代島治彦のDOCUゼミat深谷シネマ第2期
独学のすすめ〜ぼくにとって特別な映画作家たち
ロバート・フラハティ Robert Flaherty 1884〜1951
レニ・リーフェンシュタール Leni Riefenstahl 1902〜2003
柳澤寿夫 Yanagiswa Hisao 1916〜1999
野田真吉 Noda Shinkichi 1916〜1993
クロード・ランズマン Claude Lanzmann 1925〜2018
羽田澄子 Haneda Sumiko 1926〜
土本典昭 Tsuchimoto Noriaki 1928〜2008
フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman 1930〜2026
小川紳介 Ogawa Shinsuke 1935〜1992
ニコラ・フィリベール Nicolas Philibert 1951~
ペドロ・コスタ Pedro Costa 1959〜
ワン・ビン Wang Bing 1967〜
茨木のり子の詩『自分の感受性くらい』より。「自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ」。谷川俊太郎の詩『百三歳になったアトム』より。「(アトムの独白※引用者注)もう何度も自分に問いかけたことだろう。ぼくに魂ってものがあるんだろうか」。
人間を68年やってきて、ぼくはこう思う。世間に役立ち、お金を稼ぐための勉強は学校で学んだ。でも、「感受性」や「魂ってもの」は孤独に育んできたんだと。幼き日は蝉が鳴く公園や猫が眠る縁側で。思春期は図書館の片隅や映画館の暗闇で。
15年前に出した『ミニシアター巡礼』という本に、ぼくはこう書いた。「ミニシアターの“あの暗闇”は、現代人が瞑想にふけることができる貴重な空間である。客席の照明が消え、闇が訪れると、そこはひとまず“世間”から隔離される。(中略)人間には“あの暗闇”が必要なんだよ」
DOCUゼミ第1期受講生の一人が、ぼくにこう問いかけた。「ここは映画を作りたい人のための学校ですか。それとも映画を楽しみたい人の学校ですか」。「両方かな」とぼくは答えた。「感受性」や「魂ってもの」を孤独に磨く“あの暗闇”。それがぼくのめざすものかもしれない。
DOCUゼミ第2期「独学のすすめ〜ぼくにとって特別な映画作家たち」、2026年4月からはじめます。海外の作家7人、日本の作家5人。「ぱさぱさに乾いていく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて」(『自分の感受性くらい』より)。心の水やりにきてください。
講師 代島治彦 だいしま・はるひこ
1958 年、埼玉県熊谷市生まれ。『三里塚のイカロス』(2017 年/監督)で第72 回毎日映画コンクール・ドキュメンタリー映画賞受賞。他の映画作品に『パイナップル・ツアーズ』(1992 年/製作)、『まなざしの旅』(2010 年/監督)、『オロ』(2012 年/製作)、『三里塚に生きる』(2014 年/監督/2014 年度台湾国際ドキュメンタリー映画祭オープニング作品)、『きみが死んだあとで』(2021 年/監督)。最新作は『ゲバルトの杜〜彼は早稲田で死んだ〜』(2024年/監督)。著書に『ミニシアター巡礼』(大月書店)、『きみが死んだあとで』(晶文社)など。2021年5月に東京から生まれ育った熊谷市へ移住。


【プログラム】
第1回 2026年4月18日(土) 13:30〜17:30
映画作家 ロバート・フラハティ
上映作品 『極北のナヌーク』 1922年/米国/モノクロ/78分
『アラン』 1934年/米国/モノクロ/73分
「ドキュメンタリーの始祖」ロバート・フラハティ。『極北のナヌーク』はカナダの東北部、ハドソン湾の北東岸のエスキモー「ナヌーク一家」の生活を撮った映画黎明期の傑作である。フラハティの映画は「言葉を超えた、映画でしか撮れない何か」こそ、ドキュメンタリーの最大の魅力だと教えてくれる。

第2回 2026年5月23日(土) 13:30〜17:30
映画作家 レニ・リーフェンシュタール
上映作品 『意志の勝利』 1935年/ドイツ/モノクロ/112分
第二次世界大戦後、「ナチスのプロパガンダ映画を撮った」と糾弾されたレニ・リーフェンシュタール。ナチス党大会を撮った『意志の勝利』は現在もドイツ国内では一般上映禁止だ。彼女の映画の何がそんなに危険なのか。彼女の「関心領域」が「神々しい世界」を創造することにしかなかったからだろう。

第3回 2026年6月27日(土) 13:30〜19:00
2026年6月28日(日) 13:30〜19:00
映画作家 クロード・ランズマン
上映作品 『SHOAH ショア』 1985年/フランス/カラー/567分
6月27日(土) 13:30〜19:00 第一部154分・第二部120分を上映
6月28日(日) 13:30〜19:00 第三部146分・第四部147分を上映
ナチスによるホロコースト(大量虐殺)の全貌を関係者の証言のみで構成した全編9時間27分のドキュメンタリー『SHOAH ショア』。過去の記録映像や感傷的な音楽を一切排除して作られたこの作品は、レニが創造した「神々しい世界」の化けの皮を剥ぎ、ナチスの「悪魔の所業」を告発する。

第4回 2026年7月25日(土)13:30〜17:30
映画作家 野田真吉
上映作品 『ゆきははなであるー新野の雪まつり』
1980年/日本/カラー/130分
野田真吉が残した民俗神事芸能三部作『冬の夜の神々の宴ー遠山の霜月祭り』『ゆきははなであるー新野の雪まつり』『生者と死者の通い路ー新野の盆踊り・神送りの行事』は村落共同体におけるその本来の姿=伝統が消え去るときに発する最後の青白い炎を撮った映像詩である。

第5回 2026年8月29日(土)13:30〜17:30
映画作家 柳澤寿夫
上映作品 『風とゆききし』 1989年/日本/カラー/154分
撮影:瀬川順一 監督助手:小林茂
福祉ドキュメンタリー五部作を自主製作した柳澤寿夫とは、どんな監督なのか。1915年生まれの柳澤は敗戦後、人生の前半を映画職人としてPR映画・文化映画の世界に捧げた。その後半、柳澤の関心は障害者や難病患者たちの生とその周囲の社会に向かう。すぐれた映画職人として。

第6回 2026年9月26日(土)13:30〜18:30
映画作家 小川紳介
上映作品 『1000年刻みの日時計 牧野村物語』
1986年/日本/カラー/222分
音楽:冨樫雅彦 撮影:田村正毅 照明:佐藤譲
録音:久保田幸雄 菊池信之
出演:土方巽 宮下順子 田村高廣 河原崎長一郎
石橋蓮司 島田正吾
小川紳介と小川プロは1974年に「三里塚」から「牧野村」へ移住。農民となり、田んぼで鍛えた肉体を糧に映画を探求する。その集大成『1000年刻みの日時計 牧野村物語』には稲の成長を中心とした「夏の時間」と村の歴史が語られる「冬の時間」が流れる。それは時空を超えた豊穣の物語である。

第7回 2026年10月31日(土) 13:30〜17:30
映画作家 羽田澄子
上映作品 『安心して老いるために』 1990年/日本/カラー/180分
土本典昭や小川紳介が「自分が作りたい映画」をめざして退社した岩波映画製作所の正統派監督が羽田澄子である。1982年に岩波を定年退職してから羽田は映画作家として新たな道を切り拓いた。高齢化社会の問題に先駆的に向き合った作品『安心して老いるために』は正統派・羽田の真骨頂である。

第8回 2026年11月28日(土) 13;30〜17:30
映画作家 ニコラ・フィリベール
上映作品 『音のない世界で』 1992年/フランス/カラー/99分
第73回(2023年)ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した『アマダン号に乗って』も大好きだった。ニコラ・フィリベールが人間社会の多様性に向ける優しいまなざし。『すべての些細な事柄』や『ぼくの好きな先生』も捨てがたいが、ぼくがはじめて出会ったニコラ作品『音のない世界で』を上映する。

第9回 2026年12月26日(土)13:30〜17:30
映画作家 ペドロ・コスタ
上映作品 『ヴァンダの部屋』 2000年/ポルトガル/カラー/180分
リスボンのスラム街で暮らすアフリカ系移民の女性の過酷な日常を映し出した『ヴァンダの部屋』が2004年に日本で公開された。暗闇と光の強いコントラスト、静謐かつ緻密な画面構成。ペドロ・コスタの独自の映像表現は、それからずっとぼくたちのドキュメンタリー概念を革新しつづけている。

第10回 2027年1月30日(土)13:30〜17:30
映画作家 土本典昭
上映作品『みなまた日記ー甦える魂を訪ねて』
2004年/日本/カラー/100分
土本典昭は晩年、ふたたび水俣に戻った。その道行きは「水俣・東京展」(1996)に展示する「水俣病の死者群像」製作のためだった。水俣病で死んだ患者の家を訪ね歩き、遺影を集める。土本は自らビデオカメラをまわした。『みなまた日記』は土本のドキュメンタリー魂の“甦えり”の映画でもある。

第11回 2027年2月27日(土)13:30〜17:30
映画作家 ワン・ビン
上映作品 『鳳鳴(フォンミン)ー中国の記憶』
2007年/中国/カラー/183分
2003年山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た、9時間を超えるデビュー作『鉄西区』は衝撃だった。2007年に山形で第二作目『鳳鳴ー中国の記憶』を観る。「反右派闘争」の時代を生き抜いた老女が人生を語るほぼノーカット長回しのこの映画は、ぼくを老女の暗い部屋へ連れていった。

第12回 2027年3月27日(土)13:30〜18:30
映画作家 フレデリック・ワイズマン
上映候補作品 『大学ーAt Berkeley』 2013年/米国/カラー/244分
ダイレクトシネマ(直接的映画)の巨匠・フレデリック・ワイズマンが2026年2月に亡くなった。96歳。90代まで現役をつづけ、生涯インディペンデントを貫いた生き方はドキュメンタリー映画界の伝説だった。「米国の変容」を観察しつづけた作品シリーズのなかから代表作を選びたい。
【インフォメーション】
会期 2026年4月〜2027年3月 全12回
会場 深谷シネマ精米所ホール
埼玉県深谷市深谷町9-12 七ツ梅酒造跡
TEL:048-551-4592
http://fukayacinema.jp/
◎受講料
年間会員 30,000円 定員20名(先着順/2026年4月18日締切)
6回会員 15,000円 定員20名(先着順/2026年10月30日締切)
(6回会員は12プログラムから6回を選択して受講できます)
1回券 3,000円(参加希望の回を選択。満席になり次第、締切り)
◎申込方法
▶︎ 4つの方法があります
①深谷シネマ受付でお申し込み(お申し込み用紙があります)
②代島治彦のDOCUゼミお申し込みフォームから(下記QRコード読み取り)


③うんたったメールアドレスからお申し込み untattatatata@gmail.com
④うんたった代表電話からお申し込み TEL:080-5407-8739
お名前・メールアドレス・ご連絡先・ご住所を記入し(電話の場合は伝達し)、希望するコース(年間受講生・6回受講生・1回券)を選んでお申し込みください。
◎お申し込み受付後の流れ
▶︎会員・6回会員をお申し込みの方
メールで「受講のご案内」を送らせていただきます。「受講のご案内」に従って、指定の銀行口座へ受講料をお振り込みください。年間会員証、6回会員証は初回受講時に受付にてお渡しいたします。
▶︎1回券をお申し込みの方
メールで受付済み通知を送信します。各回満席になり次第、1回券は締切り。料金のお支払いは当日、受付にてお願いいたします。
主催▶︎深谷シネマ+うんたった
企画協力▶︎アテネ・フランセ文化センター/彼方舎/コミュニティシネマセンター/シグロ/シネマトリックス/徳島の太陽と緑の会/(一社)日本映像民俗の会/ムヴィオラ/ロングライド/mk2/小林茂/土本基子
お問合せ▶︎有限会社うんたった(代島治彦)
TEL 080-5407-8739 untattatatata@gmail.com
〒360-0804 埼玉県熊谷市代619-1
