(ショートショート)泣き虫な太陽
燃えるような黄金の眼差しは、今、深い哀しみに濡れていました。
遥か天球の特等席から見下ろす地上は、かつての彩りを失い、ただ灰色に沈んでいるように見えたのです。
太陽は、泣いていました。
「一体、いつからこんなに、世界は殺伐としてしまったのだろう」
その呟きは、熱を帯びた風となって地上のビル群を吹き抜けていきます。
地上では、無数の人々が忙しなく行き交っていました。
しかし、その足取りに生気はなく、交わされる視線に体温は宿っていません。
まるで誰かにプログラムされたかのように、ただ決められた軌道をなぞるだけの、感情を欠いた歯車たちの行進。
ふと窓の向こうに目をやれば、いくつもの四角い画面がチカチカと不自然な光を放っています。
そこでは、画一的な笑顔を貼り付けた芸能人たちが、空虚な熱気で日本を盛り上げようと、必死に声を張り上げ、歌い踊っていました。
(あの笑顔の裏側にある本心は、どこへ行ってしまったのだろう)
張り付いたような笑み、心のない称賛。
その滑稽なまでの狂騒を見つめるうちに、胸の奥が締め付けられるような痛みに襲われます。
「いつまで、こんな世の中が続くのだろうか」
救いのない問いを飲み込み、黄金の雫を一粒、雲の切れ間から零しました。
泣き虫な太陽は、重たいため息をつきます。
その吐息が夕闇に溶け込み、世界を淡いオレンジ色に染めていくのを、彼はただ、静かに見守ることしかできないのでした。

Fin。
※この小説はフィクションです。
登場するモノや人物は存在しません。
↑この企画に参加しました。
ありがとうございました。
