発達障害ASD成人当事者の人
むかしむかし、ある村に「心の色」という不思議な力を持つ青年が住んでいました。彼は世界を他の人とは少し違う方法で見ていました。
音や光、人々の声が時として強く感じられ、人混みは彼にとって大きな挑戦でした。でも、彼には特別な才能がありました。数字のパターンを見つけることが得意で、星空の配列を誰よりも正確に描くことができました。
村人たちは最初、彼の独特な性質を理解できませんでした。ある日、村の祭りで、彼は突然強い音に驚いて逃げ出してしまいました。
そんな時、村の賢者が村人たちに語りかけました。
「この青年は、私たちが気づかない世界の美しさを見ることができる特別な目を持っているのです」
青年は自分の得意なことを活かして、村の天文台で働くことになりました。そこで彼は、星々の動きを正確に予測し、農作物の植え時を村人たちに教えることができました。
次第に村人たちは、彼の独特な視点が village にとって大切な贈り物だと気づきはじめました。困ったときには、いつも新しい視点から解決策を提案してくれたからです。
そうして村人たちは学びました。人それぞれに違いがあること、その違いこそが村を豊かにする宝物だということを。
それからというもの、この村では「心の色は十人十色、それぞれの色が世界を彩る」ということわざが伝えられるようになったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2025年08月01日14時44分に書く無名人インタビュー1137回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは 坂巻菱生 さんです!
年齢:30代後半
性別:男
職業:障害者雇用で働く正社員
現在:その生きづらさを抱えた人たちに希望の灯りをともしていけたらなっていうところは考えていますね
qbc:
今何をしている人でしょうか?
坂巻菱生:
発達障害の当事者で、障害者雇用の正社員としてIT企業の総務部門で働いています。
qbc:
その他は何かされてたりします?
坂巻菱生:
noteにて、発達障害当事者である僕自身の経験を基に、働く上での困りごとや定型発達との間で起こるトラブルを避けるためのノウハウを発信しています。
qbc:
はい。今、緊張されてます?
坂巻菱生:
はい、正直緊張してます。
qbc:
ぜひリラックスしていただいて。
坂巻菱生:
あー、いえいえ。事前に知ったことですが、実は栗林さんと同じ母校っていうことに驚いていまして。
qbc:
はい。
坂巻菱生:
というのもありますし、聞かれたらいろいろと答えられるのですが、初対面の方に対して自分から動くのは難しくて。
そもそも感じたものを言葉にするのに時間がかかる特性もありまして。
とにかく、緊張しています。
qbc:
はい。あ、すいません。noteでは何をされてるんですか?
坂巻菱生:
noteでは、ブログ活動しています。
qbc:
はい。内容は?
坂巻菱生:
障害者雇用の正社員として、いわゆる定型発達と呼ばれている方と当事者がすれ違ってしまう本質を突き詰めて、互いが歩み寄れる方法を言語化しています。
qbc:
具体的にどんなことなんですかね?
坂巻菱生:
そうですね…。どういう例からアプローチしていけば良いか、言語化するのに悩んでいるのですが…。
qbc:
じゃあ、すれ違いっていうのは、どんなときにどんなふうに起きるんですか?
坂巻菱生:
うーんと…ちょっと待ってくださいね。かつての原稿見ながら…探していますが。
たとえばですね、ここにAさんとBさんがいるとします。
Aさんは「金曜日飲みに行かない?」とBさんに誘います。
一方、Bさんは「あ~来週レポートの提出日なんだ」と返します。
この会話はAさんが、Bさんを飲み会に誘ってるんですけれど、Bさんは行けるかどうかについての答える代わりに、急に来週の予定を伝えています。
そして、AさんはBさんに断られているのが、多くの人、いわゆる定型発達には明白なんですね。
なぜかというと、Bさんは実際には言葉にして金曜の予定を言ってないわけです。
そして、多くの人がBさんが飲み会を断っていると理解できるのは、二人の間で来週までにレポートを提出しなければならないという共通認識を持っているからです。
Bさんは来週レポートの提出日だと伝えます。
それを聞いてAさんは、Bさんにとって金曜がレポートの取り込み中なら、金曜はそっちに集中しなきゃいけない、だから行けないという推察を見越して、金曜は行けない理由を了承します。
このように、定型発達との間では、言葉をただ論理的に並べて使っているわけではないと。言い換えれば、定型発達は発言の意図を字義通りの意味から共有している知識を参照しながら解釈しているっていうわけですね。
ここまでは、大丈夫でしょうか?
qbc:
あ、ごめんなさい。説明はそこまでですか?
坂巻菱生:
説明ですね?ところが、これが発達障害の方だったら、次のような会話になるケースが起こりえます。
Aさんは「金曜飲みに行かない?」と誘います。
しかし、Bさんは見たいテレビがあるし、一人で過ごしたいからっていう思いで、「ごめん、金曜はいけない」と率直に伝えてしまいます。
Aさんの言葉は、一見情報を過不足なく相手が間違わないように伝えなければならないと考えれば、Bさんの方が正しく伝わるっていう回答だと思います。
さらに、Bさんは言葉では自分の都合を言わなくても、真正面からAさんからの提案を断っている。
ただ、こういう会話を定型発達は嫌うわけですね。
それが、たとえAさんがもともとBさんが決めた予定を知っても知っていなくても、はっきりと金曜はいけないと言われたことで、自分の提案が断られ、メンツを傷つけられたからと解釈するからです。
そして、定型の方は顔には出さないまでも心の中では一瞬イラッとするかもしれません。
こうしたロジックっていうのは、発達障害の方にとっては目に見えないものを理解するようで難しいスキルかもしれないけれども、それでも定型発達にとっては当たり前の能力で、かつ無意識に行っているため、当事者にも同じ期待をしてしまうと。
「心の理論」っていうのですが。
これは、決してその発達障害の方に意地悪をしているのではなくて、生まれ育ってしまった本能なんですね。
悲しいかな、こうした心の理論がうまく扱えない人が爪はじきにされて、当事者の居場所をなくし、ゆえに生きづらさを抱えさせてしまっているという。
そうした部分の埋め合わせをするために、僕はそこのnoteでいろいろな具体的な方法について、僕の過去にあったエピソードや実践例を用いながら説明しているというところになります。
qbc:
実際にそのすれ違いっていうのは、今の例え話のようなことが起きたりしますか?
ご自身もそういうすれ違いって感じます?
坂巻菱生:
そうですね…。最近そのすれ違いって言うとですね、家族と予定が入っていて…えーと、ちょっと待ってくださいね。今、整理しながら話をしようと…。
qbc:
整理されてなくていいですよ。じゃあ最近、すれ違いを感じました?
坂巻菱生:
そうですね。すれ違いは感じましたね。
qbc:
それはいつのことですか?
坂巻菱生:
そうですね。先月でしたね。
qbc:
誰とですか?
坂巻菱生:
妻とです。
qbc:
内容はどんなものですか?
坂巻菱生:
この日は知り合いの畑でジャガイモを掘る約束があったんですけれども、子供が行きたくないって言ったんで、自分は子供を見るために留守番になったんですね。
で、そのために留守番中に庭の草刈りをするように妻から指示されました。
ただ、後になって子供が急に行きたいって言い出して、自分も行かざるを得ない状況になってしまいました。自分はすでに草刈に着手して草刈機のバッテリーを充電してたところで予定変更を言い渡されて。自分の中では留守番中に草刈りをする段取りで予定を組んでいて、予定変更に慌てふためいたんですね。
ただ、妻の期待としては一緒に行ってほしいというところだったんですね。
で、なんて言いますかね…その自分の思いが無視されたっていう状態になったんですよね。
qbc:
どっちが?
坂巻菱生:
僕がです。
qbc:
あぁ、はいはいはい。
坂巻菱生:
それで、状況が変わってパニックになっているところで、このまま残って草刈りを続けてさせてほしいって、正直に伝えたんですね。
ただ、なんだろう…僕の中では無理にですが結局芋ほりには行ったんですけれども。
自分が焦ってしまった気持ちっていうのはぬぐい切れずに、連休最終日に不機嫌に家族を車に乗せて現地に向かったっていうところですね。
qbc:
なるほど、ありがとうございます。noteを書き始めたきっかけって何ですか?
坂巻菱生:
そもそも書き始める前に、副業したいと思ってまして。
ただ、どうせやるなら楽しくやりたいと考えていました。
それなら、自分にとって好きなこと、得意なことで勝負しようと。
自分が楽しいって思えて好きなことでお金をもらうという対価を得られれば、自信も得られるし、本業にも生かされてくるというふうに考えたんですね。
そうした中、何が好きなのかなって考えた時、自分の生きづらさであったり障害属性っていうのを言語化する・書くというところだったのです。
それが自分にとって好きなことであったり、得意分野なんだなって気づいたんですね。
その後、ライティング講座を2ヶ月間受講する中で文章の書き方の基本を教わり、noteを始めました。
ちなみに、noteを選んだ理由は、当時受講していた時の講師の方から提案されたのが理由です。
qbc:
はい。書いてる時ってどんな気持ちで書いてるんですか?
坂巻菱生:
書いている時ですか。
そうですね。
あらかじめ、フォーマットを用意しているんですけれども、なんていうのかな、この生きづらさがちゃんと相手に届くかな?響くかな?っていう視点を持って書いていますね。
ただ、自己満足で書くんじゃなくて、書くからには誰かにその気持ちが一人でも届くような文章を書きたいなっていうところで、結構言葉選びとかその文章の構成であったりとかっていうのは気にしています。
qbc:
感情的な部分で、どんな感情で書いているんですかね?
坂巻菱生:
感情的な部分ですか。そうですね。ネタが思いついたときは、楽しいと思うんですけれども、行き詰まってしまう時は辛いなって思う時もあります。
qbc:
ネタが詰まるっていうのは、書かなきゃいけないっていうノルマみたいなのがあるってことですか?
坂巻菱生:
ノルマだとは考えないようにしてます。基本的に、一週間に一回しか投稿しないと約束しているので。
qbc:
はいはい。
坂巻菱生:
なんですけれども、ネタが思いついて、それで書いてはみるものの、支離滅裂な文章になってしまって、それを要約したり書いているうちに、その自分の思ったことを忘れてしまうという時もあったりして。
そういう時は、なんでもっとうまくまとまらないんだろうなっていう風に思うことはあります。
ノルマという点で言うと、毎週の金曜日の12時台に更新してるんですけれども、そこに向かって焦っているって思う時もあります。
ただ、そういうところもひっくるめて、例えば時間管理であったりとか、相手にそのものを伝える力っていうのは、noteを通じて自分でも勉強にもなるし、本業でも生かされるスキルとも思ってるんで、苦には思ってないですね。
qbc:
そのnoteをこうしていきたいみたいなイメージってあるんですかね?
坂巻菱生:
こうしていきたい…ああ、なんですかね…。
ただ一方で、僕の中でnoteって通過点の一つなんですね。
確かにnoteを通じて安定した収益を目指していって、本業以外のその骨太の生活基盤を築くっていうところはそうなんですけれども。
その先に、書いて届けるっていう以上に、ゆくゆくはこれまでその活動してきたことっていうのを、出版したり、講演をしていくことによって、その生きづらさを抱えた人たちに希望の灯りをともしていけたらなっていうところは考えていますね。
qbc:
ありがとうございます。その他、お仕事以外に、趣味とかはあったりしますか?
坂巻菱生:
趣味は…ほんとに趣味程度なんですけど、ピアノとギターを25年以上やってまして。
あとは、出かけることや旅行が好きですかね。
qbc:
音楽はどんなことをされてるんですか?作曲をしたりとか?
坂巻菱生:
大学時代に作曲もしたこともありました。
qbc:
今はどんな楽しみ方をされているんですか?
坂巻菱生:
今ですか。手前味噌ですが、耳コピができまして。
初めて聞いた曲っていうのを、4、5回ぐらい繰り返し聞いたら、弾けてしまいます。
あとはメドレー弾いたりとかっていう感じですね、楽譜見ないで。
基本的に僕、楽譜見るっていうのが面倒なんで、もう全部もう感覚でやってしまうんですけれど。
qbc:
職場ではどういう状況というか、働き方でされてるんですかね?
坂巻菱生:
障害者雇用の正社員として、働いています。
例えば、社員さんの名刺を発行したりとか、会社の中で使うSNSとかシステム周りのところのアカウントを発行したり管理したりっていう仕事など。
会社の中を定期的に巡回して、備品が足りなくなったら発注したり仕分けをしたりしています。
割となんていうんですかね、一から十まで決められた手順通りに、コツコツやっていくという仕事をメインにしてますね。
qbc:
なんだろう、その発達障害というところで、困ることとかありますか?
坂巻菱生:
困ることですか?そうですね…。困り具合がどの程度かっていうところにもよるかと思うんですけれども、相手をおもんばかりながら会話を進めるのに困難があります。
実は僕、去年自分から降格を申し出たんですよ。
qbc:
降格?
坂巻菱生:
はい。なぜかというと、求められるものが能力以上の内容できつかったんですね。
ただ、会社は敢えて負荷を与えた部分もあります。なぜかというと、上の職位でもやっていけるだけの能力があるからっていうという名目があって。
ただ会社はこう言ったんです。
あなたのような能力だったら、とても上の職位で求められていることを目指すっていうのは難しいことは初めから理解していると。
ただ、上の職位に上がったからには、求められるその能力も上がってくるし、できなかった時の風当たりも強くなってしまうと。
だから、どうしてもしんどくなったら相談してくれと。それで適切な対応をすると言ったんですね。
会社も僕の障害特性とかを理解した上で昇格していったんですけれども、そこでやっていけるかどうかは、やり続けられるのかっていうところはお前で判断してくれと言われたんですね。
そして、トライしてみました。
ただ、やっぱり求める能力もスキルも高く、求めるものも任されることもレベルが上がりました。
できなかった時の風当たりも強かったです。
耐えられませんでした。
なので、降格を申し入れたのですが…
その時に、いきなり文書にしてその降格を申し入れるっていうのを、上司に出してしまったんですよ。
事前にその言葉にして相談すればよかったものの、前触れなく突き進んでしまったんですね。
それに対して上司がかなりショックを受けたらしくて。
それで、部内の中で話し合って。
一時はですね、僕が、例えばその上司と付きっ切りの状態で仕事ができる環境にしてほしいとか、まぁいろいろ伝えたですけれども。
会社は「うちの会社はその人数が少ない中で、やっている中で、もうとてもそんなことを実現できるのは難しい」と。
で、「もしそういうのを望みたかったら、他の場所を考えろ」と。
暗に自主退職を促されたわけですね。
会社との間にいさかいがありました。
なんですけれども、会社の方から会社と契約しているメンタルヘルスの専門業者で定期的なカウンセリングを受けてみないかって誘われたんですね。
で、僕の会社では毎年目標設定っていうのをやるんですけれども、僕はその今の目標設定で自分自身のコンディションの安定っていうのをキーワードにしていて。
その中でその定期的なカウンセリングをするようになっていったんですね。それによって、自分自身のコンディションもだんだんと取り戻していくようになっていて、今のところ会社とは穏便な関係を続けているっていうところなんですけれども。
qbc:
能力的に満たないっていうのは、どういうところだったんですかね?
能力的にできないっていうふうに仰ってたその仕事って何ですか?
坂巻菱生:
いわゆるマルチタスクってやつですよね。
例えばAという仕事をやりながら、Bの仕事も同時にやっています。
間にCという仕事が入ってきて、それが急ぎだと言われました。
こういう仕事が僕苦手っていうか、それができない特性なんですね。
もう、一つのAという仕事は一から十まで完結させたい。それで次のBっていう仕事を進めたい。これ多分これ働いていると当たり前のように起こってくるじゃないですか。だけれども…
qbc:
仕事の内容を聞いているんですが。マルチタスクの仕事って分解すれば1個1個になるじゃないですか。
坂巻菱生:
ああ…そうですね。
qbc:
仕事の内容は何だったんですか?
坂巻菱生:
えーと、内容か…。例えば……えーと、ごめんなさいね。今整理がしきれていないところなんですけれども。
qbc:
わかりました。マルチタスクができなかったということで承知しました。性格は人からなんて言われたりします?
坂巻菱生:
性格ですか?真面目って言われることが多いですね。
qbc:
ご自分ではどう思いますか?
坂巻菱生:
自分では、真面目だけど生真面目すぎる。
過去:子供ができると、子供自身がかつて生きづらさを抱えていた自分と同じ人生を歩むリスクがあるのが怖いっていうのが、自分の頭の中にあって
qbc:
じゃあ過去の話で。子供の頃はどんな子供だったんですか?
坂巻菱生:
子供の頃はですね、なかなか自分の意見っていうのは言わなくて…なんだろう、悪気がないのに思ったことを率直に言ってしまうというところもあって。そのせいでいじめられ続けてきました。
qbc:
はい。ちなみに自分でこれを言ったら相手が傷つくだろうなみたいな意識ってあったんですか?
坂巻菱生:
あ~…その当時は多分考えてなかったですね。
qbc:
これちなみにその思ってることっていうのは、他人も同じように思ってることなんですかね?
坂巻菱生:
他人も思っている?あー、多分他人も心の中ではそう思っていると思います。
qbc:
それは確認したことあります?
坂巻菱生:
ないです。
qbc:
見方によっては、坂巻さんのセンスが鋭すぎて気づいてしまってる。でも他人は気づいてない。でも相手にとって傷つく言葉を感じてるってことも考えるようにはありますよね。そのへんってどうなんですかね?
坂巻菱生:
あ~、今正直もやっとはしているんですよ。
自分がこう発言することによって、相手はきっとこう考えてきて、次の発言をこう返すんだろうなっていう…そこのところを察する能力っていうのが僕、遅いんですよね。
なんていうのかな。その察する能力っていうところが乏しかったのでね。
qbc:
察する能力…なるほどね…。要するに、察する能力が乏しいことが原因で、言ってはいけないことを言ってしまった子供時代だったと。
坂巻菱生:
そうですね。
qbc:
小さい時の好きな遊びとかって何だったんですか?
坂巻菱生:
でも一人で遊ぶこと多かったですね。一人で電車ごっこしたりとか。
qbc:
電車ごっこっていうのはどういう遊びですか?
坂巻菱生:
一人で電車ごっこ。
qbc:
電車ごっこって、どういうやつですか?
坂巻菱生:
電車ごっこってあれですよ。紐があるじゃないですか。で、紐の中で輪っか作って、それで数人連れてどっか行くっていうやつなんですけれど。
qbc:
はいはい。
坂巻菱生:
それを一人でしていたりとか(笑)
あと…ひたすら地図書いてましたね。電車の路線図とか。そんな子供でしたね。人と関わって遊ぶっていうのは好まなかったです。
qbc:
で、学生生活ってどんな感じだったんですかね。小学生から大学生まで。
坂巻菱生:
友達も多くなくて、まぁいじめられ続けてきて、自殺未遂を犯したことがありました。
qbc:
いつですか?
坂巻菱生:
大学1年生の時です。
qbc:
なんでですかね?
坂巻菱生:
僕、当時サークルに入っていたんです。音楽サークルだったんですけれども。その時ね、僕、大学の時ってすごい承認欲求の強い人間でして。
自分のこと見てくれ的な裸の王様だったんですね。
ある時、自分でホームページを作っていたんです。その時に、ある音楽サークルのイベントでバーベキューをしたんですけれど。
そのバーベキューが6人だったかな?
ただ、一台車を用意されるんですけれども、5人しか乗れなかったんですよ。
で、僕だけその帰りの時に、その人とは別に帰ってしまったんですけれども。
その時に、そのホームページのところに不満を書いてしまったんですね。
なんで自分だけ1人にされたんだみたいなことを。
そして、そのことをホームページに言いふらしてしまったんですよ。そしたらサークルの人たちから大バッシングを受けて、ある人からもうお前退部って言われたこともありました。
それがショックで。
二学期の後期の授業が始まる前日だったんですけど。
バッシングを受けたことにも耐えきれなくて、死んでしまいたいって思ったんですね。
で、どこが死ぬのに最適かなって考えたときに、三浦半島の先にある城ヶ島が浮かんだんですね。三浦半島とその城ヶ島をつなぐ城ヶ島大橋というのがあるんですけれども、そこの高さがかなり高いところなんですよ。
で、そこから飛び降りれば楽になるのかなって思って実際城ヶ島大橋まで行ったわけですよ。
そこで、「さようなら」ってメールを送った時に、たまたま高校時代の友人からメールが入ってきてて。
何が起こったのか知らないけれども、誠意を見せろと言われたわけです。
そこでハッとして思い留めたということだったんですけれども。
それでも、承認欲求の強さっていうのは拭いきれなくて。
会話が噛み合わないんですよね。人と話しても、すぐ自分の話にすり替えてしまったりとか。
共感する能力っていうのも全然なくて、そりゃあ友達も離れて行くだろうって話なんですけれども。
先輩からね、僕を大学に入って本気で怒らせたのは君が初めてだと言われたこともありましたし。
qbc:
誰から?
坂巻菱生:
先輩からです。
qbc:
それはなんでそんなに怒ったんですか?
坂巻菱生:
20歳になった時に、自分から誕生会を開きたいって言ったんですよ。
いや、もう今だったらもう相当お前痛い子だなって思うんですけれども(笑)
で、いろんな人にメールを送るという。
qbc:
それだけでそんなに怒ったんですか?
坂巻菱生:
はい、それまでに積もり積もったものがいろいろあったわけですよ。
突拍子もない行動したりとか。
大学の先生がね、1年間外国へ視察に行くっていうところで、ちょっとしたお別れ会みたいなのをやったんですね。
で、先生と関わる人たちがみんな集まってきたんですけれども、なぜか当日ギターを持って来てて。
最後にその記念撮影する時に僕はギターを抱えてピースサインをして集合写真撮ったっていう(苦笑)
いや、だからその俺は音楽ができるんだぜっていうのをこれ見よがしにアピールしたりっていう。そういうこととかもあったりして。
その積み重ねですよね、結局。
qbc:
その後、どうなんですかね?卒業した後。
坂巻菱生:
卒業した後も、まだまだ生きづらさは続いてました。
例えば、電話を取りながらメモを取ることができないとか。
イベントで、出店をやったんですよ。
当時、僕は金融機関に勤めていたんですけれども、お客さんの相手をしながら簡単な金勘定もできない。
例えば、ここに500円の商品があるとします。
お客さん1000円を出しました。
そうすると、おつりは500円ですよね。
ところが、そこで500円玉出せなかったりとか、100円玉5枚を出せなかったりとか。
金融機関に勤めているものでしたら、もう恥に値する行為なわけですよ。
当時の課長からは、大目玉をくらいました。
要は何が言いたいかというと、同時に2つ以上のことがこなせないっていう。
qbc:
なんかそれまでの人生でそれは表面化しなかったんですか?
坂巻菱生:
あ~…そうですね…。多分表面化された場面っていろいろあったと思いますけれども、それが個性として割り切られてたのかなって思ってますね。
qbc:
そんな当時の考え方では、今の発達障害とはこういうふうに理解するべきです、みたいな解釈を与えられてたんですか?
坂巻菱生:
というよりも、そもそも発達障害って気付いたのって、僕が社会人3年目の頃だったんですね。
qbc:
そうそう。だから昔のそうでもない時に個性として捉えられるみたいな感じになっちゃうのは、理解しにくかったんですけど。
坂巻菱生:
あー……
qbc:
わかんなかったらわかんなかったらいいんですよ、別に。
坂巻菱生:
ああ~、多分その当時ってまだ発達障害っていう言葉も浸透されていなくて…
qbc:
そのときに周りからどういうふうに受け止められてたのかなって。
坂巻菱生:
あーでも、多分悪い奴じゃないけれども、いい奴でもないっていう解釈はされていたと思います。
qbc:
いいやつじゃないっていうのは、善悪の話ですか?
坂巻菱生:
善悪……
qbc:
犯罪者みたいな扱いだったってこと?
坂巻菱生:
いやいや、犯罪者みたいな扱い方はされなかったですよ。
qbc:
いい奴じゃない?
坂巻菱生:
なんだろう……寄り添ってくれる人じゃない。
qbc:
あー、なるほど。
坂巻菱生:
共感…いや、なんだろう……多分コイツに話しても俺の言ってること理解できないだろうなっていう、感覚でしょうね。
qbc:
じゃあ、その3年目で気づいた時ってどんな感じだったんですか?
坂巻菱生:
もともと発達障害については、大学の授業で扱っていたので知識としては知っていました。
その頃から、もしかしたら発達障害なのかなって思いつつも、認めたくない自分っていうのも一方ではいてて。
ところが社会人になって、さっき言った電話取りながらメモ取れないとか、簡単な金勘定もできないとかいうところが積み重なって、疑い始めたんです。
そして診断したら、案の定、発達障害と診断されて、障害者手帳も取得するまでに至りました。
qbc:
その時の気持ちはどんな気持ちなんですか?
坂巻菱生:
どんな気持ち?そうですね…これでやっと自分の長くもやもやしていたものがはっきりしたっていう感覚でしたね。ただ、それでもその後もまだ生きづらさは続いていくんですが。
qbc:
はいはい、その後はどんな?
坂巻菱生:
当時は東京に住んでたんですけれども、会社でカミングアウトした後に、自主退職をするようほのめかされて。
同時に、僕自身も東京にいるのに嫌気がさしてきたんですね。
あんまりね、親との関係性も良くなかったし。
だったら、生まれ故郷に戻って自分の気持ちを切り替えようって思い至ったんですね。
で、転職先が決まったら帰郷しまして。
その中で家内と出会って結婚して、2人の子供が生まれました。
ただ、2人目の子供が生まれた時に、当時通っていた会社が家から遠くて、これやったら子供の見るのもあんま見きれないなと思って、家の近くのところで転職したんです。
ただこの転職先がいわゆるブラック企業で、急に注文が来てそのために深夜まで残業するっていうような会社でして。
そこでまぁメンタルが潰れて、無職の状態が続きました。
その間に知人の紹介で就労移行支援事業所に通った中で今の会社の求人に応募して採用が決まりました。
今の会社で働いてもう7年目ですが、おかげさまで今まで働いてた職場の中で一番長く働いています。
qbc:
なるほど。ちなみにそのパートナーとの出会いは?心の理論が成立しないっていう状態でどうやって結婚にまで至ったんですか?
坂巻菱生:
もともと付き合っている時から、僕が障害の特性を持っているというのは妻は知ってたんですね。
qbc:
知ってたっていうのは、坂巻さんが教えたっていうことですか?
坂巻菱生:
僕からカミングアウトしました。
qbc:
はいはい。
坂巻菱生:
その当時は結構彼女もいろいろ悩んでたみたいなんですけれども。
実際別れる寸前になったっていうことも2回ありましたし。
それでも結構僕のいいところをちょっとずつ見ていってくれるようになって、結婚するというところになったんですけれども。
qbc:
正直、誰しもが別れるかどうかで悩むことはあって。他の人と比べるのは難しいと思いますけど。
定型発達という言葉がありますが、定型発達の人でも結婚できない人はいるわけで。なんでそういう風に結婚できたんでしょうね?
坂巻菱生:
ああ~…
qbc:
障害とあまり関係ないんじゃないかなって気がしてて…その辺どう思います?
坂巻菱生:
妻は、僕と年離れてるんですよ。
僕の方が年下なんですけれども。
妻の中ではこう思ってたらしいです。
今度付き合う時はもう結婚前提にっていうのが頭の中にあって、それで結婚して子供も欲しいっていうところも、付き合ってるうちにもいろいろ出てきてて。
でも僕の中ではいまいちまだその当時腑に落ちなかったのが、僕は帰郷して、一生独身で貫いてやるっていう思いがあったんですね。
qbc:
はいはいはい。
坂巻菱生:
で、子供を産んでしまうと、その自分がかつてその生きづらさを抱えていた状態と同じようになってしまうっていうのが怖いっていうのが、当時自分の頭の中にあって。だからもう結婚もしたくないし、子供もいらないっていう考え方になって。
そんなことを伝えたら、妻が大泣きしたわけですよね。
でもその時に、あ~言い過ぎたかなって思って、そこから考え方を改めるようになって。
お互いの価値観っていうのを擦り合わせながら寄り添いながら、最終的に結婚に至りました。
qbc:
どっちから最初アプローチしたんですかね?
坂巻菱生:
ああ、でもなんていうんですかね、そのアプローチ…どうなんでしょうかね?妻が将来の話をした時が、僕の中でも最初のきっかけだったのかなって思ってるんですね。
qbc:
あ、ごめんなさい。最初のデートはどっちから誘ったんですか?
坂巻菱生:
最初のデートですか?デートじゃないんですよ。旅先でたまたま出会ったんですよ。
qbc:
はいはいはいはい。
坂巻菱生:
妻の方から記念に写真撮らせてくださいって声かけられたんです。
その後撮影して、僕がこの後どこ行くんですか?って言ったら、たまたま行き先が同じ方面で、そこで一緒にその日は行動することになってっていうとこですね。
だから誰が誘ったのかって言うと説明しづらいですね。
qbc:
一人旅だったんですか?二人とも。
坂巻菱生:
そうなんです。
qbc:
ちなみにどこで?
坂巻菱生:
九州です。
qbc:
二人とも同じ地域なんですか?
坂巻菱生:
はい。
qbc:
へえ、それはすごい偶然だったんですね。
坂巻菱生:
そうなんですよ。で、僕はまだ転職先が決まっていて有給消化してたんです。
なので当時はまだ東京にいたんですけれども、帰郷は決まっていまして。
これもなにかの偶然ですかね。
未来:そうした否定体験がね、たまにフラッシュバックする時もあったりして。そういうのを包括して、怒られる時、責められる時っていうのが嫌いな時ですね。
qbc:
じゃあ未来について聞いていくんですけども、将来、最後死ぬまでの自分のことを想像してもらって、今、どんな未来をイメージしていますか?
坂巻菱生:
えーとですね。今の会社で定年まで安定して働き続ける。
その後は親戚の生家に移住して、半自給自足のスローライフを過ごしながら余生を過ごすっていう目標がありますね。
qbc:
ちなみに、自分の人生の転換点って言ったらどこになると思います?
坂巻菱生:
転換点…あー、当時の会社をやめて帰郷した時ですかね。
qbc:
今人生の幸福度で言ったらどれぐらいのレベルなんですか?
坂巻菱生:
人生の幸福度ですか?
qbc:
生まれてから今までっていうので言うと。
坂巻菱生:
それも総括してですか?そうだなぁ…まぁ100あるうちの60ですかね。
qbc:
大学生の時は?
坂巻菱生:
10。
人から認められられずにその生きづらさを抱えていたっていうところが、そのマイナスの90を占めてしまったんですけれども。
残りの10%は、僕はそのコツコツやるっていうところが好きで、手前味噌ながら勉強ができて、大学生の時に奨学金もらったんですよ、大学から。ちゃんとコツコツやっていけば努力が認められるんだっていう成功体験をそこで初めて知ったわけなんですけれども、それが加点の10っていう感じですね。
qbc:
今のマイナス40っていうのはなんで?
坂巻菱生:
今のマイナス40…うーん、そうだなぁ。
その冒頭で言った副業で、まだまだその安定した収益のところに乗っかるまでは足りてないっていうところと。
あと、相も変わらずそのマルチタスクをしながら、妻であったり、子供であったり、会社の人とかが期待するようなことに答えられていないなっていう部分ですかね。
qbc:
もしもの未来の質問をしていて。もしも今のパートナーの方と出会ってなかったらどんな人生になってたんですか?
坂巻菱生:
う~ん、そうですね。どうでしょう、別の人と結婚していたのかもしれないですけれども…。
ただ、仕事で行き詰まりながら結局独身を続けていたかもしれません。
いずれにしても、多分今よりかは安定した生活ができていなかっただろうと思います。
qbc:
一番嫌なことって何ですか?嫌いなこと。
坂巻菱生:
嫌いなこと……怒られること、責められること。
qbc:
どんなことで?
坂巻菱生:
ああ、そうだなぁ。自分の人格を否定されたりとか……
qbc:
はいはいはい。
坂巻菱生:
母親がですね、癖のある人で。
他人の話をすぐ自分の話にすり替えたり、あとケチ臭くて。
他人のために何かしようって、まぁするんですけれども、それも義理的にやっているっていう感じが見え見えなんですよね。
で、そういう親元のところで育ってきて、なんていうのかな…
人と会話してて共感しながら寄り添うって、相手のために先に行動するっていうようなところを見てきてこなくて。
まだ子供の時なんて親の見よう見まねで育っていって、多分それが自分がいじめられ続けてきた要因の一つでもあったのかなって思ったりすることもあるんですけれども。
子供の時とかね、しっかりしなさいとかちゃんとしなさいって言われても、でも何をしっかりしたらいいの?何をちゃんとしたらいいの?って言うように悶々と抱えながら。
ただ、それを質問しても、「自分で考えろ」って言われる始末だし。
父親もね、今はだいぶわだかまりも溶けてきて普通に話せるようになりましたけれども、当時はもう毎週土日にはもう、なんかちょっとでも失敗したらもう殴られ蹴られるっていうような感じで。
正直土曜日が来るのが怖くて怖くてたまらなかった。
そうした否定体験がね、たまにフラッシュバックする時もあったりして。そういうのを包括して、怒られる時、責められるっていう時っていうのが嫌いな時ですね。
qbc:
ありがとうございます。最後の質問なんですけども、最後に言い残したことはっていうので。遺言でも読者向けメッセージでも独り言でも、まあ何でも大丈夫ですけど、最後に言い残したことがあればお伺いしています。
坂巻菱生:
最後に言い残したこと…プロ野球の広島カープに所属していた大野豊の言葉があるんですけれども、『我が選んだ道に悔いはなし』ですね。
qbc:
ありがとうございます。
あとがき
人生いろいろです!
【インタビュー・あとがき:qbc】
【編集:mii】
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