ライターと占い師をしている人
むかしむかし、星月(ほしづき)という名の不思議な女性が、山と海に挟まれた小さな町に住んでいました。星月はライターと占い師という二つの顔を持ち、昼は言葉を紡ぎ、夜は星を読む生活を送っていました。
星月のライターとしての仕事は、町の出来事を記録し、旅人のための案内書を書き、時には人々の人生を物語にすることでした。彼女の文章は明快で温かく、読む人の心に寄り添うように書かれていました。
一方、占い師としての星月は、古い木造の小さな部屋で人々の相談に乗っていました。彼女は水晶玉でも、タロットでもなく、その人が書いた文字を見て占うという独自の方法を用いていました。「文字には書き手の心が宿る」と星月は言っていました。
不思議なことに、彼女のライターとしての仕事と占い師としての仕事は、互いに補い合っていました。人々の物語を書くことで培った洞察力が占いに活かされ、占いで得た人の心の機微への理解が文章に深みを与えたのです。
ある日、長い旅の途中にある旅人が星月を訪ねてきました。「私の行く道を占ってください」と旅人は頼みました。
星月は旅人に紙と筆を渡し、「あなたが今までに旅した場所と、そこで感じたことを書いてください」と言いました。旅人が書き終えると、星月はその文字を丁寧に読み、しばらく目を閉じて考えました。
「あなたの求めているものは、次の目的地にはないでしょう。しかし、その先の小さな村に、あなたが長い間探し求めていたものがあります」と星月は告げました。
旅人は半信半疑でしたが、星月の言葉に従って旅を続けました。そして確かに、その小さな村で旅人は長年探していた古い書物を見つけることができたのです。
旅人が星月にお礼を言いに戻ってきた時、こう尋ねました。「なぜライターと占い師という二つの道を歩んでいるのですか?」
星月は静かに微笑み、こう答えました。「言葉は過去と現在を記録し、占いは現在から未来を照らします。私は言葉と星の間に立ち、人々の物語が続いていくのを見守りたいのです」
後に星月は町の若者たちにこう語りました。「一つの道だけでなく、自分の中の異なる才能を大切にしなさい。一見矛盾するように見えるものでも、心の中で調和させることができれば、それはあなただけの魔法となるでしょう」
そして「文字は星、心は月、両方見る者は道を照らす」ということわざが、この町から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2025年4月22日18時51分に書く無名人インタビュー1045回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは 杏樹 さんです!
年齢:40代後半
性別:女
職業:ライター兼占い師
現在:できない言い訳を取ってあげる。やっぱり本人がやりたいっていうやる方向に行ったっていうのが面白かったですね。してやったりでした。
qbc:
今、何をしている人でしょうか?
杏樹:
今ライターと占い師をしている人です。
ライターと占い師って全然関係ないように見えると思うんですけど、ライターって日本語から日本語への翻訳で、占い師ってカードとか出た印象とか事象を、受け手に対してわかるように翻訳する仕事なので、自分の中では一緒なんですよ。
なのでライター・占い師って名乗りますけど、自分の中では何か受け取って渡している人です。
qbc:
それぞれどれぐらいやられてるんですか?
杏樹:
どっちも2019年とかからです。
qbc:
ライターと占い師両方とも一緒に始まった理由って何かあるんですか?
杏樹:
最初ライターになりたかったのでライター案件をどんどん受けていたんです。
当時は占いのリライトの案件がむちゃくちゃあったんで、色々書かせてもらいました。あとは、電話占いの会社に架電して、どんな話をされたかとか、どんな印象を持ったかみたいなレビューを書く案件でユーザー体験たくさんさせてもらったところ、受け手と送り手の両方を体験できたので、これなら占いに関わることができそうだなって思ったのがきっかけになります。
さらに、あともう1個きっかけがあって、ライバー活動をちょっとやってみたんですね。そのときに、私コミュ症なので、何喋ったらいいかわかんないってなったんです。そこで、目の前にカードがあったから「じゃあ明日のこと何かカードで引くよ」みたいなことをやってたら、なんとなくカードの意味も覚えたんで、2019年にオーディション受けて、2020年には占いの事務所に入って、プロ化しました。それと並行してライターも続けてたっていう感じです。
qbc:
その前は何されてたんですか?
杏樹:
その前は大学卒業して派遣とかが多かったんですけど、企業の研究所に入ってました。
めっちゃリケジョなんです、私。
それなのになんで今の生活になったかって言ったら、交通事故に遭いまして。休職とか時短とかすごいやってたんですけど、とにかく後遺症がひどくて、もう会社の方から、「やめてほしいな」と言われちゃったときに、たまたま、親から「帰っておいで」って受け入れがあったんで、帰ろうかっていうふうになりました。
qbc:
それでライターと占い師に?
杏樹:
はい。
qbc:
最近ライターのお仕事ではどんなジャンルを書かれるんですか?
杏樹:
大体、美容系と法律系と化学系を書いています。あとは記事のファクトチェックや校正をしています。
qbc:
占いのほうは?
杏樹:
占いは事務所に入っているので、案件を受けています。あと個人的にやってほしいって言われたら、「いくらね」って言ってやってます。
qbc:
占いの種類は?
杏樹:
主にカード系です。
qbc:
それぞれどんな気持ちでやられてるんですか?
杏樹:
それが最初に言ったように同じなんですよね。相手に分かりやすくするっていうのはどっちも一緒なんですよ。
何かを受け取ってそれを膨らませて、その人にわかりやすい言葉にしてあげる。例えを入れるとか、噛み砕いてみるとか、比較してみるとか。
qbc:
どんな感情を抱いてますかね?
杏樹:
感情で言ったら「伝わってほしい」。
qbc:
それはどっちかっていう意思ですよね。喜怒哀楽とかの感情をお聞きしたいです。
杏樹:
感情で言ったら楽しいは楽しいですよね。
qbc:
どんな楽しさですか?
杏樹:
言葉で人って変えられるんで。
qbc:
どんな楽しさですか?言葉で人を変えれるっていうのは、なるほどって思ったんですけど。
杏樹:
例えばすごくいい商品があったとして、それに対して書いたときに、それを見て買ったって言われたら、すごく嬉しいです。ハンティングみたいな感じかな。
qbc:
ハンティングの楽しさがある。ハンティングの楽しさってもうちょっとかみ砕くと?
杏樹:
「これを買ってください」って言いますと。それを買ってくれる人がいらしたら、買った人に対して魅力がちゃんと伝わったっていう嬉しさなんですけど。
何だろう。レールを引いてあげたみたいな。
してやったりみたいな感じです。
qbc:
その感じが楽しいと。
杏樹:
楽しいです。めっちゃ楽しいです。
qbc:
それは、ライターも占いもそうなんですか?
杏樹:
ライターの方もそうなんですけど、占いの方は「買って」じゃなくて、「人生良くするには」とかになるので、「こうやったらいいんじゃないか」って言って、道を示してやると「いいですね、やります」みたいになると、同じ楽しさです。
qbc:
言える範囲で構わないので、最近占ったことで、ハンティングの楽しさを味わえたエピソードみたいなのはありますか?
杏樹:
すごく「とある事」をやりたがってる人いたんですよね。ただ事をやるというのに、すごく時間もかかる。お金もかかる。だから、「本当にそれをやっていいのかっていう意味もわからない」って悩んでた人がいたんです。
そのやりたい事は、今までやってきたこと通用しないと本人は言ってたけど、目線を変えて解釈するとめちゃくちゃ通用ものであったんです。時間かかる、お金もかかるって言ってるけど、今年やるんだったら時間もお金もかかるけど、深堀りしてみて、3年後ぐらいにできるっていう計画にしたら負担があまりかからないよねって判明したんです。そしたらご本人さん顔が晴れて、「じゃあやってみよう。やっぱりやりたかったから」ってなったことがありました。
できない言い訳を潰してあげて、できる方向に。本人はやりたいって言ってたけど自分でできない言い訳を出してただけだったので。できない言い訳を取ってあげる。やっぱり本人がやりたいっていうやる方向に行ったっていうのが面白かったですね。
してやったりでした。
qbc:
その楽しさっていうのは、占いとかライティングをする前から感じてたことですか?
杏樹:
あったのかな・・・。今まであったかなかったかって言ったら、ぱっと思いつかないんですけど。してやったり・・・。実験だと上手く仮説が結びついたとかはありますよ。けど、対人だったらあんまりなかったなと思います。
実験結果でこんなふうになったらいいなと思ってやっていって、っていうのは似てるけどちょっと違います自分の中では。でも、近いことはしてきたような気がします。
qbc:
趣味とかって他にありますか?
杏樹:
読書がめっちゃ趣味で。大体1年で100冊ぐらい読みます。
あとはもうネット徘徊ですかね。
qbc:
本はどんな本を読まれるんですか?
杏樹:
硬いのから柔らかいのまで結構いろいろと。
図書館の分類1から9ありますよね。この分類でいうところの、3の社会学、4の自然科学、5の技術、9の小説。ここら辺が主です。
qbc:
最近読んだもので、これ面白かったなみたい本を教えてください。
杏樹:
『愛するよりも愛されたい』っていう本なんですけど、万葉集を奈良弁に翻訳したっていう本なんです。
結構今までもこういう試みっていっぱいあったと思うんですよね。昔の源氏物語だったりとか枕草子だったりとかを、現代日本語訳にしましたみたいな。
この『愛するよりも愛されたい』っていうのは万葉集の和歌を現代語にしたらっていうコンセプトで、しかも今のリアルな現代語なんですよね。だからインスタのハッシュタグ何とかかんとかって出たりとか。奈良弁を使ってるので、ちょっと柔らかい感じになってたりとかしてるんですよね。
これがすごい面白かったのが、万葉集がこういうふうに現代語になってるのもすごく面白かったんですけど、同時に思ったんですよ。10年後に見たら、現代語にした方は古臭いんだなって。一方で万葉集の方は絶対不変じゃないですか。そしたらまた10年後に違う言葉になるんだろうなって。なのでこれはおすすめしたいです。今の言葉がわかるって。
qbc:
他に何かありました?
杏樹:
最近の大河ドラマ「光る君へ」の影響で、『枕草子』とか、『源氏物語』の現代語訳版を読み漁ってたので、だいぶ頭の中が平安時代です。その中ではこの『愛するより愛されたい』っていうのはピカイチでした。
qbc:
ネットはどんなものを見られますか?
杏樹:
X(Twitter)が多いんですけど。ジェンダー系の話を見るのが好きで。
qbc:
何か理由があるんですか?ジェンダー系を見るのは。
杏樹:
面白いじゃないですか。いつも燃えてるんで。
qbc:
燃えてるところに興味があるって言い方の方が正しいですか?
杏樹:
いや。結構いろいろジェンダー系も好きは好きなんですけど・・・。
どっちなんだろう。燃えてるのが好きなのかな・・・?
元々占いに来てるお客さんっていうのは大体弱者・女性が多いので、ジェンダーに関して結構考えることも多いんですけど。ジェンダー系だけ見だすといつも燃えてるなと思って。目が離せないんですよね。
ここずっと何年もずーっと見てる感じがします。
qbc:
ジェンダーって結構幅広いと思うんですけど、どういうことに興味があるんですかね?
杏樹:
女性のガラスの天井ですね。
qbc:
ガラスの天井ってどういうものですか?
杏樹:
比喩として、女性が出世できない暗黙の壁。
自分自身も派遣で行っていたところで、同じところに派遣の男の子が入ってきたときに、なぜか派遣で入ってきた男の子だけ正社員登用されたという体験があるんで、当事者ではあるというのも含めてのガラスの壁。
それをいろんな人が感じているなと思うと、面白いし、いかに先人がそのガラスの壁を越えようと思って頑張ってきたのか、後の続く人たちがそれを一歩ずつ一歩ずつ壁を押し上げるように頑張ってきたのかっていうのを見ると、すごい興味深いっていうか好きですね。
qbc:
性格について人からなんて言われますか?
杏樹:
最近言われたのが、「先生みたい」です。そのときは、パソコンの先生のお仕事をしに行って生徒から言われたので、「先生みたい」って何かなと思ったけど、例え話がうまくてわかりやすいっていうので、そういうふうな意味で言われたって聞きました。
qbc:
他何かあります?
杏樹:
占い師やってると先生呼ばれするし。確かになと。
あとはなんか知らないけど、リーダーに担ぎ上げようとされる感じがあるんですよね。「ナントカ部長になればいいのに」みたいな。なので、雑用係を押し付けやすいと思われているのか、頼もしいと思われてるのか、どっちだろうかなと勝手に思ってます。
qbc:
自分ではどういう性格だと思います?
杏樹:
自分では甘ったれですね。
qbc:
甘ったれってどういう感じなんすか?
杏樹:
まず規則正しい生活を送ってない時点で、ちょっと社会不適合者かなと思ってるんで、そこがもう甘ったれポイントですね。
事故があったからっていうので、戻ってきた親元暮らしとかいうのも、社会的に見たら、自制してないように見える。1人で生きてないように見える。自立してないように見えるっていうので甘ったれかなと。
さらに、いろんな人に「ライターです」って言っても通じないことが多くて、ライターという職業について何回説明しても理解してもらえない。いわゆるうさんくさい仕事をしてお金を得ている人って感じるんで、社会的にも甘えてる。きちんと言える仕事をしてない人、含めての甘ったれです。
qbc:
甘えてない仕事ってどんな感じの仕事なんですか?
杏樹:
いやでも企業に行ってたときは甘えてなかったです。きちんとしてたので。
qbc:
なるほど。それはあれですけど、今引け目を感じてるってことですか?
杏樹:
引け目感じてますね。
qbc:
それは2019年ごろからも感じていること?
杏樹:
もうずっとです。
qbc:
心から感じてる?
杏樹:
仕事を辞めざるを得なくなったときからずっと。やっぱり「何かに寄生して生きている人」って思ってるんで。
qbc:
家族とかパートナー、距離の近い人からなんて言われますか?
杏樹:
親からは「おってよかった」ってずっと言われるんですよね。
親ももうだいぶいい年にはなったから、「若い子がおるっていいでしょ」って、周りからも言われるし、ちょこっと足腰がとか、ちょこっと認知力がと、なってきてるので、「頼もしい」「おってよかった」って言われます。
qbc:
好きな食べ物は何ですかね?
杏樹:
甘いもの一般大好きで。あとはチーズが入った卵焼きです。
qbc:
自分で作る?
杏樹:
自分で作ります。昔うちのお弁当にずっと入ってたんですよ。
私卵焼きあんま好きじゃなかったらしいんですけど、母親が作るお弁当にずっと入ってて、今や卵焼き作るってなったら、もうチーズの入った卵焼きしか食べないぐらい。自分で作るんですけど。
qbc:
チーズってどういうチーズなんですか?
杏樹:
とろけるチーズ。スライスチーズの。お弁当にすると硬くなってるけど、これ焼きたて食べると美味しいんですよ。
qbc:
なるほど。
杏樹:
母親の味を今再現して、しかも美味しい状態で食べてます。
qbc:
ありがとうございます。
過去:歩いてて、車にはねられました。
qbc:
過去を聞いていきたいんですけど、子どもの頃はどんな子どもでしたか?
杏樹:
子どもの頃は、自分の記憶にある限りでは本ばっか読んでたんですよ。
本ばっかり読んでたから、よく母親から言われるエピソードで、本とか読んでるから、変に語彙力があるんで口喧嘩したら勝つんですよね。
qbc:
なるほど。
杏樹:
でもそれは良くないっていうのを、よく言われてます。「あなたの屁理屈で世界は回ってない」と言われてました。
qbc:
幼稚園の頃はどうでした?
杏樹:
幼稚園ですね、3年のとこだったんですけど、父親の転勤で2年で入ったんですよね。
qbc:
2年目に入ったってこと?
杏樹:
なので、いわゆる同級生との距離感が全然わかんなくて、幼稚園の年長さんになって、年少さんのお世話するって仕組みになってたけど、お世話をされた記憶がないから、「どうやったらいいかわからん」って言ってました。幼稚園は結構行きたくないなと思ってました。
qbc:
結構覚えてますね。そういう細かいこと。その頃本は読んでた?
杏樹:
読んでました。
qbc:
何の本読んでたか覚えてますか?
杏樹:
絵本が結構多かったんですけど、有名どころで言ったら、松谷みよ子さんとか、あまんきみこさんとか、あと角野栄子さんですね。そういう絵本作家の人の講演会とか、サイン会とかによく連れて行ってもらっていました。
うちの母が割と読み聞かせとかをする人だったんで、幼稚園入る前から、近所の子を集めて読み聞かせ会をやってました。
あとは童話とかも結構読みましたね。いわゆるシンデレラとか人魚姫とか。
qbc:
小学校とかはどんな児童だったんですかね?
杏樹:
小学校のときは、これまた小学校2年生のときに転校しちゃったので、馴染めなくて。
というのが、クラスが、1年2年、3年4年、5年6年が一緒の学校だったんで、2年生で入っちゃったから馴染めなくて、1年間本当に身の置き所がなかったです。
qbc:
どんな状況なんですか?
杏樹:
毎日泣きながら「行きたくないよ」って主張してました。
qbc:
他の学年はどうだったんですか?
杏樹:
3年生になってからその「行きたくない」がなくなったんで。途中から入ってきた人っていうのは受け入れてもらえないって勝手に思ってたんでしょうね。
qbc:
なるほど。受け入れられたと。
杏樹:
3年生になったときに全部一気にクラス替えがあるんで。シャッフルされたんで。
もうそっからは、「行きたくない」はなかったですけど。
qbc:
中学校は?
杏樹:
中学校はあれでしたね、歴史がわかんなくて詰みましたね。
qbc:
歴史が分からない?
杏樹:
はい。リケジョの方だったんですけど、社会の中でも歴史が全然わかんなくて。何をやってるかも、ちんぷんかんぷんで詰みました。
qbc:
詰んだっていうのは?
杏樹:
成績が大変なことに。あと地理もわからなかったです。
なので、社会がえらい足を引っ張る。寝てるわけでもないのに、ちゃんと勉強してるはずなのにいっつも頭に入ってこんっていう感じがあって。
qbc:
そのときどういう気持ち・感情なんですか?
杏樹:
高校とかに行ったら、文系理系に分かれるっていうのがわかってたから、早く高校行きたいなって思ってました。
早く社会というものから私を解放したいなと思ってたんですよ。
qbc:
社会という科目からっていうことですか?
杏樹:
科目からです。
qbc:
高校はどんな感じですか?
杏樹:
高校がちょっと憧れて入った学校だったんですが、超スパルタ学校だったんですよね。ついていけなくて。
最初のオリエンテーションのときに、走らされるのがあって。スパルタすぎて過呼吸起こしちゃって。「ついていけんな」っていうので、半年間ぐらいなんか行きたくない、行かないを繰り返してました。うちの母親が「せっかく行った学校やから」っていうので、送り迎えしてもらったり、なんやかんやで揉めながら行きました。
高校2年生になってからすごい楽になりました。社会からも解放されましたし。好きな科目が増えたんで。
3年生になったら、みんなが「大学行くぞ」って感じやったんで。周りにならって大学行くぞと。
でも数学の先生怖かったですね。
qbc:
怖いっていうのは?
杏樹:
竹刀を持って歩いて、生徒とかを叩くわけじゃないんですけど、黒板とかバンって叩いたり、床を叩きつけたりとかするような先生達ばっかりだったんですね。数学の先生が。なので、震え上がってやってました。
qbc:
なるほど。それは学校でもその先生は異質だったんですか?
杏樹:
いや、後から聞いた話なんですけど、数学の一番トップの先生が盲学校の先生をやってたらしいんです。盲学校って見えないから、音を立ててやらないといけないらしいんですよ。
だから常に竹刀持って、今私歩いてますよとか、いますよっていうアピールしなきゃいけないらしいんですよね。それで大きな音をたてているっていうのを、卒業前か卒業後かに聞きました。
私の担任だった数学の先生も、同じ盲学校の先生を何年間かされてたから、踏襲してたそうです。
qbc:
なるほどね。高校の後はどういう進路に?
杏樹:
理系の大学に進みまして、ハッピーハッピー展開ですね。
qbc:
具体的に何勉強したんですか?
杏樹:
化学です。化学勉強しました。楽しかったです。
qbc:
どんなことが楽しいですかね?
杏樹:
狙ったところにピークがピーっと出ると実験成功なんですよね。
それが出た瞬間とか、収率が何%いったとか。自分の思ってた通りになったとか。赤と青を混ぜたら紫になったと同じぐらいの楽しさはありました、常に。
それから発展して赤をもっと多くしたら、青紫になるのかなって考えてやって、そうなりました、青紫になったねっつって、赤紫になったねみたいな感じで、できたことが積み上がる感じが面白かったです。
qbc:
その面白さは昔からあったんですかね?
杏樹:
たまたま大学が、実験器具とかもかなり充実してたとこだったので、生徒全員、実験的、手を動かす課題が多かったですね。高校までの間はそれこそ、そんなものがあるってわかってても、手を触れることができなかったものが、実際触れて触って、どう動くか見てっていうのができるのは、ものすごく面白かったんですよ。
それを使って出てきたものがちゃんと狙い通りのものになったっていう。そんな面白さがありました。
qbc:
なるほど。大学卒業後は?
杏樹:
卒業後はちょっと就職に失敗しちゃったので。派遣で研究所に入って。次世代、次次世代の技術にあたる研究をしてました。
qbc:
それは何年ぐらいやられてた?
杏樹:
卒業して15年。15年くらいそういう次の世代のに関わってて、その後小さい化学会社に就職しました。
qbc:
その間ってどんな感じの生活だったんすかね?
杏樹:
その間は、1ヶ月に200時間ぐらい残業してたんですよ。
起きて、会社まで10分ぐらいだったんだんで、会社行って、ずーっと何かしら手を動かすなり、実験するなり、まとめるなり、何なり何なりでずっと仕事してました。
qbc:
事故っていうのは何が起きたんですか?
杏樹:
歩いてて、車にはねられました。
qbc:
どのぐらいの怪我に?
杏樹:
3週間ほど車椅子に乗りまして。
qbc:
どこかが骨折したとかそういうのは?
杏樹:
骨は大丈夫だったんですよ。けども痛みが強くて、どうしようもなかったです。まだ病院通ってるんですけど、慢性疼痛って診断名になるらしいんですけど。
qbc:
それで退職されたっていう話ですよね。
杏樹:
そうですね。でも休職とかすごい繰り返したんで、めちゃくちゃ会社に迷惑かけたなって思ってます。
体が後遺症で思うように動かない状態だから、一斗缶ていういわゆる18リットルの缶を持てなくなっちゃったんですよ。
あれを取り回しできないと、もう実験も何もできないんで。辞めざるを得ないなっていうのは思ってましたし、会社から「もういいよね」って言われて、しょうがないなと思いました。
未来:中学校のときに化学っていう存在がなかったら、もう人生詰んでたと思うんですよ。
qbc:
未来について聞いていきます。
5年10年30年40年先の未来、自分が死ぬっていうところまでイメージしていただいて、どんな未来を思い描きますかね?
杏樹:
死ぬまで・・・・・・。ちょっとイメージしますね。
何か新しいことを始めると思うんですよ。
ライターと占い師っていうのをずっと5年ぐらいか、やってきて、違うものとして思ってたんですよね。それが自分の中で同じものだって気がついたのは、つい先日なんですよ。
だから、もう1個何か新しいことを始めたとして、また何年か並行してやっていって、それも同じことだったんだ・・・ってわかったらまたもう1回やっていってっていって・・・って。
活動の肩書きは増えるけど、自分の中では「これが一緒だな」って思うことが増えるんじゃないかなと。それが何かって言ったら、ちょっとすぐ出てこないんですけど。
qbc:
どんなものかっていうのは全然イメージがつかない?
杏樹:
ちょっと今全然イメージが。今ぱっと考えてみた感じ、全然イメージつかないんですよね。もしかしたら、AIを使うのか・・・。もっと視覚的に訴えるのが好きなのかわかんないんですけど。
何かしらウェブ関係の何とかって、ウェブを利用した、対面とかじゃなくてウェブ利用したものにはなると思いますけど。
ちょっとFIREしてるイメージとか入らないんで、何かしら働き続けてるんだと思います。
qbc:
こういう気分でいたいなとか、そういうのってありますか?
杏樹:
ずっと何かを追い求めていきたいなっていう気持ちはあります。
まだこの本読みたいとか。この新しい本読み終わるまで死ねないとか。そんな気がします。
qbc:
今まで、人生で一番楽しかったことって何ですか?
杏樹:
パッと思いついたのは、仕事で成果を出したときです。
qbc:
いつ頃?
杏樹:
あれは2014年に頑張ってやってたので。その数年後に、自分が頑張ったことが、ちゃんと認められるようになったので。
qbc:
逆に一番苦しかったことは?
杏樹:
苦しかったときは、その仕事で成果を出そうと頑張ってたまさにそのとき。
qbc:
苦しかったんですか?
杏樹:
いやめちゃくちゃ苦しかったです。
qbc:
何が苦しかったんですか?
杏樹:
やってきたことを伝えるための言い回しが分からないっていうことが苦しかったです。
一番きつかった。きつかったですね。ずーっとそればっかりやってました。夢にまで出るっていう。
qbc:
夢にまで出る?
杏樹:
はい。いや仕事してる夢って結構見るんですけど、そのときは、本当にどうしたらいいのかわからなくて、細かい言葉の間違いとかを取られてしまったら駄目だから、どう回避するかとか、そういうことばっかり考えてました。
qbc:
もしも未来の質問をしていて、もしも事故に遭ってなかったらどんな人生になっていたと思います?
杏樹:
前いたとこの会社だったら、どこでもできるなと思ったんで、社内政治的に上に行けるんじゃねぇかみたいなことはめちゃくちゃ考えたことはありました。
あとは、実績ができたので、転職もしやすくなっちゃったので。ちょっと面白そうな会社のとか、そのときよりも条件がいい会社とかあったら転職してっていうこともあったかなと。
そういうふうに仕事人間になってたと思います。良い意味でも悪い意味でも。
ものを作って出してっていうのが、楽しかったんですよ。
そういう人生だったら、趣味でものを作って出してってのもしてたかもしれないですね。
いや変な話なんですけど、紫外線硬化樹脂、いわゆるレジンですね、を触ってたときに、仕事でも触るけど、自分でも遊びで触ってたんですよ。やらんでいいのに。
仕事でやるのは、全然面白くない試験片を作る方だけど、趣味で触るほうはかわいいアクセサリーみたいなのを作ろうとしてました。新しい何か作りたいみたいなっていう気持ちでやってたんで、そっちで何かしらの両立をしてたんじゃないかなと勝手に思います。
qbc:
もしも、未来の質問をもう1個。化学をやってなかったら、何やってましたかね?
杏樹:
あー・・・・・・。あー・・・・・・。学校行けてなかったと思います。
どうしてたんだろう・・・・・・。
ちょっとどこかでパソコンっていうのを触ってたら、パソコンの先生やったかもしれないです。でも、今の化学に触れるの、パソコン触ってたからなので。
中学校のときに化学っていう存在がなかったら、もう人生詰んでたと思うんですよ。
高校の段階で化学っていうのなかったら、多分情報とかに行ってたと思うんで。そこでいってたら、いわゆるプログラマーさんとかになってるか、パソコンの先生してると思います。だと思います。
qbc:
最後の質問がですね、最後に言い残したことはっていう質問で。遺言でも読者向けメッセージでも、独り言でもいいんですけれども、最後に言い残したことがあればお伺いしております。
杏樹:
無名人インタビューっていうのを教えてくれた友人に向けて。
サイトの「普通の人が面白い」っていうのがあったんですけど、インタビューじゃないと引き出せないものがあるっていうのを、で、それをまとめているっていう形式を教えてくれたっていうのがすごく感謝してます。
その分私も影響を受けて、一歩踏み出すことができた(https://note.com/andyoudivination)ので、そういう繋がりというか、縁をいただいて感謝しています。
あとがき
人生は合縁奇縁!
【インタビュー・編集・あとがき:qbc】
【編集:本州】

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