見出し画像

日曜の夜、月曜日が少しだけ怖くなくなる。───Mr.Children「終わりなき旅」と、頑張れと言わない応援歌について

日曜の夜になると、決まって少しだけ気持ちが重くなる。

明日からまた仕事が始まる。
その事実だけで、心のどこかがきゅっと縮こまる感覚を、私は何度も味わってきた。
今日もそうだった。
だが、この曲を聴き終えたあとは、その重さがほんの少しだけ軽くなっていたのだ。

「終わりなき旅」は、1998年10月にリリースされたMr.Childrenの15枚目のシングルである。
当時バンドは活動休止から復帰したばかりで、この曲はフジテレビ系ドラマの主題歌として世に出た。
結果として、ミスチルにとって最後のミリオンセラー作品になったのだという。
そう知ると、単なるヒット曲という以上の、バンドそのものの再出発の物語がこの曲には重なっているのだと感じてしまう。

歌詞を追っていくと、この曲は決して余裕のある人間の言葉ではないことに気づく。
息を切らしながらも前を向こうとする姿、愛されたいと願いながらそれを素直に認められない葛藤、途中で逃げ出したくなってしまう弱さ。
そういうものを隠さずに全部並べたうえで、それでも次の扉をノックしようとする。
この順番が大事なのだと思う。
先に強さがあるのではなく、弱さを通り抜けた先に、ようやく前を向く力が生まれてくる。

だからこの曲は、頑張れとは一度も言わない。
それなのに、聴き終えたときにはなぜか少しだけ前を向けている自分がいる。
誰かの真似をしなくていい、自分は自分でいいのだという核にあるメッセージが、説教くさくならずに届くのは、そこに至るまでの迷いや弱さがちゃんと歌われているからだろう。
サウンドもまた、性急に励ますのではなく、少しずつ歩幅を合わせてくれるようなミディアムテンポで、その言葉の重みをそっと支えている。

私自身、今日は日曜日で、明日からまた仕事が始まる。
そのことを考えるだけで少し憂鬱だったが、この曲を聴いているうちに、まあ明日からもやっていけるかという気持ちになれた。
誰かに背中を強く押されたわけではないのに、自然と足が前に向いている。
そういう不思議な力を持った曲だと思う。

もし今、日曜の夜に明日への不安を抱えながらこの文章を読んでいる人がいるなら、一度この曲を再生してみてほしい。
答えが用意されているわけではない。
ただ、同じように迷いながら歩いてきた誰かの声が、そこにはたしかにある。

いいなと思ったら応援しよう!