書くことは、生きること。——コロナ禍を文章で生き抜いた『書くコトバカリノコト』作者モモナさんに聞く|文学フリマインタビュー
この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。
今回参加いただいたのは モモナ さんです!
屋号:おおきなきのした
作者名:モモナ
近刊本:「書くコトバカリノコト」
参加イベント・ブース:文学フリマ東京41・た-07
文学フリマカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo41/4F/%E3%81%9F/7
Webサイトなど:
X:https://x.com/momonasky
Instagram:https://www.instagram.com/momonasky
どんな本を出されているんでしょうか?
まりはな:屋号と作者名を教えていただけますか?
モモナ:「おおきなきのした」です。作者名はモモナといいます。
まりはな:今回出される本は、どのような内容でしょうか?
モモナ:「書くコトバカリノコト」というエッセイ本です。これは2020年6月から11月、コロナ禍が始まった後にnoteでエッセイを書いてた時期があって、その期間に書いたものをまとめた本になります。ほとんど身内だけが見ていたものを一冊にしたら面白いかなと思ってまとめました。
まりはな:この期間のことをまとめようと思ったのはどうしてですか?
モモナ:最近、エッセイで関わっている方から「過去に書いていたものも読みたいです」と言っていただいたのが一つのきっかけですね。
今回のエッセイ本の背景として、私が2020年の新卒入社の年だったので、卒業するときにコロナが始まって、新社会人になった時に緊急事態宣言が始まるみたいな感じの世代だったんです。新しい生活が始まると思ったら、世界にゴロゴロと飲み込まれていくような時代で。
新社会人として自宅待機みたいな状況になって、世の中の情勢と毎日生と死の狭間みたいな状況があった時に、自分を保つためにエッセイに昇華していて。それを身内とか周りの人が読んで「いいね!」って言ってくれたりしたこともあって、そのときに書いてたものを今回まとめています。
まりはな:新卒でコロナが始まった時は、どんな気持ちでしたか?
モモナ:最初は未知のウイルスってずっと言われてて、ちょっと他人事な目線だったんですけれど、緊急事態宣言とか、実際自分が外に出ちゃいけないみたいな状況になって。自分一人でどうにもできないっていうのがずっとあの半年ぐらいあって、自分が動きたいのに動いちゃいけない。世の中にすごく振り回された、あんまりしない経験でした。振り返ると、今だと書けない文章をすごく書いていた時期かなと思います。
まりはな:それはなんで、その時しか書けないって思われるんですか?
モモナ:昨日ちょうど読み返していた時に、やっぱり生きていたいとか、生きていくしかないみたいな、「生きる」っていうことが結構節々に書いてあって。今も書こうと思えば書けると思うけど、やっぱりこの時に毎日感じてたこととか、ずっと鬱々とたまる気持ちとか、すごくそういうのが文章で表れてるのを感じました。
まりはな:周りの人に見せて、いいって言ってもらったっておっしゃっていましたけど。
モモナ:もともと昔から文章とか感想とかもらうのはわりと好きで、親とかパートナーに見てもらったり、周りの感想をもらうのが好きなんです。当時から、noteで書いてInstagramのストーリーで「書きました」みたいな。
Instagramはほとんど友達とか関わったことある人としかフォローしてないので、昔バイトで関わった人とか、そういう人に「大丈夫だよ」って励ましてもらったり、友達が見てくれて「文章いいね」って言ってくれたり。それで人との関わりとかは当時は感じてました。
まりはな:エッセイを書いて、評価や感想をいただいた時はどんな気持ちでしたか?
モモナ:すぐスクショして、大事に保存したりしてました。当時のことを振り返ると、やっぱりずっと一人の空間みたいな。家族と住んでた時期ではありますけど、友達とは会えない、パートナーとも会えない、結局家族でずっといるって感じで。
それまで関わってきた人たちと今までみたいに会えないところで、人との関わりって何だろうってずっと考えてた時期だったので、SNSとか、自分が書いたことを読んでもらえる、まだちゃんと繋がりがあるんだなぁみたいな。逆にそういうのを確認して感じられた時だったかなって思います。
まりはな:今回の「書くコトバカリノコト」は、どんな人に読んでほしいとかありますか?
モモナ:私と同じように、コロナ禍に苦い思い出があったりする人は読んでほしいなって思います。今回、この中に書いてるどこかの一文でも「あ、わかるな」とか「こういう感情あったな」とかって共感してもらえたらいいなぁとも思います。
これまではどんな活動をされていたのですか?
まりはな:モモナさんにとって書くことってどんなことですか?
モモナ:今回タイトルが「書くコトバカリノコト」って書いたりしてるんですけれど、ずっと小さい時から文章は好きで、詩書いたり、短歌やったり、昔だとブログ書いたりとか。ずっと文章にしてきた人生だなっていうのは、本を作りながらも考えてました。書くことをしてなきゃ自分じゃないなぁとは思うかもしれないです。
まりはな:書いてる時はどんな気持ちになりますか?
モモナ:パーって筆が乗ってテンポ良く書けてる時は、意外とすぐ時間が経ってるみたいな感じかもしれないです。
まりはな:テンポが悪い時もあるんですか?
モモナ:ありますね。noteでは投稿のお題とかあったりして、やっぱりそれに沿って書けないなぁって一瞬止まった時とか、色々考えすぎてるんだなって思います。自分で書きたいと思ったものはテンポ良く書けるみたいな。「これを書かなきゃ」とか、義務的になりすぎていると「あ、違うなぁ」ってなる時があります。
まりはな:エッセイを書き始めたきっかけはありますか?
モモナ:この2020年の時期は、明確にエッセイっていう言葉を自分で理解して書いてた時期かなとは思いますし、多分振り返れば中高生ぐらいもエッセイとか書いていたと思いますけど、世には何も出してない。書き始めたっていうと、2020年ですかね。
まりはな:それはどうして書き始めたんですか?
モモナ:やっぱり書かなきゃ自分の中の感情が整理できなかったというか、文章で吐き出さないとやってられなかったっていう感じですね。
まりはな:どうして文章っていう手段を選んだんですかね?
モモナ:小っちゃい時からずっと小説とか読んできましたし、本が好きで、大学の学部とかも出版関係を学べるところに行ってたので、ずっと自分のそばにあるというか。喋るのはあんまり得意ではないほうなので、だからこそ文章だけは褒められてきたりとか、親からも「お前の文章はすごいなぁ」とか言われてきたり。周りから反応をもらえるのが文章だから、それをずっとやってきてるって感じです。
まりはな:文学フリマに出展されるのは何回目ですか?
モモナ:次が二回目です。今年の5月の東京が一回目でした。
まりはな:どんなブースですか?
モモナ:実は、2019年ぐらいにコミティアに一回出たりしてて、その時から「おおきなきのした」ってブース名で変わらずやっています。ちょっと丸い、ちっちゃい木みたいなのをブースには絶対置いてます。
まりはな:どうしてですか?
モモナ:「おおきなきのした」ってブース名をつけるきっかけが自分で撮った写真で。国営昭和記念公園のでっかい木を撮ったフィルムの写真が私は好きで、それをブースの写真に使おうって決めて。イベントに申し込む時、ブース名って絶対書くじゃないですか。ブース名ってなんだろうって思いながら、申し込む時に決めたのが「おおきなきのした」って名前で。人が集まる場所みたいな感じ。あとはよく昔CMでやってた「この木なんの木」みたいなイメージがあって。
自然が割と好きなので、「おおきなきのした」ってところから連想させて、木の置物置いといたらいいかなって感じで置きました。それが目印になってるみたいな。ブースに敷いている布も青っぽい、ちょっと目立つ色なので、これも目印にしてもらえれば。

まりはな:文学フリマの魅力ってどういうところにあると思いますか?
モモナ:お客さんとして行ったことがなくて、一回目も「こういうのがあるんだ、じゃあ出てみよう」みたいな感じで申し込んだので、ちょっと出店側での目線にはなってしまいますけど。もちろん昔に参加したコミティアとはまた違う魅力だったり、でも広さはほぼ一緒ぐらいですかね。コミティアの時はやっぱり漫画とか絵描く人が多くて、文学系って逆にちょっと少ないのかな?みたいな印象だったんですけど、文学フリマの場合は本当に文学、文字書きの集まりのイベントなので。
「こんなに世の中に文章を書く人がいるんだ。普段はどこに隠れてるんだろう、この人達?」っていう気持ちと、自分も創作意欲が感化されるというか。ブースとかチラッと覗いてても、「あ、こういうやり方あるんだ」とか「こういう装丁とか、こんな作り方するんだ」とか。やっぱりそういう目線ですごく今後の自分に活かせる場所みたいな、そういう場所があるのはすごいなぁって思いますね。
まりはな:前回参加してみて、一回目はどうでしたか?
モモナ:文学って言いつつも、グッズ売ってる人とか、雑貨系を売ってる人もいるんだなっていうところもあったり、夏前ぐらいだとZINEが流行るみたいな、結構その最中の感じだったので、エッセイ増えてるんだみたいな感じの印象ですかね。あとはめちゃくちゃ来る人の数も多いなぁっていう感じで。上と下の階に分かれていて、どっちも規模がでかいので、すごいなって。どれだけの人が関わってやってるんだろうと。
まりはな:その時どんな気持ちで出展されていましたか?
モモナ:昔、コミティアの時は詩とか短歌とかやってたんですけど、そんな感じで作ったものをまとめて、文学フリマでも出せればいいかなぁぐらいの感じで一回申し込んでいて。その後にnoteでエッセイを書き始めて、順番がごちゃごちゃの中で、申し込んだ時と出してる時は全然状況が違うんです。
ブースで出てた時は、エッセイまだ書き始めたり、ちゃんとやり始めたばっかで、4月ぐらいにnoteの投稿企画で賞をいただいたりとかしちゃったもんで、結果だけが先に自分に来て。使えるもんは使うかと思って「賞を取りました」とかボード出したりして。通り過ぎる人に「おぉ」とか、分かる人は「すごいね」って言ってくれたり。でも、みなさん足早だなぁと思いました。目的があるんだろうっていう感じです。初めての場所ながら、止まる人もいれば、やっぱり通り過ぎる人も多いな、難しいなあと思いました。
イベントへの意気込みをお願いします!
まりはな:経験を踏まえて、今回はこうするとかありますか?
モモナ:6月のZINEフェスとかも誘っていただいて出したりとかもしてて。ZINEフェスやお客さんとして参加してみたりとか、色んなブースをこの半年ぐらいは研究してました。今回は見本誌を分かりやすく出したりとか、レイアウトとかもちゃんと事前に準備しておきたいなって思ってます。
見つけてもらうために宣伝もXでやってて、やっぱり皆さん優しいのでリツイートとか、いいねもくれたりっていうのがあるので、あんまり同じ投稿をしてもよくないのかなとか、ちょっと手探りしています。宣伝しつつ、来てくれる人が前よりちょっと増えてたらいいなと。
まりはな:今はどんな気持ちですか?
モモナ:本が出来上がったんで一旦は出せるなぁという気持ちですけど、まだ準備が足りてないかもって気持ちと、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃっていう一週間前ですね。フリーペーパーとかどうしよう、名刺作った方がいいのかとか思いながら。
まりはな:文学フリマの意気込みをお聞かせください。
モモナ:今回の作品は、書き下ろしが少しありますが、やっぱり自分が過去に書いてきたものを一旦取りまとめてるっていうものではあったりするので。最近、私のエッセイを読んでくださってる方とかは、ちょっと違う文体かもって思うところもあるかもしれないんですけど、どちらかと言えば今よりテンポがいいのかもしれないっていうところもあるので。
少しでも気になってる方がいればブースにお越しいただいて、見本誌も置いてるので、一旦読んでみて、直接お話もして。その先に、持ち帰ったり大事にしてもらえる本になったらいいなと願いつつ、準備を頑張ってます。
まりはな:テンポが今よりいいかもっていうのは?
モモナ:当時は自分の言葉をそのままって感じで書いてたので、やっぱり今よりちょっとだけ文章の使い方がキュッとしてる感はありますし、文章の流れもいいですし、共感してもらえるエッセイが一個ぐらいあるかなって。割と自分でもよくまとまったかなと思います。
まりはな:今回持っていくのは「書くコトバカリノコト」の一冊ですか?
モモナ:あとは5月の文学フリマでも出してた「いつかのひらつか」っていうエッセイ本と、過去にコミティアで出してた写真と詩を合わせた写真詩集の「あけないよはこのなか」も在庫が残ってるので、三冊ですね。
まりはな:簡単にあと二冊もお話をお聞きしてもいいですか?
モモナ:「いつかのひらつか」は、一昨年ぐらいにパートナーが平塚に転勤になって、私は実家が千葉にあって、たまに遊びに行くみたいな感じの一年間があって。その時にあったこととか、平塚で海行ったりとか、鳥貴族で彼氏と友達と飲んで泣き晴らした日とか、そういうちょっと面白いエッセイがまとまってる一冊です。もう一個、写真詩集の「あけないよはこのなか」が、大学時代に撮ってたフィルムの写真とか、書き溜めてた詩を組み合わせて作った本って感じです。
まりはな:最後に言い残したこととか、これは伝えておきたいこととかありますか?
モモナ:今、自分がこうやってエッセイを書いてるのは、やっぱり読んでくれる人とか、家族とかパートナーのおかげなので、そこだけは感謝をして、っていう感じですね。これからも書き続けていきます。
インタビューを終えて
コロナ禍2020年の半年のエッセイを1冊の本にまとめたというモモナさん。当時の気持ちをエッセイにすることで消化していたそうです。小さい頃から文章に親しみがあり、「書いていなければ自分じゃない」というお話しが印象的でした。
インタビューを終えて、同じ時期に、ときどき日記が挟まるtodoリストを書いていたことを思い出しました。受験生でした。久しぶりに読み返してみて、受験までの時間、残された時間をすごく強く意識していたところに私の2020年を感じました。気付けば2020年から5年も経っているんですね。1人1人それぞれの2020年があった。それを知ることで、人と会わないことを選択した(選択せざるをえなかった)当時の自分に、いろんな人と会わせてあげられるかも、と思ったりしました。
これまで文学フリマインタビューをさせていただいて、締切があるから頑張る、頑張れるという方が多い印象でしたが、モモナさんはテーマがあったり、書かなければならないと思うとテンポが悪くなるとお話しくださいました。何にも縛られることなく、テンポ良く書いたエッセイ。文学フリマは「文字書きの集まり」というお話しもあり、「書く」ことを大切にしている方による、こだわりの作品に出会えるのが文学フリマの魅力だと改めて感じるインタビューでした。
【インタビュー・あとがき:まりはな】
制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)
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