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一人ぶっこみ鍋の夜|孤独上等

五十を過ぎると、外食にも少し飽きてくる。
若い頃は、どこへ行っても新鮮だった。

新しい店、流行りの味、行列のラーメン。
それだけで、ちょっとしたイベントだった。

今は違う。
うまい店はたくさんある。
けれど、どこか似たように感じる日がある。

そんなときは、鍋だ。
理由は特にない。
ただ、鍋にする。

深く考えない。
それが、うまくいくコツだ。

野菜を適当にザクザク切って、
ポンポン放り込む。
形も大きさもバラバラでいい。

何が先で何が後かなんて考えない。
料理番組の手順も、この日は無視する。

味噌、だし、唐辛子、黒胡椒。
思いついたものを入れていく。

白菜、大根、ネギ、豆腐、玉子。
乾燥した油揚げに、乾燥海苔。
エリンギや舞茸なんかのきのこもいい。

冷蔵庫の奥で少し元気のなくなった野菜も、
鍋に入れればちゃんと仕事をする。

とにかく、入れる。
不思議なもので、だいたいうまくいく。

味は整えすぎない。
少し足りないくらいがちょうどいい。

人は、整えすぎたものに飽きる。


今日は豚肉を入れる。
油の甘みが、スープにゆっくり溶けていく。

食べ終わっても、スープは残す。
次の日、また違う具材を入れる。

鶏肉でもいいし、ウインナーでもいい。
どんどん味が重なっていく。

昨日の名残と、今日の気分が混ざる。
それがまた、妙にうまい。

スーパーの鍋スープは買わない。
完成された味は、少し退屈に感じる。
こっちは未完成でいい。

うどんでも、スパゲティでもいい。
思いつきで炭水化物を入れる。

トマトを入れてみる日もあれば、
豆乳でまろやかにする日もある。

正解はない。
失敗も、だいたい食べられる。

大根なんかは特にいい。
しっかり染み込んだやつは、
酒にもご飯にも合う。

ふうふう言いながら、一人で食べる。
テレビはつけてもいいし、つけなくてもいい。
静かな時間が、ゆっくり流れる。

誰かに合わせる必要もない。
食べる速さも、味の好みも、全部自分次第だ。

最後はカレーでもいいし、シチューでもいい。
全部ひっくるめて、ちゃんとまとまる。

人生も、少し似ている気がする。
きれいに整えなくてもいい。
多少ごちゃごちゃしていても、
ちゃんと味になる。

孤独上等。
一人鍋は、自由で、気楽で、適当で、
でも、本当にうまい。

あなたは最近、ちゃんと味わっていますか?


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