見出し画像

やりたくないことは本当にやりたくなくて、やりたいことだけで生きたいkindleで培養肉入門の本を出した今コケ好きの人

培養肉肉肉肉肉肉苔苔苔苔苔苔! ということで、はい! 新しいテクノロジーシリーズ回です。といっても、そんなシリーズないんですけどね。もしかしたら! これからできるかもしれないけど。。
ということで培養肉についてみなさんご存知でしたか? シンプルに面白いですね。食料難については、タンパク源として昆虫食など出てきたなーとか思ってたんですが、そうか培養肉というのもあるのかと。しかもこれ動物殺さないんだとか、思想を変えるくらいにダイナミックな変化をもたらすものだと思います。詳しくはインタビュー本文にgoしてみてください。
そして、培養肉研究に携わっている今回の参加者の方のパーソナリティについても触れたお得な今回の無名人インタビュー。イネさんのインタビュアーデビュー作でもあります!
わー! デビュー!!!
ということで今日の無名人インタビューも、よろしくお楽しみくださいませ!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは 石井金子 さんです!

培養肉をもっと知って欲しい

イネ:今、何をしていらっしゃる方ですか?

石井:あんまり、素性をオープンにしてなくて。培養肉のkindleも匿名で書いてるので、あまりバレたくないっていうのが根本にありまして。
今、サラリーマンの研究職として培養肉の事業に関わってます。培養肉含めてフードテックですね、そういうのに関わってまして。
この業界にいる人って限られてるので、詳しく言えば言うほど見つかっちゃうんです。

イネ:本を書かれたきっかけというのはございますか? 

石井:そもそも入門書みたいなのがなくて。ネット記事は結構培養肉に関してゴロゴロ転がってるんですけれども。本として体系立てて、かつ一般の人に向けた本がなかったんですよ。
培養肉って、将来、今のお肉に取って代わるものになるので、そうなると、もう全国民というか、全人類が関係してくるトピックなんですよ。
でも、今出てる本が、1冊翻訳本が出てるかな。海外で出版された培養肉についての本が翻訳されて日本で出てるんですけど、それって200ページぐらいあって。しかも、結構内容も難しめなんですよね。ビジネスマンとかが読むなら別にいいんですけど、主婦とか高校生とか中学生とかが読むときに、とっかかりとしてはすごく難しくなってまして。
ただ、みんなが関わるトピックになるので、入門書で、簡単に「培養肉はこういうものだよ」っていうのがわかる本を作っとこう、というのが出した目的ですね。

イネ:石井さんは、なぜ培養肉を研究されることになったんですか? 

石井:そもそもお肉が好きで。お肉、食べるのがめちゃくちゃ好きなんですけど。でも、いいお肉って数が限られてて、品切れしちゃうんですね。
僕、元々結構高級な焼肉屋さんでバイトしてたときに、やっぱりA5ランクとかのお肉って、出れば出るほど、すぐ切れちゃってなくなっちゃうんです。そもそも仕入れ数が少ないので、数自体が少なくて。
だから、美味しいんだけど、数が少ないっていう問題があって。このお肉を際限なく食べたいとなったときに、じゃあどうするかっていうのを考えて、私は理系だったので。そのとき、ちょうど培養肉がニュースに取り上げられてた時期でした。
5-6年前です。そのときに、培養肉を知って、これなら無限に食べたいお肉が作れるじゃんっていうのに気づいて、そっから入りました。なので始まりは、食い意地から培養肉に関わってますね。

イネ:そもそも、食べることがお好きだったんですか? 

石井:大学生のときに、まかない目当てで高級な焼肉屋さんにバイトで入ってみたいな。大学在学中、ずっと焼肉店で働いてたんですけど。
お肉っていいなと思って培養肉のことを知りました。もうちょっと培養肉に近いことをできないかなって思い、大学院に進学しました。そこからそのまま、培養肉の研究、フードテックの研究に携われる会社に入りました。今、幸いにもそういうフードテック関連の仕事をできているというところですね。

イネ:培養肉とかフードテックに関わる仕事をするということは、大学の時点ではまだ決まっていなかったんですか? 

石井:そうですね。大学3年生ぐらいのときに就活するか、大学院に進学するかって考えて、やっぱりもうちょっと技術的な研究をしたい、と。知識としてもやっぱりまだまだ身につけたいっていうのがあって。何をテーマに取り上げるかってなったときに、やっぱり培養肉に関連する技術あたりを勉強しようと思って進学したっていう形。
大学3年生の終わりぐらいに初めて培養肉を知るまでは、ダラダラ大学生をしてました。

イネ:大学では、何を学んでらしたんですか? 

石井:大学では、一応栄養学ですね。

イネ:食に関する学部ではあったんですね? 

石井:一応、農学部だったんで。
農学部に入ったのも、やっぱり食に一番関心があったからっていう、ふわっとした理由で入りました。
スポーツもやってたんで、スポーツ栄養学じゃないですけど、そういうのに興味があって、そっち側に行ってた。

イネ:もう少し大学以前の話も伺いたいなって思うんですけど。
幼少期ですとか、小学校、中学校、高校時代は、どんな学生でしたか? 

石井:ずっと部活でしたね。小中高でずっとバスケットボールやってて。小学校もバスケやって、中学校もバスケやって、高校の進学先も市内で一番バスケ部が強いからっていう理由で、その高校に進学して。だから、もう高校までの生活の中心は、全部バスケットボールでした。

イネ:大学もバスケを中心に、とはならず? 

石井:高校で燃え尽きちゃって、もう大学はいいかみたいな。

イネ:栄養学を選ばれた理由は何かあったんですか? 

石井:農学部って結構幅広くて。科学系のことやってたり、動物系とか植物系とかいろいろあるんですけど、そっちにあんまり興味がなくて。バスケットは高校でやめたんですけど、筋トレとかは普通に大学に入ってもしてたので。選択できる研究室の中で、身になるし、栄養学、ちょっと学んでおこうかなみたいな。
一生ものというか。ここで一回学んどけば、自分は今後、間違った栄養学の知識は取り入れないだろうなっていうのがあって。自分の今後の体のために、健康のために、栄養学を選びました。

イネ:栄養学を学ぶ方って、その後、どういった職に就かれる方が多いんですか? 

石井:栄養学を学んだとしても、みんな普通に食品の研究職とかに行って分析してたり、食品の会社で総合職で、適当なとこ振られてたりみたいな。
だから、栄養を学んだから、どこどこに行けたみたいなのは、あんまり関係ないというか。農学部卒業したら、大体そういうとこに行くよねっていう感じですね。

イネ:そんな中で、培養肉という1つ情熱を注げるようなトピックを見つけられたっていうことは、幸運だったんですかね? 

石井:そうですね。あんまり打ち込めるものが大学時代もなかったので、ふわっと生きてたので、なんか1つ、コンテンツができたなみたいな。
培養肉を学び始めたは、大学院に進学するときに研究室を変えまして。もうちょっと筋肉とか食肉に近い別の研究室に移って、栄養学をやってたんですけど、大学のときの栄養学の内容が、食べて脂肪を減らすことが中心で。でも、自分は脂肪を減らすことに全然興味がなくて(笑)その当時の自分は大学生で若くて、しかもしっかり筋トレとかして健康的でもあったので、基本、運動しとけば肥満にならないんですよ。
でも、肥満になっちゃう人は、そもそも運動が嫌いとか、運動する時間がない人。脂肪を減らすっていう栄養学は、そういう人たちが楽して痩せるためのものなんですよ。
それが全然理解できないというか、共感できなくて。これはやれん、と。大事なんですけど、別に運動で解決できるじゃん、運動すればいいじゃんっていう結論になっちゃったので、栄養学の研究はあまり身が入らず。知識としては楽しかったんですけど。

イネ:やっぱり、お肉もしかりですが、好きなものを好きなだけ食べたいっていう思いがあるんですかね。

石井:ですね。

イネ:良いお肉は、生産量が限られているけど、好きなものは好きなだけ食べたい。そうなったときに、培養肉が1つの突破口になるんじゃないかって思ったんですね。

石井:あと、僕、農学部だったんですけど、フィールドワークがすごく嫌いで。農学部って、結構外に活動に行く研究室もあるんですよ。それこそ、肉が食べたいなら畜産業しろよって言われたこともあったんですけど。畜産業って3Kな仕事と言われているじゃないですか。
そういうのが自分としてはすごく嫌で。僕が大学に進学するときに、バイオテクノロジーが、言葉として流行っていたときだったので、研究室で何かやってるのがすごいかっこいいと憧れたんですね。だから、漁師、畜産、農家とかは、自分の性格的に違うなと思ったので、そういう道には行きたくなくて。それでも、食べ物を作りたい、生産したいってなったら、フードテックっていう、新しいテクノロジーを用いて食糧を生産する方法を研究しようとなりました。

イネ:お答えできる範囲でいいんですけど、培養肉で、今、どういった研究をされているんですか? 

石井:培養肉は、たぶん実現化するのって、2025年か2030年ぐらいで、まだ発展途上な技術なんですよね。何で例えると分かりやすいかな。
値段を考えなければ、実現度は70%近いんですよ。でも、今売り出すと、たぶん100グラム1万円とかになっちゃうんですよね。でも、それだとやっぱり売れないし、すごい効率悪いんで、もっと安くしていこうと。
食肉って生活必需品なので、安くないと消費者に受け入れられないと分かっているので。今、鶏肉とかもすごい安いじゃないですか。100グラム100円切るところまで。こっちは、すごい機械とかをめっちゃ使って、効率よく作ろうとしてるんですけど、そこまで下げなきゃいけないのは、かなりハードルが高いんですよね。値段まで考えると、進捗度は30%とかになっちゃう。

イネ:大学とかスタートアップ企業とかが研究をしているんですかね? 

石井:今、結構日本でも取り組む企業が増えてきてます。大学を中心として、そこに企業がどんどん入ってきてるみたいな。一緒に共同研究しましょうっていう感じですね。日本で培養肉に取り組もうとしている企業は、わりといますよ。
実際に取り組んでいる企業が10社いかないぐらいで。お金とかの援助も含めれば、20社近くありますね。
培養肉は、将来的に今のお肉にそのまま取って代わるので。今のように、動物からお肉を取るということがなくなって、ほとんどが培養肉に置き換わるっていう可能性を秘めてるんですよね。
そうなると、市場が食肉市場そのものになるんですよ。食肉市場って今、世界中で250兆円ぐらいあって、かなりでかい規模なんですよね。かつ、今後も成長していくことが見込まれているので、投資対象になってますね。

イネ:未来についてお伺いします。例えば次の2-3年、もしくは10年後、20年後、どうなりたいっていうのはございますか?

石井:やっぱり、開発の一部を僕が担ってたら最高だなっていうのは思います。

イネ:具体的にどう担っていきたいとか、そういった目標はありますか? 

石井:なんと言いますか。例えば、僕の勤めてる企業だけで、培養肉を作って売り出すわけじゃないんですよ。きっとサプライチェーンの1つと言いますか、どこかの役割の1つをうちの会社が担う。何社かが協力して技術を出し合って、最終的に食品企業とかがBtoCの形で消費者に提供しますみたいな。
日清のカップヌードルの中の謎肉が、培養肉になりましたよみたいな感じで、日清がさも全部作って売り出したみたいなっていう形で売り出すかもしれないんですけど。でも実際に、謎肉を培養肉に変えるために、もう5社とか6社ぐらいの企業が関わってる中の1社になってたいな。かつ、その1社の中の責任者として自分がいたいなっていうのはありますね。

イネ:「無名人インタビュー」を通して、培養肉というトピックで、一般の方にメッセージとして特に何を伝えたいですか? 

石井:やっぱり単純に、認知度がまず大事なんですよね。新しい食品が出てきたときに、それを知ってるか、知らないかによって、その人がそれを食べてみたいか、食べてみたくないかっていうのが大きく分かれるんですよね。だから、そもそもまず、培養肉が何かっていうのを知ってほしい。培養肉が来てるよっていうのを、心構えをしててほしいですね。
一般に発売されたとして、絶対に反対してくる人はいるんですよ。2:6:2の法則じゃないですけど、反対する人が2割いて、賛成する人は2割いて、残り6割は情報によって左右されると思います。その6割の人に、正しい知識を与えていきたい。正しい知識を与えた上で、あなたは食べますか、食べませんかっていうのを、消費者自身が判断してほしいな。そういうフェアな未来が来てほしいと思ってます。
食品って、結構風評被害を受けやすくて。遺伝子組み換え食品とかあるじゃないですか。ああいうのって、危険性や毒性が確認されてるわけじゃないけど、自然じゃないというだけで、消費者は忌避してるじゃないですか。
最近で言うと、例えばゲノム食品。遺伝子組み替えじゃないんですけど、ゲノム食品の技術は微妙に違って、自然界で起こりうる変化なんですけど、それも遺伝子組み替えと一括りにされて「危ないよね」と言われてます。そういう風評被害によって、正しく評価されずに
技術が廃れてしまう。
海外ではどんどんスタートアップが起こっているのに、日本では廃れてしまうことによって取り残される事態が、容易に想像できるんですよね。そういう未来になってほしくないと思います。

イネ:培養肉で言われているデメリットとか風評被害はどういうものですか? 

石井:培養肉に関しては、そもそもお肉って、動物の命をいただいてるものという認識はあるんですけど、培養肉の場合、動物を殺さなくても肉が作れるんですよね。そういう、いきなり大きく作り方が変わったというところに、どれだけ忌避感を覚えるかですね。
ちょっと前の例だと、天然魚と養殖魚の違いですね。天然で、漁師が海から取ってくるのと、人工的に飼育して育ててあげた養殖魚。それですら、養殖はまずいとか、良くないっていう風評被害が起きました。自然じゃなく育てることに対して、それだけの風評被害が起きたので、培養肉でも起きないわけがないと思ってます。

イネ:培養肉は動物の細胞というか、組織を使っている? 

石井:そうですね。技術としては、再生医療って聞いたことありますか?あれも、自分のIPS細胞から、例えば心臓だったら心臓の一部を作り出して、心臓の手術で悪いところをとった後に、新しく作った心臓のシートをはめてあげる技術が再生医療なんですね。
例えば牛の心臓から細胞をとってきて心臓のシートを作ったら、「それは焼肉のハツじゃん」みたな発想で、筋肉も、筋肉の細胞をとってきて、一から筋肉を作り上げれば「食べられるお肉ができるじゃん」っていう発想ですね。

イネ:動物の細胞から作られてるってことは、ヴィーガンの人も食べられるお肉ってわけではないんですかね?

石井:ヴィーガンの人が食べるかどうかは、思想によるんですよね。
根本的にあるのはストライキ活動でして。動物を食べるために殺す、人間のエゴで殺していくっていう動物利用に対する反対活動としてお肉を食べない、家畜製品を食べないっていうことを掲げてるんですよね。そういう人たちは、被害に遭う家畜が減るので、むしろ培養肉を応援してくれるとは思いますね。
でも、健康的に動物性食品を取りたくないっていう人は、ヴィーガンというより、どっちかっていうとベジタリアンに近いんですけど。そういう思想の人は、どっちにしろ、動物性食品だったら食べないっていう選択を取るかもしれない。
最近だと、もっと分かりやすいのは、フォアグラですね。フォアグラって、ガチョウに無理やり餌を食わせて太らせて脂肪肝を作り出すんですよ。だから、無理やり食わせて、不健康にさせることが、倫理的に叩かれてて、場所によっては、例えばアメリカの州によっては、フォアグラを出すことを禁止しているところもあるんですよ。EUでも制限するみたいな話になってて、今までオッケーだったけど、倫理感が強くなってダメになったときに、それでも、フォアグラの味が忘れられない人たちはいて。じゃあ、フォアグラってガチョウの肝臓だから、ガチョウの肝臓から細胞をとってきて、その肝臓を増やしてあげればフォアグラができるよね、と。そしたら、ガチョウを苦しませずにフォアグラを作れるよね、という発想です。
これだと、じゃあ培養フォアグラを食べようかなっていう動きになるんじゃないかなと。

イネ:培養肉の最終的なメリットとしては、何だとお考えですか? 

石井:一番は、家畜を増やさなくていいことですね。2050年に、地球上の人口が大体100億人近くなるっていうことが予測されていて、それに伴って、今世界で食べられている食肉の量の1.5倍のお肉が必要って言われてるんですよね。今ですら、かなり畜産業って問題が多くて。例えば、放牧が砂漠化の原因になってますし。世界中の飲める水と食べられる穀物の3割は家畜にあげてるんですよ。
どんどん人口も増えてきて、水と穀物は、人が食べるために必要になってくるのに、家畜にあげなきゃいけない。となると、家畜と人の間で資源の奪い合いが起きるんです。食料不足になるし、じゃあ家畜を減らすかっていうことになる。でも、家畜を減らすとお肉が食べられなくなるっていう、人のエゴがまた現れてきます。
じゃあ、貧乏人はもう飯を食わなくていいから、お肉をとにかく作れという風潮になるかもしれない。そういう火種になることを抱えてるんですね。
あと、地球温暖化の原因になってるとも、よく言われてますね。

イネ:牛とか特に言われてますね。

石井:牛のゲップに含まれるメタンガスが地球温暖化の原因になっていると言われてます。一説では、世界中の交通機関が出す二酸化炭素の量よりも、家畜が出す二酸化炭素の量の方が多いとも言われてます。
だから、今ですら、原理的にも環境的にも畜産業って限界を迎えてるんですね。これを、さらに増やすつもりか、それはちょっとまずいだろうとなってきています。肉を増やせないなら、植物で作ったもどき肉を増やして、なんとか肉の生産量を今のラインにとどめようとしてたり。
そもそも、培養肉の開発をすることで、畜産業の牛の数を減らす方向に持っていけないかということも世界中で考えられてるんですよね。

イネ:面白いお話をありがとうございます。勉強になります。
大学時代に培養肉を学ぼうと思ったときには、培養肉にここまでの価値というか、将来性は感じていましたか? 

石井:さっき言った「畜産業がやばい」みたいなのは、僕の中では全部後付けですね(笑)
その当時は、別に地球を救いたいという大義は、僕の中ではないです。ただ肉が際限なく食べたいというのと、作り方として、今まで不可能だったことが科学技術で可能になっていくのが、自分の中ですごい好きなので。そういうのを目指して、面白がって作ってますね。あと、単純に楽しいし、夢があるからっていうので。

イネ:確かに夢がありますね。
自分が研究していた培養肉が、普通に食卓に並ぶようになる。そういう生活が来ると面白いですね。

石井:作る場所に関しても、今の植物工場ってすごい綺麗に、クリーンな場所で育ててるじゃないですか。あんな感じで、綺麗な工場の中でお肉が作られて動物は全くいない、みたいになったり。もっとコンパクトに持ち運べるようになれば、今、野菜栽培キットがあるじゃないですか。家に置けるようなキットがあるんですけど。そんな感じで培養肉生産キットみたいなのが、各家庭に置かれるかもしれないっていう未来もありますね。

イネ:これも偏見の1つであるかもしれないんですけど、栄養価は本物と変わらないものなんですか? 

石井:ほぼ変わらないですね。

イネ:味も? 

石井:味は、最近日本で試食会があったんですけど、そこでは、牛肉っぽいというよりは、鶏肉に近いって言われてましたね。
海外のインタビューとかを聞いてると、普通にこれ培養肉って言われないと分からないレベルになってるとも言われてます。

イネ:食感も近いものになっているんでね。

石井:食感は結構、こっち側で作れるんですよね。わりと簡単に再現できるというか。
なので、あとはどうやって本物の味に近づけていくかみたいな。
それから、ステーキみたいな形と言いますか、肉が裂ける感じを、どうやって出していくかみたいなところですね。

焼肉からコケまで

イネ:ちょっとプライベートのお話も、できる範囲でお伺いしたいなと思っていて。プライベートもそういった、新しいことを生み出すとか、自分の好きなものを突き詰めていくという傾向があるんですか? 

石井:いや、私はどっちかって言うと、飽きっぽくて。熱しやすくて冷めやすいので、サプライチェーンの1つとして引っ張っていきたいという未来像を先ほど言ったんですけど、多分、うまくいったらそこで僕、やめると思います。あとは社会がなんとかしてくれるから、僕がいなくても大丈夫みたいな。
結構あまのじゃくで、みんながやってることをやるのが嫌いなんですよ。

イネ:そうなんですね。

石井:だから、培養肉も5-6年前の日本だったら、ほぼ誰もやってなくて。そういうトピックを、結構自分が早い段階でやれるっていうことが楽しくて。だから最近、農学部に入ってる人だったら、大体培養肉って言葉、たぶん聞いたことがあって、かつ、学生でそういう研究がしたいっていう子も多いんですよね。そうなってくると、僕の中の熱が冷めてくるんですよ(笑)

イネ:メジャーな分野になりつつあるんですね。

石井:そうですね。この界隈の中では、結構トレンドとして上がりつつあります。ネット記事とか見ればわかるんですけど、培養肉って検索したら、結構いろんな記事が上がってたりする。そうなると、別に自分じゃなくていいや、もういいやみたいになっちゃうので、その時は、恐らく辞めて、また別のことをすると思います。

イネ:石井さんの、次来るんじゃないかっていうトピックは何ですか? 

石井:次ですか? 個人的に最近始めたのが、コケです。テラリウムは別にどうでもいいんですけど、コケをとにかく増やしたいと思っていて。
コケって本当にすごくて。切り刻んだら、どっからでも増えるんですよ。それにめちゃくちゃ感動して。だから、これを部屋いっぱいにしたいなみたいな。

イネ:ご自身のご自宅ですか? 

石井:自宅もそうなんですけど、どれだけ効率良く、たくさん増やせるかという方法を探したいなと今ちょっと思ってます。
培養肉もそうなんですけど、やっぱり最初って増やすのが大事で。それに関連して、ちょっと増やしたいなと思ってますね。

イネ:コケを増やすことって、ビジネスにつなげようと思ってらっしゃいますか? 

石井:最終的につながればいいと思うんですけど。どっちかというと、僕の中でビジネスが先に来ちゃうと絶対飽きるし、苦痛なんですよ。そういうのは人に任せて、研究職はやっぱり、研究対象に専念するべきだ、と僕は思ってるんですよね。そういうビジネス関係は、ビジネス系の人にやらせればいいと。
だから、頭の中でいくつか、もし大量にコケを作ることができたら、緑化計画とかSDGsに使えるよねみたいなアイデアはいくらでも湧くんですけど。そういうことよりも、純粋に、ただただ効率良く、たくさん増やしたいなと今は思ってます。
培養肉は仕事でしつつ、それを今から趣味で10年ぐらいかけて、ゆっくりやっていこうかなみたいな。そうしたら飽きるころには、たぶんコケがなんとなく増やせるようになってるかなと思ってます。
コケ、可愛いんで、マジでちょっと見てください!

イネ:オススメのコケの種類はありますか? 

石井:コツボゴケっていう種類がありまして。コケって、すごい小さくて藻みたいなのがビッシリ生えてるイメージじゃないですか。コツボゴケは葉っぱの形をしてるんですよ。葉っぱがいっぱいあるんですよ。

イネ:(画像を検索しながら)本当ですね〜

石井:葉っぱがあって、しかもこれ半透明なんですよ。
僕、実物を持っていて、今増やしてるんですけど。それが透けてて綺麗で、霧吹きでかけて水に濡らすと、キラキラした感じで本当に綺麗になるんですよね。

イネ:これ、コケには見えないですね〜

石井:コケなんですよ。

イネ:確かに可愛いですね。

石井:これを今、なんとかたくさん増やしたいなみたいな。

イネ:培養肉との共通点として、「増やしたい」がありますね。

石井:ですね、増やしたい。単純に、増えるのが面白いんですよね。

イネ:増えることに面白さを見出すことが、面白いです(笑)

熱中心が軸のピボット

石井:増やすことにハマったっていうのが、やっぱりありますね。元々植物が好きだったっていうのもありますけど。結構飽き性だし、僕、ハマる趣味ってあんまり見つからないんですよ。趣味らしい趣味は、今はコケ以外持ってなくて。

イネ:そうなんですね。小中高バスケットボールを続けていて、培養肉も大学院からずっと今も続けて研究されてるって話を伺うと、あまり飽き性っていう印象は受けないですけど。

石井:いや、それは趣味じゃなくて、どっちかっていうとライフワークに近いんですよ。
人生で取り組んでするならみたいな。学生のときは、学業とバスケットでしたね。だから、バスケが好きで休みの日に趣味としてバスケの試合を見に行くかと言われると、しないんですよ。
培養肉も、研究対象としてすごい面白いっていうのがあるんですけど、別に趣味じゃないんです。この微妙な違いが伝わりますかね? 

イネ:わかります。

石井:良かったです。だから、無趣味だったんですよ。温泉に入るのが好きなぐらい。旅行に行ったときに、温泉に入りたいぐらいのこだわりしかなくて。
本当に趣味に生きてる人とかいるじゃないですか。稼ぐとかじゃなくて、本当に趣味で、釣りが好きで毎週釣りに行くみたいな。人生に生きがいがあっていいなと思います。そういうのがなかったので、コケがそれになるんじゃないかなと思ってます(笑)

イネ:趣味と、ライフワークとしての学問とスポーツは切り分けているんですね。
でも、私個人の感想ですが、ライフワークにも情熱を傾けられているので、すごく羨ましいなと思いました。

石井:(笑)

イネ:趣味に情熱を傾けるのももちろんいいんですけど、やっぱり週7日間のうち5日間、仕事に打ち込まなきゃいけない中で、そこに情熱があるのはすごくいいなと、伺って思いましたね。

石井:そうじゃないと、たぶん無理なんですよね。
性格的に欠陥があって。やりたくないことは本当にやりたくなくて、やりたいことだけで生きたいみたいなところがあるので。それ以外は、もうずっと寝てたいぐらい。寝る以上にしたいかどうかですね(笑)

イネ:その性格は昔からですか? 

石井:わりと昔からだと思います。大学になって、就活が見えてくると、より強く感じましたね、本当に。だから、生きるためにただただ働いて、休日を趣味で楽しんでるっていう人いると思うんですけど、それは僕にはたぶん無理なんですよ。働いてるときに興味ないことをやってるのは無理ですね。何のために生きとんってなってしまって。
だから、副業でKindle出版を始めたんですけど。それ以外に副業もいろいろ試したんですけど全部無理で。

イネ:どんな副業をされたんですか? 

石井:ブログも始めましたし、YouTubeも始めたし、ライターにも取りかかろうとしたり。わりと普通の人ができる副業は取り組もうとしたんですけど、お金稼ぐためだけにはできないな、っていうのがあって。Kindle出版は、書く内容が培養肉だったので楽しかったのと、そもそも、本を書くのはわりと好きだなっていうのに気が付いて。だから結構、Kindle出版は好きな仕事に入ってますね。

イネ:Kindle出版以外のYouTubeとかは、培養肉は関係なかったんですか? 

石井:関係なかったですね。関係ないことをしました。でも無理でした。

イネ:Kindle出版のきっかけとなったのは、何だったんですか? 

石井:副業を調べてる中で、Kindle出版が出てきて、あっできるんだって。

イネ:いろいろ試している中のKindle出版っていう感じですか? 

石井:ですね。将来、飽きたときのことを考えて(笑)
今、FIREとか流行ってるじゃないですか。FIREはしなくても、お金に不自由したくないので、副業を探してて。株とかFXはやってるんですよ。それは、取引してればいいんで、楽なんですけど、それ以上に安定した収入が得られる副業が欲しいなって探してたら、Kindle出版に出会った。

イネ:Kindle出版は、今後も副業として続けていきたいですか? 

石井:多分やっていくと思います。わりと書くのが好きだし、満足感が高いというか。

イネ:それは、培養肉の専門家としてのKindle出版になっていくんですかね? 

石井:自分の体験というか、自分が話せる部分で話していけたらなと思っています。
でも、将来的に培養肉のことで1本ちゃんと、商業出版できるぐらいの本を書きたいなって思いますね。せっかく培養肉の知識があるので。
でも、培養肉より、コケの方が盛り上がるという(笑)

イネ:そうですね(笑)

石井:結構、もう培養肉は仕事寄りになってきちゃって、熱量は、ピークのときの多分30-40%とかですかね。
だから、また次を見つけなきゃなっていう思いで、Kindle出版とかコケに手を付けてます。

イネ:Kindle出版は、培養肉ありきで、発信する媒体として選んだのかと思いました。

石井:最初はそうだったんですけど、意外とそれ自体が楽しくなってきたみたいな。

イネ:今後、培養肉以外でKindleで出版したい内容ってありますか? 

石井:やっぱり、将来的にコケは書いてみたいですね(笑)

イネ:やっぱり、コケなんですね(笑)

石井:でも、コケはまだ先ですね。今、1ヶ月に1冊ぐらいのペースで書いてるんですよ。
今始めて4カ月経たないぐらいなんですけど、4冊目を書いてて。

イネ:全て公開されてるんですか? 

石井:公開されてますね。全部Kindleストアで見れるようになってます。

イネ:他は、どういったテーマで書かれてるんですか? 

石井:培養肉の本を2冊書きました。他には、大学院生が副業に取り組むならっていう本を書きました。

イネ:副業は、ご自身の中で興味関心のあるトピックなんですね。

石井:飽き性な自分がいろいろやってみて、その中でもできる副業がこれだよ、というのを紹介する本を書きました。
今月出したのは、Kindle作家に向けて、マーケティングの基礎をKindle出版に落とし込んだらどうなるか、マーケティングを取り入れるためにはどうすればいいのかっていう本です。

イネ:どうやって自分が書いたKindle本を流行らせていくかっていう手法ですか? 

石井:マーケティングって普通、事業に対して使うものじゃないですか。企業がどういう戦略を練って、どういうものを作るときに、どういうことを調べるのか、というようなことです。
事業のためのマーケティングを、Kindle出版という副業に当てはめたらどうなるのかを、そもそものマーケティングのコンセプトも説明しつつ解説をしてます。だから、Kindle出版でもここを大事にしていきましょう、みたいな。
マーケティングの目的が、そもそも消費者のニーズに応えて利益を上げることが目的なんですよね。かつ、最高のマーケティングは、自分たちが売り込まなくても自然と製品が売れる形なんですよね。なんで自然に売れるかというと、それはちゃんと顧客のニーズを抑えてるから。顧客のニーズを抑えていて、そのニーズに応える製品を適正な価格で出していれば、その製品はちゃんと、自分たちがわざわざ売り込みに行かなくても売れるっていう考え方。
じゃあ、Kindle出版でちゃんと読者のニーズを捉えましょうだったり、どうやったら自然に売れるようになるか、そのために、マーケティングの基礎を取り入れましょうっていう話です。

イネ:培養肉もそうですが、先見の明がありますね。

石井:でも、今回書いたのは結構下心が強くて。
このテーマは、宣伝ツールとして、Twitterをやってるんですけど、Twitterのフォロワーさんで一番多い属性はKindle作家さんなんですよね。だから、Kindle作家さん向けに書くと、フォロワーさんが読んでくれるから収益が入るんですよね。そういう下心があって、このテーマにしました。

イネ:自分のフォロワーに向けた本だったんですね。

石井:そうですね。

イネ:毎回インタビューの最後に、もしもの質問っていうのを聞いてるんですけど。
大学時代に焼肉屋さんでバイトをして、貴重なお肉を広めたいと思ったのがきっかけで培養肉の道に行ったと思うんですけど。これが結構キーになってるのかなと思っていまして。
もしも大学時代にそのきっかけがなかったとしたら、今何をやってらっしゃると思いますか? 

石井:いや、めっちゃつまらない人生を送ってたと思います(笑)
熱中できることもなく、たぶん大卒でそこらへんの企業に入って、きっと適当にダラダラ生きてたんでしょうね。
熱中できるものがなくなったときが結構死に近いですね。

イネ:熱中できるものがなくならないように、コケの方も同時に走らせてるんですね。

石井:そうですね。2つも熱中できるものが見つかるって、わりと良くて。なんて言いますか、ピボット戦略じゃないですけど、軸足があってどんどん進んでいくといいますか。
バスケットやってたから、食べるのも好きで、よく焼肉に行ってたから、焼肉屋さんにバイトで入ってみたいな。焼肉屋さんから、培養肉をテーマに研究しようと、1歩進んでみた。今、研究職で培養肉をやってるから、研究心で、コケを増やしてみようかなみたいな。こうやって軸足を自由にずらしながら、進んでいってる感じなので、一番最初がなかったら、焼肉屋に入ってなかったら、スタートの軸がなくて、もう大変でしたよね、きっと。

イネ:全てつながっているのかなと思いました。突拍子もないところに行ってるというより、本当にピポットで、つながりつながりで広がっているんだなっていう。

石井:そうですね。

イネ:ありがとうございます。

石井:いえいえ、うれしいです。

イネ:最後に何か、お伝えしたいこととかありますか? 

石井:僕が正体を隠してる理由が、僕が正体を隠してても、その本を読んだよっていう人が自分の身の回りに現れるのを、すごい楽しみにしてるんですよ。こういう本読んだんだけどっていう話を自分に振ってくるのを、ずっと待ってるんですよね。
そういうのを楽しみにしてるから、あんまり素性を明らかにしたくないんです。

イネ:素敵ですね。その理由は書いても大丈夫ですか? 

石井:大丈夫です。だから、最後に一言伝えるなら、広まるのを待ってますって感じです。

イネ:いろいろお話いただいて、ありがとうございました。

※石井金子さんの培養肉の著書はこちらです!

​​培養肉の入門書: 培養肉が簡単に理解できるようになる本 培養肉シリーズ

あとがき

培養肉って初めて聞く人も多いんじゃないでしょうか?
肉と未知なトピックが大好物な私は、インタビューであることを忘れて、個人的な知的好奇心でお話を深掘りしていました。
熱中できるものがピボットで繋がっているのは(バスケ→焼肉→培養肉→増やす研究心→コケ)、関心のあるものを突き詰めながら展開できる、石井さんの能力なのだと思いました。
培養肉のある食卓や、自分の読者が周りに出ることを夢見る石井さん。未来に咲くであろう「楽しみ」の種まきが上手です。

インタビュー担当:イネ

編集協力:有島緋ナ

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #培養肉 #コケ #kindle

マガジンで過去インタビューも読めますよ!

インタビュー参加募集!


いいなと思ったら応援しよう!

無名人インタビュー いただいたサポートは無名人インタビューの活動に使用します!!

この記事が参加している募集