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古代の夢が紡ぐ物語——奈良に触発された和風ファンタジー『神成り鱗と夜刀鏡』作者に聞く|文学フリマフリマインタビュー

この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。

今回参加いただいたのは 里見透 さんです!

サークル名:BLANK BLOCK BOOKS
作者名:里見透
近刊本:『神成り鱗と夜刀鏡』
参加イベント:文学フリマ東京41
ブース:南3-4ホール  |  い-41
HPなど:


どんな本を出されているんでしょうか?

まりはな:サークル名と作者名を教えていただけますか?

里見透:サークル名はBLANK BLOCK BOOKSです。作者名は里見透と申します。

まりはな:今回の文学フリマ東京41では、どのような本を出されますか?

里見透:新しい小説を出そうと思ってます。古代系の和風ファンタジーになります。タイトルは『神成り鱗と夜刀鏡』です。

まりはな:古代ファンタジーはどういうお話になるんですか?

里見透:あらすじを言い慣れてなくて恥ずかしいんですけど(笑)。少年が主人公の、化け物的なものも出てくる?世界観の物語です。

あらすじ!
大蛇封じの英雄の子である瀬名は、巡察で訪れたある里にて、この世のものとも思えぬ霊妙な舞を踏む舞い人と出会う。
「すべて忘れてしまったなら、俺が思い出させてやる。おまえが何を為すべきなのか」
瀬名にそう告げる舞い人は、神霊の力をその身に纏うて、大王の支配に抗ったとされる緋隆の最後の巫覡であった。
神霊と人とのあわいにて、その仲介たることを託されたふたりは、何を思い、何を見、何を選び取るのか。

まりはな:この物語はどんなふうに思いついたんですか?

里見透:最近しばらく、『のっぺらぼうと天宿りの牙卵』という和風ファンタジーのバディシリーズものを書いていたんですけど、そろそろ新しいものを書きたいなあと思って。本当は、一旦和物から離れようって思っていたんです。でも、今年の1月に文学フリマ京都に行った際、ついでに奈良旅行に行ったんですね。関東に住んでるので、せっかく関西に行くならと思って。

奈良で飛鳥遺跡などを見ていたら、急に古代の話が書きたくなってきて。夢にまで見ちゃって。もうこれは今書く時なんだなって思って、できました。

まりはな:奈良にインスピレーションを受けたんですね。奈良でどのような経験をされましたか?

里見透:もともとあんまり日本史に興味がなくて、書いてきたお話も海外が舞台のものが多かったんです。最近書いていた和物は、室町から江戸くらいの文化を下地にしていたので、そのあたりを中心に徐々に日本史を勉強しているところだったんですが、いざ飛鳥に行ったら、その時代の歴史を本当に何も知らなくて。恥ずかしい話、飛鳥時代と奈良時代ってどっちが先だっけ?くらいの知識だったんですね。

最近勉強していた室町〜江戸とはまた全然違った文化や歴史がありそうで、ちょっと勉強もしてみたいし、ネタを集めて物語にできたらいいなって思いました。

まりはな:書くために勉強をされたんですね。

里見透:そうですね。もともとあんまり世の中に対しての興味がない方なんですけど、これは小説のネタになるかもって思うと一生懸命勉強できるので、せっかく興味が出たからには一生懸命勉強して、話のネタにもしようって思いました。

具体的には、まず本屋さんに行って、手当たり次第気になったタイトルを全部買って、何とは決めずに全部読みました。大体人文の棚をひたすらあさるっていう感じですね。うっかりネタをパクっちゃったりしたら嫌なので、そういう時は小説はあんまり読まなくて。

今回は古代の政治の話じゃなくて、文化的なところを取り入れたかったので、最終的に、万葉集関係の本をめちゃくちゃ読みました。万葉集って、当時の風景や心情なんかを、名もなき人から官僚まで色んな人が詠んで、それを集めてあるんですね。これがほとんど、現代でいうツイッターみたいな感じで。こんなこと歌に詠むの?っていうのが沢山あって。

例えば、すごく痩せている友人に向けて、「お前痩せてんだからうなぎでも捕ってきて食えよ」って言ったら、「いや、痩せてんだから川に入ったら流されちゃうだろ(だからお前が捕ってきてくれよ)」って返されるような歌とか。かなり意訳ですが。
文化を知るにはすごくいいなあって。ツイッターだしインスタだしみたいなイメージがあって、それを勉強するのがすごく楽しかったです。

まりはな:どんな方に読んでほしいってありますか?

里見透:前回書いていたのは割とコミカルな感じの、どっちかというとラノベに近いかなっていう感じのお話だったんですけど、今回ちょっとしっとりめになってしまって。前作を読んでくださった方にも読んでほしいなあとは思いつつ、また新しい読者層にも見つけてもらえたらいいなあと思ってます。

ターゲットの年齢層としては、十代後半から、十代後半の頃の読書体験が楽しかったから今も続けている…みたいな感じの、もっと上の年代の方まで楽しんでもらえたらいいなと思っています。

これまではどんな活動をされていたのですか?

まりはな:小説を書き始めたきっかけってどんなものだったんですか?

里見透:小説って言っていいものだったかは分からないんですけど、小学生くらいの頃から、本当に気がついたら書いていて。あんまり、いつ書き始めたっていうのがないですね。ネタが出てくる、湧いてくる。勉強するきっかけにもなるし、楽しいから書き続けてる、みたいな感じです。

まりはな:イベントに出そうと思って出始めるのはいつからですか?

里見透:大体2017年からなので、八年くらい出てます。友達がコミティアに出ていて、そんなものがあるんだと思って。それまで同人誌って二次創作のイメージがすごく強かったんですけど、友達がコミティアに出るって聞いていざ会場に行ってみたら、同人誌って一次創作でもこんなにあるんだって思って。

当時はコミティアにばかり出ていてたんですが、最近は文学フリマの勢いもすごいので、文学フリマ東京を中心に、今年は京都・香川・札幌・大阪と、遠征もいっぱいしました。

まりはな:なんで色んなとこ行ってみようって思ったんですか?

里見透:ちょっと小説に関係ないんですけど、もともと旅行がすごく好きで。コロナ前は毎年海外に行ったりしてたんですけど、コロナでしばらく行けなかった上に、コロナが収まってきたかなと思ったら、円安だったり情勢不安だったりで、なかなか海外に行けなくなっちゃって。

それならしばらくは国内に目を向けようかな、と思い始めたのがきっかけでした。
折角あちこちで文学フリマが開催されているので、それに参加しながらついでに旅行もしよう!という感じです。

まりはな:実際いろんな場所へ行って、いろんな文学フリマも参加してみてどうですか?

里見透:旅行としても楽しいですし、地域によってちょっとイベントの雰囲気が違ったりもして、それぞれの良さがあってすごく楽しかったです。

まりはな:文学フリマの魅力ってどんなところにありますか?

里見透:最近ちょっと大きくなりすぎて…みたいな話は聞きますが、ただ、ネットなどで公開してるよりも、偶然目に止めてもらえる可能性は高い気がしています。小説投稿サイトなどだともう、ある程度売れ筋のテンプレを使ってお互いに感想も言い合って…という感じじゃないと、なかなか波に乗れないというイメージが強く…、いや、そういうサイトで公開していないので実情はわからないんですけど…。

文学フリマだと、偶然通りかかってなんだかちょっと気になったから、という感じで立ち寄ってくださる方が結構いて、それが一番いいところだなと思っています。

まりはな:里見さんにとって書くってどういうことですか?

里見透:どういうことですかね。気がついたら書いていたので、あんまり書くっていうことに対する特別感がないかなあと。息をするような感じかなと思ってます。高尚な考えや主義主張などは特になく、本当に楽しいから書いてる感じです。

まりはな:書いてる時はどういう気持ちですか?

里見透:悩んだりすることも多いので、私は何故こんな苦しい趣味にはまってしまったんだろうって思ったりはします。生まれ変わったら、これ以外の趣味を持ちたいなって…。今世ではもうたぶん逃れられないので、楽しいのと同じくらいしんどいけど、しょうがなく書いてるみたいなところもあります。

ただ、私が楽しむだけなら妄想するだけで良いはずのものを、わざわざなんで苦しい思いまでしてアウトプットしてるんだろうなあって思うことはあって。やっぱりアウトプットするからには、誰かに見てほしいし、誰かが見てくれるからには面白い、楽しいって思ってほしい。いい読書時間だったなって思ってほしいなあという思いは強くあります。
ネタを思いついたからにはアウトプットしたい。アウトプットしたからにはあわよくば楽しんでほしい。みたいな感じです。

なので、単純に作品に興味を持って買ってくれた方が、楽しんでくれたら嬉しいなって。
物語って、作者が書き終えた瞬間に完成するんじゃなく、読者が読み終えた瞬間に、読者の頭の中で初めて完成するものなんだなと思っているので。
ついでに一言「面白かったよ」なんて言っていただけたら、最高にHappyです。
アウトプットしていることの意義っていうか、その瞬間のためにわざわざ書いてるのかなっていう気はします。

読後にコメントまでくださる方ってかなり限られるんですけど、そのコメントを頂いたことで、自分でも「これってそういう物語だったんだ」と思うことが結構あって。
私、あんまり「これはこういう話です!」というのを考えずに書くことが多いんです。それもあって、読者の方からのコメントを見て初めて、なるほど〜となったりするんですよね。
どういう層にアプローチしたくて、だからどういう工夫をして、っていうのを全然考えずに書き始めてしまうのって、プロ志望なら全然だめだとは思うんですけど、私はそういうゆるい感じでやっています。

なので実は、売出し初回のイベントより、二回目以降のイベントの方が売りやすかったりします。宣伝文句が決まるので(笑)

まりはな:どういう話か考えずに書くってどんな感じなんですか?

里見透:今回の作品も、古代系のファンタジーだということしか決めずに書き始めました。さっき「夢に見て」と話したんですけど、その夢が…、美豆良髪(みずらがみ)、って分かります?古い髪型で、顔の両脇にお団子を垂らすみたいな髪型なんですけど、そういう髪型をした少年と、目が死んでる青年が描かれた新作告知ポスターを持って、イベントに行くっていう夢だったんです。で、じゃあそんな二人が出てくる話にしようと思って。

それだけの情報でとりあえず書き始めました。この人達が最終的に何をしたいのか、どういう思考回路なのか、本当に何も決まっていませんでした。でも書いているうちに、あ、こういう風に考えるんだ。じゃあこう行動するよね、というのが組み上がってきて。

自分自身にも、書き終わるまでどういう話になるのか本当に分からない状態で。
「それで?次はどうなるの?」とワクワクしながら書けるので、私はこのいきあたりばったりの書き方、結構好きだったりします。
勿論、作品として世に出す前に徹底的に推敲はしています。なので、行き当たりばったりの仕上がりになってはいない…はずです!
あとは、今年の11月は、文学フリマ東京の翌日にコミティアがあるんですよね。せっかく大きいイベントが二つあるから、ここに間に合わせたいなあと思ってスケジュールを組んで、書いてみました。

イベントへの意気込みをお願いします!

まりはな:文学フリマ参加への意気込みをお願いします。

里見透:見つけてもらえるように一生懸命頑張るので、もしよかったら、気軽に手に取ってもらえたら嬉しいです!
文学フリマのウェブカタログはこちらになります。https://c.bunfree.net/e/fvH

イベント当日は、南ホール4F、「い-41」のブースにおります。

また、文学フリマ東京41の翌日11/24に開催されるCOMITIA154にて、市瀬まちさんのサークル「需海屋」でも、スペースの一部をお借りして新刊販売予定です。
ぜひぜひお立ち寄り下さい!

BOOTHでの通販も予定しております。
https://thorsatomi.booth.pm/


インタビューを終えて

むかーしを舞台とする小説を書かれる方は、日本史が好きで、その「好き」を原動力に活動されているものだと、勝手に思い込んでいました。ですが、里見さんは小説を書くために舞台となる時代を勉強されるとのこと。そんなこともあるんだ!すごい!そして、小説を書くための勉強も楽しんでいらっしゃるのが印象的でした。
万葉集ってSNSなんだ。なんかもっと、身分の高い方がお詠みになる御歌が集まっているものだと思っていました。人々のつぶやきやちょっとした出来事を集めて本にするって、万葉集面白そう。教科書や学校以外で歴史を教わったのは、初めてだったかもしれません。歴史の教科書に出てくる単語としか認識していなかった「万葉集」。ちょっと読んでみたいなんて思ったのも初めてです。
勉強って半強制的に「やらされるもの」のイメージが強いですが、知ることってワクワクするし、自ら学ぶことは楽しい。里見さんのインタビューを振り返って、改めてそう思いました。
文学フリマに出店して、旅行をして刺激を受けて作品になる。そしてその作品を持って新たな文学フリマに参加する。苦しい思いもされるとお話しされていましたが、素敵な循環だと感じました。
初めてで緊張もありましたが、楽しいインタビューをありがとうございました!

インタビュー担当:まりはな

制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)


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