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オムライスの前で負けました│孤独上等

今日のランチは、オムライスにしようと決めていた。

しかも、初めての店である。

少し意気込んで車で向かったのに、
入り口の前で足が止まった。

そして、そのまま隣のラーメン屋に
吸い込まれてしまった。

一週間、53歳の男が胸の内で
じわじわ膨らませていたオムライス。

それがなぜ、
ラーメンとチャーハンになったのか。

理由は、入り口のポスターだった。

そこに書かれていたのは、
「レディースランチ」という文字。

店内をのぞくと、
女性や子ども連れが数組。

男性客は、見える範囲ではゼロだった。

かわいらしい雰囲気の店内は、
思いのほか空いている。

本当は、入りたかった。

頭では「別にいいじゃないか」とわかっている。

でも、足が動かない。

53歳のおっさん一人には、
なかなか高い壁だった。

人にとっては簡単なことでも、
たった一言で行動が止まる。

気持ちまで止まる。

これ、わかる人には
わかる感覚だと思う。

さらに追い打ちをかけたのは、
隣のラーメン屋のお兄ちゃんの笑顔だった。

オムライスの店を遠目に見ていると、
若いお兄ちゃんと目が合った。

ニッコリと愛想よく笑いかけてくる。

その瞬間、心が折れた。

「1名様、ご来店!」

そう言われてもおかしくないような流れで、
私はスタスタとラーメン屋に入っていた。

人間、逃げ道ができると、
そこに入ってしまうものらしい。

なるほど。
自分もそういうものかと思い知らされた。

こってり醤油ラーメンとチャーハンを食べながら、
本当はオムライスへの挑戦だったのに、
と頭の中でぐるぐる考えていた。

変われなかった自分が、
情けないやら、悔しいやら。

おいしいラーメンなのに、
どこかスッキリしない。

もちろん、
こってりラーメンだからではない。

これは、
負けた気がする昼飯の味である。

ラーメンにも、
若いお兄ちゃんにも罪はない。

食べ終えてから、
ふたたびオムライスの店をのぞいた。

すると、なんと、
30代くらいの男性が一人で食べていた。

なんということだ。

羨ましいやら、悲しいやら。

でも、その気持ちは少しずつ変わっていった。

「次こそは」

そんな新たなチャレンジ精神が、
じわじわ生まれてきた。

悔しさは、
意外と燃料になる。

不甲斐ない自分を少し励ますつもりで、
すでに開拓済みの隣のお店に寄った。

そこで、一人ソフトクリームを楽しんだ。

こういう小さな「まあいいか」が、
次への一歩をつくってくれる気がする。

私は最近、週に一度、
昼のランチで新しい店に行くことを心がけている。

余白作りへの挑戦である。

以前は、パスタ系のお店にも
なかなか一人で入れなかった。

それでも、男性一人でも入りやすそうな店を
二、三軒、少しずつ開拓してきた。

その流れで、
今度はオムライスだと思った。

しかし、今回のチャレンジは挫折に終わった。

一人で居酒屋には入れる。

一人でステーキ屋にも入れる。

なのに、昼のランチで、
オムライスの店にたじろぐ。

人にとっては、
何てこともないことかもしれない。

そんなおじさんの、
ちょっと馬鹿な話である。

皆さんはどうですか?

入りたいのに、
なぜか足が止まってしまう場所。

そんな店、ありませんか。

《次回も、また目にしていただくと嬉しいです。》


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