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周りのためになることをしてみようって人

むかしむかし、ある村に、為助(ためすけ)という若者が住んでいました。為助には、「周りの人のためになることをしてみたい」という純粋な願いがありました。
朝には、村の入り口を掃いて、
通る人が気持ちよく歩けるようにし、
昼には、井戸の周りを整備して、
水を汲む人が使いやすいようにし、
夕暮れには、道端に灯りを灯して、
帰る人の道しるべを作りました。
村人たちは最初、為助に尋ねました。
「なぜそんなことをするの?」
為助は答えました。
「誰かの役に立てることが、私の喜びなんです。小さなことでも、誰かの助けになれば、それだけで嬉しい」
やがて、為助の行動は村に広がっていきました。
一人が誰かのために何かをすると、
その誰かが、また別の誰かのために何かをする。
そうして 村全体が、互いのために動き始めました。
後に為助はこう語りました。
「人のためになることは、実は自分のためにもなる。そうやって、みんなが少しずつ幸せになっていくんです」
そして「人の為は、己の為」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2025年2月21日20時46分に書く無名人インタビュー1022回目のまえがきでした!!!!!

【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは Boris さんです!

年齢:30代前半
性別:男女比率7:3
職業:教職

Instagram:https://www.instagram.com/htknsk_works/



現在:逆にこっちから、自分の方から息子に遊びを仕掛けるみたいなことを最近はしたいなあと思って。

 
ミミハムココロ:
Borisさんは今、何をしている方でしょうか?
 
Boris:
仕事としては、保育者の養成機関…簡単に言うと学校ですけれど、保育士と幼稚園教員の資格取得のための勉強を教える学校で、造形系の科目を教えています。それと併せて、仕事とも関わってるんですが、自分の作品の制作活動をやっています。
 
ミミハムココロ:
今の仕事はどういったきっかけで始めたんですか?
 
Boris:
もともと大学が教育系の学部でして、そこから別の大学の大学院に進学をし…その後中高で美術の教員をしていたんですけれど、大学の時にお世話になっていた先生にご紹介頂いて、興味があって今の仕事に移ったという感じですね。
 
ミミハムココロ:
移ってみて気持ちとしてはどうでしたか?
 
Boris:
そもそも未経験というか、自分も保育園とか幼稚園に勤めたことがなかったので、内容と方法について最初の年ってのはすごく手探りで。元々いらした非常勤の先生の授業にお邪魔をして勉強させてもらっていたんですけれど。なんとなく中学校で美術を教えていることよりも、「美術とか造形ってことをする事にそもそもどういう意味があるのか」みたいな事を相手にもっとストレートに伝えているような感覚はありましたね。
 
ミミハムココロ:
ご自身でも作品を作られてるんですか?
 
Boris:
そうですね。それも大学で彫刻のゼミに所属していたので。ちゃんと専門的に追求しようってなったのは大学院に進学を決めてからですけれど。そこの延長で大学院の研究内容として自分の制作活動というか制作プロセス、実践っていうものも含めてやっていたので、そこから脈々と続けているっていう状況ですね。
 
ミミハムココロ:
どうして彫刻の道に行こうってなったんですか?
 
Boris:
すごい単純なきっかけで、高校生の時に美術部に所属してたんですけれど、同期の部員がそれこそ美大受験のために油絵とかすごい頑張って予備校に通ってたり、人によってはイラストとか漫画とかそういうのを頑張ろうとしているのを見て、なんか安直に「周りの人がやってないことをしたいなあ」と思った時に「立体をやってる人間はいないな」と思って。
もともと粘土で何か物を作ったりするのが小さい頃から好きだったので、性に合ってるかなと思って始めたっていう感じですかね。
 
ミミハムココロ:
どうして今日に至るまで彫刻を続けていられていると思いますか?
 
Boris:
僕は結構、グラフィックとか映像とか、あとは趣味で音楽とかを作るのも好きなんですけど。言ってみれば、デジタルな制作方法ってスピード感がすごい速いんですよね。「こういうふうにしよう」と思ったらパソコン上でパパッとできていくっていうのがあって。彫刻はちょっとそういうわけにいかない部分があるので。どうしても地道な計画と道のりと、あとは体力を行使してかなきゃいけないっていうのが、ある意味自分にとってはなんか「修行」みたいに思えるところもあって。
だから「性格的に彫刻が向いているか」って言われると微妙かもしれないんですけれど、そこをあえて楽しもうっていう気持ちがあると思いますね。あとは「ものが現実にあってくれる」っていうのが楽しいと感じます。作品として現実…自分と同じ世界、空間に物が出現させられる喜びっていうんですかね、そのあたりが強いかなと思います。
 
ミミハムココロ:
「ものが現実にある」って言い方はすごい具体的に感じるんですけれども、何か比較対象があるんですかね。
 
Boris:
それは絵画とかですね。絵画は画面の中に世界を作っていくっていうのに対して、彫刻は実体を持ってそこに存在できなきゃいけないっていうのがあるので。その説得力をどう出すかみたいなのが彫刻の制作で結構大事なんですけれど、そうした追及感はデジタルの世界では不可能なので、取り組み甲斐になっているところです。

ミミハムココロ:
自分ってどんな性格だなって思いますか?
 
Boris:
そうですね、一言で表すっていうと難しいですけれど…偏屈ですかね。頑固なところはあるんだろうなと思ってます。あと、考え込みがちとか。
 
ミミハムココロ:
お仕事以外の時間は何してることが多いですかね。
 
Boris:
仕事以外だと、最近は子供の世話をしていることがほとんどですかね。でもその子供の世話っていうのも、子供に対して自分が受身になっていると結構しんどくなってくるので…これはもしかしたら世の子を持つ方々共通かも分かんないんですが。その自分の気持ちをどうにかしたいなと思って逆にこちらから、自分の方から息子に遊びを仕掛けるみたいなことを最近はしたいなあと思って。
なので、全部だんだん繋がってきて、仕事と生活があんまり分離してない感覚があります。
 
ミミハムココロ:
仕事と生活が分離してないんですか。
 
Boris:
そうですね、どこかで紐づいているっていう感覚が強いですかね。
 
ミミハムココロ:
それは受身じゃないっていう意味ですかね。
 
Boris:
そうですね、自分が専門にしている造形的なスキルとか知識とか、そういうものを育児に大いに活かしてやろうみたいなことが強いかなと思いますけど。
 
ミミハムココロ:
お子さんとは何をすることが多いですか?
 
Boris:
最近はいわゆる積木遊びみたいな感じなんですけど、既製品だけ扱っていても面白くないので、ホームセンターで木材の端材がバラバラで…あの袋詰めで売ってるの分かります?あれで綺麗なやつを探して、息子も一緒に連れて行くんですけど「これ買ってこうかね」とか話しながら選んで買って、それを並べたり立てたり積んでみたりして、っていうのを最近はやってます。息子は息子で好きな遊びはあるんですけれど。こっちから仕掛けて、そこで遊びの創発みたいなことが起きたら面白いんじゃないかとか思いながらやってますね。
 
ミミハムココロ:
好きな場所とかはありますか?
 
Boris:
自宅のアトリエは好きです。最近は息子と共同部屋として、格好付けて「ラボ」と呼んでいます。あと、最近あんまり行けてませんが、ドライブに行くのが好きで。ぼく神奈川に住んでるんですけど、葉山に向かう横浜横須賀道路という高速道路があって、横浜方面から横須賀の方にパーッと走っていくとだんだん森が増えてきて、すごく綺麗で好きですね。
元々は独身の時に1人でしょっちゅう行ってたので。結婚、子供が生まれてからあんまりそういう形ではできてないですけれど、でも連れてった事はありますね。あと、夜のサービスエリアとかも好きです。
 
ミミハムココロ:
夜のサービスエリア。どこら辺が好きですか?
 
Boris:
なんでしょうね…なんか生活感から切り離されている感じですかね。なんか世の中からずっと自分の存在を切り離してただただ1人になってる、みたいなことが感じられる場所ですね。
 
ミミハムココロ:
今回、このインタビューに申し込んでくださった動機ってなんでしょうか?
 
Boris:
たまたま拝見したのでというのもあるんですけれど、さっきお話した息子との遊びを楽しみたいっていうのと合わせてnoteを始めたんですね。その遊びの記録を兼ねて、ちょっと自分の生活とか人生、今後の事とかをもう1回深めに考え直していくかっていうようなことを思った時に、先程もお話したんですけど結構考え込むことが多いので。でもそうすると、自分の頭の中だけにある材料でしかできないじゃないですか。
なので、全く僕のことを知らない客観的な目を持っている方からいろんなことを聞いていただくと、それが更に自分のことを考え直す1つのきっかけにできるかなと思って、って感じです。
 
ミミハムココロ:
noteを書き始めてみて今どんな感じですか?
 
Boris:
思ったほど、人が読んでくれることを想定して文章を書くって時間かかるなあっていう感じですかね。まだ初めて今1ヶ月半くらいかと思うんですけど、まだ投稿できてるのって3本か4本とかで。人に講釈垂れるような文章でもないのに、やたら時間かかってなんか吟味してるなっていう。でも別に書くのが嫌いなわけじゃないので、マイペースにやりたいなと思ってるところです。
 
あと、息子の遊びの記録を出す時に媒体を考えたんですよ。InstagramとかYouTubeとか考えたんですけれど、写真や動画で見栄え良くしようとする意識を持ちすぎると、それに集中しちゃって遊び自体にちゃんと集中できないかなとも思いまして。だから適当に写真を、本当に適当に取りながら後から振り返るように文章で進めていく方が自分の性に合ってるなっていうのは仮定してたんですけれど、それはその通りだったなと思います。
 
ミミハムココロ:
考え込むっておっしゃってたんですけれども、それって考え込んだ時に誰か話したりする相手とかは思い浮かびますか?
 
Boris:
最初はあんまり人に話さないですかね。なんか今の自分が考え込んでる状況とかも含めて、ぼんやり思考の軸みたいなものがちゃんと自分で捉えられてきたなと思えたら、妻とか…あとは職場の信頼してる上司の方とかに話すことはありますね。
 
ミミハムココロ:
好きな食べ物とかありますか?
 
Boris:
なんか素朴な味のものが最終的には好きかなと思って。料理ではないんですけど、レンコンとかほうれん草とか。あと何だろう…発酵食品、納豆とかキムチとかはよく食べてますね。麦チョコとかも好きです(笑)もうちょっとなんかちゃんと食事っぽいので言うとジンギスカンが好きで、ラムが。独身の時、自分へのご褒美で週1くらいで食べてたんですけど。実は奥さんが北海道の人で、もともと僕がそうだって話をしたらご実家が定期的にジンギスカンを送ってくれるようになって。すごく幸せな日々です。
 

過去:なんか「表現の方法そのものを探して、飛んで、歩いてきた半生だったんだなあ」という実感がいま湧いてきました。

 
ミミハムココロ:
振り返ってですね、自分ってどんな子供だったなって思いますか?
 
Boris:
自分の世界が強すぎる子供だったのかなっていうイメージですかね。まあ人とも遊んでたんですけれど…でも、あんまり他人のフィールドに入りたがらなかったのかな。基本的には自分が…心地よくいられるじゃないけど、簡単に言うとあんまり人に合わせようとしないタイプだったんですかね。小学校の半ばぐらいまでは結構馬鹿やってるタイプの子供だったと思うんですけど、年齢が上がっていくにつれて、あんまり周りの子と同じようにはしゃいだりみたいなことができなくなってきて、段々浮いてって。中学校卒業まではあんまり良い時代じゃなかったなって思います。
 
ミミハムココロ:
馬鹿やるってのは、例えばどんなことをやってたんですか?
 
Boris:
もう本当、その年頃の子がふざけてやるような…学校の帰り道でランドセルをバシバシ地面に叩きつけ合いながら帰るとかですね(笑)本当に、子供らしい子供だったっていう感じですかね、やんちゃっていうか。用水路に突き落とし合ったりとかそういう感じ。思い出すとすごいことしてますけど。あと、小学校の右側に松林があって、その松林に入り込んで秘密基地みたいな感じで遊んでましたね。
 
ミミハムココロ:
それは1人ですか?
 
Boris:
いや、誰かいたんじゃないですかね。1人の時もあったかもしれないけど。
 
ミミハムココロ:
その松林にいた時って、どんな気持ちだったかとか覚えてますか?
 
Boris:
なんか心地よさとか安心感みたいな。その木の植え込みの枝が交錯した、ちょっとした空間みたいな所があって、そこを「秘密基地」とか言って潜り込んで遊んでるとかなんですけど。なんか自然の中に引きこもってるみたいな心地よさがあったような気がします。
 
ミミハムココロ:
おうちではどんな感じの子供でした?
 
Boris:
ん〜何してたんだろう…あんまり小さい時のことは思い出せないんですけど。ゲームが好きでしたね、漫画読んだり。なんか段々そういうところから絵を描くのが楽しくなったりとか。中学校に上がってから音楽するのも楽しくなって中3の時にギターを始めて、今でも趣味でやってるっていう状況ですね。そうやって思うと、子供の頃好きだったことを今もずっとやってます。
 
ミミハムココロ:
当時はギターを弾いてる時にどんな気分でした?
 
Boris:
「自分の気持ちは自分だけのものだ」みたいな気持ちが強かったですかね。けっこう当時好きだったバンドが、今でも好きなんですけど結構それが心の拠り所みたいなところもあって、なんかそのメッセージに自分の気持ちを委ねながらガシガシ弾いてましたね。
 
ミミハムココロ:
その後は、高校に行かれたんですか?
 
Boris:
そうですね、普通に進学して。
 
ミミハムココロ:
高校生活を振り返ってどうでした?
 
Boris:
楽しかったですね。「青春ってこういう感じか」っていうのをようやく味わったみたいなのがあって。高校2年生の夏ぐらいに同級生で「映画を撮りたい」って言い出した人がいて、その彼を中心に有志でメンバーが集まって、最初は大所帯だったのがだんだん少数精鋭になったんですが、卒業の間際まで自主映画制作に関わっていたのが青春でしたね。今でも当時のメンバーとは連絡を取り合ってます。
 
ミミハムココロ:
完成した時はどんな気分でした?
 
Boris:
自分が編集してるとかじゃないからってのもあるんですけど、作品のクオリティがどうとかっていうよりも、それに取り組んでた体験とか思い出みたいなのが明らかな形となって、残る形で描けてしみじみ、みたいな感じでしたね。嬉しかったです。
 
ミミハムココロ:
絵を描き始めたっておっしゃってたんですけど、高校生の時も描いてたんですか?
 
Boris:
高校生の時も、まあ描くには描いてましたね。でも、美術部に所属してたんですが、どっちかっていうと映画の方が楽しくて。文化祭に出品する作品ぐらいしかまともに描いておらず、3年生の時は受験対策でちょっと一生懸命やったっていうぐらいですかね。なので作品が形になっていく喜びを知ったのは自分の絵よりも映画制作の方が大きかったかもしれないですね。
 
ミミハムココロ:
映画は結構観るんですか?
 
Boris:
観ますね…正確に言うと観てました。結婚して子供ができるとまとまって映画を観る余裕が減ってしまって、たまに1人の時間が取れた時に気になってたやつをポンポンって観たりっていうのが最近は多いです。結婚前は週何本も観てましたね。
 
ミミハムココロ:
高校卒業後は大学に行かれたんですか?そこでの生活はどうでした?
 
Boris:
大学も割と結構楽しくて。最初にお話してた彫刻を始めたのは大学だったんですけれど、今にして思えば割と遊んじゃってたなという気がします。でも自分なりに一生懸命、制作とか展覧会とかをやったり、あとは趣味の音楽活動がライブハウスで演奏するようなことにも発展したので。なんか悠悠自適に暮らしていたなあという印象があります。
 
ミミハムココロ:
学部の4年間の後はどうされたんですか?
 
Boris:
教員採用試験っていうのを受けて学校の先生になるっていうのが順当な筋道なので、自分もそんなもんだろうって思っていたんですけれど。ただ、試験をいざ受けに行った時に周りにいる方々のレベルが高くて。教員採用試験って自治体にもよるんですけれど、学校種ごとの試験枠なんですね。そこで僕は高校を受けたんです。で、高校の教員は結構人気なので、現職で中学校の先生をしてる方とかも高校の採用試験を受けたりするんですよね。なので、その実際勤めてる人とも一緒に試験をしてたんですけれど、そこで周りの方と比べて圧倒的に知識も技術も足りてなさそうな自分に気付かされてしまいまして。

万が一運良く受かればそのまま就職とは思いつつ、おそらく駄目だろうとも思ったんですよ。そうなればもう、修行みたいなことをした方がいいんじゃないかって、そこで初めて大学院への進学を考え始めました。それまでは一切考えたことが無かったんですけど。それで結局進学して、彫刻を本格的に研究し出したという流れになっています。
 
ミミハムココロ:
大学院で実際に研究対象としてやっていって、どうでしたか?
 
Boris:
そうですね…最初にお話をしていた彫刻を選んだ理由みたいな部分、その事をものすごく実感した時間になったっていうのがシンプルな答えなんですけれど。なんかそれ以上に…「そもそも作品を作る、自分の手で何かを表すっていうのが人間にとってどういう価値を持ちうるんだろうか」と結構真剣に考え出したんですね。そういう経緯があったからこそ今の仕事を紹介してもらったっていうのもあると思っています。
あとは、本当に集中的に自分の作品制作もして、公募展に出品して、人様に作品を見せて、そこで評価を得ていくことの喜びも辛さもしっかり味わえた時間になったなと思います。
 
ミミハムココロ:
今までの人生振り返って、ターニングポイントを自分で作るとしたらどこだったと思いますか?
 
Boris:
今の自分の状況を作ってる要因っていう意味では…大学院を修了して一旦は地元で中学校教員になったんですけれど、1年で辞めたんです。勤続は自分が望みさえすればできたんですけれど、どうしても「研究の道を深めたい」と強く思って、割と無理を言って辞めたんですよ。そこが一番大きかったのかなと思いますね。あそこで辞めてなかったらずっと中学校教員してたんじゃないかなあと思います。
 
ミミハムココロ:
分かりました。じゃあですね、ここまでで「まだこれ話せてないなあ」みたいなことって何かありますか?
 
Boris:
話せてないこと…大学で、ライブハウスでやるみたいなことをさっき話したんですが、確か初めて自分で曲を作ったのが高校3年生ぐらいだったんですね。それを思うと「具体的に自分が抱えてる気持ちを形にする術、簡単に言えば表現する術っていうものを実はいろいろ持ってたんだなあ、自分は」っていうのを感じ得ます。歌を作るっていうと歌詞を書くので、それをどんな言葉と文体のセンスで書くかとか…なんていうか内容に応じて表現手法の選択が発生して、彫刻でやったり、歌でやったり。今の職業は研究者という側面があるので論文書いたりもするんですけど、論文としてまとめたり、今度はnoteを始めてみたり。「表現の方法そのものを探して、飛んで、歩いてきた半生だったんだなあ」という実感がいま湧いてきました。
 

未来:彫刻制作は多分どうせ…どうせっていうか、どの道やめたくないしやめられないんだろうなと思うんですよね。

 
ミミハムココロ:
今から5年後、10年後、20年後、最後死ぬまでを想像していただいてですね、「未来」ってどうなってると思いますか?
 
Boris:
個人的なレベルで、って感じですか?
 
ミミハムココロ:
あ、もうこれは聞き手に委ねてるので、個人でも社会でも。
 
Boris:
分かりました。そうですね…急激に技術が加速的に進歩しているので、自分のやっていることが社会的にどう価値づけられるのかっていうのは全然変わってきちゃったりするのかなという気はしています。が、ただ一方で、「人間からそういう活動を奪っちゃって果たして大丈夫なのか」っていうのは、何か言葉にならないけど人間誰しも不安がってるような気がするんですよね。そこをうまく説明するのに、言葉で言った方がいいのか、何か活動の成果で示した方がいいのか、はたまた人を巻き込んだ大きなアクティビティとして表現していったらいいのかっていうのを、ちょっと一生懸命考えたいなというのが最近の自分の関心事です。
 
まあ個人のレベルで言えば、彫刻制作は多分どうせ…どうせっていうか、どの道やめたくないしやめられないんだろうなと思うんですよね。それはなんか、自分っていう人間を形成する営みの一つとしてもうそれが成り立っちゃってるからっていう感じがするんですよ。別に僕は彫刻を作ってると言っても、人と比べたら技術的に上手いわけでもないって自分で思うんですけど。でも何か作り続けている状況が生活に組み込まれてることが、もう自分という人間を構成する大きな要素の1つになってるので、どの道やっていきたいという…やめられないっていう気持ちが強いです。
 
そうやって、具体的な活動とその人自身の全体的な在り方みたいなものとの関わり合いを探求していく、考えていく。そういうことが人間にとって必要だよねって思えるんだったら、その術の1つとして造形活動の体験とか追求とかの場を人に提供するみたいなことができたらいいなあと、ぼんやり考えています。それは一方で、今の保育者養成っていう仕事にちょっと限界を感じ始めてるっていうのもあるんですけど。
 
ミミハムココロ:
そうなんですか。
 
Boris:
そうですね。というのはある種、国の制度として画一的に作られている仕事なので。もちろん企業経営の事業もいっぱいありますけど。いずれにしても、従来の枠組みではちょっともう賄いきれない、根本的な課題みたいなのが出始めてるんじゃないかと。それは先生になろうとする人間がそもそも減ってるとか質の問題とか、あんまり大きい声で言う話じゃないんですけど。養成と現場は循環する関係にありますが、この循環がもう何か負のスパイラルになっているような気がするんですよね。
 
であれば、その悪循環を解消したいと思ったら、もっと全然違う領域からの突き上げとかアクションみたいなことが入ってゆかざるを得ないような気がしていて。それを仕事としてうまくできるのかは全然分からないんですけど。そうした術をちょっとじっくり考えつつ目の前の課題に当たりたいと、今は思ってます。あんまりはっきりした答えがある話じゃなくて申し訳ないんですけど。
 
ミミハムココロ:
「これだけはやらないと死ねないなあ」みたいな、そういったものは何かありますか?
 
Boris:
そんなに、何か具体的には無いような気もしちゃいました。ただ、漠然とした感じで言うと、おそらく自分の心の何処かには社会的な承認欲求みたいなものもあるので、「自分と言ったらこういう仕事をしたよね」みたいな代表できる作品なり活動なりを残したいっていうのはあるかもしれないですね。まあちょっと夢見すぎかもしれませんが。
世の中の作家って呼ばれる人って「代表作」みたいなのあるじゃないですか。そういうのが最低1個ぐらい自分もできたらなあ、みたいなのはありますかね。あと息子が、最低でも成人するまではギリギリ生きてたいですね。
 
ミミハムココロ:
成人するまででいいんですか?
 
Boris:
ん~…その時になってみないと分かんないってのもありますけど、今の所なんかそこまでいけば、大丈夫かなあ(笑)息子の成長に対する具体的な願いみたいなのはあんまり無くて。「素直で健康に育ってくれればいいな」ぐらいにしか思ってないから、ちゃんと生きていける大人になってくれたらそれで十分かもしれないです。
 
話してて思いましたけど、「けっこう刹那的な人間なのかもしれない」っていうふうに自分のことを思ってきました。
 
ミミハムココロ:
自分でそう思いました?
 
Boris:
ん~、何となく「今この瞬間、瞬間がちゃんと生きれてるか」みたいなことばっかりなのかもしれないっていう。あんま先のことを考えてないのかもしれないっていう。
 
ミミハムココロ:
自分自身でそういう自分はどう思いますか?
 
Boris:
まあ、いいかな~っていう…ごめんなさい、これ別に最後だから投げやりになってるとかじゃないんですけど(笑)いろんな仰々しい事をさっきお話はしたんですけれど、やっぱり所詮は人間、1人の人間というか生き物なので。その瞬間、瞬間にちゃんと感覚を研ぎ澄ませていけるんであれば、そういう性格でも今後も別に大丈夫かなと。
 
ミミハムココロ:
5年後、自分はどうなってると思いますか?
 
Boris:
そうですね…ちょっと仕事はどうしてるか分からないなあと思うんですけど、もうちょっと社会的に自由になっていられたらいいなと思います。そういう希望を立てておきたいなという感じですかね。いろんなことにとりあえず手を出してみて、続けていけそうなことは細々やってるみたいな、そんな人でありたいなと思いました。
あとは、最近仕事が辛すぎるのか、ちょっと髪が薄くなってきた気がして。頑張って抗おうかなと思ってるので、禿げてないことを祈るっていう感じですかね。
 
ミミハムココロ:
仕事が辛いんですか?
 
Boris:
まあ、学校は毎年新しい人が入ってきますから、年によってはちょっと苦しい時もありますよね。あとは自分ももうそこそこの…なんていうか、ポジションにいてしまってるんで。「もう少し仕事が楽になればいいなあ」という気持ちが最近は沸々と湧いてます。うちの妻にもそういう話はもちろんしてるんですけど、妻は「いつ辞めてもいい」と言ってくれているので、それはすごくありがたいと思ってます。教育的な活動自体は楽しいんですけどね。
 
ミミハムココロ:
「いつか行ってみたいなあ」みたいな場所はありますか?
 
Boris:
海外旅行をしたことが無くて…アイスランドでオーロラを見たいです。
 
ミミハムココロ:
何かきっかけとかあるんですか?
 
Boris:
もうなんとなく雰囲気でっていう感じですけど、なんかいろんな作品の影響とかが大きいですかね。アイスランドの音楽とか。あと、暑いよりは寒い方が好きとか。大自然の脅威みたいなものを…オーロラも結構脅威じゃないですか、よく考えたら。だからそういうのに圧倒されてみたいってのがありますかね。ちょっと趣は違いますが、青森の恐山とかにも行ってみたいです。
 
ミミハムココロ:
最後にですね、これを読むであろう読者に向けてでもいいです。もしくは、自分が死ぬときの遺言だと思っていただいてもいいです。最後に何か一言いただければ。
 
Boris:
んー……なんか全然話の内容と関係なくなっちゃうかも分かんないんですけど、人間にとって幸せっていうのは自分のわがままとか独善的な欲求みたいなものを…一生懸命捨てて捨てて、削ぎ落として、頑張って「周りのためになることをしてみよう」って思うところから始まり、最終的には幸せと呼ばれる境地に辿り着けるんじゃないかって最近思うので、一緒に頑張りましょうっていう感じです。「死ぬ時も一緒に頑張りましょう」ぐらいの気持ちでいたいですね。


あとがき

Borisさん、ありがとうございました。

インタビューの終盤で「今この瞬間、瞬間がちゃんと生きれてるか」みたいなことばっかりなのかもしれないっていう。という言葉が出たあたりから、僕の頭の中には東京事変の『閃光少女』が流れてました。僕はその場その場の出たとこ勝負みたいな行き当たりばったり人間なので、今回のお話を聞いていて共感する部分が割とありました。

ちなみに、僕の人生におけるモットーは「明日くたばるかもしれない、だから今すぐ振り絞る」です。これも椎名林檎さんの影響ですね~。で、どうすればこれを達成しながら生きていけるのかを昔から考え続けているんですけど、最近辿り着いたのが「素直でいること」なんですね。相手に対して好意を抱いているなら伝える、大事だと思っているなら伝える、モヤッとする部分があるなら伝える、行きたいところがあるならなるべく早く行く。

もちろん相手が関係する事なら何をするにも最低限の配慮は必要でしょうけど、基本的には自分優先で生きていたいなと思うようになりました。自分を大事にする。とにかく自分を守ってあげる。大事な人に対しても当然ですけども、自分に対してももっと誠実でいたいなと、最近は思うようになりました。

【インタビュー・編集・あとがき:ミミハムココロ】


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