【無名人013】ハワイ在住のお医者さん米国ライフスタイル認定医
「無名人インタビュー」マガジンで過去インタビューも読めますよ!
今回ご参加いただいたのはLiMe1さんです!
note
▷イントロ
基本的に私はインタビューする時に別に緊張しないんですけど、今回はお医者様ということで若干緊張していました。そりゃ病気の時にはお世話になるけど、病院関係の人と個人的に話したことはあっても、お医者さんとは話したことがないなあと。
まあでも、なんとかなりました。
インタビュー実施は4末で、時にコロナ禍、ハワイ。ついついコロナの話を聞いちゃいそうになるも(結局ちょこちょこ話題にはなりましたが)、この無名人インタビューの本懐は時節に合わせたというよりもインタビューに参加された方の意見を聞こうというものですので、我慢しました。聞いたところで医療関係は書けないことが多いですし。
インタビューの全体像としては、お医者さんの業界事情、キャリア形成、それか対症療法的な医療から予防医療への潮流変化が読みどころでした(=私にとっての聞きどころでした)。
ではLiMe1さん、よしなに。
1、ハワイのお医者さん
LiMe1:どうもすいません急に。
qbc:いやいやこちらこそ。昨日の今日で、急に予定を立てていただきありがとうございます。
LiMe1:とんでもないです。
qbc:qbc と申します。
LiMe1:ライムと申します。
qbc:どんなインタビューにしましょうか?
LiMe1:笑。皆さんどういうことをお話しなるんでしょうかね?
qbc:毎回こういう流れになるんですけども、毎回バラバラですね。
ゆるーい感じです。私もあんまり考えてないですし。いきなり予定だけ相談するのも、私自身があんまり調べられないようにするためです。
今、ハワイにいらっしゃるんですよね? 時差ってどれぐらいなんでしたっけ?
LiMe1:時差19時間です。簡単に計算するなら、日本時間に5時間足せばよいです。
qbc:お医者さんなんですよね?
LiMe1:はい、医者をやらせていただいておりますね。
qbc:何年ぐらいやられてるんですかね?
LiMe1:日本で12年ほどやって、こっちでは7年やっていて、そろそろ8年目に入るところです。
qbc:どんなインタビューをイメージされていたというか、どんなことを期待されていたのでしょうかね。
LiMe1:企画が面白そうだなと。タイトルが面白くて。無名人インタビューっていう、掘り起こしてるような感じが。
あと、有名人だからインタビューするってちょっとおかしくないかというのは普通に思っていて。誰しもストーリーはありますので。聞けば面白いんだけど、発信するチャンスがある人とない人、それだけの違いなのかなと。
もちろん発信するチャンスは今の時代、ネットでたくさんあるんですけど、それをうまく発信できない人もいるので。
qbc:そう、自分からやるのはちょっと難しいんですよね。
でも人から聞かれると、丁寧に答えると言うか、自問自答するよりも楽に言葉が出てくるんですよね。
LiMe1:いや私本当にそう思います。
インタビュー受けてみたいと思ったのも、聞かれて答えようとするときに、自分の中でいろいろと考えがまとまるじゃないですか。そうするとあらためて自分のやりたいことがしっかりと見つめられて、認識できるようになります。
2、お医者さんのキャリア形成
qbc:どういう経緯で、ハワイでお医者さんをすることになったんですかね?
LiMe1:まず、医者でもですね、『すぐに専門が決まってこの分野で生きていく』というのが決まる人と、いろいろやってくうちに面白いと感じるものを求めて、『紆余曲折』じゃないですけど、模索しながら進んでいくタイプの、二つあると思うんですよ。
私は基本的に興味のある所へ進んでいってしまうので、サッカーでいうとボールのあるところにいつも集まってしまうタイプですね。で、自分が本当に何がやりたいのか、そういうのがわからない状態が結構長かったんですね。
もちろん大枠は決まっていて、例えば手術をするしないで言ったら、手術はなしで行こう、そうしたら内科だな、と選択はしていたんですけれども。
その中で、何に一番興味があり患者さんを助けられるか、を考えていく中でハワイを選びました。アメリカで医者をやると決めたのが8年前ぐらいでしたかね。
qbc:今はどういったところで働いていらっしゃるのでしょうか?
LiMe1:基本的には、大きな総合病院ですね。日本でもアメリカでもそうですね。例えば大学病院とか、基幹病院になります。地域の中で救急指定されているような。
大きい病院で働くか、小さい病院で働くかというのは、自分が何をしたいかによって違うんですけども。
大きい病院だからすべてが良いというわけではなくて、小さな病院でもドクター自身に使命感がしっかりとあれば、いろんなことができます。一方で、大きい病院でも、我々も会社員みたいなものですから、ただなんとなく上に言われたままの仕事をして日々を過ごすドクターも中にはいます。
qbc:さきほどの分野ですが、ちょっと私が知らな過ぎてですね、どういった分類なのでしょうか。呼吸を専門に診るとか、そういうことですかね?
(素人インタビューなので下調べはないです! すみません!)
LiMe1:日本にいる時は最初に内科を選びました。手術はしないので、基本的に、薬とか注射で治療するんです。内科の中に専門分野ごとの「科」があるんですね。例えば心臓を診る人とか、肺を診る人とか、胃腸とか。だいたい病院によって7個か8個くらいの分野に分かれています。
一般的には日本では、研修医の2年間は全部の科を診るんですね。ローテーションで科を移って。その後内科に進むと、内科の中で色々な科をローテーションすることが多いです。全体を見る総合内科的なトレーニングですね。広く浅くです。
そうしていく中で、段々と専門性を深めていきます。自分の好きなものが見つかったら、そこを深掘りしていくと。そういうシステムなんですね。
私は最初の4年間は内科医をやっていて、5年目からは呼吸器内科というところで肺を専門にしていました。
アメリカは、アメリカの国家試験を通っただけでは医者になれないので、もう1回研修医をやり直します。アメリカは全科をローテートせず、最初から自分の入りたい科の研修医になります。私は内科志望だったので内科の研修を3年間やりました。その後、専門を決めることになったのですけど、何でも診るっていうスタンスがまた面白いなと思って、そのまま総合内科医としてアメリカで働いています。
qbc:いやすみません、ただのサラリーマンでインタビューをしているので、色々勉強させていただいております。なるほどなるほどなって。
LiMe1:私も自分の中で考えがまとまっていくって感じで、面白いです。
qbc:お医者さんのキャリア形成がよく分かりました。最初広く浅く、その後専門性を深めていくのですね。
4、アメリカで勉強して、帰ってきて日本に伝える
qbc:肺に興味を持ったきっかけって、なんだったのでしょうか?
LiMe1:肺、呼吸器内科を専門にすると、色々なことができるんだなと思ったんですね。
内科の各分野の病気が、肺に起こるんです。例えばアレルギーもあるし、感染症もあるし、コロナウイルスなんかも感染症ですが、肺の中の血圧が高くなる特殊な病気とか、がんなど、一通り全部の系統の病気が起きます。そういうのが診られる科っていうのは限られていて、呼吸器科か消化器科とか、その辺りなんですね。
また、研修医の時に一番感銘を受けたドクターが感染症をやっておられてですね、感染症にすごい興味があったんです。感染症は、微生物による病気ですね。
日本でその当時、感染症科がある病院ってすごく少なかったんです。今からもう15年ぐらい前の話なんで、2005年前後。感染症専門の医者っていうのはいたんですけれども、感染症専門の科はあまりなかった。
だから、日本でまとまったトレーニングがなかなか受けられないので、感染症をやりたい人は、当時はアメリカに行ってアメリカの研修をやるのが流行っていたんですね。それでアメリカで感染症の専門医のトレーニングを積んで日本に帰ってくる。そしてその技術と知識を広めるということが、1995年から2005年ぐらいまで、大きなムーブメントとして、内科の中で盛んだったんですね。
今、感染症専門で有名になっているドクターもそういうキャリアを持っている人が沢山います。コロナウイルスの最前線で厚労省とチームを組んでらっしゃる先生ですとか。
アメリカで勉強して帰ってくるのが面白いなという気持ちが、この頃からありましたね。
qbc:なるほど。そういうムーブメント、業界動向がお医者さんの世界にもあるものなんですね。
LiMe1:そうですね。あります。
当時、同じ時期に総合内科でもムーブメントがありました。アメリカの内科医を育てるシステムなんですが、まずオールラウンドプレイヤーを作って、その中からちゃんと専門家を作っていこうと。日本でもシステムとしては一緒なんですけども、アメリカのシステムだと、結構バランスの良い内科医が育ちやすいんですね。
アメリカから帰ってきた方たちの影響が大きい時期だったので、総合内科いいよね、感染症内科医いいよね、という流れがあったんですよ。だから呼吸器内科を選んだのは、どうしても肺じゃなきゃ駄目というわけじゃなくて、感染症を診ることができて、呼吸器内科だと他の病気も十分診られて、オールラウンドの能力を維持していけるということで、呼吸器内科が、自分にはすごくやっぱりヒットしていたんですね。
5、感染症に興味を持つ
qbc:感染症というと、ついコロナについてのお話を聞いてしまいそうになるんですけど、聞いたところで書けないことがたくそうありそうなので、我慢しますね。笑
LiMe1:日本で内科医が感染症に興味を持つきっかけの多くはですね、おそらく研修医が終わって初めて主治医になった時、患者さんを自分の力で診るようになったいわゆる駆け出しのドクターが、治療して患者さんが良くなったと実感できるのが感染症だから、というのがあると思うんです。
抗生物質が時代とともに発達して、かなり感染症をコントロールできるようになった部分があるんですね。今回のコロナみたいに有効な薬が今のところない感染症はまた別なんですけども。いい薬が開発されて、でも使い方には結構センスが問われるんです。なんでも殺しちゃうような、どんな菌でも効くような広域な薬を適当に投薬しても、患者さんは良くなることが多いのですが。しかし、玄人好みなところもあって、この患者さんにはこの薬だろうと推測して、絞りすぎず 広すぎずみたいな渋い選択をして、それがバシッと決まるとですね、やっぱり同じように良くなるし、耐性菌とか、合併症も少ないんです。
薬の使い方をみると、この人は感染症よく分かってるなあとか、このドクターはあまり感染症を知らないんだなとか、センスが見えるんですね。洋服と一緒で、パッと見てこの人はセンスあるなぁとかダサいなぁとか、そういうのが薬の使い方にも見えてくるんですね。
qbc:な る ほ ど。職業としての医療従事者というかお医者さんの話を初めて聞かせていただいた気がします。
お医者さんのソリューションの一つは、例えばそういうことなんですね。
LiMe1:心臓の専門の先生は抗生物質はそんなに上手じゃない、だけど血圧の薬はやっぱりよく考えて出されていますよね。
そのドクターそれぞれのですね、得意分野、強みがあるんです。
その中で、若いドクターが初めて良い経験をするのが、感染症だったりするんですね。新人が診るのはほとんど肺炎とか尿路感染症とかが多いんですけど、抗生物質を適切に投与すればしっかりと治る患者さんが多いので、そういう時に「自分でも治療できた」「助けられた」という成功体験を初めてするのが感染症なんですね。
でも、薬の選び方だけではつまらないと感じるドクターもいれば、玄人好みの薬の選び方を覚えていって感染症治療の虜になってしまうドクターもいる。
当時、感染症が流行り始めたというのもあって、感染症のトレーニングをしっかり積んでいると、やっぱり内科医としてできる感じがするんですよね。
qbc:薬の発達も同時にあったんですかね。製薬のほうの。
LiMe1:発達したと言うよりかは、乱立していた時代というのが正しいかもしれないですね。
感染症を治す薬って開発費用がすごくかかるのであんまり儲からないらしくて、大手しかほとんど作らないですね。それで小さい製薬会社は似たような薬を作っていて、それで乱立していたような状態でした。
医学の研究はお金がたくさんかかるので、製薬会社さんと協力しています。そうすると、やっぱり利益の出にくい薬は世に出にくい事情があるんです。
製薬会社を持ち上げるために、あまり使いたくない薬を使うドクターもかつてはいましたね。やっぱりビジネスありきのところもあり。
qbc:医療とビジネス。一つの価値観だけで動かしていくのは難しいですよね
LiMe1:患者さんを助けたいという気持ちは同じだと思うんですけどね。
しかし同じ助ける行為なら、製薬会社も一緒に助けあっていこう、みたいなね。
でも、ビジネスだけじゃなくて、もっと社会へのインパクトとか、トータルで考えなきゃいけないし、バランスのいい見方をできるようになりたい。そう感じるところもあって、アメリカの医療を見てみたいなと考えていました。
6、アメリカの医療現場に入る
qbc:それではいよいよ、なぜアメリカ、なぜハワイ、というところをお伺いできればと思います。
LiMe1:内科の研修トレーニングを受けていた頃、一番影響を受けたドクターがいらっしゃるんですけれども、そのドクターがアメリカでトレーニングを受けていたんですね。
アメリカでトレーニングするとこうやって全体的に、色々なものを見られるようになるんだなと。感染症も相当詳しくてすごいなとか。憧れみたいなものですよね。それが研修が終了した後も結構残っていて、それがまず、アメリカ医療を見てみたいと思ったまず一つ目ですね。
あとですね、やはりデータですね。コロナの件でこの薬が効くかもしれないとか、そういうデータ出てくると思うんですけれども、そのデータはアメリカとヨーロッパが中心で、当時はむしろそこでしかデータが生まれてなかった時代だったんです。
日本のデータがすごく少なかった時代で、なぜこんなにアメリカはデータがたくさん出せるんだろうと感じていました。最先端の医療・医学のデータや知識とか研究結果は、アメリカの東海岸、ボストンの辺りで生まれます。その現場を見たい、医学の最先端、最高峰みたいなところで、実際にどんな医療をしてるのかっていうのに、単純に興味がありました。
それと最後にですね、感染症に興味があって呼吸器内科に進んでいたわけですが、呼吸器内科で一番診たのは肺がんの患者さんだったんですよ。
がんには感染症の知見も活きてくるんですけど、一方腫瘍内科というところだと、胃がんも大腸がんも乳がんも、と全部見るので、そちらにも興味若干あって。
感染症も診たいし、がんの患者さんも助けたい。それで、当時腫瘍内科になるにはやっぱりアメリカのトレーニングが良いというのもありまして。
それで、2012年頃ですね。そういった希望があってアメリカに行きたいなと思ったんです。
qbc:優秀な先輩ドクターへの憧れや、知的好奇心がエンジンになったと。
LiMe1:そうですね。その時に面白いと思ったことをとことんやりたいという気持ちです。そんなに先のキャリアを考えてなくて、色んなものに飛びついてしまうというところがあるんだと思います。
qbc:こう、まっすぐに専門を深めていくキャリアプランではなかったということですね。
LiMe1:内科とか外科とか関係なく、今成功しているドクター、例えば大学病院の教授とか、専門家の中の専門家と呼ばれている方たちは、ほぼ一つの事をずっとやり続けている人たちですね。いろんなことに興味をもって転々とするドクターが日の目を浴びることは、少ないです。
感染症を好きで始めたんだから感染症で行くべきじゃない? と言われましたし、でもやっりぱその時はがんの患者さんを助けたい一心で、何かできないかなみたいな、単純にそういう好奇心ですとか、自分の無力感ですね、全然助けられなくてここをなんとか強くしたいと思って、そういうところに飛びついてしまったと。
qbc:どういった経緯でハワイに決めたのでしょうか?
LiMe1:本当は東海岸、学術的に優れたところ、最先端のところに行きたかったのですが、英語のハンデですとか色々な問題がありました。ハワイは日本にも近いし、あと個人的にもその当時サーフィンが趣味だったので、ハワイがちょうどいいかなと思って。
ハワイは、わりと安全だし、生活費は高いですが、日本人も日系人も多いし、気兼ねなく生活できるのかなあ、という感じでしたかね。
qbc:ハワイでお医者さん、てお伺いすると、勝手に華やかなイメージを想像してしまうのですけど。
LiMe1:noteでハワイっぽさを打ちだすかどうか、迷っているんですよね。普通に働いてるだけなので。
リタイヤしてるわけでもないし、悠々自適でもないんですけども。
7、noteを始めたきっかけ
qbc:そろそろ終了の時間が近づいておりまして。
noteを始めたきっかけと、これからこんなことをしていきたいといったお話をお伺いできればと。
LiMe1:医者として、きちんとした情報発信をしていくのがひとつですね。
私は内科で始まって、感染症を入口にして呼吸器内科医になって、感染症からがんに興味が移ったりして、そして結局また総合内科に戻ったんですね。
その中で感じたのはですね、今われわれがやってる医療というのはですね、ある程度限界がある。治る病気ももちろんあるけれども、治らない病気も結構ある。
例えば高血圧は治せますかと言われても、高血圧の原因そのものがはっきりまだよく分かっていない。年齢やストレス、遺伝的なもの、食事などいろんなことが複合的にあって、何か一つの決定的な原因があるわけじゃない。
それに対して、ただ血圧が上がっているから下がる薬を飲むと。それって本当に助けてるのかなという疑問を持つようになったんですね。もちろん、血圧を下げるのは合併症の予防なんですけど。
感染症などは結構治せるものが多いのですが、非感染性慢性疾患、かつて生活習慣病と言われたような高血圧、糖尿病、太りすぎとか、そこから起こる心筋梗塞、脳梗塞、がんなんかにもやっぱり生活習慣、ライフスタイルがかなり関係している。
なので、生活そのものを是正すれば、そういう病気になりにくい体になっていく。
もちろん完全な原因の治療方法ではないのですけれど、とりあえず薬を出すみたいな医療じゃなくて、もうちょっと原因について考える医者というのがもっと増えたらいいなと思って。
qbc:興味深いお話ですね。
LiMe1:そういう予防の医療にシフトしないとですね、今後医療費がかかりすぎるんですよね。大きな病気になっちゃうと、心筋梗塞とか脳梗塞はものすごいお金がかかるんですよね。
生活習慣を変えることによって病気にならないかもしれない。そうするとものすごく医療費を削減できるんですね。
今のアメリカの医療のモデルは、病気になった時点で救うレスキュー医療が主体なんですけれど、それを予防メインの医療にシフトしていくと。
でもそれって、例えば製薬会社さんからしたらあまりやりたくないと思うんですよ。薬を使ってくれなきゃ困るよと。大っぴらにそういうことは言わないですけれども。
qbc:なるほど。
LiMe1:前置きが長くなりましたが、つまり若い人、30代とか40代の病気らしい病気になる前の人たちに、運動や食事の習慣を身につけてもらって、病気にならない生活をしてもらうと。
病気にならずにいれば、ずっとアクティブでいられるんですよね。人生も楽しくなる。病気になると、社会的にも損失が大きいんですよね。日本は高齢化社会になって、どんどん若い人の労働力が大事になっていくのに、その若い世代が病気になってしまうと困ってしまうと。
こういったことをちゃんと発信していきたいなと考えています。
健康の分野ってですね、正直な話、医者じゃない人の方がみんな知識があるんですよ。
医者は、病気の人の栄養や食事は分かっても、健康を維持する食事はどうしたらいいかって聞かれると、結構答えられない人が多いんですよね。
一方、非医療者で詳しい人はたくさんいるんですけれども、ともすると偽の情報とか嘘の情報、偽医療ビジネスで稼ごうって人もいるんです。そうすると、誰が正しいのか分からないじゃないですか。
そこをちゃんと、学術的・データ的な裏づけをしてあげれば、無駄に騙される人も減るし、社会にとってもいいと思うんですね。もちろん、科学的なことが全て正しいというわけではなく、再現性が高い、という意味しかないんですけれど。
qbc:ありがとうございます。ここが、ライフスタイルの部分をカバーするというところですね。
LiMe1:そうなんですよ。自分もやっぱり40歳を超えたぐらいから結構体調崩したりして、これは健康をちゃんと考えた方がいいなと思い始めて。
病気にならずに健康長寿の社会にしたほうが、生産的にもいいよねと。数年前からホットトピックになっていまして、そこに興味を持って、ライフスタイル認定医の認定試験を受けました。
今まで生活に関係する病気っていうのはいろんな分野にまたがりすぎていて、トータルで提供できる人がまりいないのですが、そういう総合的にバランスよく考えられる人を増やしたいなと思うんですよね
8、拡大と収縮の間をゆらぎながら進んでいく
qbc:なるほど、総合内科的な側面があるのですね。広く浅く診ていく視点が。
「未病」という言葉がありますよね。東洋医学で。
LiMe1:まさにその考え方だと思います。
西洋医学をやっている人を医者と呼ぶわけですけども、データを取って研究して再現性がある方法だけを採用する、他の人が真似しても似たような結果が得られる方法を使っていくと。
東洋医学はすごくいいアイディアですし、何千年も歴史があるわけです。むしろ西洋医学よりも歴史は長い。
彼らが言いたいことっていうのも、我々医者が目指しているものも、本質は一緒だと思うんですね。ただ言語が違うだけで。再現性とか求めないで、個人個人を診て、こういうやり方がいいんじゃないかとか。
東洋医学のことって、西洋医学の切り口では分からないというのが正直なところだと思うんですよね。科学的な手法で証明していないから、判断できない。診ているものが一緒でも、使っている言葉が違うんですね。
qbc:なるほどなるほど。
LiMe1:東洋医学は効果がないというわけではないのに、そこを勘違いする医者がとても多いんです。私はそこはすごく残念だなと思っています。
東洋医学の良いところはたくさんある。ただもう少し科学的な見方で、再現性があるやり方で、データが出てくると、もっと広まると思います。
東洋医学的なアプローチっていうのも、例えばヨガとかですね、東洋医学的なことを西洋医学が認めているものも出てきています。
私がやりたいことと言うのは、どちらかと言うと東洋医学に歩み寄って、でも西洋医学的な再現性というものも担保していくことですね。ここが保障されないと、詐欺まがいのニセ科学が蔓延してしまう。
qbc:結局、東洋も西洋も、同じものを違う角度から見て、それぞれ違う言葉で喋っているだけだと、私も思います。結果、求めていることは一緒だと。
LiMe1:西洋と東洋、どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、もっと統合して調和する方向で考えて行くと良いのかな、と思いますね。
qbc:ほんと、なんでこう仲違いみたいになってるんですかね。
LiMe1:やっぱりこう、フラクタルと言うか、収縮と拡大を繰り返してる感じですよね。
例えば医学もいろんなデータを取るためにね、臨床試験をやりやすくするために病気の定義を変えて患者さんの数を増やしてデータを取った時期もあったんです。でもそれだと結局わからないことが出てきて、その後また定義を変えたりとか、模索して進んでいくんですよね。拡大と収縮を繰り返すみたいな。歴史は動いてるなあと思いますね。
qbc:思想とかも、右に行ったり左に行ったりしてね。振れ幅を作りながら、その中間に落ち着いていくみたいな。ほんとなんでこんな両極に振れるのか。
あ、そろそろお時間ですね。今回、すごく知的刺激を受けました。ありがとうございます。
LiMe1:私も言語化することで、自分の考えがまとまりました。すごく良かったです。
▷インタビュー後
いやほんと遅くなってごめんなさい、ほんとうに、ただひらすらに、ごめんなさい。すべては私の怠けグセががががが。
ということで、LiMe1さんのインタビューでした。単純にお医者さんという職業について、その片鱗をお伺いすることができたのも良かったですし、予防医学についても非常におもしろい話が聞けました。西洋と東洋の歩み寄りというか、統合みたいないイメージは、文化人類学とかそういうところからのニュアンスは自分の中にはあったのですが、こう、身を持って実現していこうという人の熱のこもった話ぶりを前にすると、あらためてその西と東の壁がいかに厚いものか、そしてその壁を打ち破った世界を見てみたいという気持ちが強くなります。
先日の無名人インタビューで、中南米の教育と日本の教育の違いについての話になりましたが、こう、毎回毎回、ハザマの話になることが多いのかな、となんとなあく、なんとなあく思っています。ではまた次回で会おう! 次回もお楽しみにね!
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