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無名人インタビュー:ロサンゼルスで出会ったパブロのドキュメンタリを作りたい人

鬱病の人と話したと思ったら、今回みたいにカリフォルニアの話題がきたりするから無名人インタビューは面白い。
ということで田中豆さん回。田中さんは映画の都ハリウッドに訪れる観光客相手にCDを手配り&サインして、CDはただだけどサイン代のお金はちょうだいね! という半ばぼったくりをするCDガイたちと出会い、そのドキュメンタリを作りたい作りたい作りたいでもう5年近く経過してしまったという。
まずはその強烈な記憶を話したい! 気持ちを整理したい!ということで無名人インタビューにご参加いただきました! はー朝にテキスト書くとさわやかだわあ。

今回ご参加いただいたのは 田中豆 さんです!
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1、パープルレゲエ

田中豆:このインタビュー企画、すごいですね。

qbc:ありがとうございます。みなさまに喜んでいただいております。

田中豆:単純に面白い企画だなあと思って。いろんな人に話を聞いて、それを文章にまとめて。それに自分が参加したらどうなるんだろうって。

qbc:私自身は、これをみんなできるようになったら面白いって思ってるんですよね。

田中豆:このインタビュー企画って、本職と関係あるんですか?

qbc:ぜんぜん関係ないですね。ユーザーインタビューみたいのは経験ないわけじゃないですけど。
ただ、いわゆるインタビューって、こっちからお願いしてインタビューするじゃないですか。でも無名人インタビューはお願いしないんですよね。軽い誘いはありますけど。
あと、テーマが限られてない。目的も決まってない。商品インタビューだったら、この商品の使用感はなんですか? みたいになるじゃないですか。そんなの一切ないし。

田中豆:無茶苦茶もう、真っ白ですよね。自由帳が。

qbc:そうそう。田中さんは、どんなインタビューにしますか?

田中豆:自分の中で整理できてないことがあって、それを整理できたらいいなって思って応募したんですよ。

qbc:はい。

田中豆:5年前くらいに、アメリカに1年半行ったんですよ。そのときに出会った人物や、アート、カルチャーを、いまだに僕の中で消化しきれていなくて。その話を聞いてもらって、自分の中で整理できていければいいなと思ってます。
ドキュメンタリー映像を作ろうと思って、そのカルチャーを追ってたんですけど、まだ全然動けてなくて。

qbc:おーなるほど。ではお聞かせください、その5年前の話を。

田中豆:僕、カリフォルニアのロサンゼルスにいたんですけど、そこの観光スポット、ハリウッドとかビーチですね、そういうところでCDを配ってる人がいるんですよ。

qbc:はい。

田中豆:無料だからCDもらってよ、みたいな感じで配ってる。ミュージシャンが自分でCD配ってるって、結構すごいなあというか、がんばってんなあみたいな感じに思ってたんですよ。
その中の一人に声をかけてCDをもらったら、「名前聞かせてよ」って言われたんですよね。名前を教えたら、そのCDにサインしてくれて、サインしたから20ドルだよって言われたんです。

qbc:おおおおお。

田中豆:実際CDっていってもCD-Rなんですけど、これに20ドル、約2千円ちょっと。払うの絶対嫌だなと思って「20ドルは高いよ」って返したら、いや、もうサインしちゃったからもうどうしようもねえよ、お前自分の名前だろ、みたいな感じになってきて。
いやいやちょっと、それ俺の名前だけど勝手にサインしたし、とりあえず20ドルは高い。
そんな押し問答が始まって、まあ一回聴かせてよって言って、その人のヘッドフォンで聴かせてもらったんですよ。
そしたらね、意外にがんばってる。良い感じの曲でした。これ、お前作ったの? けっこうがんばってるね、って褒めたんですよ。「でもCD-Rで1曲だから5ドルかな」って言って5ドル渡して。
ミュージシャンが直接CDを配る、ぼったくりに近いんですが、けっきょくそういうカルチャーなんですよね。

qbc:おおおおおおおおおお。

田中豆:で、その人に興味がわいたんで、名前を聞いたら「パープルレゲエ」って言ったんですよ。レゲエってジャマイカの音楽。僕もレゲエすごい好きだったんで「パープルレゲエ」って面白い名前だねって言ってあらためて彼を見たら、全身紫だったんですよ。
だから「パープルレゲエ」ってことなんだって。そのプロデュース感もすごい面白くて。この文化、面白いねっていう話になって。

お子さん:ばいばいパパー。

田中豆:あ、子どもが。ばいばい。

qbc:はいはい、行ってらっしゃーい。

田中豆:で、CD配ってるのってカリフォルニアだけなの? って訊いたら、世界的にあるよっていう話をしてて、ヨーロッパにもあるんじゃないかって。日本には無いんだけど。
そんなこんなで、この人とその文化が気になって、その場でドキュメンタリーを撮らしてよって交渉して、付いてきていいよって言われたんです。
そういう人たちの周りって、実質ぼったくってる奴らなんでけっこう危ないんですけど、そのパープルレゲエはコーディネートしてくれるようになったんですよ。別にお金とかは払ってはないんですけど。そこに興味持つジャパニーズが、たぶん面白かったんだと思います。
一年間、撮りました。

qbc:おおー、すごい。

まあ、まず、見ようぜ。

田中豆:彼らは毎日ストリートで配ってるんで、同じように配ってる人たちと仲が良いんですね。違うジャンルの人たちとも。その人たちを紹介してもらいながら撮影していくんですけど、ハリウッドなんで、キャラクターがいっぱいいるんですよ。
ミニーちゃんだったり、スパイダーマンみたいなのが何人もいたりとかして。

qbc:え、え? どういうこと?

田中豆:観光客と写真を撮ってあげて、チップをもらうんですよ。

qbc:あーなるほど、勝手にキャラクターになっちゃってるのね。

田中豆:そう。そうやって食ってる人たちもいるんです。で、パープルレゲエはじめ、CDガイたちはそれのマネして、自分たちをキャラクターにしているんですよ。例えばラッパーのJay-Zってわかりますか? ハリウッドには、リトルJay-ZっていうちっちゃいJay-Zが「俺がJay-Zだ」って言ってCD配ってるんですよ。
そういうエンターテイメントの一つが成立している。すごい面白いなあと思いながら、彼らを追ったんですよね。

qbc:観光商法だよね。

田中豆:観光客ハンターなんですよね。

qbc:まあいっかー、旅だからいっかー。旅先だから許される。

田中豆:そうそう。実際、サインしたからこれどうすんの? みたいな。
威圧感持ってる人たちもいて、ちょっと怖いんですよ。すごいしつこいし、ヒップホップの人たちは筋肉ゴリゴリだし、世間からしたら悪いイメージがある人たちなんですよね。
そん中で撮影をはじめて、パープルレゲエ、本名はパブロ、僕はずっとパブロって呼びながらひっついて撮影してたんですけど、その人にも家族がいて、子どももちょうど一歳くらいの子で、何でこんなことやってんの? って聞くんですよ。
そいつ自身も、なんでやってるかって長年やり過ぎてて、もうその意味を見失ってて。

qbc:なるほどねー。生活の中で最初の意味がかききえるってやつね。

田中豆:それが、僕とのインタビューの中で整理されていくんですよ。人生の突破口を見つけようとしていくんですよ。最初は金が稼げるからだったんですよ。実際、そんとき稼いでたお金って、僕がアメリカで稼いでいたお金より収入が良くって。

qbc:儲かるんだ! へえーっ!

田中豆:観光地で天気も良いから、みんなハッピー。一日、約2万とか3万とかは稼げるんだよって。

qbc:日本円で?

田中豆:そうです、円で。多い時は5万円ぐらいいくって。でも大変だけどね、みたいな。毎日暑い中立って、いろんな人に声かけて。でも金稼げるからやってるっていう。ただ、めっちゃがめついわけでもない。
いろんなことに挑戦をするタイプの人たちで、めちゃくちゃ下手なんですけど、ライブやったりとか。

qbc:ライブ、ダメなんだ?

田中豆:ライブ、めちゃくちゃ下手で。だから僕は、練習した方がいいんじゃないかってずーっと言ってたんですけど、練習はいらないって、これで食ってるだけじゃないからって。

qbc:ずっとCDで食ってるライブ下手ミュージシャンか。

田中豆:ほかにも絵を描いたり展示とかやってたりするんですよ。なんで創作活動すんの? って聞いたら、やっぱりアーティストって言われるのは気持ちいいからって言いはじめるんですよ。
アーティストって言いたいだけなのかもしれないみたいなこと言い出して。パブロは黒人なんですけど、エネルギーに満ちあふれてて、本当にアーティストなんですよね。まあ売れてはないですが。そのエネルギーの消化先が音楽で、アートで、あともう一つは人と話すことなんですよね。

qbc:なるほどなるほどなるほどね!

田中豆:そのエネルギーって、僕には無かったですね。いきなりめちゃくちゃ高いTシャツ製造機みたいの買って、30万ぐらいしたと思うんですけど、Tシャツビジネスはじめるって言いだして。その人も40過ぎてたんで、子どももいるし、養わないとって思ってたみたいで。
そのころ、自分はスーベニア・スターだって言いだしたんですよね。ストリートで観光客に声をかけて、CDをどんな方法であれ売ってるじゃないですか。それって観光客からすると、自分たちの国に帰って「変なやつに話しかけられてさあ、こんなCD買わされたんだよね」っていうお土産話やれるでしょ? みたいなこと言ってて。

qbc:スーベニアってお土産って意味ね、はいはいはい。

田中豆:まあ、そういう奴らだったんですよね。僕はその中で、何を見て、何を感じて、どうやって、映像にまとめよっかなあっていうことをずーっと考えながら撮影してたんですけど。

qbc:素材はあるんですね。

田中豆:素材はメチャメチャあるんですよ。仲間周りのインタビューもあって。ちょうどそのタイミング、僕がいたタイミングでBBC系の局のニュース取材みたいなのもあって。
本当は僕がやりたかったことがBBCのニュースで流れてて、結局パブロもインタビューとかされてて。まあ、最終的には賛否両論あるよねっていう感じだったんですけど、CDガイたちの主張は放送されてたんですよね。

qbc:うーんん、くやしいね。

田中豆:僕が追ってく中で思ったのが、最初は、僕に対してもぼったくろうとして話しかけてたんですけど、だんだん僕が付いていくにつれて、周りのみんなの人は、ドネーションとして、寄付としてアート活動への寄付としてお金をくださいみたいな感じになっていったんですよね。
だから、このCDを配る行為っていうのは、悪い人たちもいるんですけど、それを文化と言うこともできて、悪くないやり方だって思うようになって。
僕が関わっている人たちは、結構楽しんでやっていて、それぞれの人生あるんですけど、わりとがんばって生きてんなあっていう感じでした。

qbc:なーるほどね。

田中豆:実際、ハリウッドの世界で言えば、彼らはルーザーなんですよ。敗者です。でもそれを楽しんでる感じもあって、それを楽しむ環境ってアメリカならではなのかなって。
アメリカンドリームがあるんですよ。CDガイたちがメジャー局に取材されたりする。
僕がCDガイを取材する意味って、日本の人にこういうのもあるんだよって紹介する役割があると思うんですけど、日本でやったらどうなんのかなっていうのは、興味あるところです。
実際、どう思います? 実際にあると、結構嫌な気持ちになるかもしんないんですよ。出会う人にもよるんですけど、ぼったくられるんで。

qbc:私は、そのときどきによるかなあ。感覚的にその人と合いそうであれば買うんだろうし。日本の観光地でも、形は違えどいるよね。
話しかけられたときに立ち止まったらもう、波長が合ってるんでしょうね。そうなったときにお金の話がでたら、別に払わないでもないって感じです。辻占いとかでもそう。
営業ってそもそも、人にお金を払ってもらうんじゃなくって、払ってくれる人を見つけるだけなんですね。とにかく全員に声をかけろと。選ぶんじゃなくて、とにかく声をかけまくればいいと。

2、スーベニア・スター

田中豆:CDガイたちは黒人が多いんですけど、日本人の年配の方に、黒人と付きあわないほうがいいよって言われて。なんでですか?って聞いたら、ビジネスにもなんないし、出世していくわけでもないから。白人と付きあってた方がまだ可能性があるよって言われて。
僕は、関係ないでしょ、と思ったんですけど。

qbc:まあ、そういうもんだよね。いまだに、銀行がお金を貸す基準って、日本って結婚しているかどうか、家を持っているかどうか、正社員かどうかってところ見てんじゃないの?
それにあてはまらない人たちは負け組。
パブロさんたちは、どうなんだろうね。ルーザーなのかな? と思うけど。
最初の入口はルーザーだったとしても、負けてるとは言えないんじゃないかな。

田中豆:自分たちで選んでやってますからね。

qbc:楽しいんだろうね、たぶんね。

田中豆:楽しいんでしょうね。自分たちの選んだその生き方が。

qbc:たぶん、CDの売り方は練習してるんじゃないかな。ライブの練習はしなくても。たぶん売り方について会議とかして議論してると思うんだよね。

田中豆:まあ、そうですね。間違いないっすね。本当に、ただやっぱり毎日のように同じ、だいたい出現するのは2ヶ所なんですけど、だいたいその場所にいるんで、やっぱり同じようにその場所にいる人たちとか、その場所のお店の人たちとかとメチャメチャ顔が効くんですよね。だから、その人たちにとってはローカルの気持ち良さみたいなのもあるのかな。

3、GIFアニメ今昔

qbc:田中さん自身の話をすると、田中さんはいろんなものに興味を持つタイプですか? それとも、今回のことだけすごく関心を持った?

田中豆:いろんなものに興味持つタイプですね。映像だったり音楽だったり。
今はGIF動画のベンチャーにいます。
日本でGIF専門の会社は、僕らだけなんです。ニッチですね。でも海外だと、GIPHYとかTenorとかってあるんですけど、GIPHYはInstagramに買収されて、TenorはGoogleに買収されたんですよ。僕らもそういうビッグなところに目をつけてもらえないかなと思って。

qbc:いちおう私もITなんですけど、GIFって海外のチャットツールではよく見ますが、日本ではそんなにみないですよね。昔の日本のインターネットではGIFアニメはよく見てた記憶があるんですが。

田中豆:海外のGIFは、日本でいうLINEスタンプの感覚ですね。
結局、GIPHYとか世界最大のGIFの会社が買収されてしまったのは、自分たちで戦えなかったからなんですが。買収される前には約70億調達してたりとかして、すごいことになってたんですけど、ビジネスとしてはうまくいかなかったんですよね。
LINEスタンプみたいに、お金を払ってスタンプを買うっていう感覚が海外には根付かなかったんですよね。

qbc:あーそうだね。あれって、ほとんど海賊版っていうか、ユーザーが勝手に作ったやつが流れてるんでしょ? 基本的には。

田中豆:インターネット上をクロールしてGIFを探してくるやり方だと、多くの人が使ってくれるんですよ。だけど、それだけではお金を稼ぐことにはつながらなかった。
僕らの会社のGIFは、クロールではなくて、全部公式というか公認のやつ。だからGIFの数はすくないんですけど、それでも丁寧にやっていくとどうなるのかな、っていうのを今試してるっていう状態です。

qbc:どうなんだろうねー。動画に行ききってしまうのか、それともこの軽さがいいのかな。でも紙芝居的な面白さは、やっぱりGIFの良さかなあ。動画にはない良さ。
あーでもやっぱり、圧倒的なサイズの軽さか。

田中豆:GIFがそもそも作られた理由って、やっぱり昔インターネットで送るのがすごい重たかった時代に、このファイルだと動画ファイルも送れるよ! っていうところからでいたみたいなんですよね。
GIF動画って「送れるちっちゃい動画」だと思っています。10何秒の動画でも、Youtubeの動画を人に送ってコミュニケーションって取らないと思うんですよ。
でも、例えば誕生日おめでとうを伝えるときに、相手の名前を入れて送ったりできる、これがたぶんGIF動画でできることなのかなあと思っていますね。

qbc:確かにねーなるほど。ずっと残ったんだもんねGIF。RSSと同じくらい残ってるよ。
あーシグネチャっていうかさ、ブランディングの一つにもなるだろうね。動きがあるとやっぱり視覚の記憶に残るよね。

田中豆:どこのチャットサービスでも使えるフォーマットなんで、TenorとかGIPHYにつながると、ここでの配信数は膨大になります。それプラス、日本のクライアントだけでビジネスが成り立てば、独占市場にはなりますね。

qbc:なるほどねえ。やっぱりいろんなことに興味がおありになる方ですよね。で、その中でもパブロ、CDガイが心に強く印象づけられたのは、なぜだったんでしょうかね?

田中豆:僕、いろんなことに興味がある中でも、高校くらいからずーっと興味を持っていることが、一個だけあるんですよ。それが黒人文化なんです。
アフリカとかも含めて、ブルースとかジャズとかずーっと追って研究してるんですけど、好きなんですよ。黒人の持つすごいエネルギーが。
そのエネルギーをまざまざと見せつけられたのが、CD売ってる人たちだったんですよね。人を感動させるエネルギー。

qbc:現時点で、そのエネルギーの秘密はこれだ、文化を生み出す原動力はこれだ、という目星はついてるのですか?

田中豆:難しい質問ですね。回答も難しくなるかも。
黒人ってアフリカからいろんなところへ連れて行かれて、アメリカに来た黒人たちは奴隷制とかを経て、その中でもすごい制約を受けていた、抑えられてきたわけですけれども、その中で生み出してきたものが、今のアメリカの文化の基礎を作っていると思っているんです。
黒人由来のものが、白人によって昇華されると聴きやすくなったりとかするんですけど、例えばミシシッピ地帯のブルース。「デルタブルース」って言われるんですけど、それをエリック・クラプトンが弾くと、めちゃくちゃ聴きやすくなるんですよね。

qbc:あーなるほどなるほど。確かに。

田中豆:エリック・クラプトンはそういう聞きやすいブルースで売れたミュージシャンとも言えますけど、一方で、売れたとされるブルースマンたちのブルースは、かなりコアな音楽として見られていたと思うんです。
僕は、エリック・クラプトンとか白人のブルースも良いと思うんですけど、ちょっと物足りなくなる。もっと黒いサウンド、黒人の歴史と抑圧を打破してきたエネルギーに触れたくなるんです。
この発散がすごいカッコいいなって思ってるのかなあ僕は。たぶん。

qbc:あの-、なんか変える力を持ってるんですよね。悲しみを笑いに変えるユーモアとか。苦しみを美しい音楽に変えるとか。

田中豆:ジャズの発祥とかもそんな感じです。奴隷だった人たちが週末だけ広場へ集められて、音楽も禁止されている中で、そこだけ、その日だけ音楽やっていいよって言われて、そこでジャズが生まれたって言われてる。なんか、すごいなっていう。

qbc:うん。シンプルにすごい。

4、CDガイ

田中豆:CDガイの話に戻ると、そいつらに言われてたのが、自信を持て、エネルギーを持て、だったんですよ。

qbc:英語で言うとなんになるの?

田中豆:”confidence”って言われてました。お前に必要なのは自信だって。
単純に、自信を持ってCDを売らないと売れないから、そう言ってんのかもしれないですけど。
そのころ、僕の英語もね、当たり前ですがネイティブほど話せないし、自信は当然なかった。そういう中で、ジャマイカの人たちが自信を持ってやれば大丈夫って言ってCD売ってる姿をまじかに見て、無茶苦茶パワフルだなって思ったんですよ。

qbc:なるほどね。今までも黒人のカルチャーは好きだったけど、生の感動に出会って、それがなおさら離れられなくなったんですね。それが忘れられない、放置できないっていうのは、ものすごい衝撃だったんだと思います。

田中豆:それが観光地でお土産配ってるってだけだとそこまで刺さらなかったと思うんですが、自分たちミュージシャンたちがCD売ってるってあんまり聞かないなって。
今も、あの場所に行けば出会えますからね。

qbc:撮影してきた素材は? まだ持ってるんですよね?

田中豆:まずは、僕が本当に伝えたいこと、今話して聞いていただいたことを含めて、この映像を通して伝えたいことをまず一つ作りたいと思ってます。
それを考えるきっかけとして無名人インタビューを受けてます。まずは文章でまとめようかなと思っていて。そこからトレーラー作って、映像に落としこんでいこうかなと思ってます。

qbc:なるほど。無名人インタビューをトリガーにしてるんですね。

田中豆:トレーラーは、実は一分間のやつがあるんですよ。

最初のほうに掲載してたこれのこと! です!

田中豆:いや、まだ公開してない別のやつがあるんです。パブロは家に招待してくれたりしてたんですよ、僕を。プライベートで、奥さんとか子供もいて、サンクスギビングって、アメリカだと家族が集まる日なんですけど、その日に僕ひとりだったんで呼んでくれて。
おばあちゃんとかいとことかいろんな人いるのに、知らない日本人ひとりいるみたいな。

qbc:おおおおお。

田中豆:で、僕、サンクスギビング全然知らなかったから、どんな服で行けばいいかもわかんないし、

ただ、そんくらい優しい奴だったんですよ。

qbc:なんかVlogっぽい雰囲気でも良さそう。てか、なんか、めちゃくちゃほほえましい。今のエピソードとか、聞くだけでも心がなごむわ。

田中豆:パブロがクラブに行って、財布失くしてすごい落ちこんでるときとかあって、お前、いつもエネルギッシュに考えろって言ってたのに、すげえ落ちこんでんじゃんみたいな。

qbc:面白い。ほんとそれ、Vlog向きだと思いますよ。ありふれた日常だけど、だれでもある日常でしょ。コロナだからすぐって無理だけど、現地に行ったらまだいるはずで、たぶんすぐ会えちゃうっていう紹介のされ方で。

田中豆:最近5年ぶりに連絡したら、子ども5人いるって言ってました。彼ももう40過ぎてるし、もしかしたら引退してるかもですが。
本当すごいねっていう話をしました。本当、生きる力にあふれてるというか。

qbc:いいなー。なんかさ、田中さんは行かないけど、代わりに誰か行ってくれ企画とか良さそうだな。思ってもみなかったことに参加するって、楽しいですよ。

田中豆:パブロと会ったら写真とってくださいって企画ですね。

qbc:いやーほんとそういう、つながりのできる企画はめちゃくちゃ楽しんですよね。では、ありがとうございました!

田中豆:ありがとうございます。

あとがき

私はね思うんよ。人を動かすには情熱がいる。
そして田中さんはパブロの情熱を胸にふきこまれた。
その話を聞いて私も、エネルギーのある人たちに興味を持ったし、そして自分の内側からも力がみなぎるような感覚になった。
そしてこのインタビュー記事を読んでくれた読者も、内なる衝動を揺り動かされたりしちゃっただろうか。
私たちは。いや私たちと読者はいつも、無名人インタビュー参加者に分からせられる。
人は誰でも面白い。知名度とその人の魅力は比例しないのだと。

編集協力:有島緋ナさん

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