職歴は散らかっていますが、人生は意外とまとまっています(たぶん)
私は高校の看護科出身です。
周りの友達が普通科で勉強したり、放課後を楽しんだりしている中、高校一年生から病院実習。まだ世の中のこともよく知らないうちに、人生で初めて「女社会」というものにも出会いました。
(校則:バイト禁止!!)
看護師の世界は、なかなか粘性が高い。
昔も今もドロドロしています。
そんな中で、ひとりの看護師さんに言われた言葉があります。
「私は看護師の免許がなくなったら、ただの人なの。看護師を辞める人も多いんだから、違う世界でも生きられるようにしておくといいのかもね。昔の自分にそう伝えたいわ」
高校生だった私には、その言葉の意味が全部わかっていたわけではありません。でも、なぜかずっと心に残りました。
看護師になったとしても、看護師だけが人生ではない。ひとつの世界だけで生きなくてもいいのかもしれない。たった15歳で選んだ「看護師」という夢への不確かさもありました。
それから私は、人生に少しずつ保険をかけるように、いろいろな世界を歩いてきました。
空港で働いたり、新幹線に乗ったり、教室に立ったり、看護師として働いたり。
振り返れば、ずいぶん遠回りをしたようにも見えます。
でも今は、どの生き方も無駄ではなかったと思っています。
ひとつの場所を離れても、そこで身につけたものまでなくなるわけではありませんでした。違う仕事をするたびに、それまでの経験が思いがけないところで役に立って、気づけば全部がつながっていました。
だから、人生に保険をかけるつもりで選んできた道は、どれも「もしものための道」ではなかったのだと思います。
全部がちゃんと、私の人生になりました。
あのときの看護師さんが、今どこで何をしているのかはわかりません。
でも、もしもう一度会えるなら、伝えたいです。
あのとき、高校生だった私にあの言葉をかけてくれて、ありがとうございました。
おかげで私は、ひとつの世界だけがすべてだと思わずに生きてこられました。
そして今、遠回りしてきた自分の人生を、けっこう気に入っています。

