20万円のリゾートマンションは高かったのか、安かったのか
「20万円でマンションを買ったことがある」
そう言うと、だいたい冗談だと思われる。
でも本当の話だ。
今から7〜8年前。
私は新潟県湯沢町にある「湯沢フォーレⅡ」というリゾートマンションを購入した。
広さは約40㎡。
温泉大浴場付き。
購入価格は20万円。
ただし実際には仲介手数料や登記費用などもかかり、諸経費を含めると総額40万円ほどだったと思う。
それでも当時の私は驚いた。
「マンションって40万円で買えるのか。」
車より安い。
人によっては中古バイクより安い。
今でもなかなか信じてもらえない話だ。
本当の負担は購入費ではなかった
実際に住んでみると分かったことがある。
リゾートマンションは購入価格より維持費の方が重要だということだ。
管理費や修繕積立金などで毎月約2万5千円。
さらに固定資産税が年間約4万5千円。
購入時は安く見えても、持ち続けるだけでお金はかかる。
今思えば、
「毎月維持費がかかる住まい」
だった。
それがリゾートマンションの現実だった。
当時の私は個人事業主だった
当時は会社員ではなかった。
元妻と一緒にネットビジネスをしていた。
毎日決まった会社へ通う生活ではなく、自分たちで仕事を作りながら暮らしていた。
だから湯沢という場所も都合が良かった。
家賃を払い続けるより、自分たちの住む場所を持つという選択肢が現実的だった。
雪国の暮らし。
温泉付きの生活。
今思えば、かなり変わった暮らしだったと思う。
私はそのマンションに約2年間住んだ。
冬になれば雪が積もる。
仕事を終えて温泉に入る。
都会とは全く違う時間が流れていた。
初めて温泉に入った時は、
「これ毎日入れるのか」
と少し感動したのを覚えている。
もし普通に賃貸を借りていたらどうだっただろう。
家賃5万円としても、2年間で120万円になる。
もちろん単純比較はできない。
管理費もある。
固定資産税もある。
それでも私は、
「リゾートマンションに住む」
という経験ができたことを考えると、十分価値があったと思っている。
売却も少し変わっていた
約2年後、私はマンションを売却した。
売却価格は購入時と同じ20万円だった。
利益はゼロ。
それでも当時は、
「売れて良かった」
という気持ちだった。
しかも買主は同じマンションの住民だった。
不動産会社を通さず、司法書士に依頼して個人間で売買した。
今振り返ると、なかなか珍しい経験だったと思う。
当時は維持費から解放される安心感の方が大きかった。
だから20万円で売れただけでも十分満足していた。
最近になって驚いた
先日、何気なく湯沢フォーレⅡの売り物件を見てみた。
すると同じような広さの部屋が200万円前後で売りに出ていた。
もちろん売り出し価格と成約価格は違う。
実際にいくらで売れているのかは分からない。
それでも、
「もし持ち続けていたらどうなっていたんだろう」
とは思った。
20万円で買い、20万円で売ったマンション。
それが今では200万円近い価格で売りに出ている。
不動産は本当に分からない。
ただ、不思議と後悔はない。
なぜなら当時の私は未来を知らなかったからだ。
コロナも知らない。
リモートワーク需要も知らない。
湯沢の相場が見直されることも知らない。
離婚することも知らない。
だから20万円で売れてホッとした。
それが当時の正直な気持ちだった。
人生は後からなら何とでも言える。
「あの時持っていれば良かった」
そんな話はいくらでもある。
でも実際は、その時その時で判断するしかない。
あの経験が今につながっている
振り返ると、湯沢フォーレⅡは単なる20万円のマンションではなかった。
あの経験があったから、
「家は安く買えることもある」
という感覚を持てた。
リゾート地で暮らす経験もできた。
不動産を所有する経験もできた。
売却する経験もできた。
その後、私は離婚し、人生も大きく変わった。
そして今は伊豆で100万円の中古戸建に住んでいる。
もし湯沢での経験がなかったら。
もしリゾートマンションを買っていなかったら。
今の暮らしはなかったかもしれない。
20万円は高かったのか、安かったのか
今でも時々考える。
あの20万円は高かったのか。
安かったのか。
投資として見れば、人によって答えは違うだろう。
でも私にとっては、
雪国での暮らし。
温泉付きリゾートマンション生活。
元妻とのネットビジネス。
不動産の購入と売却。
そして今の伊豆暮らしにつながるきっかけ。
そうした経験の方が印象に残っている。
最近になって価格だけ見れば、もっと高く売れた可能性もある。
それでも私は、あの選択を後悔していない。
今思えば湯沢フォーレⅡは投資物件ではなく、人生の練習台だった。
そして、とてもいい経験だったと思う。
