見出し画像

2026年の税務申告を見据えた税制改正:リース・外形標準・CFC税制の「新常識」

プロローグ

皆さま、こんにちは。 2025年から2026年にかけて、法人税務は「新リース会計基準」の強制適用、「外形標準課税」の対象拡大、そして「CFC税制(外国子会社合算税制)」の見直しと、実務に直結する大きな変化が続きます。

特にグローバル展開されている企業や、複雑な資本構成を持つグループの担当者にとって、これらの改正は単なるルール変更ではなく、「申告時期のズレ」や「グループ全体の資本構成チェック」という重いタスクを意味します。今回は、今のうちに押さえておくべき主要トピックを会計・税務の視点も交えて整理・解説します。



1. 「1億円以下」でも油断禁物。外形標準課税のターゲットが拡大

これまで外形標準課税は「資本金1億円超」の法人が対象でしたが、今後は「実質的な企業規模」で判定される時代に突入します。

① 減資への対応(2025年4月開始事業年度〜)

単に資本金を1億円以下に減らしても、「資本金+資本剰余金」の合計が10億円を超える場合、外形標準課税の対象として残ります。

② 100%子法人等への対応(2026年4月開始事業年度〜)

今回の注目ポイントはここです。親会社が「特定法人(資本金+剰余金が50億円超)」である場合、その100%子会社は、自身の資本金が1億円以下であっても、「資本金+剰余金が2億円超」であれば外形標準課税の対象となります。

実務上の盲点:M&Aや組織再編 特定法人が新たに2億円超の子会社を買収した場合、その翌期から子会社に外形標準課税が発生します。買収シミュレーション(DD)の段階で、この税コストを織り込んでおくことが不可欠です。また、外国親会社が日本で事業を行っていたと仮定して「特定法人」に該当する場合も、その日本子会社は網にかかります。外資系クライアントを抱える方は、親会社のグローバルでの資本構成を再確認する必要があります。


2. 新リース会計基準:会計と税務の「ズレ」をどう埋めるか

2027年4月(早期適用は2025年4月)から強制適用される新リース会計基準。借手側は「すべてのリースをオンバランス(資産・負債計上)」することになりますが、税務上の取扱いは変わりません。

① オペレーティング・リースの申告調整

会計上は「減価償却費」と「支払利息」を計上しますが、税務上は依然として「賃借料(債務確定額)」しか損金になりません。

  • 法人税: 会計上の費用を全額否認し、税務上のリース料を認容する申告調整が必要です。

  • 消費税: リース料を支払うべき時期に仕入税額控除を行う従来の処理を維持します。

  • 外形標準課税: 勘定科目が変わっても、土地・建物のリース料は「支払賃借料」として付加価値割の集計対象にする必要があります。

② 残価保証がある場合の経過措置

旧基準から新基準へ移行する際、未償却残高を残リース期間で償却できる「経過リース期間定額法」が設けられました。

  • 改正後(2027年4月〜): 残価保証額を差し引かず、備忘価額1円まで償却可能になります。

  • 経過措置: 既存契約について、未償却残高を残りの期間で均等償却できる「経過リース期間定額法」が設けられました。

    • ただし、「届出書の提出」と「損金経理」が要件です。早期適用をしない場合は、会計上が「賃借料」処理のままとなるため、この経過措置の適用は難しくなる点に注意が必要です。


3. 外国子会社合算税制(CFC):事務負担軽減と「合算の空白」

グローバル・ミニマム課税の導入に伴い、CFC税制の事務負担を軽減する見直しが行われました。

① 添付書類の簡素化

これまで重荷だった「株主資本等変動計算書」や「勘定科目内訳明細書」の添付・保存が不要となりました。

② 合算時期の変更(2カ月 → 4カ月)

子会社の所得を親会社の所得に合算するタイミングが、子会社決算日から「4カ月経過日」を含む年度へと後ろ倒しされました。

ここが落とし穴!「合算の空白」 例えば「親会社3月決算・子会社12月決算」の場合、改正により合算時期が1年後ろにズレるため、原則として改正適用初年度は合算課税が生じません。 ただし、経過措置を適用している場合は、2026年3月期に課税が生じる可能性があるため、納税予測には細心の注意が必要です。える実務家は、親会社の資本構成を改めて確認しておく必要があります。


エピローグ

今回の改正の共通項は、「実態に合わせた合理化」と「不適切な回避への厳格化」です。

私たち実務家にとって、CFC税制の書類簡素化は朗報ですが、一方で外形標準の判定やリースの経過措置など、「いつ、どの届出を出すか」という判断の重要性は以前よりも増しています。特に国際的なグループ構成を持つ企業では、親会社の規模や子会社の決算月を網羅的に把握することが、ミスのない申告への第一歩となります。

変化の激しい時期ですが、一つひとつの論点をクリアにして、クライアントの信頼に応えていきましょう。


いいなと思ったら応援しよう!