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AIに裏感情を読ませたら、自分の行動が少し怖くなった|孤独上等

自分の輪郭は、思うほどはっきりしていない。それでもいい。

最近、AIに自分のエッセイを読ませて、その文章の裏にある感情を推察してもらうことがある。

書いた本人としては、ただ起きたことを書いているつもりでも、AIは妙なところを拾う。

「不安を笑いに変えようとしているように見えます」

「誰かに認められたい気持ちと、ひとりでいたい気持ちが同居しています」

「決断したように書いているけれど、本当はまだ決めきれていないのではないですか」

そんなことを言われると、少し腹が立つ。

いや、そこまでではない。
そんなつもりで書いたわけではない。

そう思いながら読み返すと、たしかに文章の中に、説明しきれない引っかかりが残っている。

自分の行動には、もっとはっきりした理由があると思っていた。

腹が減ったから食べる、眠いから寝る。
必要だから働く、不安だから準備する。

だいたいは、それで説明がつく。

けれど、実際の毎日はそれほど単純ではない。

スマホの通知が気になって、用もないのに画面を見る。
別に急がなくてもいいことを、なぜか今すぐ片づけたくなる。
誰にも頼まれていないのに、部屋を整えたくなる日がある。

反対に、やった方がいいとわかっていることほど、なかなか始められないこともある。

人は欲求で動く。

気持ちいいことを繰り返し、痛いことを避ける。

周りに合わせたり、損得を考えたり、過去の経験から判断したりもする。

そう考えると、人の行動にはそれなりの理由があるように見える。

ただ、自分のことになると、その理由が一つに決まらない。

たとえば、誰かに褒められたいから頑張っているのか。
それとも、自分で自分をがっかりさせたくないから頑張っているのか。

ひとりでいたいのか。

誰にも邪魔されたくないだけなのか。

それとも、本当は誰かとつながっていたいのに、面倒な思いをしたくないのか。

答えは、その日によって変わる。

同じ行動でも、動機は毎回同じではないのだと思う。

散歩に出るときだって、健康のための日もあれば、家にいると考えすぎるから外へ逃げる日もある。
文章を書くのも、何かを残したい日があれば、頭の中を静かにしたい日もある。

行動の理由を尋ねられたら、もっともらしい答えは言える。

けれど、その答えの奥には、名前のついていない感情が残っている。

不安、期待、照れ、意地、習慣、見栄、安心したい気持ち。

そのどれか一つではなく、全部が少しずつ混ざっている。

ちなみに、せっかく調べたので、人が動く理由を以下に並べてみる。

こうして見ると、人間は思った以上に、いろいろな理由を抱えたまま動いている。

【人が行動する理由。まずは基本レベル】

1.欲求を満たすため

お腹が空いたから食べる。眠いから寝る。安心したいから働く。褒められたいから頑張る。人の行動には、内側から湧いてくる欲求がある。

マズローの欲求5段階説では、生きるための欲求から始まり、安全、つながり、承認、そして自分らしく生きたいという欲求までがあるとされている。
難しい話に見えても、日常に置き換えるとわかりやすい。

空腹だからコンビニへ行く。誰かに認められたくて投稿する。できなかったことができるようになりたくて続ける。

自分の中にある「足りない」が、行動の出発点になる。

2.快と不快の原則

心地よいことは、またやりたくなる。痛いことや面倒なことは、できれば避けたくなる。これは人間だけではなく、動物にも共通する仕組みらしい。

熱いものに触れて痛い思いをしたら、次から手を引っ込める。ほめられた行動は、また繰り返したくなる。

逆に、やっても報われないことや、嫌な気分だけが残ることは、自然と遠ざけたくなる。ダイエットが続かない理由も、片づけを後回しにする理由も、案外ここにあるのかもしれない。

頭では必要だとわかっていても、今この瞬間の快・不快に引っ張られる。

3.感情

人は、理屈より先に動くことがある。

なんとなく嫌だ。今日は行きたくない。これを見たら妙にワクワクする。理由は説明できないけれど、気になってしまう。

そんな感情が、行動の引き金になることは多い。

理屈で考えれば得ではないのに買ってしまうもの。
別に悪い人ではないのに、なぜか苦手に感じる相手。
予定はないのに、急に外へ出たくなる夕方。

感情は、ときどき理屈を追い越していく。

4.環境や周りの人の影響

周りがやっていると、自分もやりたくなる。

行列ができている店を見ると気になる。みんながスマホを見ていると、自分も見たくなる。職場で誰かが忙しそうにしていると、自分まで急がなければと思う。

人は、自分が思っている以上に、周囲の空気に影響されている。

自分の意志で選んでいるつもりでも、場所、時間、人、雰囲気に背中を押されていることがある。

ひとりでいると落ち着くのも、誰かといると元気になるのも、環境が自分の行動を変えているからなのだと思う。

5.認知的な判断

これをやったらどうなるか。今やるべきか、あとでいいのか。
得か損か。失敗したらどうしようか。

人は先のことを予測して、行動を選んでいる。
ただし、いつも冷静で合理的というわけではない。

思い込みで決めることもある。過去の失敗を必要以上に引きずることもある。
まだ起きてもいないことを怖がって、やめてしまうこともある。

頭を使って考えているようで、実は直感や記憶や、その日の気分がかなり混ざっている。

【もう一段深いところにある理由】

ここから先は、欲求や損得だけでは説明しにくい話になる。

人は、便利だから動くわけでも、得だから動くわけでもないことがある。

6.価値観や信念

損をしても、これはやりたい。効率は悪くても、これは違うと思う。誰に褒められなくても、自分はこうありたい。

そんな価値観や信念も、人を動かす。人によって大切なものは違う。

時間を大事にする人もいる。家族を優先する人もいる。約束を守ることに強くこだわる人もいる。ひとりの時間を守りたい人もいる。

周りから見れば不思議な選択でも、その人の中では筋が通っていることがある。

7.意味や目的

精神科医のヴィクトール・フランクルは、どんな状況でも人は「なぜ生きるのか」という意味を見出そうとすると考えた。

人は、楽だから動くとは限らない。むしろ大変でも、自分にとって意味があると思えることなら続けられる。

誰かのために働く。昔から好きだったことを続ける。まだ形になっていないものを作る。自分の経験を文章に残す。

意味があると思えると、人は意外なほど粘れる。

反対に、楽なはずなのに動けないときは、意味を見失っているのかもしれない。

8.自分で決めている感覚

心理学には、自律性、有能感、関係性が満たされると、人は外から強制されなくても動きやすくなるという考え方がある。

自律性は、自分で選んでいる感覚。有能感は、少しずつできるようになっている感覚。関係性は、誰かとつながっている感覚。

たとえば、やらされているだけの仕事は続きにくい。

でも、自分なりの工夫ができて、昨日より少しうまくなり、誰かとのつながりも感じられるなら、同じことでも意味が変わってくる。

人は自由だけでも動けない。
誰かとのつながりだけでも苦しくなる。

自分で選び、できることが増え、誰かとゆるくつながっている。
そのあたりのバランスが大事なのかもしれない。

9.習慣と自動性

実は、日常の行動の多くは、深く考えてからやっていない。

朝起きてスマホを見る。決まった道を歩く。帰宅したらテレビをつける。寝る前にもう一度、通知を確認する。

理由を考える前に、体が先に動いている。

習慣は便利だ。毎回すべてを考えなくても暮らせる。
ただ、習慣はときどき怖い。

本当はもう必要がなくなっているのに、昔からそうしているから続けてしまう。
気がつかないうちに、生活の形が自分を決めていることもある。

10.自分らしさを守るため

人には、「自分はこういう人間だ」というイメージがある。

自分は誠実な人間だ。約束を守る人間だ。ひとりでも平気な人間だ。だらしなくない人間だ。

そのイメージと違う行動をすると、妙に気持ちが悪くなる。

たとえば、自分は誠実だと思っているのに嘘をつく。
節約家だと思っているのに、勢いで高い買い物をする。
ひとりが好きだと思っているのに、誰からも連絡がないと寂しくなる。

人は、その違和感を減らしたくて行動を変えたり、理由をつけたりする。

自分を守るために動くこともあるし、自分に言い訳するために動くこともある。

11.不確実なままでいられないから

答えが出ない。どうなるかわからない。待っているしかない。

この宙ぶらりんな状態は、なかなか落ち着かない。
だから人は、とりあえず動く。

調べる。連絡する。片づける。予約する。何か買う。予定を入れる。

本当は、今すぐ何かをする必要がない場合でも、何もしない不安に耐えられず、行動したくなる。

行動していると、少なくとも「何もしていない自分」からは逃げられる。

これもまた、人が動く理由の一つなのだと思う。

12.そもそも、自分で選んでいるのか

ここまで考えると、最後に妙な問いが残る。

人は本当に、自分の意志で選んでいるのだろうか。

欲求、感情、習慣、育ってきた環境、過去の経験、周りの空気、性格、その日の体調。

いろいろなものに影響されながら動いているのだとしたら、「自分で決めた」とはどこまで言えるのか。

自由意志については、昔から哲学でも科学でも考えられてきたらしい。

答えは、まだはっきりしていない。

ただ、自分の行動を見直してみると、「全部、自分で決めた」と言い切るのも違う気がする。

それでも、考えたうえで選ぼうとすること。
いつもの習慣を一度止めてみること。
誰かの空気に流されている自分に気づくこと。

その小さな余白の中に、自分の選択があるのかもしれない。

こうして並べてみると、人の行動はかなり複雑だ。

欲求だけでもなく意味だけでもない。
理屈だけでも、感情だけでもない。

昔の失敗を引きずって動くこともあるし、誰かの何気ない一言が背中を押すこともある。何年も続けているから、もう理由を考えずにやっていることもある。

それなのに、ふと立ち止まったときだけ、「自分はなぜこれをしているんだろう」と考えたくなる。

答えが出なくてもいい。

行動の理由を一つに絞れないことは、迷っている証拠というより、人間らしく暮らしている証拠なのかもしれない。

今日も何かを選び、何かを後回しにして、何かを気にしている。

その全部に、立派な理由がなくてもいい。

自分でも説明できないまま動いている時間があるから、あとになって振り返る楽しみも生まれる。

AIに裏感情を読ませながら、自分はまだ自分のことを全部わかっていないのだと思った。

それは少し怖い。

でも、ひとりで考える時間があるなら、そのわからなさも案外楽しめる。

《次回も、また目にしていただくと嬉しいです。》

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