フランツ・カフカ 「城」 翻訳者違いで4冊一気読み
表題にある通り、フランツ・カフカの「城」を翻訳者違いで4冊一気に読みました。
期間:5月25日〜7月1日
1冊目 「城」 新潮文庫 翻訳者 前田敬作
2冊目 「城」 光文社 翻訳者 丘沢静也
3冊目 「城」 白水社 翻訳者 池内紀
4冊目 「城」 角川文庫 翻訳者 原田義人

昨年末、光文社古典新訳文庫から、丘沢静也氏の翻訳で「城」が出版されました。
その新訳本を買おうと思っていたのですが、その前に私が前から持っている新潮文庫版を読んでから、買った方が新旧訳との比較が出来て、楽しめるかなと思ったのです。
5月25日の晩、寝床に就いたのですが、夜鳥の鳴き声がうるさくて、寝付くことがなかなか出来ませんでした。
本でも読んでいれば、そのうち眠くなるだろうと思って、新潮文庫版「城」を読み始めました。
あっという間に1時間が過ぎ、気がついたら、50ページ読んでいました。
その流れで、その週の金曜日には読み終えました。
仕事の合間にプレイベートの時間を使って1日100ページの読書をするということは、本に惹きつける何かがないと厳しいと思います。
そこにはきっと何かあるのだろう、
そんなことを思って、私は翻訳者違いを出来うる限り読んでみようと思ったのです。
光文社古典新訳文庫を読んでいるときに、白水社版、角川文庫版を購入しました。
上の画像に並べた4冊が揃いました。
「城」の登場人物
Kの周辺の人物
K 主人公(測量士)
フリーダ Kの婚約者、その前は城の長官、クラムの恋人、紳士館の女中
イェレーミアス Kに割り当てられた助手の一人
アルトゥール Kに割り当てられて助手の一人
村の住人
村長
ミッフィー 村長の妻
橋亭の主人
橋亭のお内儀 フリーダをわが子のように可愛がっている
紳士館の主人
紳士館のお内儀
ペーピー 紳士館の女中、フリーダの後任
ゲルステッカー 馭者
ブルンスウィック 靴職人
バルナバス 城からの使者
オルガ バルナバスの姉
アマーリア バルナバスの妹
城の人間
クラム 城の長官
モームス クラムの村専属秘書
エルランガー クラムの秘書
「城」のあらすじ
測量士として、城から仕事の依頼を受けたKは寒い日の日没の夜更けに村に着きます。
測量士として雇われたKではありますが、仕事を与えてもらえず、城にも入れてもらうことはできません。
Kは城に近づくために色々と画策をします。
その行動はどれもうまくいかず、また、その行動によって、城へ近づくことから脇道へと逸れていきます。
二人の助手を与えてもらえますが、測量の経験もなく、子供が戯れ合うような邪魔ばかりして、全く役に立ちません。
フリーダという女中とKが恋仲になったことで、フリーダは女中の仕事を辞めることになり、紳士館から出て行くことになります。
Kは村長からの温情で、小学校の用務員という仕事を得て、フリーダと助手たちと小学校に移り住みます。
城からK宛の手紙を持ってくる使者でバルナバスという若い男がいます。
バルナバスの家族は村の人間から蔑まれています。
その理由は、後半100ページにも及ぶ、Kとアマーリアとの会話によって知ることができます。
Kはクラムの秘書であるエルランガーに呼ばれ、紳士館に出向きます。
紳士館で下僕と秘書たちとの書類の配達作業を何気なく眺めていたことで、大きな騒ぎとなり、Kは主人とお内儀から厳しい注意を受けます。
大まかな流れはこんな感じです。
このあと、紳士館のお内儀との服についてのやり取りがあるところで終わっています。
未完作品なので、途中でぶつりと切れた感じとなっています。
「城」の魅力とは
未完作品でありますし、途中で終わっていますが、不思議と違和感はありません。
「城」はどこで終わっても、成立してしまう作品であると思います。
また、適当なページを開いてどこから読んでも面白いです。
私が思うに、
「城」の面白さは、文章を読んでいるときの心地よさにあると思います。
測量士として、城から仕事の依頼を受けて、遠路はるばるやってきたKは、城に受け入れてもらうことが出来ません。
ストーリーや設定では、破綻していたり、辻褄が合わないところが多々あります。
主人公、Kは冒頭で、故郷に妻子を残してきたことを語っていますが、女中のフリーダと婚約関係になろうとします。
ある登場人物がAだと断定していたものが、Bだったり、そもそも、AでもBでもそんなことを一体誰が決めるのかとすべての結論を投げ出したり、当然、そうなるであろうと思われる結論に達しようと読者が期待していると、それが全て否定されます。
Kは全く測量士としての仕事をやっていないのですが、城からの手紙の中では、あなたと、助手たちとの働きぶりに大変満足していると書かれています。
また、後半、クラムの秘書、エルランガーから、一刻も早く、フリーダと別れるように通告されますが、
エルランガーからの呼び出しの前に、Kとフリーダは別れ、婚約は破棄されています。
このように、
小説の約束事やルールを徹底的に無視するか破壊しています。
幾つもの読者の期待を裏切る展開が出てきます。
やや強引とも言える独特な世界観です。
読者を引き込む、筆致力、観察眼、ユニークな視点
があります。
これらを深く味わうこと、
それが「城」の最大の魅力だと私は思います。
