サブカルを糧に、90年代音楽と文学を紡ぐ——DTPと音楽制作で形にする物語「ポルノ・愚・LAUGH」作者に聞く|文学フリマインタビュー
この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。
今回参加いただいたのは djapon(ぢゃぽん) さんです!
屋号:DOKUDANSHA
作者名:djapon(ぢゃぽん)
近刊本:「ポルノ・愚・LAUGH」「STILL… 〜心に茨を持つ中年〜」
参加イベント・ブース:文学フリマ東京41・Q-17
文学フリマカタログ:https://c.bunfree.net/c/tokyo41/1F/Q/17
Webサイトなど:
X:https://x.com/djapon
Instagram:https://www.instagram.com/djapon_djapon/?hl=ja
どんな本を出されているんでしょうか?
qbc:屋号と作者名を教えていただけますか?
djapon(ぢゃぽん):DOKUDANSHA(ドクダンシャ)という名前で登録してます。完全に私個人一人で出店するので…出品は自作の小説になります。ペンネームはdjapon(ぢゃぽん)でやってます。
qbc:どんな本を出されるんですか?
djapon(ぢゃぽん):noteの方に連載という形で分割して掲載したもので、一つは「STILL…(スティル)」というタイトルの小説です。音楽に関する恋愛小説になってます。今日ちょうど製本して印刷が上がってきたのが2作目の「ポルノ・愚・LAUGH(ポルノグラフ)」という小説になります。
2作とも文庫本、A6の文庫本で販売しようと思ってるんですけど、私は本業がDTPオペレーターなので、自分で組版してレイアウトして、表紙とかカバーとか全部デザインしてデータ作って、完全データで印刷所に納入することができました。この「本を作りたい。」「文庫本で、文字組を自分でやって作りたい。」っていうところがまずあって、内容は後で…っていう感じでもあるんですけれども。
qbc:内容も聞かせていただいていいですか?
djapon(ぢゃぽん):1作目の方は、自分が音楽が趣味で、半分仕事でもあるんですけれども、90年代のブリットポップとか、オアシスとかが好きな人達が見たらわかる、いろんな小ネタが入ってます。主人公が森石(もりいし)っていう中年男で、真亜子(まあこ)っていう若い女性ライターと出会う話なんですけれども。これが森石と真亜子で、「モリッシーとマー」…The Smiths(ザ・スミス)っていう80年代のバンドのフロントマンのモリッシーとマーが出会ってバンド結成するっていうストーリーのオマージュになってるんですよね。
各章のタイトルが当時の90年代のブリットポップの実際の曲名を使ってまして、曲のタイトルと内容が連動するようになってます。
qbc:どういう感情を催させるというか。
djapon(ぢゃぽん):やはり自分と歳が近い人物を主人公にしましたので、中年の悲哀というか、いつまでたっても大人になりきれないっていう50前後の男が若い女性ライターと出会って、音楽に対する新鮮な気持ちとかを呼び戻したりとか、それでもう一度やる気を出すというような話ですね。
qbc:組版の方でこだわったところってやっぱりあるんですか?
djapon(ぢゃぽん):そうですね。縦組の文字組みで、この文庫のサイズでちょうどいい長さで…最初から章立てを決めまして。全10章で、プロローグとエピローグ入れて12話で、一話16ページぐらいなんですよね。それで一話一章ぐらいな感じで合わせれば、大体これぐらいの厚さの本になるだろうっていうので、文量とかも計算して逆算して書いていったっていう感じです。
qbc:こういう人に読んでもらいたいとかそういうイメージってあります?
djapon(ぢゃぽん):やっぱり自分と年齢が近い人で、今の音楽にあまり乗れない、でも90年代とか、80年代後半からのサブカルチャー、日本のサブカルチャーをこじらせて、なかなか大人になりきれてない自分のような人間には共感していただけるんじゃないか、と思って書いています。
こちらの本の帯コメントを、ジャズミュージシャンの菊地成孔さんに書いていただいたんですけれども。菊地成孔さんの主催してる新音楽制作工房っていう音楽制作集団があるんですが、そちらの一応メンバーに自分も入ってまして、音楽制作もやってるところです。
qbc:音楽制作っていうのはどの程度されてるんですか?
djapon(ぢゃぽん):楽曲を提供したりとか。近いところで言いますと、岸辺露伴の映画のサウンドトラックに曲が収録されたりとか、これからも予定されている…いろいろなシンガーの方に曲を提供したりっていうことですね。一応DTMっていうか、パソコンの中で自分で完結して、ミックスまでやって納品するぐらいの制作ができるということです。
qbc:音楽自体はどれぐらいされてるんですか?
djapon(ぢゃぽん):制作自体はここ10年ぐらいですね。昔からやりたかったんですけども、楽器演奏とかが下手なので技術が追いつかず。菊地成孔先生は音楽理論を私塾(ペン大)で教えてまして、ジャズのバークレーメソッドっていうコードから組み立てていくような音楽理論を教わりに行って、それの最終課程まで行った人たちが今集められて「新音楽制作工房」っていう名前で、みんなそれぞれ完全なプロではないんですけども、音楽制作できる人達の集団になっていまして。そこ(ペン大)に10年ぐらいかけて通ってたので、自分も仲間に入れてもらったっていう感じです。
これまではどんな活動をされていたのですか?
qbc:本を出すこと自体っていうのは、これまでもされてきたんでしょうか?
djapon(ぢゃぽん):今回これが初めてで、今日出来たばかりのこれが2作目になります。高校の頃文芸部とかだったので、ちょっと短編書いてみたりとか、シナリオの学校行ってちょっと勉強してみたりとか、書くことにはもともと興味はあったんですけれども、なかなか一つの作品を完成させるというところまではいかなくてですね。
今、やっぱりChatGPTとかAIがすごい進化しましたので、自分一人で頭抱えてうなってると全然進まなかったものが、ChatGPTを編集者に見立てて相談しながら、プロットはどうだろうとか、こういう言い回しはどうだろうとかセリフ、これを変えた方がいいんじゃないかとか相談しながら進んでいったらどんどん進んでいって、「あ、これならなんとか一作書けそうだ。」ということで、まずは最初に自分が一番興味のある音楽の話を書きたいと。この主人公のセリフを借りて、自分がちょっと音楽やらに関するするウンチクとかそういうのを入れて、ほんと自己満足ではあるんですけれども、分かる人はわかるんじゃないかなっていうので、共感してもらえないかな〜と思って1作目を出しました。
qbc:書くこと自体はどれぐらいの距離感で来られたんですか。文芸部から今までっていうのは。
djapon(ぢゃぽん):いずれ年取ってからとか、時間ができたらっていう感じで。ずっと小説家を目指して鍛錬してきたわけではなくて、むしろここ10年ぐらいは、音楽制作の方に力を入れてましたので。ほんとに今年に入って急に、3月ぐらいにこれを書き出しまして、で1冊出て、夏ぐらいからこの2作目を書き始めました。
この2作目もですね、自分が興味のあるお笑い芸人に…ちょっと憧れがありましたので、お笑い芸人がAIを使ってネタを作るっていうやり取りみたいなものを、ちょっとメタ構造にして書いたものになります。
qbc:今年書き始めた理由って何だったんですか?
djapon(ぢゃぽん):ChatGPTが大きいですね。自分一人じゃなかなか進まなかったものが、とりあえずPCに向かって思いついた部分部分だけでもこう投げておけば記録もされますし、それに対する反応とかも返ってくるので、一人でいろいろやってるよりは、壁打ちの相手というか、言葉投げかけると反応が返ってくるので、それでやっぱりモチベーションが続いたっていうところが大きいですね。
qbc:GPTはどういう順序だったんですか?書こうと思ってそれに接近したのか、使っててこれもできるんじゃないかみたいな、どういう流れだったんですか?
djapon(ぢゃぽん):最初はやっぱりAIというものはどういうものか、ChatGPTとはどういうものか。単純な質問・検索に使ってましたけども。やはり言葉の精度が…だんだん進化してて高くなってきたので、これはやっぱり創作に使うのがいいのではないかっていうふうに途中から思いまして。「前からこういうプロット考えてたんだけど、どうかな?」みたいな感じで投げ始めたっていう感じですね。
qbc:書いてみて、自分にとって書くことがこういうことだみたいなのって生まれましたか?
djapon(ぢゃぽん):一応このまだ2作しか書いてないんですけれども、やっぱり…友人も多い方でもなく、特にこの90年代サブカルチャーに傾倒した人間ってのが周りにいないので、音楽の話とか、映画の話とか文学の話とかをする相手がいないんですよね。こう「日頃からこういうのが面白いと思ってて、でも世の中にはこういう音楽とかこういう文章はあんまりないよな。」と思ってて、これを世に問いたい。「こんなことを面白いと思ってるんだが、それは果たして俺だけなんだろうか?」っていうのを問いたい、という気持ちの方が強いですね。
だからまあ今のところ、まだ読者のためにとか、サービス精神で人に読んでもらうための文章というよりは、「まず自分はこれが面白いと思ってるんですけど、どうでしょうか?」っていう感じで書いてます。
イベントへの意気込みをお願いします!
qbc:文学フリマの参加する気持ちってどんな感じでしょうか?
djapon(ぢゃぽん):とりあえず前回、自分は出店してないんですけれども、友人が出店しまして、それを見に行くっていう形で会場に行きました。やっぱり小説書いてるのも自己満足なんですけども、並べてお店屋さんごっこじゃないですけども、書店ごっこみたいなのをやりたい人がいっぱいいるんだなと思って。
自分の作品が評価されるとか売れるって…もちろん売れたら嬉しいんですけども、やっぱり最初はこの本屋さんの真似事を自分でもやってみたいっていうのが。今回初めて出店するので、「そういうのをやりたいからには、オリジナルの商品というか、コンテンツを出さないといけないな。」と思って、それに合わせて一生懸命この本を、物としても、ちゃんと手に取ってもらえるようなものを作ろうということでやってきた感じですね。
qbc:文学フリマの魅力とはなんでしょう。
djapon(ぢゃぽん):世間の流通にのってないけど、(個人の)思いが詰まってるものがあるので、それに出会える可能性が高いというので。そういうものと出会える楽しさっていうのがあるんじゃないかと思ってます。
前回もnoteで「#出店します!」っていうハッシュタグとかついてるところを見て、「いいね!(スキ)」とかして、ブースの表みたいなところにチェックつけてから行って。「note見てきました。」っていうと、喜んでもらえるので。そうすると、挨拶代わりにちょっと安い冊子なり何なり1〜2冊買って…っていうので。ちょっとコミュニケーション取ろうかなと思って、いろいろブース回ってみたんですね。他の人がどういう感じで出店されてるのかを見て、自分だったらどうしようかな…っていうのを、イメージしながら歩いて回りました。
本の内容もそうですけど、やっぱりこう…(前回購入した本を見せながら)パッケージとか売り方とか、見せ方とかっていうのはすごく気になってて、色々面白いものがありましたね。無料で配られてる方もいますし、CDジャケットの形をした冊子みたいなのとか、紙質もマットな紙質で出されてる物とか、中身もこう…読みやすい。非常に参考になるものを。文芸誌みたいなパロディみたいな感じで、一見お堅い評論集みたいな感じで出してたりとかいうのもあって、やっぱりこの中身もそうですけど、パッケージとして面白いみたいなものがやっぱり手に取りたくなりますね。
qbc:最後に読者へのメッセージをお願いします。
djapon(ぢゃぽん):どちらもAIを使って書いてはいるんですが、そもそもがやっぱりもう50過ぎまして、ずっと鬱屈した思いを抱えてきてまして。「自分はこれが面白いと思ってるんだけれども、こういうのがいいと思ってるんだけども、それに共感してくれる人が果たしてどれぐらい居るのか?」っていうのをずっと抱えてきましたので、ようやく形にすることができましたので、ぜひ手に取ってもらって。「あ、私も僕もそう、そう!」とか、「その音楽聞いてた!」とか、「そういうお笑いが好きだ!」とか、「この時代そういうの流行ってたよね!」っていう共感を少しでも得られればと思っています。
インタビューを終えて
同世代だった。。
インタビュー担当・制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)
過去の文学フリマインタビューはこちらから!
文学フリマインタビューご参加はこちらから!

いいなと思ったら応援しよう!
いただいたサポートは無名人インタビューの活動に使用します!!