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診療所という生き物

毎日
診療所は少しだけ
ドリフのようだ

健診日の朝から酒を飲んできたと
真顔で話す人
来ただけで、よしとする

健診の朝から
「今日は何も食べてません」と言いながら
バナナやヨーグルトの話が出てくる人

朝から採血なのに
「いま天ぷら食べてきました」と言う人

朝から天ぷらを食べられる元気さに
私の方が少し負けている気がする

毎日、少しだけあのコントがよぎる

呼ばれれば返事をするのに
最後になって
呼んでいた人とは別の人だったりする

何度呼んでも返事がなく
いないのかと思ったら
ずっと自分の目の前にいた人

「9時間前に食べた」と言いながら
糖尿病だからと
それからずっと走っていたと誇らしげに言う人

途中で手足がしびれてきたと言うので
しびれるまで走るんかい、と
心の中でそっとつぶやく

土まみれの足で歩いてくる人
草をつけたまま現れる人
どこからきたんだい とまた心の中でつぶやく

靴底が崩れ
床にぽろぽろと跡を残しながら
入ってくる人
おいおい、とまた心の中でつぶやく

雨でもないのに
全身ずぶ濡れの人
なぜ、とまた心の中でつぶやく

なぜか
全身ピンクの人
もう理由は聞かなかった
聞かない方がいい気がした

毎日
少しずつ違う人が来る

けれど
そんな人たちがいるから
診療所は少しだけおもしろい

人間は
教科書どおりには生きていない

診療所という生き物は
その証拠でできている

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