無名人インタビュー:自己傾聴で家族へ怒鳴らなくなった人
男たちよやすらかに眠れ。男はみんな戦っているのだ。形骸化した「男」なる概念に頭を悩まされているパーソンは多く、今回の匿名さんもその一人なんだと思うわ。
かくあるべき「男」に悩まされる人たち。悩みがあっても「男」なので家族にも仕事仲間にも相談しにくい。
と、いうことで、その「男」に抵触することなくお悩みを解決する自己傾聴という方法を考え思いついたのが匿名さんです。匿名さん回。
ということで楽しんでいただけたなら勿怪の幸い!
今回ご参加いただいたのは 匿名 さんです!
1、妻や娘に怒鳴る
qbc:どんなインタビューにしましょうか。
匿名さん:自己傾聴っていう、ストレス軽減というか解消のメソッドみたいのを偶然発見したんですけど、それを電子書籍にして出そうと思ってまして。
12月中に出そうと思ってるんですよね。あとは12月1日あたりからnoteのサークルで自己傾聴を楽しむサークルみたいので立ち上げようと思って今準備してるところで。
その紹介のお話ができたらと。
qbc:なるほど。どんな感じでいきましょう。ご自身でばぁーっとしゃべっていくタイプか、私が質問していく感じにするか。
匿名さん:自分が人に質問することは今まで何回かあったんですけど、されることはあまりなくて。なるべく質問されたいですね。
qbc:そうですね。では、今、何をされている方なんでしょうか?
匿名さん:職業的なことでいうと自営業、個人事業主でコミュニケーション系の研修講師の仕事をしています。
自己傾聴は、仕事の流れではなく、個人的なことから生まれたので匿名さんってペンネームでやっています。
qbc:なるほど。
匿名さん:ストレスを感じると私、妻や娘に対して怒鳴ってストレスの解消をしていたんです。
当然言われた方は嫌な思いをするし、言ってる私もそんなことしたくないなって気持ちはあったんですけど、それがどうにも止められない状態がずっと続いてたんです。
で、ふと自己傾聴っていうのを偶然見つけて実践していったら、全然怒鳴らなくて済むようになったと。
qbc:講師のお仕事ってのは、どんな?
匿名さん:コミュニケーション系の研修の講師です。現状はコロナで限りなく開店休業になっちゃってますけど。
qbc:いつ頃からそのお仕事を?
匿名さん:9年ぐらい前からですね。その前は会社員でした。
今とある雪国に住んでるんですけど、以前はもっと南の方で会社員をしていました。でもリーマンショックの後ぐらいですかね、会社をクビになってずっと仕事が見つからないっていう状態が一年、二年続いたんですよ。
それをきっかけに住むところも変え、会社員じゃなくて自分で仕事を始めました。会社員時代は、全然研修とは関係ない仕事でした。心機一転って感じですね。
qbc:なるほどなるほど。でも、どうしてそっちの業界に? ほかにも選択肢があったわけですよね。
匿名さん:もともと大勢の前でしゃべったりするのが好きだったんですね。人に何かを教えたりするようなことが好きは好きで。
僕はそれまで自分が好きなこととお金を稼ぐっていうのは別物ってずっと思ってたんですが、やっぱり自分のやりたいと思うことをやっていかないとうまくいかないんだなって、その一連の出来事の中で感じたので。
qbc:40手前での転職?
匿名さん:そうですね。
qbc:コミュニケーションという分野を選んだ理由は?
匿名さん:大勢の人の前で話すのが好きだったのと、あと一方で、一対一でフランクに話すっていうのは得意じゃないんですよ。
インタビューだったら、質問に答えていくって型が決まってますけど、一緒に酒を飲んで話すみたいなフリートークは得意じゃなくて。
だから、コミュニケーションって型があった方がうまくいくんじゃないかって考えるタイプだったんです。
そういう中で、あるコミュニケーションの手法とたまたま出会って、それをみんなで広めていきましょうという団体に所属しました。
qbc:てことは、今もそこのインストラクターということですか?
匿名さん:はい。その仕事を始めるってタイミングと、引っ越しと娘ができたのが、だいたい同じで。
結婚してから割と年月が経ってからできた子供だったし、新しい生活を始めなさいっていう啓示だったようにも感じています。
でも、さっきお話した怒鳴るってところですけど、妻と二人で暮らしてる時には妻に対して怒鳴ってたんです。で、娘に対しても、赤ちゃんのうちはそんなことなかったんですけど、言葉でコミュニケーションが取れるような年齢になってくると、娘に対しても怒鳴るようになってきたんですよね。
qbc:はいはい。
匿名さん:今にして思えば、住むところを変えたり仕事変えたりっていうので自分が変わろうって意思はあったんでしょうけど、一番根っこの部分は変わってなかったんだろうなあと。
ですが、今年の1月ぐらいにですね、始めて家の外で、他の人がいる前で、妻に対して怒鳴ってしまったんですよね。
これはいよいよまずいなって。
qbc:怒鳴ってるときは我を忘れている?
匿名さん:ヒートアップしてキレちゃってるんですよ。
で、なんとかしなければと感じたんですけど、どうしたらいいか分からず。2月末ぐらいからコロナが始まって、学校が休校になったりして家族三人で家にいる時間が今まで以上に増えたんです。私も自分の仕事がなくなってきたりとかして。
今まで以上にまずい状況になってきて、ただどうしていいかっていうのがよく分からないっていう状態が、数ヶ月間続いて。その中で、自己傾聴っていうのが生まれてきたんですよね。
2、自己傾聴
qbc:自己傾聴を発見したきっかけってなんだったのでしょうか?
匿名さん:学校が休校になって、娘が家で家庭学習をするようになると、時間割みたいなのが学校から提示されないので、親が代わりに勉強を見るっていうのをやったんですよ。
その中でストレスが溜まっていったんですね。学校の先生の代わりみたいなことをやらなきゃいけない、でもうまくはできない。でも、家庭の中では爆発させられない。
その時に、辛いんだって家族に言えばいいんだって気づいたんですよ。我慢してやるんじゃなくて、「お父さん大変なんだ」「ちょっとお休みしてもいい?」ってことを家族に言えばいいんじゃないかって。そういう気づきがあったんですよ。
qbc:はいはい。
匿名さん:それはほんのちょっとした気づきだったので、深い確信ではなかったんですよ。だから、自分としてはその気づきをちょっと深めたかったんですよね。
我が家はその家の中で完全に一人でこもれるような部屋があったりするわけではないので、一人になって考えるためにとりあえず外に出たと。で、コロナで他の人がたくさんいるような場所には行けない。森みたいな林みたい場所が近くにあったんで、そこをうろうろしながら考えました。
qbc:な、るほど。
匿名さん:で、黙って考えてるよりも喋りながら考えてる方がまとまるような気がしたので、歩きながら考えてることを口に出して喋り、それを深めるためにちょっと録音してみようと思いました。
外を歩きながら喋りながら録音したんです。それを後で聴き直してみると、あーそうかやっぱりそうなんだという感じがしたんですね。今まで自分が考えたことを文章にして書いてみるとかはやったことあるんですけど。この方法はなんかしっくりくるなと。
qbc:すぐ聞きかえすんですか?
匿名さん:私の場合、10分ぐらいで聞き返します。帰り道でまず最初に聞き直して、翌日とかにもう1回聞き直します。その時は聞き直しながら、思ったことを文章にしたりします。それを何回か繰り返したりもします。
qbc:先走って聞いちゃうんですが、自己傾聴によって、何が得られましたか?
匿名さん:一番根っこのところは、我慢しない方がいいってことですね。今まで自分は色んなことをずっと我慢していた、我慢して溜めこんでいたものが、我慢しきれなくなって爆発する。それ怒鳴ることだったと。
で、我慢しない方法として、自分が思いついたことを気兼ねなくばぁーと喋ったのを録音して、聞き直す。つまり、自分が自分の話を聞いてあげるんです。
ただ単に言うだけじゃなくて言ったことを聞いてあげるので、ストレスをかなり効果的に減らしてくれてるんだろうなと。
qbc:なああるほど。素晴らしいアイデア。てか、話す相手は、別に他人じゃなくて良かったんですね。
匿名さん:他人じゃないか気兼ねなく話せたんだろうし、他人じゃないから100%聞いてもらえる。
私は他人に対して話すときに、ある程度気を遣わなくちゃいけないと思っているし、言ったことを100%聞いてもらえないと思っているんですよ。それも結構ストレスだったんでしょう。
qbc:他人に話すのと、他に何が違ってきますか?
匿名さん:伝わるように喋ろうとかしなくていいんです。その人と自分の関係とか、相手の今の都合とか、顔色とか、色々考えながら話さなきゃいけないじゃないですか。
それが全然ないんですよ。
qbc:あ、無名人インタビューで私が考えていることに似てますね。顔色を伺いたくないんですよ私も。
匿名さん:近いですね。
qbc:とはいえ独り言じゃないですか。喋りにくくないですか? 普段喋るお仕事をされているから慣れてるんですかね?
匿名さん:そうかもしれないです。講師の仕事って、基本的に一言ずつ相手からリアクションもらわないんです。喋りっぱなしに慣れているのかも。
でもまあ、本当の独り言にすると虚しい気もするので、ラジオDJっぽく「こんにちは匿名さんです」「今日はなんとかについて話したいと思います」とか。最後は誰も聞いてないのに「聞いてくれてありがとうございました」で終わったりとか。
qbc:おもしろ。例えば、仮に、録音データを他の人と一緒聞いたりってくっていうのはありですかね?
匿名さん:どうなんだろう。話した人が一緒に聞いてくれた方がいいと思うなら、いいと思うんですけど。
リアルに誰かと一緒に聞いちゃって、その人がリアクションなかったら寂しいなあ。それを考えると、リアクションを期待するような話し方になっちゃったりして。ちょっと主旨が歪んじゃうかもしれないですね。
qbc:なあるほどねえ。そういう感覚なんですか。
まあでもとにかく面白い。自分で自分の話を聞いちゃえばいいじゃん! ってことですねシンプルに。
3、他人に頼らないタイプ
qbc:もう情報公開されてるんですよね自己傾聴。反応はどうでした?
匿名さん:私としては自分の恥ずかしいことをただ吐露してるだけみたいな内容なのに、わりと読んでくれて、コメントもいただきましたね。ありがたいなぁというか温かいなぁというか。自分のできれば隠しておきたいことでも、案外受け取ってくれる人がいるんだなって。
qbc:自分もやってみたよ報告ありましたか?
匿名さん:1件ありましたね。あとは、やってみませんかって積極的に呼びかけたら、2人くらいやってくれましたね。それはお布団の中でとか、家の中でパソコンの前に座ってとか。スマホの録音アプリを使ってやるっていうのはみんな一緒でしたね。
qbc:どうでしょう、自己傾聴メソッドの感触は。今後も継続されていく?
匿名さん:そうですね。ただ僕のやり方でひとつ問題なのは、外でやるので寒いんですよ。これから寒くなってくると外に出るのが辛いです。
qbc:北国だっておっしゃってましたからね。
匿名さん:この冬を乗り越えられるのかなって。で、まあ自己傾聴は仕事っていう意識はあんまりなくて、とにかく自分がずっと抱えてた弱さ、問題を解決できたなって感じられるのがとにかく嬉しいんですよ。
qbc:今、どれくらい怒鳴ってないんですか?
匿名さん:怒鳴らないで済んだ日をカウントしようって思って、カウントし始めたんですね。昨日丸1日怒鳴らなくて済んだ時には、次の日にツイートするっていう形で続けてるんですけど。
150何日続いてます。怒鳴らない人にしてみれば、なんだって日数なんでしょうけど。禁酒とか禁煙とかと同じで、怒鳴りまくってた人間としては奇跡のような日々なんですよ。
qbc:あ、195日だ。すごい。ちなみに、自己傾聴始めてから怒鳴らなくなるまでどれくらい?
匿名さん:翌日からです。
qbc:すご。ちなみに匿名さんは、他人に頼りたくないタイプですか?
匿名さん:そういう傾向が強いと思います。頼るのが下手で、あとあんまり人を信用してないところがあるんだと思います。
例えば、相談して良かったと思ったこととかないんですよね。いいアドバイスをもらえないとか、そもそも十分聞いてくれないで途中で口挟んでくるとか。いやそうじゃないんだよなあと思いながら話すぐらいだったら、話さない方がいいやと思っちゃう。
でも一方で、話さないことでもストレスが溜まる。
qbc:なるほど。で、そのストレスを解放するのに40何年かかったと。子供の頃ってどうだったんですか?
匿名さん:子供の頃から、自分が思ってることを十分に表にすっと出すってことはできなかったですね。嫌なことがあった時には、嫌なことなんかなかったことにしちゃう。忘れようとする。
qbc:蓋をするタイプですね。
匿名さん:はい。でも実際あったんだから意識に上らないレベルで身体の奥底に溜まってって、下から突き上げてくるものがあるんである時爆発するっていう、多分そういうことだったんだろうなと思います。
qbc:インタビューで、比較的女性とスピリチュアルの話をすることが多いんですよ。でもスピリチュアルって言ってるけど、結局は自己解放なんですよね。我慢からの解放。
自己傾聴も、自己解放メソッドのひとつですよね。
人間って、自分と他人の区別が実はついてないと言ったりしますけど、自分の声を録音して自分の声を聞いた時点で、他人の声になっちゃってるのかもしれないですね。
匿名さん:あぁなるほど。あと人によってちょっと違うのかもしれないんですけど、私は多分歩きながらっていうのがミソだったんだと思うんですよ。
qbc:あ、そうですね。自然に囲まれてってのは要素として強そうですね。
匿名さん:自然っていう環境もあるし、体を動かしながらというのも必要な要素だと思います。
ほどよく体を動かしながら声を出すと、理性でコントロールされがちな意識がちょっと緩んで、無意識なことが声に出てきやすくなるんじゃないかなって。
スマホにイヤホンマイクという組み合わせで録音すると、体も動かしやすいし。新しいデバイスのおかげ、というのもありますね。
4、匿名さん
匿名さん:今、精神科の先生にもどういうことだと思いますかって、聞いています。専門家から見た自己傾聴ですね。noteのサークル機能も使おうと思っています。
喋ってることを聞き直すだけなんだけど、何を喋ったらいいかとか、どういう順番で喋ったらいいかとかを共有したり。
qbc:そうだ、どういったことを喋ってたんですか?
匿名さん:ある程度問いかけして、喋るんですよ。どんなことを話そうと思ってますか? 歩きながら話したいですか? それともお家の中でしたいですか? とか。
あと出来事から話していくのがいいと僕は思っているので、話したくなるようなもやもやみたいのが起きたのはいつですか? その時誰がいました? とか。そういう問いかけをすると、話しやすい。
qbc:なるほどね、ほんと面白い。こういうふうにシンプルにわくわくするインタビューって、あんまりないですね。
匿名さん:ありがとうございます。私も自分がインタビューされるのは初めてなので、新鮮です。
qbc:ちなみに、この自己傾聴は、こんな人におすすめとか、イメージがありますか?
匿名さん:若い人は自分の考えを自分で録音してよりも、他人に聞いてもらったほうが楽しいんじゃないかな。だから、ある程度年齢がいってからのほうがいいんでしょうね。アラフォー以降かなあ。
qbc:家庭で弱音を吐けない男性ね。社内でもある程度地位があって、まわりに言いにくくて溜めこんじゃう、働き盛りの男性。で、自殺。
匿名さん:そうですね。男性の方が他人に弱音を言えないイメージあるんで。そういう人の方がしっくりくるかもしれないですね。
qbc:それでは、ありがとうございました。
匿名さん:ありがとうございます。
あとがき
けっこうこの自己傾聴、ほんとよくできてるなと思います。実は私の場合、インタビューの録音を聞き返して、あ、自分てこんなこと考えてるんだなとか思い返してます。
自分の声を聞くのが嫌という人もいるかと思うのですが、私は全然平気というか、むしろ聞きたいほうです。自己顕示欲が強いんでしょうね。
自己傾聴という方法を使って、自分という輪郭を明瞭にする。自分という形が分からないと人間の神経は正常に動いてくれないんですよ。
ゆっくりと自分に帰っていくというか。必要なことですわ。
次回も楽しみにしていてくださいね。
編集協力:えつこさん
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