unlabeled|第一夜|友沢こたお
評価よりも先に、受け取ってしまった感情を書く。
unlabeled は、まだ名前のついていない表現の記録です。
かわいい、と思った。
その直後、その感情を信用できなくなった。

引用元:友沢こたお 公式Instagram
画面の中の人物は、こちらを見ている。
正確には、見ている「ように」感じる。
視線は合っているはずなのに、焦点が合わない。
歓迎も、拒絶もしていない。ただ、そこにいる。
友沢こたおの作品を最初に見たとき、
私はその距離感に戸惑った。
色はやわらかく、線は軽い。
インターネットで消費されやすい要素は揃っている。
それなのに、この絵は「触れていいですよ」と言わない。
かわいいという言葉は、
本来、近づくための言葉のはずだ。
けれどこの絵の前では、
その言葉が足場にならない。
人物は、感情を預けてこない。
悲しんでいるのか、無表情なのか、
それすらこちらに判断させない。
見る側が勝手に意味を与えることを、
静かに拒んでいるようにも見える。
それは冷たさではない。
むしろ、距離を保つという誠実さだ。
最近の表現は、とても親切だ。
分かりやすく、優しく、共感しやすい。
感情は説明され、安心できる位置に配置される。
その中で、
友沢こたおの絵は少しだけ不親切だ。
どう感じればいいのか、
どこに立てばいいのか、
こちらに指示を出さない。
だからこそ、
見ている時間が長くなる。
この絵を好きかどうか、
すぐに決めなくていい。
理解できたふりをしなくてもいい。
ただ、
「かわいい」という入口で入ったはずなのに、
出口が見つからなくなる。
その感覚だけが、確かに残る。
私はこの作品を、
強いとか、新しいとか、重要だとか、
そういう言葉で置きたくない。
ただ、
安全な感情として消費されない、
という一点において、
今、とても正直な表現だと思う。
友沢こたおの絵は、
こちらに寄り添わない。
でも、突き放しもしない。
その宙ぶらりんな距離の中で、
見る側の感情だけが、
ぽつんと浮かび上がる。
第一夜にこの表現を置きたかった理由は、
たぶんそれだけだ。
