フィールド・オブ………?
この前、読書会の会話の中で「それぞれのベストワンの映画は?」という話題になった。
ショーシャンクの空、第三の男、スタンド・バイ・ミー、とにかくジブリ!と色々と出た。
僕は「あるんですけど、タイトルいつも分からなくなるんですよ」
え?そんな事ある?コイツ大丈夫か?と皆さんの表情。
「えっとお、広大な麦畑があってえ、それを潰して球場を作ってえ、往年のスターが出てきてえ…最後すごい泣けてえ」
こんな僕のつたない説明で「フィールド・オブ・ドリームス!」と当ててくれた方がいた。
「それです!ラストが…すごい子供の頃に、父がビデオで見せてくれて…ラストが…」
答えてくれたレディも目を潤ませながらうんうん、と頷いてくれる。感受性豊かな方だった。
ちなみに僕がタイトルがわからなくなる理由は、「FIELD OF VIEW(フィールド・オブ・ビュー)」の往年のヒット曲「突然」が頭に流れてきて邪魔をするからだ。突然の風が全てを吹き飛ばしてしまうのだ。ジェネレーションギャップもあり(読書会主催の店主はまだ20代…)伝わらないだろうしこれは言わなかった。
読書会から帰宅して早速瞳潤んだ彼女のベストワンの「第三の男」を観ようと思ったが僕の契約してるサブスクになかった。あと「フィールド・オブ・ドリームス」もなかった。しょんぼり。
この映画は父が教えてくれた一本で、レンタルしてきて家族みんなで観たのだ。
往年の野球スターが出てくる度に母が「これ誰?」と質問して父が丁寧に答える。僕はなんのこっちゃ分からずにぼんやり観ていた。
しかし暫くして、母も無言になり画面を見つめる。
最後は家族の鼻をすする音だけが響いた。僕はあのラストシーンにどうして泣いたのかその時は分からなかった。幼すぎてその感動を伝える術を知らなかった。
僕が病気になりベットとお友達でいた時に同僚からU-NEXTカードを貰った(いつものタヌキさんではない。例えるならキツネさん)これ、漫画も読めるし、映画も観れる、ぷるねこさんの好きなバンドのライブとかもある。俺は地面師観たくてNetflixに鞍替えしたから余ってるから使ってくれと。
地面師のがいいなあとかカードが余るなんて嘘が下手だなあとか飲み込んでありがたく頂いてひと月楽しんだ。その中にフィールド・オブ・ドリームスもあったので視聴した。
なんと……麦畑でなくてトウモロコシ畑だったのだ!なぜ麦畑と勘違いしていたのか……でもそれ以外は父に観せてもらったあの日のままの感動が蘇る。
ああ、父が残してくれたものは沢山ある。それはちゃんと僕の中に残ってる。僕が物語や詩を書く時にファンタジーをひとつまみ入れたくなる理由もここにあったのだ。ラストシーンはやはり泣いた。でもやっぱりあの感動を伝える語彙は今の僕でも難しいや。
ただ観た人と「良かったね」と手を取り頷きあいたい、そんな映画だ。
もう、麦でもトウモロコシでもいい。大事なのはそこじゃない。
タイトルだってフィールド・オブ・ドリームスでもフィールド・オブ・ビューでもいい。
あ、そこは大事か。
