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無名人インタビュー:人生に対するいろんな考え方があっていいよねって思って取り入れようとしちゃうからある意味自分はないのかもしれないと思う二六歳の人

最初どうなるんだろうなと思ったインタビューでした。告知というか広告塔というかそういうことに無名人インタビューを使いたいという方がまあいて、そういう使い方でも別にぜんぜんいいんですが、それでもこちらがこちらのインタビュー構成を崩さなければ成立するし。そういう主旨のせめぎあいって面白いですし。
それで、今回は、参加者さんの商品紹介から入って、ここからどう展開していくのかなあ、と思って。進めていったら、なんかとても純粋なところに行きついたって感じです。ここが無名人インタビューの根幹かなと。
人生は死ぬまでの暇つぶしと。あるいはこれでいいのだと。
最後まで、今回のインタビューもお楽しみいただければ幸いです。


今回ご参加いただいたのは たくみ さんです!

現在:休職中

qbc:今、何をされている方でしょうか。

たくみ:TANOモーショントレーニングという、福祉施設向けのIT機器を業務委託で販売してます。本当に始めたばっかりなんですけど。
というのも、もともと勤めていた会社を、休職してて。最初の1ヶ月は、ずっと家にいたんですけど。ずっと何もしないと、さらにどんどんおかしくなっていくなって。どうしようかなと思っているときに、横のつながりで「こういうのあるんだけど、手伝ってくれない?」ってお声がかかって。
見てみたら、これはこれからの施設に必要なものだと思って。ちょっとやろうかなという感じですね。

qbc:始められたばっかりということなんですけど、販売の調子はいかがですか? 

たくみ:コロナっていうのもあって、正直、飛び込みがしづらいんです。お客さんを感染させたらいけないんで。
テレアポしても、だいたい社長はいないですし。っていうので、どうしようかなって思ってTwitterとnoteを始めたっていうところですね。
これから少しずつ、いろんなところにアプローチして行って、1ヶ月後、2ヶ月後ぐらいから売れ出すんじゃないかなっていう感じではあるんです。

qbc:どういったソフトウェアなんですか? 

たくみ:要は、利用者さんたちの運動というか、健康を支えるためのソフトウェアで。150種類ぐらいある運動プログラムなんですけど。運動もそうですし、レクリエーションとか。装着はしないんですけどVRみたいな感じで買物の疑似体験などが可能で、あとは健康面のメディカルチェックが可能なので。例えば、骨が1ヶ月前に比べてどれくらい真っ直ぐになったかとか。基本的なバイタルチェックも可能なので、支援の客観的な評価っていうのができるっていうのが、すごい強みかなと思っていて。

qbc:はい。

たくみ:僕も福祉業界の現場に4年半ぐらいいたんですが、評価を数値化するのが難しいって言われているんですね。その人の支援がどれだけ適切とかっていうのを、なかなか数字で表すことが難しい。
例えば高齢者の支援であれば、骨がどれだけ真っ直ぐになって、どれぐらい歩けるようになったとかっていうのが、数字として出るんで。支援者のためにもなりますし、もちろん利用者さんのためにもなりますし、人事考課にも使えるしっていう。
それを100万円しないぐらいで販売してるんで、すごく良心的かなと思うんですけど。

qbc:コンテンツのアップデートはあるんですか? 

たくみ:年に数回あるっていうのを、販売元が発表してます。

qbc:そうすると、保守は月額で?

たくみ:保守は一切かからないです。

qbc:かからないけど、アップデートはある?

たくみ:はい。

qbc:へえー。

たくみ:初めから、センサーと対応のパソコンとQRコードリーダーがセットで付いてくるんですよ。そのパソコンから無料でアップデートしてもらうだけなんで。

qbc:導入のときの説明はどういった感じになりますか?

たくみ:導入のときの説明は、本当に説明書に従ってセッティングしてもらうだけなんですよ。パソコン開いてもらって、デスクトップに「TANO」っていうのがデッカくあるんで、それをクリックしてもらえれば。
パソコンからでもプログラムを始められますし、QRコードを読み込んでもらってもいいですし。
本当に、ゲームと同じ感覚ですね。説明書を読まなくても、なんとなく点けたら始められるみたいな。
っていうので、難しい操作は一切ないです。

qbc:カスタマーサクセスみたいな、導入後にサポートしてくれるみたいなサービスはないってことですか?

たくみ:ないです。(問い合わせがあれば適宜ご対応します)

qbc:アップデートするっていうのはすごいですね。機械が故障したときのサポートはありますか? 

たくみ:そういうときは、ちょっとお金はかかりますけども修理。
購入だけじゃなくて、最大5年までのリースが可能なんですよ。5年だと月々1万5千円から2万円ぐらい。
利用者さん5人とか6人とかを、1人で対応できる時間を作ることができるっていうのは、すごくありがたいと思います。
まだ、全国で200箇所ぐらいしか導入されてないので。福祉施設だけでも何十万ぐらいある中での200なんで、全然導入は進んでないんです。

qbc:ありがとうございます。その他は、今何をされているんですか?

たくみ:あとは、とある就労支援を運営してる法人に、毎週コラムを書いています。
もう1年ぐらいやってるんですけど、たまたま暇だったときに、ランサーズだったかな、営業をかけたら引っかかって。それで就労支援にまつわる記事を、読んでもらうターゲットは就労支援を利用する人、軽度障害者の方とかを対象に、いろんなことを書いていますね。

qbc:なるほど。

たくみ:もともと大学時代は、ずっとバンドをやってて。バンドをやりながらパチンコ三昧みたいな、結構カスな大学生だったんですけど、勉強だけはずっとしてて、新卒で障害者支援の仕事に。
何でもできるようになりたかったんで、めちゃくちゃ働いたんですよ。そしたら、1年目から血反吐を吐くわ、全身蕁麻疹出るわって感じで。そんなこんなで4年半。途中、2ヶ所で事業責任者的なことをやらせてもらったんですけど。名ばかり責任者で、手当が付くはずが付かなかったとかいろいろあったんですけど。いい加減、体がしんどいと思って辞めたのが、去年の6月なんですよ。
3ヶ月ぐらいはのんびりしながら、実家が建設業を営んでて、そこの手伝いをしながら過ごしてて。去年の9月から新しい営業の会社へ入ったんですけど。業務内容がすごく好きなんですよ。営業したりっていうのがすごく好きだったんですけど、どうしても社内環境に合わせることができなくて。

qbc:はい。

たくみ:で、心身がおかしくなっちゃったんですよね。夜も寝られないし、常に胃も痛いし頭も痛いし。会社に近づくたびに動悸が激しくなったりとか。お客さんと話してる方が、よっぽど楽っていう状態になっちゃって。
それで、今年の年明けから休職して1ヶ月間おとなしく家にいたら、これはもっとおかしくなると思って、業務委託を始めたっていう感じです。

qbc:休職中って働いても大丈夫なんですか? 

たくみ:何となく黙認されたって言う感じですね。(休職期間には収益を得ておりません)

qbc:ご本人的には、どういう感じですか?

たくみ:TANOの販売に関しては完全に業務委託なんで、毎日毎日根を詰める必要もないですし。
多少、薬の影響とかで体調が変わったりするので、自分の体調に合わせながらやれるかなと。リハビリみたいなものと捉えています。

qbc:病名は何でしたか?

たくみ:一応、うつですね。

過去:福祉業界

qbc:子どものころは、どんなお子さんだったんですかね? 

たくみ:活発で、じっとできなかったですね。それがそのまま大人になっちゃった感じです。
野球が好きで、走り回ってるとか。中学生のころは、野球部とサッカー部がずぶずぶの関係だったので、毎日放課後は野球かサッカーしていた。

qbc:なるほど。

たくみ:高校生になってからバンドを始めて。地元の友達をつるむっていうこともなかなかなくなって、サッカーは年に何回かとかになりましたけど。
草野球に行ったり、バンドしてみたりっていう、そんな感じでしたね。

qbc:どんなバンドだったんですか? 

たくみ:最初は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのコピーから始まって。やっぱり自分で曲を作りたいなと思ったんで、そこから自分で曲を作り始めて。
大学2年生のときに1回、ちょっとご縁があって。東京のちっちゃなレコード会社に声をかけてもらって、わざわざ東京までレコーディングに行って。

qbc:はいはい。

たくみ:これでタワレコに全国展開しようっていう段まで行ったんですけど、最後の最後でなんかこじれちゃって。当時、レコーディングした曲が1曲だけだったんですけど、もう2-3曲録らないかとか、ちゃんとマネジメント契約をしようとか。
ありがたい話ではあったんですけど、そのレコード会社さん、あんまりいい噂を聞いてなくて。こっちも、ボチボチ就活をやり始めないといけないぐらいだったのかな。っていうので、こじれてなくなっちゃったので、そこで夢は1つ終わったみたいな、学生時代にそういう挫折はありました。

qbc:バンドのパートはどこでしたか? 

たくみ:そのバンドではギター・ボーカルでした。

qbc:野球のポジションはどこだったんですか? 

たくみ:野球はピッチャーと、投げないときはファーストでした。

qbc:サッカーは? 

たくみ:サッカーは特に決まってなかったですけど、だいたい横っちょにいました。

qbc:なるほど。ちなみに、今おいくつの方でしょうか?

たくみ:今26歳です。障害者支援を学生時代のアルバイト1年含めて、4年半やってたってんです。

qbc:障害者支援は、全体として、どうだったんですか? 

たくみ:向いてたとは思います。中には「利用者さん大好き」みたいなことを言う人はいるんですけど。

qbc:利用者さん大好き? 

たくみ:「利用者さんが大好き」っていうことを言う人が、障碍者支援で働いている人にはいるんですけど。僕はそういうの、一切なくて。むしろ、それがある程度続いた秘訣だったのかなと思ってますね。
ただ、僕は主に重度の方をメインに支援してたので、言葉でのコミュニケーションってほとんどできないんですよ。ってなると、相手の表情とか前後関係の事象とかまで常に全部考えながら、こっちもコミュニケーションをとる必要があって。
それを突き詰めていくと、コミュニケーションがすごくうまくなったっていう感じなんですよ。普通に人と話すときは、相手は自分で喋ってくれるし、表情とかもわかりやすいし。これはすごく成長できる仕事だなーと。突き詰めればの話なんですけど。っていう思いは、今でもあるんです。そういう意味では、すごく素晴らしい仕事だと思います。

qbc:不平不満はまったくなかった?

たくみ:業界の体質というか、本当に真剣に働いている人が大勢いるのは事実なんですけど。なんて言うんだろうな、仕事を舐めてるなっていう人も多いんですよ。

qbc:うんうん。

たくみ:結構、求人のうたい文句とかに「人のためになる仕事です」とかうざったいぐらいに書いちゃってるんですけど。そういうキャッチコピーが、もう蔓延してて。
でも、それってごく当たり前のことじゃないですか。どんな仕事してても人のためにはなるし、自分で見つければやりがいはあるだろうし。それを鵜呑みにしちゃって、働く人たちも「自分の仕事は利用者さんと、ただ楽しく過ごすことだ」とか「元気に過ごしてもらうことだ」とか思ってやってる人がすごく多いなと感じていて。
それだったら、正直ボランティアでもいいだろうと。
その割に、給料上げろとか、今のままじゃキツイとか騒ぐ人たちもいっぱいいて。

qbc:はい。

たくみ:Twitterで見つけたんですけど、「介護に生産性を求めないで」っていうハッシュタグがあったんですよ。
いろんな人たちの言い分としては、人の命を預かる現場でとか、ただでさえ人が足りないのにとか。こんなことを言っちゃうと大炎上するかもしれないんですけど、馬鹿かと。
実際に僕が働いてたときも感じてたんですけど、何も考えなければすごく楽な仕事なんですよ。利用者さんが何もないようにして、気づいたら1日終わってるみたいな。
それで、ある程度、生きていくだけのお金はもらえるわけですよ。
それなのに、よくそんなことをしゃあしゃあとツイートできるなっていう。
もちろん、行政とかに対して訴えるっていうことは、すごく大事なことだと思うんですけど。「その前に自分たちでやれることを、やりきろうとしてますか?」っていうことを、すごく投げかけたくて。

qbc:うん。

たくみ:例えばIT化とかICT機器購入とか、ロボットが全てをやってくれるわけじゃないっていう声もあったりして。自分からすると、前提がずれてるっていうふうに思っていて。
それは別にゼロイチの話ではなくて、わざわざ人がやらなくていいところは、そういうテクノロジーに任せて、本当に人が入るべきところにエネルギーを注げばいいんじゃないの? って思うんですけど。
この業界の人たちって、いわゆる多様性だとか、その人らしさとか言うわりに、偏ってる思考の人がすごく多いんです。なので、どの口が言うんだって、正直、思っちゃうんですよね。

qbc:それは、どの業界と比べてですか?

たくみ:例えば、プログラマーの人って、やっぱり専門性があるというか。ある程度できないと、しっかりお金を稼げるようにならないじゃないですか。
ただ、介護職ってそこに行けばある程度のお金をもらえちゃうんですよ。
それなのに専門職って言うのはどうかなっていう感じで。
もちろん、しっかり勉強している人とか、資格をとって学んでいる人たちもいるんですけど。
じゃあ、やたら改善を訴える人に逆に訴えたいのは、あなたの支援で利用者さんはどこまで変わりましたか? っていうことなんですよ。それがちゃんと説明できますか? とか。
僕は一瞬、実家の方で土方もやってたんですけど、めっちゃ訳のわからないことで怒鳴られるんですよ。怒鳴られながら、夏は当然暑いですし、気温との戦いで。冬は寒いし。でも、もらえるお金って介護職とそんなに変わらなかったりするんですよ。
福祉の仕事で利用者さんにこんな理不尽なことを言われたとか、こんな感じでしんどいっていうふうに聞くんですけど。自分から言わせると、土方の方がよっぽどきつい。理不尽なことなんか、普通に営業でお客さんとこへ行っただけでも言われるし。

qbc:この業界に関しては、どうしていきたいと思っていらっしゃいますか?

たくみ:まずはTANOを販売して。企画とかレクリエーションの準備でめちゃめちゃ時間を取られたりとかあったんで、そこを削ったりとか。経営する方にも、使い方によって人件費の見直しにもなるんで。
従業員のみなさんの満足度も上がって、利用者さんも当然楽しいですし。経営改善にもなるんじゃないかなと思ってます。まずはTANOをいろんなところへ広めていくのが先決で。
広めながら、導入してもらった法人に、どんどん介入はしていきたいと思ってます。働く人たちのマインド自体を変えていかないと、この業界はたぶん衰退していく一方だと。
人手が充足する未来っていうのは、たぶん来ないと思いますし。となると、やっぱり人手に頼らない仕組みっていうのを、もっと考えていかないといけないですし。

qbc:はい。

たくみ:TANOは手段として、1つ1つの法人にアプローチしていくことによって、行政を変える前に、福祉業界自体を変えていくことに生涯を注ぎたいなと思っているんですね。

qbc:そんなに? 

たくみ:好きなんですよ。福祉業界は、好きだけど嫌いというか。愛憎みたいなものかもしれないんですけど。やっぱり、なくてはならないっていうのは当然ですし。例えば、ちょっと障害のある人でも問題なく働けるような世の中になったら、救われる人っていっぱいいると思うんですよ。
障害がなくても、生きづらさを抱えている人もいっぱいいるでしょうし。
そういう人たちも、もっと世の中を楽しめるようになるんじゃないかなって思って。何が必要かって考えたときに、そこで働いてる人たちの質が上がっていかないと、何にもならないって思いますし。
そういう世の中ができたら、自分自身もすごい楽しくなるんだろうなって思ってます。

qbc:はい。

たくみ:あと、なんとなくカッコいいことした気分になるじゃないですか。1つでもそういうことに携わることができたら。
やっぱり生きていく上では、カッコよく生きたいですし。働いている人たちも、自分が生涯、この業界でやっていくんだとか。

未来:何者かになりたい

qbc:未来について聞いていきます。5年後10年後こうなりたい、あるいは死ぬときにはこう思われていたいとか。どういうふうにイメージされますか?

たくみ:5年後は、家を建てたいですね。自分の家が欲しいです。なので、今いただいたご指摘も踏まえながら、販売方法をさらにブラッシュアップして。僕、目標は高くないと嫌なタイプなんで、年間で100台ぐらい売りたいんですよ。
それを5年続けたら、たぶん家は買えるんで、5年後に家を買って。

qbc:なるほど。

たくみ:僕、今まで人生の目標ってわりとないんですけど。10年後には、もう1回、本気で音楽をやりたいですね。
今の時代って、機材さえ揃えちゃえば自分でやれちゃうんで。

qbc:なるほど。

たくみ:死ぬときには、「あいつ、面白いやつだったな」って思われたいですね。

qbc:聞いてて、そんなに福祉にこだわる必要はないんじゃないかなって思いました。

たくみ:僕もそう思うんですよ。

qbc:今関りがあって福祉業界にこだわりがあるのはわかるんですけど、でも障害福祉に携わっていたいかっていうと、全然そんな感じには受け取れなくて。(笑)

たくみ:(笑)

qbc:だから、どうなんですか? 今、このままこの業界にいるか、迷ってるんですか?本当にやりたいことが見つかってないのか。それとも音楽をやっぱりやりたいのか。

たくみ:正直、何でもやりたいんですよね。
その中で、現場とかにも何となく携わり続けたいなって思いますし。

qbc:ご家族の現場の仕事がありますが、別にやりたいことではなかったってこと? 

たくみ:それもやりたいなと思ったんですけど、兄弟が今年から入るようになって。じゃあ、任せたみたいな。

qbc:なるほど。そういう意味では、やっぱり福祉なんですかね。
福祉系ベンチャーも増えてますしね。

たくみ:社会福祉法人って、結構、情報公開してるんですよ。決算書とかも全部見れるんですけど、やっぱり赤字のところとかは人件費が60%後半から70%になってたりとかするみたいで。
事業所単位で見ていくと、中には80%超えてるところもあって。だけど、そういうところほど必死に人員を募集してたりとかいうこともあるんで、どういうことなんだろうと思いながら。今は、そういうのを1人で分析したりとかしてます。

qbc:何が一番いけないと思います? 

たくみ:一番で言うなら、殿様商売、殿様気質なところがいけないですかね。
っていうのも、例えば20年ぐらい前だったら、ジャブジャブお金が入ってきてた時代で。特に努力しなくても、法人は潤うみたいな業界だったんですよ。
それがだんだん厳しくなってきて、このままじゃいけないぞっていう感じになりつつあるんですけど。ただ、やっぱりお客さんには困ってないじゃないですか。
となると、目先は赤字になってるけどまあ大丈夫みたいな。

qbc:赤字になってるんだ。

たくみ:赤字になってるところも、ちょこちょこありますよ。やっぱり、まだ補助金が潤沢に行くようにしてあるから、バランスシートは純資産の方が多かったりするんですけど。
見ていくと、去年、一昨年とかは結構赤字のところが多いですよ。
補助金がどんどん減額はされていってるんで。やっぱり10年前、20年前に比べてどんどん低くはなってきてます。
一番いい時代に起業した人たちが「こんなはずじゃなかった」って事業売却するっていう話も聞いたりするんですよ。

qbc:なるほど。同じ質問の繰り返しですが、たくみさんの実際としては、別にやらなくていいんだったら、音楽の方をやりたいんですか?

たくみ:まあ、それはあります。やらなくても生活できるんだったら、たぶんやってないと思う。何かやってないとダメなんだみたいな、正直、そういう根性があるんですよね。

qbc:ありがとうございます。それでは、もしもの未来についての質問をします。
もし福祉業界に入ってなかったら、福祉業界に興味はありましたか? 

たくみ:一切なかったと思います。
たぶん、自分が生きにくい中の1人なんだろうなって思う節が多々あって。正直、福祉業界へ行って面白いと思ったのは、たまたまその業界へ入ったからなんですけど。
人間として何か使命を持つんだとか、持つべきだみたいな思考が、いつからかあるようになっちゃって。たぶん、それが不器用な部分になってるというか。
5年後にどうなってるか、正直、自分でもわからないんですけど。ただ、今のうちにいろんな業界の知見を取り入れて、柔軟な人間になっておかないとまずいなっていうのは、最近になって思い始めました。

qbc:何者かになりたいっていう欲求が、人間には備わっていると思いますよ。人間というか、現代社会の人間には。
でも何者かになるっていうのは難しい。
この「無名人インタビュー」は、そういう何者かって考えを外してその人の話を聞いてみよう、という側面もあるんですよね。
人は何者であるかの前に、人でしょうって。

たくみ:自分が何者かになりたいというのがある一方で、自分じゃないといけないことなんて特に何もないとも思っています。
矛盾するんですけど、別に違う人が突然スターみたいに福祉業界に出てきて、いろんなところをパーンと変えて、改善しましたってなったら、それはそれでいいんでしょうし。
ずっと支援の現場で働いてたときも、別に、自分が上へ行きたいとかいうのではなかったので。たぶん、自分がいろいろできた方が楽しいって思ってやってたっていうだけの話で。気づいたら、「この子は出世欲がある」とか思われて迷惑するっていうケースもあったんですけど。
この矛盾してる感情を、どう取り扱うかみたいなのが、ちゃんとした大人になる上で必要なのかなって感じてます。

qbc:はい。

たくみ:ひろゆきとかが「人生なんか、死ぬまでの暇潰しだ」って言ったりしてて。そういう考え方もありなんだなっていうのが、ここ1ヶ月、2ヶ月とか、ちょっとわかるようになってきました。

qbc:生きることに特に意味はないから、生きることに意味を見出そうとしてるんだよね。
暇潰しって考える人もいるし、世の中のために社会貢献って考える人もいるし。まちまちなんですよね。

たくみ:いろんな考え方があっていいよねって思っちゃって、自分に取り入れようとしちゃうから、余計に器用貧乏みたいになるんですよ。
だから、ある意味、自分はないのかもしれない。

qbc:これだって思える決め手が、今、見つかってないっていうことですかね。

たくみ:はい。

qbc:年とってもわからないこともあるから。この間は、50歳になってようやくやりたいことが見つかりました、というインタビューがありましたよ。
見つかってない人も、見つからないまま死んじゃうこともあるんだろうし。

たくみ:はい。

qbc:でも、携わった現場を良くすることができるっていうんであれば、やりたいっていう気持ちもわかりますよね。
たくみさんは、どんな気持ちで、生涯を過ごしていきたいと思ってらっしゃいますかね? 

たくみ:苦しいことも楽しみたいですね。

qbc:なるほどね。うつになりやすい性格(笑)。

たくみ:(笑)
いけないというか。楽しまないといけないっていうのに、とらわれすぎてた部分が正直あった。
とにかく、自分の人生をもっと切り開いていけたらなと思ってます。

qbc:ありがとうございます。あまり無理をされないように。

たくみ:ありがとうございます。

あとがき

赤塚不二夫というひとりのギャグ漫画家が死んだときに、タモリが弔辞を読んだ。
その弔辞の中で「これでいいのだ」という赤塚不二夫のギャグを、すべての存在を前向きに肯定することだ、とタモリがひもといた。
もちろん人生を暇つぶしとうそぶくこともできるんだけど、そういう揶揄めいた言い方よりも広く広い間口を持った「これでいいのだ」という鷹揚な解釈もある。
人生に意味がないのであれば人生に意味はなく「これでいいのだ」。
意味が意味を塗り重ねて、意味すら人間以外のものが作りあげ、名という毒に侵され人間は、意味を見失う。意味の自家中毒。そうね。ほんとうの破滅というものから逃げることのできる環境がもしかしたら? 悪い? のかも? わからないね。
人間は安心を求めていきているくせに、危険じゃないと現状を打開する生命力を得られないのでは? ちょっと、この、問題は、ここだけでは解決できないね。
インタビュー参加者の方、良いご意見をいただきまして誠にありがとうございました。
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編集協力:有島緋ナ

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