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三十一文字に削ぎ落とした先にあるもの——短歌日記ZINE『うたになる前日記』作者に聞く|文学フリマインタビュー

この記事は、文学フリマに参加する人たちのためのインタビュー。

今回参加いただいたのは にう さんです!

屋号:京都暮らしの編集室 ZINE部
作者名:にう
近刊本:『うたになる前日記』
Webサイトなど:




どんな本を出されているんでしょうか?

まりはな:ブース名と作者名を教えていただけますか?

にう:ブース名は「京都暮らしの編集室 ZINE部」です。「京都暮らしの編集室」というオンラインサロンに入っていて、そこでZINEを作る部活があって、そのメンバーと一緒に出したので。活動名はひらがなで「にう」です。

まりはな:今回作られた本は、どのような内容でしょうか?

にう:『うたになる前日記』というタイトルで、ZINEを作りました。私、短歌が趣味で、それを何か冊子にできないかなってずっと思っていて。
日記を短歌形式でまとめた作品集です。例えば「石鹸の泡で大きなシャボン玉作って手にのせ目を輝かせる子」というように、日々の何でもないことを五・七・五・七・七に当てはめて書いていくものです。

まりはな:日記形式にしようと思ったのはどうしてですか?

にう:ZINEを作りたいと思った時に、作品として短歌を作ろうとすると量が作れないなあって。日記形式だったら、日々あったことを字数に当てはめるだけだからたくさん作れる。それがきっかけで日記みたいに書くようになりました。

まりはな:書いている時はどういう気持ちですか?

にう:今日あったことをどうやって字数に収めようかと考えながら書いて、うまく収まった時の楽しさがあります。日記形式の方が、よりカジュアルというか、自分の「素」が出る感じがして。作品として書こうとするとリズムとか字数をすごく考えるんですけど、日記だと考えないぶん素が出る。すっぴんとちょっと化粧してるくらいの違いですかね。

まりはな:どんな方に読んでほしいですか?

にう:短歌ってどんなものだろうって思っている人に読んでもらえたら嬉しいです。
あと私、子育てをしているので、こういう日常もあるよっていうのを日記で見て面白いなって思ってもらえたら。「面白い日記を書きたいな」って思っている人にも読んでほしいですね。


これまではどんな活動をされていたのですか?

まりはな:短歌はどれくらいされているんですか?

にう:短歌自体はもう十年ぐらいやっています。日記みたいな形で書き始めたのは最近です。

まりはな:書くことはもともとお好きなんですか?

にう:書いていると楽になるんですよね。頭の中ですごく考えるタイプなんですけど、書いて吐き出すとすっきりして頭の整理もできる。

まりはな:にうさんにとって、書くこととはどういうことですか?

にう:人の目を気にしないで書けるからすっきりできる、というのが根っこにあると思います。最初ZINEを出すことにはすごく抵抗があって。自分の素に近いものを出した時に批判されるんじゃないかと怖くて。でもオンラインサロンの主宰者の江角さんに「基本、誰も見てないから」と言ってもらって。ああそうだな、と思って。
それで発信したら、本当に誰も見ていない。
でも、自分だけで完結していたものをZINEとして出すことで、「こんなの作りました」って言ったら「いいじゃない」って共有ができたり、自分の周りでこういうのが好きな人が見つかるのが楽しいんですよね。

まりはな:短歌の魅力はどんなところにありますか?

にう:削ぎ落とした先にある本質、ですかね。
三十一文字なので、ごちゃごちゃ説明していたら何も伝わらない。一個だけ何かを伝えるためにシンプルにしていく作業なんです。そうすると、自分が本当に伝えたかったこと、見たかったものだけが残る。自分の中の宝石を掘り起こすための作業という感じです。
毎日続けていると、何かに当たるかもしれないっていう可能性を楽しんでいる、という感じでもありますね。


イベントへの意気込みをお願いします!

まりはな:文学フリマの魅力はどこにあると思いますか?

にう:本当に文学好きな人が多いし、みんな伝えたいという熱量がすごいと思います。

エッセイも、文学フリマだと、自分と目線が近いからより共感しあえる。自分の生活圏に近いリアリティがある。キラキラした世界の人たちのエッセイじゃなくて、そこが好きで。なかなか出会えないものに出会えるのが楽しいなって思います。

まりはな:文学フリマで印象的だったことはありますか?

にう:文学フリマ京都で、グループで売れている仲間がいる中、自分のZINEは全然売れていなくて。それでも「私も声をかけよう」と思って接客していたら、「にうさんのZINEを買います」と言って一冊だけ売れた時にすごく嬉しかった。
たくさん売れたら嬉しいですけど、何のために作っているかって思った時に、一人でも「買ってよかった」と思ってくれることがやりたい動機の根源なんだな、とその時に触れた気がしました。

まりはな:今後の販売予定を教えてください。

にう:兵庫の『伍頁』さんというお店でZINEのイベント「ZINEWALL」があるので、そこに現在前期の会期で出店中です。(3月28日まで)あとシェア型書店の「HONBAKO京都宇治」というところで箱主をしていて、そこでも置いています。ちょっとでも誰かに広まってくれるといいなと思っています。

まりはな:最後に、読者へのメッセージをお願いします。

にう:自分の気持ちとか本音を出すことで批判されるんじゃないかと思っていたんですけど、誰も読んでいないよって伝えたい。それでも表現し続けられるのは、それだけ好きだからなんです。それって仕事じゃなくて趣味だからこそ楽しめる。趣味だからこそいい距離で短歌も日記も楽しめています。その活動を誰かに知ってもらい、誰かと交流できれば嬉しいです。


インタビューを終えて

久しぶりの文学フリマインタビューは、1月の文学フリマ京都に出店されたにうさんでした!文学フリマインタビューをしていて、「書くこと」についてお聞きすると、「すっきりする」とお話される方が多いです。その度に、書くことと話すことの違いってなんだろう?と思います。書くも話すも、気持ちを吐き出すという意味では同じなんじゃないか?と。にうさんにとって書くこととは、誰の目も気にせず自分の気持ちをそのまま吐き出せるということでした。すごくしっくり来ました。私が書くことを好きな理由は、ひとりごとで完結できて、それを残せるからだと気付けました。
書くことは、話すことと違って考える時間をたくさんとれる。だからこそ、発表するため、あるいは何かかたちにするために書くときに、人の目を気にしないのはとても難しいと感じます。けど、「誰も読んでいない」を前提に、「うたになる前日記」を完成させたにうさん、かっこいいと思いました。「誰も読んでいない」と思って書いた作品が、誰かのもとへ渡っていく。その時に感じる喜びは、矛盾しているようなしていないような。うまく言葉にできないのですが、なんか面白いなと思います。いろいろな発見をくださったにうさん、ありがとうございました!
引き続き、文学フリマインタビュー、文学フリマ遠征インタビュー共に参加者募集中です!

【インタビュー・あとがき:まりはな】

制作:栗林康弘・qbc(無名人インタビュー主催・作家)


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