「うまくなるより、大切なこと 」#7〜はじまりはここから〜
小さな街のサッカークラブを立ち上げて、気づけば14年が経ちました。
夢や志があった――というよりも、「なんか嫌だな」「これいいな」と感じたことを、拾い集めるように積み重ねてきた日々。
それが、今のクラブの土台になっています。
◆「なんか嫌だな」と感じたこと
クラブ立ち上げ当初、私は並行して他クラブでも働いていました。経験を積み、生活のために収入を得る必要もあったからです。
でも、どの現場でも気になったのは、大人の大きな声でした。
特に忘れられないのは、ある大会での出来事。
ミスをした選手に対し、「おい、このバカ!!」と怒鳴りつけるコーチがいました。
真っ黒なSUV、レゲエスタイルの服装。どうやら元プロ選手だったようです。
それを注意した審判に、彼はこう返しました。
「選手は家族なんで。愛してるんですよ。」
……まるでマンガのような話ですが、現実です。
しかもそのチームは、関東大会出場を争う強豪。
「厳しさが当たり前」という空気が、そこにはありました。
怒鳴られた選手の、怒りと悲しみが混じったあの表情。
今でも頭から離れません。
当時私が所属していたクラブでも、遅刻や忘れ物には「罰走」が課されていました。
「誰かが失敗したら最初から」「終わりの見えないタイム走」
全員で地獄のような本数を走らされる日々。
「やめたほうがいい」「せめて減らすべきだ」
何度も伝えましたが、社長の心を動かしたのは――
「今のままじゃ、これからの時代は選手は集まりませんよ」のひと言でした。
結局、チームの強さも集客も「自分のため」。
その社長は「罰走でも走れるチームは強い」と本気で語り、
「走れないやつは辞めていい」とも言っていました。
これは特殊な話ではありません。
全国レベルを経験した指導者、保護者の中には、共感する人も少なくないと思います。
でも、「なんか嫌だな」――
本当は、そのままで済ませてはいけない話です。
「子どもが主役」という言葉が独り歩きし、
現実には、大人の都合がまかり通るサッカー現場。
しかも、そこに違和感を覚えるコーチがあまりに少ないことにも驚きました。
「うまくするだけじゃ、足りない」
「強くなるって、どういうことだろう?」
「サッカーの楽しさって、なんだろう?」
そんな問いを抱えながら、
「自分にできることがあるかもしれない」
そう思い始めたのが、ちょうどこの頃でした。
◆「これいいな」と思えたこと
私が最初にアルバイトで入ったクラブは、決して強豪ではありませんでした。
でも、そこには温かい関係性がありました。
子どもたちはよく笑い、よくミスをする。
でも、誰も責めることなく、前向きな空気が流れていました。
保護者も自然体で、いつも笑顔。
月に数回、練習後にOBたちがふらっと集まってくるのも印象的でした。
高校生から社会人までが「ちーっす」とやってくる。
それを見て、「ああ、これいいな」と素直に思いました。
クラブが「帰ってこられる場所」になっている。
それが、とても自然で、でも本当に大切なことに思えたのです。
スクールでもチームでも、子どもたちは目の前のプレーに夢中です。
「できた!」「やった!」
その瞬間に立ち会うたび、「これいいな」と心が動きます。
上を目指すようになると、子どもたちは大きく二つに分かれるような気がします。
• 「自分さえうまければいい」と思うタイプ
• 「仲間と一緒に前へ進もう」とするタイプ
私はどうしても後者が好きです。
日本人の気質にも、きっとこちらの方が合っている。
もちろん、馴れ合いとは違います。
関わってきた子どもの中には、技術と心がバランスよく育つ子が何人かいました。
そういう子に出会うと、「これいいな」というより、「これだよな」と思うのです。
人と関わりながらプレーするサッカーは、人としての成長があってこそ。
足元の技術だけでは、ピッチでは輝けない。
そんな実感があります。
◆イングランドで得た“確信”
1ヶ月の休みを作り、私はコーチ留学でイングランドを訪れました。
戦術や指導法以上に心を動かされたのは――
「サッカーの魅力」そのものでした。
誰も自分のことを知らない場所でも、
一生懸命プレーすれば自然と仲間ができる。
言葉は通じなくても、サッカーが繋いでくれる。
この「人と繋がれる感覚」こそが、
現時点では、サッカーの本質なんじゃないかと思っています。
◆書き終えて
さまざまなグラウンドで、いろんな子どもたち、保護者、コーチと関わらせてもらいました。
その中で、私自身もたくさんのことを学ばせてもらいました。
「結果」「強さ」「無理やりの成長」
そういった指導は、自分にはどうしてもしっくりきませんでした。
「楽しむための成長」
「人としての成長」
「サッカーが人を繋いでくれること」
今は、それが自分らしさだと思えるようになりました。
もしこの記事を読んで、
「それ、いいね」「わかるよ」と思ってくださる方がいたら嬉しいです。
そして、同じような想いを持つコーチや保護者の方がいたら、
「一緒にそういう現場をつくっていきましょう」「諦めずにいきましょう」と伝えたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
スキ・フォロー・コメントをいただけると、noteを続ける励みになります。
よかったら、あなたの「これいいな」も聞かせてください。
それは、どんな景色でしたか?
暑い日が続きます。どうぞご自愛ください。
※このnoteは「うまくなるより、大切なこと」シリーズのひとつです。
他の記事も気になった方は、こちらからどうぞ。
👉 #うまくなるより大切なこと
