イラストから空想した世界を書いて下さい。(ショートショート)銀河を写す鏡と、空っぽの舟
遠く、深い森の奥から、呼びかけるような光が漏れていた。
漆黒の闇を切り裂くようにして溢れ出す、純白で清らかな輝き。
僕は、静まり返った家をそっと抜け出し、吸い寄せられるように夜の森へと足を踏み入れた。
木々のざわめきを抜けた先、視界がひらけた。
そこには、僕の想像を絶する光景が広がっていた。
頭上を埋め尽くす満天の星々と、森の深淵から天空へと向かってまっすぐに伸びる、幾筋もの光の柱。
まるで、地上と宇宙を繋ぐ巨大なはしごのようだ。
その光を鏡のように映し出しているのは、鏡面のように静かな湖だった。 波ひとつない水面には、主を失った一艘の舟が、ただぷかぷかと浮かんでいる。
「綺麗だ」
思わず独り言が漏れた。
どこへ行くでもなく、何をするでもなく、ただそこに在るだけの神秘的な風景。
それを眺めているうちに、あんなに僕の心を支配していた、重たくて湿った悩みたちが、驚くほど色褪せていくのを感じた。
巨大な宇宙の呼吸に比べれば、僕が抱えている葛藤なんて、この湖に落ちた一粒の砂利にすら満たない。
僕はただ、静寂の中に溶けていく光と影を見つめながら、軽くなった心で深く息を吸い込んだ。
Fin。
※この小説はフィクションです。
登場するモノや人物は存在しません。
↑この企画に参加しました。
ありがとうございました。
