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なんとなく決めてない?赤字を防ぐ「正しい最低価格」と計算のしかた

「予約が全然入らない…不安だから、とりあえず7,000円まで下げてみよう」 「ライバルの物件が15,000円だから、うちは13,000円にしておこう」

こういった判断、心当たりはありませんか?

「空室よりマシ」と値段を下げても、本当に空室よりマシなのか?と首をかしげる。

この記事では、あなた自身の物件の過去の実績データから、「これより下げたら絶対に赤字になる」という本当の防衛ラインのヒントをお伝えできればと思います。

今回は、以下のモデルケースを使って、一緒にステップバイステップで計算していきましょう。

【今回のモデルケース】
☐ 一泊あたりの平均単価:18,000円
☐ 月の予約件数:10件
☐ 予約あたりの宿泊日数:2泊
☐ 月の稼働日数:20日
----------------------------------------------------------------------------
☐ 家賃 :150,000円
☐ 民泊保険料(月割):3,000円
☐ Wi-Fi・通信費:5,000円
☐ サイトコントローラー・価格ツール代(PriceLabsなど):7,000円
☐ その他(月割):5,000円
☐ 清掃費(月額:1回8,000円 × 10回分):80,000円
☐ 消耗品・アメニティ購入費(過去の実績から):5,000円
☐ 水道光熱費の請求書総額(過去の実績から):5,000円

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*この記事は、PriceLabsのトレーニング動画をヒントに作成しました。

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STEP1:「固定費」をすべて洗い出そう

最初にやることは、固定費の洗い出しです。

固定費とは、「ゲストが来ても来なくても、毎月100%発生するコスト」のこと。要するに、部屋が空室でもオーナーの懐から出ていくお金です。

以下のチェックリストで、あなたの物件の固定費を確認してみましょう。
例えば、次のような項目

  • ☐ 家賃 :150,000円

  • ☐ 民泊保険料(月割):3,000円

  • ☐ Wi-Fi・通信費:5,000円

  • ☐ サイトコントローラー・価格ツール代(PriceLabsなど):7,000円

  • ☐ その他(月割):5,000円

最後の「その他」について補足します。これは自治体で定められている消防設備点検のための費用はじめゲストの有無に関わらず定期的に発生する費用のことです。

これらを合計すると、

👉 【モデルケースの月間固定費(A)】= 170,000円

これが、今月あなたが「何もしなくても出ていくお金」の総額です。

STEP2:過去の実績から「1泊あたりの変動費」を割り出そう

次は、変動費です。

変動費とは、「ゲストが実際に泊まることで初めて発生するコスト」のこと。つまり、予約が入るたびに増えていくお金です。

ここで、計算をラクにするテクニックを2つご提案します。

💡 ①:水道光熱費は、過去の請求書の「実額」や、平均を使う。

💡 ②:OTA(Airbnbや booking.comなど)の手数料は、計算から除外。手数料はすでに引かれた「手取り額」が口座に入金されるので、自分の銀行口座に入ってくる金額をベースに考えれば、手数料は最初から存在しないものとして扱えるため、実務上シンプルでラクになります。

これを踏まえて、変動費を合計してみましょう。

  • ☐ 毎回発生する清掃費(1回8,000円 × 10回分):80,000円

  • ☐ 消耗品・アメニティ購入費(過去の実績から):5,000円

  • ☐ 水道光熱費の請求書総額(過去の実績から):5,000円

👉 【先月の変動費の総額(B)】= 90,000円

ここからがポイントです。この90,000円を、一カ月の「稼働日数」で割って、1泊あたりの変動費を出します。

ここで使うのは「予約件数(10件)」ではなく、「稼働日数(20泊)」です。なぜなら、清掃費は予約1件ごとに発生するのに対し、水道光熱費などは泊まった日数分だけ積み重なるからです。両者をまとめて「1泊あたり」に正しく落とし込むには、総宿泊日数で割るのが最も実態に近い計算方法になります。

👉 【1泊あたりの変動費(C)】= 90,000円 ÷ 20泊 = 4,500円

この4,500円という数字を、ここでは「限界下限価格」と呼びます。これが、あなたの物件における手取りベースの本当の原価です。馴染みのない言葉かもしれませんが、「この価格を下回るとまずい」とだけ覚えておけば大丈夫です。後ほど、詳しく触れます。

STEP3:目標稼働日数から「月間の総収支」をシミュレーションしよう

固定費(A)と1泊あたりの変動費(C)が出たので、いよいよ月間の収支を組み立ててみましょう。

先月の実績「稼働20泊・平均単価18,000円」をそのまま当てはめます。

月間総売上(18,000円×20泊)360,000円
月間総変動費90,000円
月間総固定費170,000円
最終手残り(純利益)+100,000円

先月は、しっかり利益が出ている月だったことが分かります。

ここで、ぜひ覚えていただきたい指標があります。それが「貢献利益(Contribution Margin)」です。

「売上から、その都度かかる変動費だけを引いた金額」のことです。今回の例では、

360,000円(売上)− 90,000円(変動費)= 270,000円(貢献利益)

これを1泊あたりに換算すると20で割って、13,500円になります。

イメージとしては、ゲストが1泊するごとに、固定費(家賃)という大きな借金を返済するための原資が、13,500円ずつチャリンチャリンと積み上がっていく感覚です。この「チャリン」が170,000円(固定費)を超えた瞬間から、純粋な儲けに変わっていきます。

STEP4:「本当の最低価格」を見極めよう

ここまでのデータを使うと、あなたの物件には2つの重要な下限価格が存在することが見えてきます。

🔵 今月をトントンでクリアするための「損益分岐点(平均単価の下限)」 (固定費170,000円 + 変動費90,000円)÷ 20日 = 13,000円 / 1泊

月20日の稼働であれば、平均して1泊13,000円以上で売れていれば今月はプラマイゼロになります。

🔴 絶対に下回ってはいけない「限界下限価格(床)」:1泊 4,500円 (これを下回ると、泊まらせるたびにオーナーの自腹が増えていきます)


この2つのうち、特に絶対に意識していただきたいのが、4,500円という床価格です。

なぜここまで強調するのか。具体的にイメージしてみましょう。

もし不安に駆られて、1泊3,500円で売ってしまったらどうなるでしょうか。先ほど計算した1泊あたりの変動費は4,500円でしたね。

3,500円(売上)− 4,500円(変動費)= −1,000円

これは、ゲストが泊まるたびに、あなたのお財布から1,000円が消えていくということを意味します。1泊売れるたびに、現金がリアルタイムでガリガリと減っていきます。10泊売れたら、10,000円の自腹。これは「稼働率は高いのに儲からない」どころの話ではなく、売れば売るほど苦しくなるという、最も避けるべき状態です。

ここで、よく聞く「空室よりマシ」という言葉の、本当の意味を整理しておきましょう。

  • 1泊5,000円で売れた場合:5,000円 − 4,500円(変動費)= +500円。わずかながら、固定費の足しになるお金が残ります。これが本当の「空室よりマシ」です。

  • 1泊3,500円で売れた場合:3,500円 − 4,500円(変動費)= −1,000円。固定費の助けにすらならず、純粋な借金が増えるだけです。この場合は、空室のまま何もしないほうが、まだマシなのです。

「空室で売上ゼロ」よりも「赤字で売上1,000円失う」ほうが、財布へのダメージは大きい。これが、床価格を下回ってはいけない本当の理由です。

Step5: 最低価格を設定しよう


PriceLabsなどの価格設定ツールを使っている場合、「損益分岐価格(13,000円)」と「限界下限価格(床価格:4,500円)」。 どちらを、最低価格に設定すべきなのでしょうか?

答えは、【限界下限価格(床価格)】です。

1. 「損益分岐価格(13,000円)」を設定すると…
深刻な閑散期や、明日・明後日の売れ残り日であっても、ツールは13,000円未満に値下げしなくなります。 競合が10,000円で売るなか自社だけが高止まりし、最悪の「完全空室(売上0円)」を招きます。「床価格以上なら、損益分岐点を下回っても空室よりマシ」なのですから、ここで止めるのは非常にもったいないです。

2. 「限界下限価格(床価格:4,500円)」を設定すると…
普段は市場の需要に合わせて15,000円や20,000円といった高値を自動でつけつつ、「どうしても売れない直前」にだけ、4,500円ラインを目指して段階的に価格を下げてくれます。 「泊まらせるほど赤字になる価格(4,500円未満)」は絶対に防ぎつつ、空室をギリギリまで回避する自動調整が完成します。

大事な調整:少しだけ安全マージンを乗せる
実務上、本当の限界である4,500円ぴったりだと手残りが数円になってしまうため、少しだけ「利益の最低ノルマ」を上乗せして設定するのがお勧めです。

  • 計算上の床価格: 4,500円

  • PriceLabsへの実際のインプット: 5,500円 〜 6,000円

こうしておけば、最悪のケースでも「1泊あたり1,000円〜1,500円は確実に手元に残る」という絶対防衛ラインを敷くことができます。

「ツールにはギリギリまで粘れる床価格を教えておき、月が終わったあとに平均単価が損益分岐点を超えて黒字だったかを振り返る」と理想的ですね。

まとめ: 今週末、時間をとって過去データを見直してみましょう

価格設定で避けたいのは、「売れないから不安になって、意図せず床価格(限界下限価格)以下まで値下げしてしまうこと」です。一見「空室よりマシ」に見えても、実際には自分の財布を傷つけていることになります。

もし今回計算してみて、「1泊あたりの変動費(床価格)」が想像以上に高かったら「最低宿泊日数(Min Stay)」を2泊以上に設定する戦略もありえます。1予約あたりの宿泊数を伸ばすことで、清掃費を複数泊で分散でき、結果として1泊あたりの床価格そのものを下げることができます。

今週末、ぜひ過去の請求書や予約履歴を引っ張り出して、ご自身の物件の「固定費」「変動費」「床価格」を計算してみてください。
本音を言うと、いろいろなデータを集めて計算するのも、大変だと思います。売上や経費のデータがすでにまとまってさえいれば、稼働率の数字を加えて、AIに計算してもらうこともありです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。内容について、分かりにくい点などがあれば、コメントいただけると嬉しいです。

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