イラストから空想した世界を書いて下さい。(ショートショート)雲の滝と、虹の架け橋の向こう側
疲れ果てた体をベッドに沈めると、驚くほどすっきりと意識が遠のいていった。
その夜、僕はかつてないほど美しい夢を見た。
そこは、現実の喧騒から切り離された、天空の城。
雲海に浮かぶ城は、太陽の光と三日月を纏い、雲たちが宝石のように空に散りばめられている。
僕はその世界の王だった。
眼下を覗けば、遥か下界で「人間様」たちが蟻のようにあくせくと動いているのが見える。
政界の汚職、エンタメ業界の不祥事など、そんな泥沼のような騒ぎも、ここまでは届かない。
天空には、虹の架け橋が彩りを添え、音もなく流れる雲の滝が心地よい静寂を作っていた。
ここでは小鳥が遠慮がちにさえずるだけで、耳を突き刺すような流行の音楽も、誰かを煽り立てるネットの怒声もない。
他人と比較する必要も、「承認欲求」という名の呪縛に振り回されることもない。
ただ穏やかな時間だけが、そこには流れていた。
ふと目が覚めると、視界はいつもの見慣れた天井に戻っていた。
テレビをつければ、たちまちやかましい「現実」が部屋に侵入してくる。
朝の情報番組では、視聴率を稼ぐために起用されたであろう男性アイドルや男性俳優が、どこか上滑りな言葉で事件を語っている。
「どこもかしこも、イケメン風味の男性アイドルや男性俳優ばかりだな」
僕はその「仕掛けられた熱狂」に辟易して、テレビを消した。
今の世の中は、新しい流行にしがみつくことに必死すぎて、大切な何かを置き去りにしている気がする。
仕掛ける側が流行を作り、老若男女がそれに飛びつき、そしてあっという間に消費されて廃れていく。
「この世はどうなってしまうんだろう?」
温故知新——古きを訪ねて新しきを知る。
そんな余裕さえ、今の世界には残っていないのかもしれない。
無理に新しいものを作らなくても、あの夢のような穏やかさは、きっと足元にあるはずなのに。
僕はくだらないノイズを頭の中から追い出し、朝の準備を始めた。
たとえ世界がどれほど騒がしく、流行に流されていようとも。
僕は僕の歩幅で、あの一筋の虹のように、静かに、けれど確かな足取りで今日という日を進んでいく。
Fin。
※この小説はフィクションです。
登場人物やモノなどは存在いたしません。(男性アイドルや男性俳優は実在いたします)
某テレビ局の朝の情報番組をちょっといじりましたことお詫びいたします。
↑この企画に参加しました。
ありがとうございました。
