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誰も褒めてくれないゴースト発明家の人

わざとじゃないんだけどね。でもわざとっぽくなっちゃうときがあるじゃない。
わざわざわざとなことしないんだけど、でも本当?
ほんとうですよ。
すべてのことは本当の真実なのです誠に。
小学校のころですかね。友達と帰っているときなんかに、わけのわからない大人に遭遇して、なんかいろいろなことを教えてもらったりすることなんかが、ありました。今ではむりかもしれないですね。知らない人の危険性が高まっているので。
もちろん30年以上前の日本でも知らない大人にはついていってはいけないという教育はされていましたし(それは赤ずきんの時代からそうだっていうのね)、でもなんか誰か友達の親戚とかそういうので、知らんおっさんの話なんかを聞かされて、余計な知識が身についた、なんてことがありましたね。
たしかなんだっけな、美術教室をやっている人のおうちにあげてもらったのかな。
あれは、なんであの家に私は入っていったんだろうか。
なんだろうね、0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12くらいの記憶ってぼやぼやしてるよね。
いやまあ、記憶はすべてぼやぼやしているものか。昨日の記憶さえ曖昧だもの。
まあでもさ、記憶、忘れらんない人もいるんだよね。忘れらんねえよ。
というわけでね、今日も、無名人インタビューの出発進行です!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは 黒子発明家 さんです!


現在:正直販売開始した時には涙が出ましたね。嬉しくて。やっと俺も商品というか物をこの世に残せたなと思って。ただ私の名前は一切出てこないですけどね。

きさい:それでは最初の質問です。今何をしている人ですか?

黒子:今の私の職業、っていう感じで構わないですかね?

きさい:そうですね。ご職業でもいいですし、自分ではここに力点を置いてるみたいな、自由なご回答で大丈夫です。

黒子:仕事は公務員です。職業柄、公務員は副業禁止だったり、奉仕の精神っていうのがありまして。市民のために仕事をする。と教育されてきたんですけども。
ある日突然ちょっと思いついてしまって、ある発明が。私、結婚するまでは別に何もなかったんですけど、妻と結婚して一緒に住むようになって家事を分担してやってるうちに、今まで私がやってなかった部分から新たに発見っていうか、やることが増えた部分がありまして。

きさい:あぁ、ありますね。

黒子:ある物を洗って乾いたら縦に揃えて収納する。
それがすごく何か、私ちょっとO型でズボラなんで、面倒で。なんでこんな面倒くさいことやってるのかなと思って、そこであるアイデアが思いついてしまって。
そこでいろいろネットで検索したんですよね、こういったものあったら便利だなってことで。調べてみるとそれが全く世の中になくて。それで私ちょっとDIYとか得意だったんで、試しにちょっと作ってみて、それで実際に使ってみたんですけど、これは本当に便利だなと思って。

ある日、これってもしかしたら発明なんじゃないかなと思って。でも、そこからどうしていいかわからなかったんですよね。もうそこでまず第一段階の壁にぶつかって。それで、どうしたらいいのかなと思ってネットで調べると、弁理士さんが在籍している企業で特許取れますよみたいなサイトがあるんですけど。金額が40万円とか50万円の世界で、ちょっとうちにはそんなお金ないなと思いまして。
ネットで発明募集、特許もとれます的な企業の方に発明を相談してもそこで情報が流れてしまい発明が奪われてしまうかも信頼できない。そういったところの心配もありまして、私が住んでる県に守秘義務があり無料で相談できる知財部っていうのがあるってことを、調べてるうちに知りまして。それで知財部の担当の方とお会いして、発明として私はこういうのを見つけましたみたいなことを、三、四十分ずっと夢中になって話したのは覚えてるんですけど。

そして、知財部の方とに、発明が過去に特許権を取得されてないか、特許を取らずに商品化されている物は無いか調べましょうと言われ、既に取得されている同じ特許は無いか、私が考案した物と同一の商品は無いかを調べる作業がそこから始まりまして。
お互いのパソコンでネット上に私が考案した発明を使った商品やそれに関連する物が存在しないことは判明して、次に特許庁にあるデータベースの中から、関連する特許を検索する方法を教わり検索すると、ものすごくて全部で800いくつか関連する特許が出てきたんですよ。
それでその中に、あなたの特許と同じものがないかどうか調べてください調べ方は教えますと、宿題を出されて。あと、これ調べないで申請することも可能だけど、出願、審査請求料その他で約20万円かかります。よく調べないで出したら、もし同じような特許があった場合、その約20万円が無駄になってしまいます。慎重に調べてくださいと言われました。毎日800件近くある特許の内容を一件一件特許庁のホームページから図面と中の文章で同じものがないかどうか。10日ぐらいかかったと思いますね、約800件全ての特許を調べ終わり、
似たような特許や実用新案が三つぐらい確か出てきたんですけども。知財部の方に報告したところ、似てはいるけど、ちょっと違うなと言ってくださって。

今度は、特許の申請の書類を作る工程がそこから始まりました。その様式が難しい文章で、他の特許を申請し取得された方の文章を参考に自宅で空き時間を利用し文章と図面を作成して、週1で知財部に伺って文章上の難しい部分や悩み所を相談したり、あいまいな部分を指摘されては訂正してを繰り返していくうちに私の妻も同席して一緒に行くようになり、文章の訂正箇所を一緒に聞いてメモしてくれるようになりました。それが2、3ヶ月ぐらいずっと続きました。
3カ月くらい経ったところだと思います、知財部の方から弁理士さんという専門の職業の方に、無料で相談できる県の弁理士無料相談会があるから一度見てもらおう。と言われ、相談会に知財部の方と妻と私で出席して文章を見てもらいました。弁理士さんからは面白い観点の発明ですねと言われて、文章も図面も問題ないのではないかと言われました。
書類をプリントし、印紙を貼り特許庁に特許の申請書を提出しました。

きさい:なるほど。

黒子:ここで私がなぜ黒子の発明家かというと、妻が扶養の範囲内でパートで働いてまして、年間収入の少ない人は、審査請求料が全額免除っていうのがあるんですよ。なので、出願料だけで無料で審査していただける。それに、もし特許を取得しても、その後かかる手続きの料金や毎年の特許年金とかいろいろな面で全額だったり半額免除になったりとか全免または減免になる額が大きくて。
調べてみると、私が出願するとトータルで30万ぐらいかかる。妻の名前で特許出願すると7万円~8万円ぐらい。特許証を受け取るまでに掛かる金額が。30万と7万で比較すると我が家はお金がない。ちょっと今まで頑張ってきたけど、お金の関係で妻の名前で特許申請しようと決めました。その日から黒子生活が始まりました。書類の申請人の名前を妻の名前に書き直して妻が押印し印紙を貼り、妻が考案し妻が一人で特許庁に申請書を提出したことにしました。
で、提出して3か月くらい経ってからですかね。審査が終わった通知とともに拒絶通知というものが同封されてきました。海外の特許と日本の特許に似ているという通知で。以前、知財部の方から、拒絶通知っていうのは、必ず来るよ、弁理士さんが書類作っても来るから、拒絶って書いてあるけど気にしないで通知来たときは反論できるか対応を検討しようとお話を伺ってたんで、あぁ拒絶通知来たなと思いました。
で、拒絶通知とは何かというと同じような発明が過去にありますよと指摘してくる通知で、私の発明はここの部分が指摘を受けた類似発明とは全く違っています、新たな発明ですと反論する文章を作成する必要があり、特許庁から詳しい類似理由を聞き出すために、特許庁に伺って検査官と面接して詳しい類似理由を聞き出す必要が出てきました。ここで困ったなと。黒子の私が作ってた文章や図面なのに、面接に行くのは申請者である妻一人だけ。特許って、家族にも話しては駄目なものなんで。内容を知っている人は申請人の所に記載が必要になるんですね、例えば妻と私が知ってる、2人で考案したってなった場合は、2人の名前を書かなくちゃいけないんで、それを知ってる全員の名前を書かなくちゃ本当はまずいんですよね。申請書を出す場合に。でも金銭面で妻のみの名前で申請した。

きさい:はい。

黒子:つまり、嫁が一人で特許庁に伺って検査官の面接を受けることになってしまった。こりゃあ困ったぞ。そして今度は妻に特許の難しい3ヶ月かかった文章の内容を教える日々になりました。特許文は広い範囲を抑える独特の言い回しの特許用語が使われていて、その言葉一つ一つの意味を全て妻に教えて覚えてもらう、もう頭から最後まで全部説明するのはすごい大変でした。それで面接が近くなってきて、あぁ大丈夫かな。妻も自信がないっていっていて、どうしようってなってたんですけども。

たまたまそこはもう、やっぱり我が家は運があったかなって感じがしたんですけども、妻がちょうど面接の頃、妊娠8か月目か9か月目ぐらいだったと思うんですよね。確か9か月目かな。それで知財部の方から、面接のときに奥さんなんかあったら大変だよねって言われて、特許庁に緊張して倒れちゃったりとか何かあったときのために、旦那も一緒に付き添って入室してもいいですかってことで、一応メールで質問状を入れてみたら?とアドバイスをもらって。そこでメールを急いで送りました。検査官の方から、そういう状況であれば旦那さんも一緒にいらしてくださいと返信をいただき。そこで、特許の内容を旦那に話してしまっても大丈夫ですかみたいなことを文書に入れたんですけども、特許申請後の拒絶通知の段階だし妊娠中の状況であるので内容をお話しても構いませんみたいなメールをいただいて。
おかげで面接当日、私と妻の2人で面接に対応できて、何とか妻が中心になってほとんど全て質問に対応できていて、妻も頑張ってくれたなと感心しました。
面接後に拒絶通知に対応した反論文を作成して特許庁に提出して、そこから、また審査期間に入るんですけども、1ヶ月ぐらい経ってからだったと思うんですけど。特許として認めます!と特許証が届き、おぉと思って、凄く嬉しくて、妻と抱き合って喜んだのを覚えています。

きさい:おぉー。

黒子:嬉しかったのは一瞬で、この特許どうしたらいいんだろうって、またここで大きな壁にぶち当たって。誰かに作ってもらうにしても誰に頼めばいいのか。特許を持ってるって言っても、それが売れるか売れないかなんて。特許を製品化するまでをネットで調べると、作ってくれる業者を自分で歩いて見つけなさいっていうのと、結局30~40件歩いてお願いしても、こんなの売れないよ!って言って誰も作ってくれない、作ってくれる業者が見つからないっていう人とか。いろいろあったんで、作って販売してくれて販売個数に応じてロイヤリティー収入を得ようと考えてた私はどうしよう働きながら製作してくれる企業を探すのも大変だなとその時初めて実感しました。ちょうどその頃、妻も子供が生まれて、ちょっと育児の方も忙しかったのこともあり、どうしようかと凄く悩んでいて。もうこうなったら自分で作ってしまおう。そこもまた強運だったのが、私が工業高校とか工業の学校をたまたま出てたんで、製作図面を書けたということがあって。でも学生の頃だけの知識で、その他は普通に働いてたんで、忘れてしまってた部分も沢山あったんで、そこからもう1回勉強し直しっていうのが始まって。最新の図面製作用のCADがどういったものなのかを勉強しました。それから、何とか形を、図面の方をCADで3Dモデルの試作の形を作ることができて。
で、またできたのはいいけど、これどうやって作ろうってことで、そこでその頃ちょうど3Dプリンターが出回りだした頃で、私の3Dデーターで3Dプリンターで試作品を作ってくれる企業を探しました。そこもまた壁で。金額が結構ものすごくて。3Dプリンターでの成型の見積もりを取ったときに、複数の部品からできていたため一個分で10万ぐらいですかね。

きさい:1個、10万。

黒子:1個を作るのに10万円ぐらいの見積もりが来て。うわー、うち貧乏なのに、これまた無理だよと思って。それで、これどうしよう、これ作れないのかなーとか、やはり作ってくれそうな業者にスーツ着て営業行かなくちゃ製品化できないのかなぁ、と悩んでました。ある日、3Dプリンターで試作品製作と調べていたら県の方で3Dプリンターを持っていて、データがあれば安く作ってくれることを知り、県の施設の担当者にお会いして。その時、実は私、黒子で動いて妻の持ってる権利を使った商品の試作品を製作したいんです。と話しをして、そういうことならと納得してくれて。それで、奥さんの名前で試作品作りますね。と対応してくれて作っていただいて。1個分で2万円ぐらいで確か最初は、作ってもらったと思うんですけども。
で、実際試作品ができてみて、私が、壊れないように強度を持たせようとかいろいろ考えた関係で、すごい分厚い厚みの試作品が完成して。
どうしても破損するのが怖くて強度を持たせたかったのと、図面はパソコンで作ってるんで、小さく厚みも薄く見えたんですが、実際作ってみると結構大きく分厚くて。それを妻に見せたら、こんな分厚いのを使って収納したら、邪魔じゃん!って言われて。

きさい:(笑)

黒子:そこで駄目出しをくらい、それを今度どうやって薄くしていくかの課題が出てきて。極端に薄くすると破損してしまいますし。
そこで、最適な厚みとかどうやって考えればいいんだろうって悩みました。試作も結局何パターンもお金があれば作れるんですけども、3Dプリンターで毎回2万円かかるじゃないですか。5個作れば10万円なんで。

きさい:そうですね。

黒子:試作を作れば作るほどお金は掛かるし、作るお金もなかったんで、どうやって最適な厚みや破損しない各部品の組み合わせ方にすれば良いのかすごく悩んでたんですけど。そこで、CMでやってる、ココナラっていうサイトがあって。もしかしたら製品設計を専門職でやってる人がいるんじゃないかなと思って。

きさい:なるほど。

黒子:そこで検索していったら、強度計算とかそういうのパソコンの方でできるらしくて、で、3Dデータと材質を入力すれば、強度計算とか、各部品を組み合わせるのに適した位置などそういったものを、最適なというかその対応範囲の数値から算出してくれる方がいらっしゃって。あー、今の時代はすごいなパソコンでこんなことできるんだと思いましたね。そこで、ココナラは、こんなのお願いしますとメールを送り、向こうで見積もりを出してくれるんですよね。それがすごい金額の見積もり出てくるのかなと思ったら、5000円でした。あ、こんな安いんだって思って。最初からここにお願いすればよかったなって思いました。

そこで、適切な厚みはわかったんですけども、各部品の組み合わせる場所に課題がみつかり、今度は形や組み合わせ方を、その方と長くやり取りしていくことになるんですけども。その方は企業で働きながらココナラの方で自分の知識を生かして、スキルを売ってるような方だったんですけど。メールで送るといろいろ相談にのってくれる親切な方でした。
で、形もいろいろあって、四角いものだと角のところから破損するけど、丸いものだと全体的に力が逃げてくれるんで破損しにくいとか。金型の抜き勾配、金型を安く製作するのに適した形、私の希望の形にアレンジを加えてくれている感じで進めてくれました。

それで、何とか動きとか形、その方にもうトータルでいくら支払ったかな?いっても1万2000円ぐらいだと思います。何回かに分けて、お支払いをしていて、1回2000円とか3000円とかのレベルで何回かに分けて、データ修正していただいて。それでようやく形ができて、今度はサンプルとしてまた3Dプリンターで作っていただいて試してみたんですけど。なかなかこれいいんじゃないかなと思って。
それで、今度は、いろいろな方に使っていただきテストしたいなと思って。でも1個だけじゃなと思って、それで5個ぐらい欲しいなと思ったんですけど。そこで5個分っていうと、また金額、結構かかっちゃうなと思って。

で、これからのこと考えたらどうしようと思って、アマゾン見てたら3Dプリンターが7万円で販売されてるのを見つけて。じゃあもう5個と言わずに10個でも20個でも作れるから、3Dプリンター買っちゃえってことで。そこで、うちの妻に何とかお願いして3Dプリンターを買ってもらって。それで、全部で10個分ぐらい作りましたね。

それで、それと同時進行で、あるワーキングスペースでお会いした方に雑談で商品開発していて試作品は完成しているが、どのように今後進めていいのか分からないと相談したら、県でやってる無料の専門家派遣制度があるよ紹介しようか?と言われ。そんな所あるんだと思ってちょっと顔を出してみようと思い支援機関に伺いました。そこでは多種多様なアドバイザーを派遣していただけるってことで。そこで、商品にしていくまでのアドバイスみたいな、実際製品化するまでのどういった段取りを取っていくかとか販売前のマーケティングについても専門家からアドバイスをいただき定期的に教わりながら、3Dプリンターで作った試作品を、そこの働いてる女性の職員の方に試しに使っていただき感想や簡単なアンケートに答えてもらったんですけど。
アンケートの回答で一番ばらついた意見は、商品の色でした。やはり女性なんで、色が重要みたいで。テスト試用品は全部白で作ってたんですけど、殺風景だって言われたり、いや私キャンプが好きなんで緑色がいいです!って言われたりとか。私は結構ピンク色が多いんでピンク色がいいです!とか。女性っていうのは、いろいろ好みがバラバラなんだなってそこで、ちょっと悩みっていうか、色をどうしようっていう悩みが出てきまして。

きさい:へぇー。

黒子:そこで、色について商品開発をしている方に、どういった色がいいですかね?と相談しまして。こんな10人いて10人の欲しいって色を作っちゃ駄目だよって言われて。そのとき言われたのは、お宅の冷蔵庫って何色?って言われて、うち白ですよって。洗濯機は?って言われて白ですって。
白って清潔感あって、万人受けする色なんだよって言われて。それを軸に、何かしら色を組み合わせて作っていくのがいいんじゃないの?っていうアドバイスをいただいて。例えばピンク色を使うと、ピンク色が好きでピンク色のものを沢山飾ってる家がどのぐらいありますか?ってこと言われて。

きさい:なるほど。

黒子:はい。なので、そのとき言われたのは確か、ニトリとか、あとはそういった家具屋さんで一般的に売られてる色っていうのは、それだけニーズがあるからあの色を選んでるんだから、そういうとこでいろいろ色についてちょっとデータ取ってきた方がいいんじゃないの?っていうふうなアドバイスをいただいて。そこで、なんか白とライトグレーとグレーの組み合わせがなんかかっこいいな、なんかおしゃれに見えるなと思って。試しに色を塗ってみました。スプレーで、プラスチックなんでいろいろ塗れるんで。

きさい:へぇー。

試しにサンプルを何色かに塗って作ってみたら、確かに、白は清潔感があるなと感じ。茶色とかいろいろ作ったんですけど、やっぱり白とグレーとライトグレーの組み合わせが一番どの部屋っていうか、床に置いても白い壁においても、黄色っぽいダンボールの上に置いても、何か映えがあるなと思って。とりあえず最初はそれでいこうってことで。色は白とグレーとライトグレーの組み合わせに決まって。
それと以前支援していただいた、県のアドバイザーからプラスチック製品は金型に樹脂を流して大量生産していくんで、金型を作らなくちゃ駄目だよってことを言われてまして。
で、またこれもまたちょっと壁が。大体100万から1000万ぐらいかかるよと言われまして。そこでちょっと考えたんですけどね。
まぁ、とりあえず県の方から何社か紹介していただいて、そこで見積もりいただいて、大体、1番高いところで450万ぐらいで来ましたかね。一番安いとこ350万ぐらいで出ていて。350万かーって思って。

なんか、もうそこまでいった頃にはもう、私が発明した発明品と、あとサンプルが、何て言うんすかね、子供みたいな感じになってきちゃうんですよね、もう。もう世に出してあげたいなっていう、ここまで頑張ったんだから。350万かー、でも、これ作らなくちゃ、世に出せないんだなと思って。そこで、妻に頭下げて、
金型制作に350万ぐらいかかりますってことを、話して。
で、私は働き続け仕事辞めないでこのまま続けていきますんで、パートの仕事辞めて、個人事業主として銀行に行ってお金借りてくださいって言って。そこで銀行の融資を。金型製作費350万と製品成型費、ホームページ作成費でトータルで400万の融資を受けたいと銀行の方にお願いして。妻と一緒に銀行の方に行って、そこから融資の書類作成も結局私が作ったんですけど。そこも裏で黒子として動いてたのは私です。
融資のときも私が同席してお話を伺ったんですが、融資の金利も女性に特化した時代になってきているなと感じました。やっぱり今、日本で女性の起業家や社会進出を後押ししてる部分があって。私が借りるより嫁が借りた方が金利が安いんですよね。

きさい:そうなんですね。

黒子:そうなんですよ。そこでもあぁやっぱり妻がやってくれてよかったなって思って。
女性は、社会進出を後押しされていて、なんか、うらやましいなと思いました。男は冒険できない。私が仕事辞めて収入がなくなっちゃうと住宅ローンとかもあるんで仕事を辞められなくて。あなたが仕事辞めないで働いてくれるんだったら、あなたの夢だったら私やるよって言ってくれて
そこで、私は話すの苦手なんですけど、妻は百貨店の店頭でブイブイいわしてた方なんで。話は私の100倍ぐらい弁が立つので。弁が立つっていうか、銀行へ行っても話し方が上手でトントン拍子に。書類の方は私が作ったのに、妻が提出書類をどうですか私作ったのよ的に話しながら説明していて。それで私は隣で何も言わずに聞いてたんすけど、何とか上手く融資の話も進み融資を受けることができて。
それで、やっと製品化準備で、金型の発注と、その他にもホームページとECサイトの制作も依頼して。

その後、私のサポートを受けながら妻も凄く頑張ってくれて、今年8月から販売開始できました。黒子なんで、私は全く表に出てきませんし褒めてもくれません。普通に働きながら空いた時間や休みを利用して頑張ったことを誰かに話したかったです。

きさい:それって、どんな気持ちなんですか? この、全体の黒子やってらっしゃるっていうのは。

黒子:いやあ、でも、もう正直嬉しいんですよね。いや、嬉しいっていうか、なんていうんですかね。悔しいんですけど、悔しいし、なんで俺名前出せないんだろうって思うんですけど。ですけど、何か一生懸命今まで図面作ったりとか、長く4年ぐらいずっとやってきたんで、もう本当に子供を世に送るためだったら黒子でもいいかなって思えてきて。正直販売開始した時には涙が出ましたね。嬉しくて。やっと商品というか物をこの世に残せたなと思って。ただ私の名前は一切出てこないですけどね。

きさい:物を残せたっていうのは、どんな気持ちなんですか?

黒子:いや、もうなんて言うんですかね。難しいですねなんと表現してよいか。

きさい:はい、全然大丈夫です。ありがとうございます。
こうして8月から販売開始となったんですね?

黒子:はい。

きさい:はい。ありがとうございます。

過去:私ずっとスポーツ好きで、今でもいろいろやってるんですけど、なんかやっぱ体動かしてお金もらえるっていうのが、一番私の中で順位付けで一番上に来ていて、その次にやっぱり物作りっていうのがきてたんですよね。

きさい:あの昔のことからもお伺いしたいと思うんですけど、お子様の頃はどんな子供でしたか?

黒子:子供の頃は本当に人見知りで、あまり話さない子供でしたかね。うちの実家が農家だったんで、ほとんど外部との接触もあまりなかったですし。自営だったんで、もうほとんど家族と話すぐらいだったんで、人と話すっていうことはあまりなかったかもしれないですね。

きさい:なんか例えば、実際この今、発明家人生を送っていらっしゃるとして、人生を分けるとしたら、どこで転機があったなって思いますか?

黒子:私の人生の転機ですか?

きさい:はい。

黒子:どうなんですかね。でも、正直、妻と結婚したからやっぱりこの発明も出てきたかなって感じはすごくありますけどね。あのとき面倒くさいなと思ってなかったら、この発明は無かったし。妻が家事を全部してくれてたら、この発明を私も思いつかなかったし。その辺が一番転機だったかなっていうのは、感じはしますけどね。

きさい:奥さんはどういう方なんですか?

黒子:妻は、なんすかね、私は大雑把なんですけど、妻は結構綺麗好きで。整理整頓して綺麗に。やっぱりアパレル関係の仕事をしてたんでTシャツとかも綺麗にきちっと畳めて、クローゼットの収納とかそういったものには結構うるさい妻で。お金にも厳しいです。ただここまでいろいろ試作品だなんだで結構お金かけてきちゃったんで。ここから何とか取り返せればなとは思ってるんですけど。

きさい:そうだったんですね。このお子様時代から、奥様とご結婚されるまで、学生でしたりとか社会人生活っていうのはどんなふうでしたか?

黒子:学生時代は、特に部活動に夢中でした。勉強はそんなに優秀でもなかったんで、本当に学校で真ん中ぐらいの成績でずっときて。高校は、工業高校にどうしても行きたいって思ってて、何か機械がすごい好きで、それで工業高校に行きまして、機械科に入って。そこで先ほどのCADとか図面の作り方とかそういったものを勉強するんですけど。
で、そっからちょっともっと専門的なものを勉強したいなと思って、その頃国でやってる特別な学校、今はなくなっちゃったんですけど、学校がありまして。その推薦枠を何とかいただけて、そこに入って、学費ほとんどかからないで、技術だけずっと2年間勉強させていただいて。そこから、ある企業に入社して、自動車機器部に配属されまして、そこで自動車の部品の設計や製造とかをやってました。
でも、私、本当は消防士になりたかったんです、小さい頃から思ってて。それで入社して3年目ぐらいにやっと募集があったので消防士の試験を受けまして、最終の3次まで行って、最終で落ちました。やっぱり駄目か、駄目だったなーと思ってたら、市の方で運営している部署から保有している資格を活かして働きませんかみたいな通知が同封されていて、高校の時に資格が好きでいろんな資格をたくさん取っていたので、その資格を持つ人が必要だから来てくれないかみたいな感じでした。その消防の試験は落ちたけど市役所関連の仕事に就けたという形で。
で、そこで今20年ぐらい働いてますかね。

きさい:はい。機械がすごく好きだったって、何かきっかけとかあったんですか?

黒子:母親もよく言ってますけど。私におもちゃを買い与えるんですけど、ドライバーと、いろんなの使って分解しちゃうんすよね、全部。全部バラバラにしちゃうんですよ。

きさい:はい。

黒子:バラバラにして組み立てて、またバラバラにして。無理やり分解するからプラスチックが折れちゃったりするんですけど、そこもセロテープでつけたりして。元の形には戻ってないんですけど、分解して組み立てて。ちっちゃい頃、テレビのリモコンも何回も分解して怒られた覚えはあります。リモコン系はもう何回も分解しちゃってましたね。

きさい:それで機械が好きって自覚されたんですか?

黒子:そうですね。それで何か作ってる仕事に就きたいなっていうのがありまして、それで入ったんですけども。ちょうど私が働きだした頃って、就職氷河期であり、不景気だった頃で。仕事が先細りして仕事量が落ちてきてる部分があって、海外に仕事が流れたり。
自動車機器部の方でも結構上の上司や仕事ができない人のリストラが結構多くて。そんな時に希望通りじゃないけど
公務員の試験受かったな、でも、消防士じゃないなっていう、そこで最初に葛藤はあったんですけどね。

きさい:消防士になりたかったのは何かポイントがあったんですか?

黒子:やっぱり人助けしたいっていうのもありましたし、体動かすの好きだったんで。その当時は、筋トレして、たまに火災や救急で出動して仕事をしている。人を助けて給料ももらえるならいいなと思ってました。今は違います。消防士の多種多様な職務内容を年齢を重ねるごとに知り重要であり大変な職業であると思っています。
あとは、単行本でめ組の大吾っていう漫画がありまして。それが消防士に関する漫画なんですけど、結構、カッコよく描いてあって。私もその本の主人公に憧れる部分があって。それで消防士になりたいとずっと考えてたんすけど。
私の住んでるところで募集って毎年なくて。退職者が出て欠員が出ないと募集かからないんで。それで募集がかかったのは私が23歳のときですか。その20歳で就職したんですけど、そのときに募集があって、働いてたんすけど、チャレンジしたいなと思ってそこで働きながら受験して。
先ほど言ったように試験に落ちて、今の仕事からお誘い頂き、どうなんだろうこの仕事って思ったんですけど。結構今の仕事も技術的な部分とかそういったものが多くて。今まで勉強してきた技術系に似てると思って。それで専門職だし面白いかもしれないなと思って、今の仕事に就いて働き続けてる感じですかね。

きさい:そうなんですね。物作りがしたい、その仕事に就きたいって思いも元々あった中で、人助けしたい、体動かしたいようなお気持ちと、どっちが大きかったんですか?

黒子:えーと、物作りをしたかったんですけど、私ずっとスポーツ好きで、今でもいろいろやってるんですけど、自分の身体を使って人を助けて給料もらえるっていうのが、一番私の中で順位付けで一番上に来ていて、その次にやっぱり物作りっていうのがきてたんですよね。

きさい:それで実際には発明家の方向に今は進まれてるということで。

黒子:そうですね、はい。

きさい:今、お仕事と発明のいろいろなご苦労があったと思うんですけど、そこの比重は何対何ぐらいですか?

黒子:一応半々で私はやってるつもりなんですけど。

きさい:ありがとうございます。過去で何か言い残した、言えなかったことってありますか?

黒子:特にはないですね。はい。

きさい:ありがとうございます。

未来:本当に黒子って、黒子っていうかゴースト発明家っていうのもつらいなと思って。だって誰も褒めてくれないんで。褒められるのは妻なんで。

きさい:5年後10年後、あるいは死ぬまでといったことをイメージされたときにどんなことをしていたいですか?

黒子:まずは、ここまで特許を取得する、試作をつくる、製品化の準備をしながら普通に働くのは凄く辛く重労働だったんですけど。
ただ、それを頑張れたのって、私海外旅行を妻と結婚するまで行ったことなくて、初めて、新婚旅行でハワイ行きまして。マリンスポーツ、サーフィンとかもやってるんで、やっぱりハワイって楽しいなと思って。でも、凄くお金がかかる、物価も高いですし、旅費も高い。
何年後かに俺は絶対ここに戻ってきてやる!って思って日本に帰ってきたんですけど、帰ってきたらいつもの小遣いで、細々と暮らしてるんで。それで、商品化を成功させて絶対にまたハワイに戻ってやるんだ!っていう、それが一番かもしれないですね、頑張れた理由は。
もう何とかこれで稼いで、毎年ハワイ旅行に行けるぐらい稼いでやるんだっていう気持ちで頑張れました。辛かったけど、その目標があって頑張れたっていうのはやっぱりあります。

きさい:いいですね。やっぱりつらかったんですね? 過去は。

黒子:そうですね。文書を作ってる日々とか。

きさい:はい。時々嬉しいこともありつつ、全体的にはつらかったという感じですか?

黒子:そうですね。でも、つらかった分、出来上がったときにはやっぱり嬉しさは、1個1個ありましたね。文章が出来た、それから、図面が出来た、サンプルが出来たっていう度に、嬉しさっていうか。つらかったけど、何とかできたなっていう達成感はありましたね

きさい:ありがとうございます。無名人インタビューでは、もしもの質問っていうのを定番でさせていただいてまして、もしも違う人生だったらっていうような質問なんですけど。黒子さんの場合は、例えばもしも発明が思い付いてなかったら、どういう人生になってたと思いますか?

黒子:発明が思いついてなかったら、普通に今の仕事をしていると思いますね。でも、何か始めたいっていうのがあったんで。もしかしたら仕事辞めて違う仕事に就いてたかもしれないですね。何か興味のある物を作る仕事を見つけて。

きさい:ありがとうございます。言い残したことがあったらお聞きしたいんですが、いかがですか?

黒子:そうですね。黒子のつらさっていうか、ゴーストライターのつらさが凄くよくわかった気がします。ゴーストライターっていうの、よくドラマとか漫画で見たことありますけど。なんかそういうので殺人が起こったりとか何とかっていろいろドラマとかでやってますけど。
本当に黒子って、黒子っていうかゴースト発明家っていうのもつらいなと思って。だって誰も褒めてくれないんで。褒められるのは妻なんで。

きさい:奥さんからは褒めてもらえないんですか?

黒子:全く褒めてもらえないです。

きさい:そうなんですね?

黒子:売り上げが上がってくれば褒められると思うんですけど、今ちょっと、全然売れてない状況なんで。

きさい:なるほど。それに関してはどう思っていらっしゃいますか?

黒子:いや、もう、絶対に売れてやる!と思って。SNSの方も全て私が作ってるんで。SNSで情報発信して、妻のふりして、結構写真を撮ったりして投稿してるんですけど。なんで、妻になりすますのも大変ですし。女性特有の文字を使ったり絵文字使ったりっていうのはやっぱり難しいです。

きさい:そこまでやられてるんですね?

黒子:そうですね。SNSにメッセージとかいただくんですけど、100%女性の方から来るんで。そうするとなんか文章の最後にニコちゃんマークがあったりとか、なんか音符があったりとかいろんな女性らしい文章で送ってくるんですけど、どう返していいかわからなくて。そこは妻に相談して、送信する前に確認してもらって、妻に直してもらって送信したりとか。そういった異性を相手にする部分も黒子は苦労するなと思ったりですね。

きさい:相談はされてるんですね?

黒子:そうですね、はい。メッセージは貴重なんで。女性がSNSに使う文面はむずかしいですし、変な文面で送信すると男性だとバレてしまいますから。

きさい:奥様は、でもやっぱり転機だっておっしゃってたのもありましたが、奥様に対しては、お伝えしたい事とかありますか?

黒子:特許取ったときにも嫁にも言ったんですけど、あなたと結婚できなかったら思いつかなかったと思うよ。そんな感じで言ったんですけど。
まぁ今までお金をたくさんかけちゃった部分があって、それで結構、何て言うんすかね。多分売れるまでは褒めてくれないと思いますね。

きさい:そこは少し、頑張るぞといった気持ちですかね?

黒子:5年後、絶対にハワイに連れてってやるぞ!と思ってます。

きさい:じゃあ、ぜひ、ハワイに行けることを祈って、インタビューの時間、締めさせていただければなと思います。

黒子:わかりました。

きさい:お時間長いこといただきまして、ありがとうございました。

黒子:ありがとうございました。

あとがき

特許製品って世の中によく並んでいますが、そのためにこんな経験をしている人もいるんだなぁ。世界の裏にある、面白いお話に出会わせてもらいました。
「その成果、実は自分ので……!」
「自分も関わったけど名前出てない……!」
そんなお話として読んでもらえたら、たくさんの人に染み入るお話なんじゃないでしょうか。

私自身は発明家ではありませんが、夢中で作ると、できたものが可愛い気持ちはとてもよくわかります。
本当は宣伝できたらいいのですが、黒子さんの立場上そうも行かないので、ここではただ、今後の発展をお祈りします。
黒子発明家さん、ありがとうございました!

【インタビュー・あとがき:きさい】

【編集:mii】

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #発明 #結婚

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