な値上げとなります。
新車に置き換えられた南紀ですが、割引を渋るほど状況がよくないかもしれません。