人と喋らない人
むかしむかし、ある山里に、静寂(せいじゃく)という名の男が住んでいました。静寂は村の端の小さな家で一人暮らしをしており、めったに人と言葉を交わすことがありませんでした。
村の人々は言いました。
「静寂さんは変わった人だ」
「なぜ誰とも話をしないのだろう」
「もしかして、私たちを嫌っているのかしら」
ある日、村の子どもが静寂の家の前で転んで泣いていました。静寂は無言で子どもを起こし、傷に薬草を当て、優しく頭を撫でました。子どもは不思議そうに静寂を見上げましたが、その瞳に温かさを感じて、泣き止みました。
「ありがとう」と子どもが言うと、静寂は微笑んで頷くだけでした。
冬の厳しい日、村の老婆が雪道で立ち往生していました。静寂は黙って老婆の荷物を持ち、家まで送り届けました。老婆が何度お礼を言っても、静寂は静かに手を振るだけでした。
春になると、静寂の家の庭には美しい花々が咲き誇りました。通りかかる村人たちは、その美しさに足を止めました。
「まるで花たちと会話しているみたい」
「静寂さんの心の声が、花に現れているのかもしれない」
ある商人が村を訪れた時、静寂に道を尋ねました。静寂は言葉を発する代わりに、地面に小枝で丁寧に地図を描きました。商人は感激して言いました。
「こんなに親切に教えてくれたのは初めてです」
村の賢者が静寂について語りました。
「静寂は言葉を話さぬが、心で語る人じゃ。言葉よりも行動で、音よりも静けさで、人の心に深く響くものを持っておる」
やがて村人たちは気づきました。静寂がいつも困った人を助けていること、彼の存在そのものが村に安らぎをもたらしていることを。
子どもたちは静寂の家を訪れ、無言で一緒に庭仕事をするようになりました。言葉はなくても、心は通じ合っていました。
年老いた静寂が亡くなった時、村中の人が集まりました。誰もが静寂との無言の思い出を胸に、静かに涙を流しました。
そして村には「心で語る者の言葉は、千の言葉より重し」ということわざが残ったとさ。
静寂の庭の花は、今でも毎年美しく咲き続けているそうです。
めでたし、めでたし。
そして次にインタビューされるのはきっとこれを読んでいるあなただし、そしてインタビュアーになる日もそう遠くはないでしょう。
と思う2025年6月8日17時42分に書く無名人インタビュー1092回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは ほかのなにか さんです!
年齢:50代前半
性別:女
職業:派遣社員
現在:詩を書いてます
qbc:
今何をしている人でしょうか?
ほかのなにか:
今はもう普通に、普通というか派遣社員で働いています。派遣社員で働きながら、趣味というか夢というか、詩を書いてます。
qbc:
どのような詩なんですか?
ほかのなにか:
そうですね。散文詩になるのかな、現代詩というか…うーん。説明難しいですね。なんかもう好き勝手に書いてるっていう感じですね。
qbc:
モチーフは?
ほかのなにか:
日常ですね。割と日常に感じたことですね。本当になんか日常を書いてる感じですね。あとは、やっぱり自分の育った環境がちょっと歪んでたりとかするので、そういうなんかそういうものを吐き出したりとかですかね。
qbc:
代表的だなって思う詩を、今読み上げていただくことってできます?
ほかのなにか:
好きな詩は…そうですね、ちょっと代表的というか、ちょっと評判が良かったというか、そういう短いのを一つ。ちょっと友達から評判が良かったのは、11月っていうタイトルなんですけど。
私はね、柿を褒めたいね。皮をむいても色が同じじゃないか。りんごもバナナも剥いてみなよ。赤はどこへ?黄はどこへ?柿はね、ずっと橙だね。なんだかよいじゃないか。それでも食べてみないことにはわからない渋を隠していることもあるね。狡猾だね。私はね、柿を褒めたいね。私はね、大いに柿を褒めたいね。
こういうのを書いてます。
qbc:
詩を書いてる時って何を考えてらっしゃるんですかね?
ほかのなにか:
書いてる時は…なんて言ったらいいんだろうな。なんかこう何でも、裏があるじゃないですけど。なんていうか、書いてる時…なんて言ったらいいんだろうな。
みんな隠してることがあるだろうっていうような気持ちですかね。なんかどんなに優しい人とか、人に親切な人とかでも、やっぱりつい悪態をついちゃう時とかってあるだろうし。なんかそういうなんか裏っていうか。なんか隠れてるところが絶対あるよなっていうのをよく思います。そういうのを思いながら書いていることが多いです。
qbc:
具体的に隠していることってどんなことですか?
ほかのなにか:
うーん…なんて言ったらいいんだろうなぁ。いやーなんかなんて言ったらいいんだろう。なんか例えばすごい人に親切にしつつ、どっかしら見返りを求めているとか。
なんだろう。そういう表に出てるものが全部じゃないっていうか。なんかうまく説明できないですけど、そういうイメージです。
qbc:
もっと具体的な話は?もっと具体的に、友達の何々さんがこういうことをしてたのはこういうことだったんだろうとか、そういう具体的なことを思い浮かべてるわけではないんですか?全く抽象的な?
ほかのなにか:
そうですね。結構漠然としてますね。なんかきっと…なんだろうな。
そうですね。漠然としていることが多いですね。実体験っていうよりかは、きっとこうだろうなみたいな。なんかこう結構、いつもなんかいろんなものを疑ってかかっているところがあるんで、そういうのを書いてるかもしれないです。
qbc:
全くその現実の様子がみたいのはなく、漠然としたものが、得体の知れない何かが、悪意がやってくるってことですか?
ほかのなにか:
うーん…
qbc:
種みたいのはない?例えば、コンビニでお金を渡すときに目線を逸らされたとか、そういうような、なんかきっかけはないんですか?その種は?
ほかのなにか:
きっかけは何だろう…、きっかけ、きっかけ…。まあでも、きっかけっていうか、もうなんか多分小さい頃からの、なんか多分育った環境とかがずっと影響してるのかなっていうのはあって…。きっかけ…。
qbc:
育った環境というのは、具体的に言うと?
ほかのなにか:
なんて言ったらいいんだろうな。ちょっと母親が、某宗教の信者なんですけど。まあ聞く人が聞いたらすぐ分かるような。誕生日を祝うことが悪いことみたいな教えだったり、クリスマスとかも異教のものだからダメ。そういうパーティーみたいなのには参加しないし、クリスマスに関わるようなことダメとか。禁止事項がやたら多い宗教だったんですけど。
そういう中で、やっぱり裏表のないようにみたいな感じで大人たちが言うんですよね。そういう宗教に関わりながらも、小学校とか中学校とか高校とかは普通の学校に通ってたんで。普通の人間と接する中で、やっぱり自分たちって教わってること普通じゃないなって思って。でもなんか無意識に裏表みたいな感じになっていくのを大人たちが察して、もう裏表のないようにみたいな、そういう教えじゃないですけど、厳しくなった時があって。そういうのがなんかこう妙に染み付いてて、いや、でも人って裏表絶対あるしみたいな。そういうのが根底にあるかもしれないです。人って絶対裏表あるみたいに。
qbc:
なんか個人的な経験と一般的な裏表があるが、すごい重なり合っちゃってるんですけど。
裏表があるって言うのは珍しくない考え方ですよね。でも、ほかのさんがおっしゃっている裏表っていうのは全然違う文脈でおっしゃってますよね。わかります?
ほかのなにか:
あぁ、あんまり考えたことなかったかもしれない。
qbc:
そうなんですか。どういうことで、その子供の頃に裏表がないようにって言われたんですか?
ほかのなにか:
宗教のその集会場にいる時といない時とで態度が違ったり、隠れて禁止事項をその宗教外の一般の人たちと楽しむようなことがあったりとかしたらいけないみたいな。
qbc:
あぁ、なるほど、それが裏表がないようにっていう。
ほかのなにか:
そうですね。なんかそういうのが…なんていうか、なんだろう。すみません。
qbc:
それはあなたにとって良いことだったんですか?悪いことだったんですか?
ほかのなにか:
悪いことでしたね。不満でしたね。あり得ないって思ってましたね。
qbc:
今の視点で言うと、世の中を見渡して裏表があるかないかっていう意味で言うとどっちだと思いますか?世の中は。
ほかのなにか:
もう世の中は裏だらけだと思います。見えないことしかないと思います。見えてないことの大半が世だと思ってます。
qbc:
そうですよね。それは、なんか別に特別なことでもなんでもないですよね。
ほかのなにか:
うーん、そうです。
qbc:
全部わかってたら怖くないですか?
ほかのなにか:
ふふふ、そうですね。
qbc:
相手のこともわかんないし、それは勉強してないこともわかんないし。
ほかのなにか:
そうですね。そういう裏表のないようにみたいなのを叩き込まれたみたいなので、普通の感覚がわからないみたいな感じで育ったところがあるかもしれないです。
今、確かに裏表なんてあって当たり前なのにあったらいけないっていう、そういうのなんかすごいしつこく言われたせいで。
qbc:
やっぱり日本ってTPOっていう和製英語あるじゃないですか。その場面場面によって変えなさいってめちゃくちゃ言う文化ですよね。日本なんて。
ほかのなにか:
そうですね。
qbc:
表と裏って言い方はもうあれですけど。場面場面によって人なりキャラクターを変えなさいっていうのは奨励されてますよね、むしろ。合わせない奴は空気が読めないで逆にネガティブですよね?
ほかのなにか:
あぁ、確かにそうですね。
qbc:
だから宗教的に、ただ統一されたあり方、どこにいてもあなたは宗教人としていなさいみたいな感じなですよね。信者としていなさいってことですよね。
ほかのなにか:
あぁ、そうですね。
qbc:
それは特殊ですね。なるほどね。
ほかのなにか:
そうですよね。あぁ、そっか、なるほど。そういうのが結構なんていうか、抜け落ちてるじゃないですけど。すごい手探りで集めてきた人生でした。そう言われてみると。空気を読まずに生きてきた。
qbc:
TPOとか関係なく所構わず信者でいなさいっていう感じですよね。
ほかのなにか:
そうそう(笑)
qbc:
はい。これはきつい。きついっていうかまぁ…。
ほかのなにか:
だからなんか…そうですね。それですよね。きっと。
なんだろうなぁ。頭ではそういう空気を読むとかなんか知ってるし。自分なりにしてるつもりのところはあったんですけど。そういうふうなのが、なんていうのかな、なんだろう、確かにちょっと抜け落ちているところはあるかもしれないです。
qbc:
ただまぁ、それに関わることに対する気持ちを、詩にされていることが多いと。
ほかのなにか:
そうですね…。
qbc:
それで合ってます?
ほかのなにか:
多分…あってます。そうですね。多分、あってます。なんかもう…うーん、そうですね。
qbc:
書いてる時自体の気持ちはどんな気持ちなんですか?
ほかのなにか:
書いてる時、結構自分のために書いてるところはありますね。書き終わって、これは誰かが読んで面白いと思ってくれたらいいなーっていう感じですね。伝わるというか、誰かの心に引っかかったら嬉しいなっていう感じですね。
qbc:
書く前はこんな気持ちで、書いた後はこんな気持ちになる、みたいなことで言うと?
ほかのなにか:
書く前は、なんかもう出てきた言葉っていうか、多分吐き出したい感じでバーって書いてる感じもあるんですけど。で、書きながら、これじゃあ…伝わらないじゃないけど、変なこと言ってるなと、書きながら気持ちが整っていくような。
で、書き終わったら、これきっと読んだ人が面白いって思ってくれるの書けたかも、みたいなそんな感じですかね。
うーん、もう難しいな。なんだろう…意外と何も考えてないのかもしれないですね。
qbc:
どのタイミングでも?
ほかのなにか:
そうですね。書きたいと思った言葉とか、ちょっと不穏な気持ちとかが出てきた時に、わーって書いて、整えていって。
…そうですね…うーん、なんだろう、読まれることを期待して書いてるんだけど、やっぱり自分のために書いてるのかなって思いますね。
qbc:
いつから書き始めたんですか?
ほかのなにか:
書き始めたのは、20年くらい間は空いてるんですけど、20年くらい前にこう書けたらいいな、表現できたらいいなって思ってポツポツ書き始めました。
qbc:
なるほど。書くこと自体は気持ちがいいことなんですか?気持ちが悪いことなんですか?
ほかのなにか:
気持ちはいいことですね。多分。
qbc:
他に似た気持ちよさってあります?
ほかのなにか:
うーん…シャワーとかですかね。
qbc:
どのタイミングで?書き終わった時にシャワーみたいな感じ?書いてるときに?
ほかのなにか:
あ、書いてる時ですかね。書き終わったときに、ちょっとホッとする。お風呂入ったみたいにホッとするような感じですかね。
qbc:
じゃあその書く前は?
ほかのなにか:
書く前はそうですね…このお風呂で例えたら、書く前はやっぱりちょっとこう汗かいて疲れて、すごい働いてちょっとクタってなってるっていう感じかもしれないです。
qbc:
一つの作品を書くっていうときに、どのタイミングから書こうっていう状況になってるんですか?
ほかのなにか:
どのタイミング…?
qbc:
朝起きたっていう時から考えるとどんな感じなんですか?
ほかのなにか:
朝起きた…なんか難しいなぁ。なんだろう…書くタイミング…書くタイミング…
qbc:
人によっては、なんか通勤のときに思い浮かんで、帰りの電車でスマホで打ってるとか。
ほかのなにか:
そうですね。あ~、でもそれが一番近いかもしれないですね。そうですね、多分そうかも。
えっと…なんて言ったらいいんだろうな。私すごく友達が少なくって、あんまりこうおしゃべりとか、職場とかでも隣のデスクの人とわーってすごい仕事中なのに盛り上がって喋ってる人とか見て、なんであんな風に喋れるんだろうなっていう感じで、人と喋れないのを詩に書いてるかもしれないですね。
なんかこう…やっぱ通勤で電車の駅までの間歩いてる時に言葉が浮かんできて、それをスマホにメモして、電車に乗ってる間にスマホで編集して、仕事終わって家に帰ってきてから整えてみたいな日は多いです。
qbc:
他に趣味というかやられていること。仕事と詩以外にあります?
ほかのなにか:
最近音楽ライブに行くのが好きになって、数年前からライブハウスとか行くのが楽しくて、音楽聞くようになりました。
qbc:
どんな音楽?
ほかのなにか:
うーん…わりと、ギターの弾き語りの人が多いかな。好きなアーティストさんはいるんですけど、一番メインで行ってる人はそのギターが得意というか、ギターの弾き語りで有名になった人だけど。バンド編成とかもやってて、バンド編成も楽しいみたいな感じなんですけど。
qbc:
その人の音楽ジャンルはどんな音楽ジャンルなんですか?
ほかのなにか:
なんだろう…。何でもありだな、あ、でもロック、ポップスって感じですかね…。ロックでもあるけど、ポップスでもあるって感じですかね。ノンジャンルで、音楽というものが好きだというのを全身で表してくれているのがカッコいいなって思ってます。
…というか、これは、私はどうしたらいいんでしょう?全然喋れてなくて申し訳ありません。
qbc:
あぁ、何を目的にインタビュー受けようと思ったんですか?
ほかのなにか:
そう言われてみるとなんだろう。
qbc:
上手く喋ろうと思って来られた訳じゃないですよね?
ほかのなにか:
そうですね。何だったろう、なんだろう。なんかすごいいろいろ思ってたのに、全部抜けちゃったんですよね。こういう風なお話しようとか思ってたのに、全部どっか行っちゃいました。うーん…そうですね。まあ、詩の話と宗教二世の話をしようと思ってたんだ。
qbc:
はいはい。性格はどんなふうに人から言われます?
ほかのなにか:
性格…性格は、割と明るくて面白いとは言われます。
qbc:
どの辺が面白いって言われます?
ほかのなにか:
なんかこう…なんだろうな。意外と…なんか思い出せないけど、ふとひょうきんなことをしたりとか言ったりとか。冗談を言ったりとか。なんだろうなんだろう。普通なんだけど。
qbc:
先ほど友達がいないって言ったじゃないですか?誰から言われてるんですか?
ほかのなにか:
職場の人ですね。ほとんど喋らないのに、急に何か話し掛けられて、その受け答えの時にちょっとふわっと面白いこと、自分では普通でそんな面白いと思ってないけど面白いことを言ったらしく、びっくりされるというか。あぁなんだ、ほかのさんって面白いじゃん、みたいな感じのことを言われたことがあります。
qbc:
自分自身ではどんな性格だと思います?
ほかのなにか:
自分自身は、…自分自身の性格…自分の性格、自分の性格か…。うーん…まあ多分暗くはないけど、ひねくれてるというか。なんかいっつも怒っているような気がします。あぁ、難しい…
qbc:
何に怒ってるんですか?
ほかのなにか:
なんだろう。なんだろうな。全然世の中って思いどおりにいかないなぁみたいなところとか。
なんだろうな。やってみたいこととかもいっぱいあるのに、お金がないとか(笑)もうこんな年齢になっちゃってるとか。なんかどうしようもないことによく腹を立ててますね。
最近だったらもう税金が上がるばっかりだし、帰ってくるかどうかもわからないような年金がどんどん取っていかれてて手取りが増えないとか。本当に自分の力ではあんまりどうにもできないようなことに腹を立てていることが多いです。
qbc:
それはいつ頃から?
ほかのなにか:
あ、でも結構若い時から、なんでこんなにこう…自分の力ではどうにもならないことっていっぱいあるんだろうみたいな感じで。
qbc:
もうちょっといつ頃からっていうことに対して、真剣に考えてみてもらってもいいですか?いつからですか?
ほかのなにか:
はい。いつからだろう…。30代…20年ぐらい前からかな?
qbc:
何歳の頃ですか?
ほかのなにか:
30ぐらいですかね。30歳ぐらいからだんだん…政治とか何なんだろうって。そういう広いのもそうだし、自分個人のも。気楽に習い事とか手を出してやってみたらいいだろうに、でも時間もお金もないなぁとか、なんなんだろう?みたいな。
うーん、なんていうか、いろんなことが不自由だなと思うようになりました。やってみたいと思ったことをやってみればいいだけのことなんだろうけど、なんだかそうもいかない。仕事は働かなきゃいけないし、働いても思うようにそんなに稼げなかったり。
qbc:
それは何が原因だと思いますか?
ほかのなにか:
どうでしょう…なんだろう…自分の視点とかも悪いのかな。努力不足とかもあるんでしょうね、やっぱり。
qbc:
問題は特定されてないと?
ほかのなにか:
そうですね。
qbc:
シンプルに、今考えたってことですよね。20年前からの問題を。
ほかのなにか:
そうですね。なんかずっと怒ってますね。何なんでしょうね。全然答えが出ない。
qbc:
その原因はわかってないと。
ほかのなにか:
そうですね。
過去:子供の頃のことを覚えていない
qbc:
ちょっと昔のことについて聞いていきたいんですけど、子供の頃はどんなお子さんだったんですか?
ほかのなにか:
子供の頃は割とおそらく本当は何かとおどけてふざけて、なんていうんだろうな、笑ってもらうの好きだったような気がしてるんですけど。
でもあんまり子供の頃のことをやっぱり…私が4歳の時にちょっと母親がその宗教を勉強しだして…なんか、なんだろうな。どうしたらいいんだろう。なんだろう。子供の頃か、子供の頃…。
qbc:
子供の頃、どんな子どもだったんですか?
ほかのなにか:
そうですね。でもよくふざけて笑ってとかしてたんですけどね。結構…笑ってふざけてっていう感じの…なんだろうな。うーん。
qbc:
その言い淀みは何なんですか?(笑)明るかったって言い切れないってことですか?
ほかのなにか:
うーん、あまり子どもの頃のことを覚えていないっていうのもありますね。
qbc:
単純に覚えてない?
ほかのなにか:
そうですね。覚えてないですね。
qbc:
覚えてない理由ってなんかあるんですか?
ほかのなにか:
覚えてない理由…。うーん、あんまり思い出したくないのかもしれないですね(笑)
qbc:
思い出したくないっていうのはなんで?
ほかのなにか:
なんかね、日常が難しかったんですよね。やっぱり母親の宗教の関係で週に3回は夕方から夜にかけて宗教の集まりに連れ出されて。で、それ以外の日もできる限りその宣教活動に参加させられて。いろんなお祝い事とかが、やっぱり宗教に絡むからっていうので、すごく削がれてて。誕生日は悪いことだったんで、誕生日を祝うっていう習慣がなくて(笑)
qbc:
そのなんていうか、宗教が悪いってわけじゃないですよね。その入っていた組織が悪かったっていうことでいいですか?
ほかのなにか:
うーん、まぁ宗教の教え…
qbc:
宗教全般が悪いみたいな言い方になってしまいますよ。そうすると。
ほかのなにか:
そうですね。その宗教が悪かったってことですね。そうですね。宗教全般っていうか、その母親がそのカルトっぽい宗教で。
あ、思い出した。そうだ。その宗教は終わりの日っていうか、ハルマゲドンというか、終末説を唱えている宗教だったんで。なんせ私は小学生になる間もなく滅びが来るっていう予定だったんですよ。
qbc:
はい。
ほかのなにか:
ところがどっこいそんなこともなく、小学校にも上がり。いよいよ中学生になることなんかないかもって言われて、でも中学生にもなり。で、高校受験の頃にはいよいよ終わりが来るから高校なんて受験しなくてもいいかもしれないとまでも言われ。
でも、母親個人がちょっと微妙に学歴コンプレックスとまではいかないけど、高校はちょっと行った方がいいかもしれないっていう感じで、高校は行かせてもらえたんですけど。なんせそういう、それこそ今度は高校卒業する間もなくハルマゲドンが来るかもって言われたのに来ないし。
とうとう50歳なんですけど、どうしてくれるの?っていうのが私の人生のほとんどを占めてるって感じですね。そう言われてみれば。
qbc:
10代の頃は、その宗教生活ずっと送ってたってことですか?
ほかのなにか:
そうですね。10代はもう反発しつつもどう抵抗していいかが…、なんせ4歳の頃から叩き込まれてるからその反発の仕方が分かんないわけですよね。
で、普通の中学とか高校とか通ってるから、自分が他の人と違うところに置かれてるっていう自覚はあるんだけど、どうしていいかわからないっていうのがもう10代ずっと続いてて。
qbc:
高校の後はどうされたんですか?
ほかのなにか:
高校の後はフリーターでしたね。アルバイトで、まあ氷河期世代でもあったので、全然もう求人もなかったのと、なんせ宗教…。なんていうかフルタイムの仕事を良しとされてなかったので、宗教的に。その布教活動に影響が出るから、フルタイムの仕事は望ましくないみたいな感じだったんで。まあ私はその頃も反発の仕方がわからなくって。
なんだろうな、すごいストレスを感じながら2ヶ月間ぐらいフルタイムの仕事に就いたのかな。一応正社員みたいな感じ。正社員で雇ってもらえたんだけど、2ヶ月くらいで辞めたっていうのがあります。
qbc:
その後どうされたんですか?
ほかのなにか:
その後は、実は宗教の外にいる普通の人と結婚することができたんですけど。
qbc:
何歳の時に?
ほかのなにか:
22だったかな。そうですね。22で結婚して…うーん、でも説明が難しいけど、結局それで普通の経験、普通の生活を体験はできたと思うんですけど、やっぱりでもその育った時のいろんなことが尾を引いてみたいな…。説明が難しい。
qbc:
説明が難しいって、何を伝えようとしているんですか?
ほかのなにか:
そうなんですよ。そうですね、何を言いたいんでしょうね。なんだろう。
うーん、せっかくインタビューをしてもらおうと思ったのに…全然どうしよう。全然話がめちゃくちゃですね。これ記事になります?申し訳ありません。
qbc:
全然大丈夫ですけど。
じゃあ、20代で結婚して。で、その後は?
ほかのなにか:
その後、その後…。
qbc:
お仕事されたのか、専業主婦になったのか、みたいなのは?
ほかのなにか:
もうその後も後悔だらけで、結局離婚してるんですけど。うーん。
qbc:
いつされたんですか?
ほかのなにか:
離婚は6年前かな。
qbc:
あ。じゃあ、何年ぐらい結婚されてたんですか?
ほかのなにか:
20年ぐらい結婚してて。
qbc:
いや、長い方ですよ、そしたら。
ほかのなにか:
ふふふふふ。そうですね。
qbc:
結婚してる人も別にみんなが結婚生活したくて結婚してるわけじゃないですからね。別れたいけど、別れるとお金とか経済的に問題があるとかで続けてるだけなんで。
ほかのなにか:
そうそう。
qbc:
離婚はめちゃくちゃポジティブなことだと思いますよ。
ほかのなにか:
なんか私のわがままで離婚したなっていうのもあって。
なんか時々ね、本当にね、私と結婚してくれて、しかも離婚してくれてありがとうって思うことがすごいありますね。時々ね、あの元旦那には。
qbc:
お子さんは?
ほかのなにか:
そうそれが、子供も3人いるんですよね。ふふふ。
でも子供はもう、3人とも成人してて。
qbc:
はい。今はご自身はどういう生活なんですか?
ほかのなにか:
私は普通に一人というか、妹と2人暮らしです。
qbc:
いろいろなことがあったけれども、言うのが難しい状態があったと、今まで。というお話で大丈夫ですか?
ほかのなにか:
そうですね。そうなんか、うーん、そうですね。そうだな~。うーん…難しいな。
qbc:
何が難しいの?(笑)
ほかのなにか:
なんだろうな。何が難しいか…。何を話そうと思ってたんだろう。
qbc:
そもそも、自分の過去について話し慣れてない?
ほかのなにか:
ないですね。
qbc:
過去について話すこと自体が初めてなので話せない、ということですかね?
ほかのなにか:
そうですね。
qbc:
なんか自分に起きた出来事を話すっていう機会ってありました?
ほかのなにか:
あんまりないですね。
qbc:
普段人と話すっていう機会はあります?
ほかのなにか:
普段びっくりするぐらい人と喋らないです。
qbc:
じゃあ過去について話すのじゃなくて、話すこと自体が苦手ですか?
ほかのなにか:
そうですね。多分そうです。
なんか、その唯一中学校のときからつながっている1人友達がいるんですけど、その人と友達とは話せるし、元宗教仲間というかその宗教団体から脱出したよっていう仲間が数人いて、その人たちとは普通に喋れるんですけど。
qbc:
その人たちとは昔の話もしている?
ほかのなにか:
そうですね。同じ境遇だったから…。
なんだろう。説明なしに、っていうのかな。なんだろう、何かが違う…。緊張なしに喋ってるとか、そういう感じかもしれないですね。
qbc:
ちなみにどちらの宗教なんですか?
ほかのなにか:
あぁ、エホバの証人です。ご存知ですか?聞いたことありますか?
qbc:
はい。そもそもそのインタビュー自体は宗教2世っていうのは珍しくなくて。首相が撃たれて以降は増えたんですよ、やっぱり。
ほかのなにか:
そうなんですね。
qbc:
カミングアウトというか。動揺されますよね、宗教2世の人たちは。
ほかのなにか:
ありますね。
qbc:
自分も同じように事件を起こしてしまうんじゃないかというか、世の中にどう見られてるんだみたいな不安があるのは、当然のことで。それもあってインタビュー受けるって人は多かったんですけど。
ほかのなにか:
そうですね。
qbc:
まぁその前からもやっぱりちらちらはいらっしゃって。まあ、珍しいことではないんでね。そんなこと自体は全く、人によって受け止め方も違いますし。
若いうちから脱会する人もいるし。脱会したんだけど、また同じような宗教に入ったりする人もいます。
ほかのなにか:
そうですね。そうですね。
qbc:
うん。まあだから、話すのが難しいのは難しいんだろうなと思いながら聞いてます。
ほかのなにか:
はい、ありがとうございます。
qbc:
自分のその人生の転換点みたいなのがあるとしたら、どこにあると思います?
ほかのなにか:
転換点は、離婚ですかね〜。やっぱり。
qbc:
なんで離婚したんですか?
ほかのなにか:
まあ嫁ぎ先が田舎というか地方だったので、なんていうかその地方の習慣とか、その冠婚葬祭のそういう濃い習慣みたいなのが、ついていけなくって。なんか今より年を取ったときに、その姑とか舅とかとこの土地の習慣とかをやっていくの、私多分できないって思って心が折れて、離婚したっていう感じですね。
qbc:
それは、その後良くなったってことですか?つまり。
ほかのなにか:
そうですね。自由になったというか。自分のことだけ面倒見てればよくなったので。ちょっと楽になった部分はありますね。
でも、そういうわがままというか、まあ極端に自分さえ良ければじゃないですけど、自分の世話だけして生きていく、自分のことだけ考えてていいみたいなことに慣れてなくて、そこにまた罪悪感みたいなのもしばらくあって。だいぶ2、3年はモヤモヤしてたんですけど。自由でありながら、罪悪感と一緒に生きてるみたいな、モヤモヤしたものは。
でも、それで言ったらもうちっちゃい時からずっと罪悪感ですね、そういえば。宗教で叩き込まれたいろいろとかもあって。まぁでもここ数年だいぶマシにはなったけど、うーん…でも何かと長生きだけはしたくないってよく思います。
未来:死ぬタイミングを自分で選べたらいいのに
qbc:
未来について聞いていきたいです。
まあ5年10年というか、あと何年かですよね。まあ最後、自分が死ぬっていうところまでイメージして、その未来はどういうふうにイメージしてますかね?
ほかのなにか:
雇ってもらえなくなる日が来ると思ってるので、理想としては、例えばその詩を書くことが仕事になるとか、他に何かこう、できそうな表現だったりとか。
何を勉強すればいいかわからないけど、ちょっと今から勉強できることがあればしていって。その雇ってもらう以外の方法でお金を得ることができたら理想だなっていうのはちょっと漠然と思っているところはあります。
うーん、なんだろうなぁ~。それができたら普通に老衰でというか、その死ぬべきタイミングで寿命が終わればいいなと思うんですけど。なんか生きていくのにも、体力とか経済力とかがすごい要ることにやっぱり、なんていうのかな、不安というか、力尽きるんじゃないかって思うこともあって。死ぬタイミングを自分で選べたらいいのになって、思うことはよくあります。
qbc:
その嫌な言い方ですけど、自殺は自分の好きなタイミングで選べるじゃないですか。
ほかのなにか:
そうですね。別に自殺は全然否定しない人ですね。むしろこう…。
スイスとかは自殺幇助になるのかな。そういう、病気でなければ安楽死みたいなみたいなのは、そういう諸外国でも難しいけど。なんかこう老いているのにも関わらず、無理やりな延命は絶対嫌だけど。その無理やりな延命になるよりも、もうちょっと判断力とか体力が残っているうちに、いろいろな自分のものを全部片付けて死ねるなら死にたいなっていうのはありますね。
qbc:
なんか一番人に迷惑かけたことって何ですか?
ほかのなにか:
一番迷惑かけたの…あ~、それも離婚じゃないですかね。
qbc:
迷惑をかけた?
ほかのなにか:
じゃないかなっていう、気はしてますね。
子どもはもうだいぶ大きくって高校生とかだったんですけど、きっと子供にも負担だったろうし。元夫も、今は再婚して楽しそうなんですけど、それまでの間のやっぱり…子供全員置いて離婚しちゃったんで、やっぱり高校の学校行事とか、それなりに面談とかも全部彼が行ってたんで、大変だったんじゃないかなっていうのはありますね。
qbc:
なるほど。何してる時が一番楽しいですか?
ほかのなにか:
何してるときが一番楽しい…楽しいときか~、おそらく、おそらくライブに行ってる時ですかね。その最中ですかね。
qbc:
もう一回聞くんですけど、音楽、ライブの何がいいですかね?歌の内容なのか、その人にスター性を感じるとかなのか。どういうところに一番惹かれるんでしょう?
ほかのなにか:
やっぱりそこでしか聞けない音っていうんですかね。CDの外側にあるその生身のその瞬間だけの音とかですかね、やっぱり。
あとパフォーマンスですかね。その演奏してる姿とかもですね。音の大きさ、体全身が音に包まれて、演奏している姿が見れてみたいな、そういう感じですかね。そういう丸ごと、そこの空気とかも好きですね。観客の人たちがわーって言ってるのとか。
qbc:
もしもの未来の質問っていうのをしていて。もしも自分が、宗教の家に生まれてなかったらどんな人生になってたと思います?
ほかのなにか:
そうですね。そのライブを見るのも好きですけど、そのそっち側からお客さんを見るってどんな感じなんだろう?っていうのはすごく興味があって。普通に小学校とか中学校とかでアイドルとかに憧れる感じそのまんま、うっすらそういうの面白そうみたいなのは多分そういうのを持ったまま、ああいう変な家に生まれながらも、そういうそういうのには興味があった記憶があるので、そういうことにチャレンジしてたかもしれないです。
お芝居だったりとか歌を歌うとか、そういうことにチャレンジして、挫折して、普通のおばちゃんになってるっていう感じかなって思います。
qbc:
極論言えば。いや、極論でもないんだけど、今からでもできますよね?
ほかのなにか:
はははは!そうですね。ちょっとそうですね。興味あります。習い事としてでも、お芝居とかのそういうレッスンみたいなのに首突っ込んでみたいなっていうのはあるかもしれないです。
qbc:
じゃあまぁ、普通に興味あるんですね。今。
ほかのなにか:
そうですね。ありますね。そう言われてみると。
qbc:
話してみていかがでしたか?
ほかのなにか:
すいません。なんか本当に普段人と喋らない日があって。ちょっと今思い出したのが、なぜインタビューを受けようと思ったかっていうのを、人と普段話さなすぎるから話さなきゃっていうの思ったからっていうのを思い出しました。
で、なんか話してみたら、何にも言葉が出てこなくてびっくりしました。もうちょっと人間と関わらないといけないなとちょっと思いました。
話せてとてもありがたかったです。なんか本当に言葉に詰まるばっかりで大変申し訳ありませんでした。
qbc:
最後の質問がですね。最後に言い残したことは?っていうので、遺言でも読者向けメッセージみたいなのでも、独り言みたいのでもいいんですけど。最後に言い残したことがあればお伺いしております。
ほかのなにか:
最後に、じゃあそうですね。出版社を通して詩集を作るっていうのに挑戦して、在庫があります。BASEで販売してます。興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、BASEでご購入いただけます。っていう宣伝をさせていただきます。
qbc:
ありがとうございます。
あとがき
人生いろいろです。
【インタビュー・あとがき:qbc】
【編集:mii】
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