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【AOE2DE】三国志DLCのキャンペーンシナリオ解題

2025年5月にリリースされた、AOE2DEの三国志DLCでキャンペーンシナリオを一通りクリアしたので感想記事です。ストーリーの重大なネタバレを含みますので、未プレイの方はお気をつけください。

攻略記録はこちらのまとめを参照。

SteamのDLC購入リンクはこちら。
Steam:Age of Empires II: DE - 三国時代 The Three Kingdoms


以前の記事はこちら。【AOE2DE】魏呉蜀のキャンペーンシナリオ予想


キャンペーンシナリオ概要

後漢末期の184年、黄巾の乱の勃発時から始まる。魏・呉・蜀それぞれ5つのシナリオがあり、中華大陸全土を縦横に駆けてのダイナミックな攻略が楽しめる。いずれも208年の赤壁の戦いがクライマックスとなり、それぞれに異なるエンディングを迎えることとなる……

さて三国志DLCの目玉の一つは「帝王の時代に城から曹操や劉備、孫堅を出せる」というものだが、キャンペーン(特に前半)では城主の時代までしか進めないシナリオが多い。そこで、英雄ユニットについては死亡しても「英雄の館」で金100程度で復活させられるシステムを採用。対岸から帰還したい時など、輸送船がなくても、自Delして本拠地の英雄の館からリスポーン……なんてことも可能。

良かったところ

三国志の世界が、AOE2のプラットフォームにうまく落とし込まれて非常に出来栄えの良いシナリオが幾つかあった。3つに絞って解説します。

・官渡の戦い(曹操3)

西暦200年に曹操と最大のライバルである袁紹(オレンジ)が対峙した、三国志でも有数の規模の戦いがモチーフ。関羽(緑)が時限制の味方として登場して敵陣深く攻め込んだり、許攸(紫)の裏切りで敵情が筒抜けになったりと、演義のエピソードが上手に再現されている。食糧庫など袁紹の物資(赤)をあらかじめ襲撃することで、決戦での敵の勢いを削ぐことができるのも雰囲気が出ていて良い。袁紹軍の名無し武将7人のうち、5人以上を倒すとクリア。一種のチェックメイト形式。

赤壁と並んで全シナリオ中で1,2を争う出来ばえ

・河北争覇戦(曹操4)

少し時代が進んで、袁紹の病没後に息子たち(袁譚、袁煕、袁尚)を討伐する戦い(202~)。彼らの後背地に北方異民族の烏桓(紫・フン)がいて支援している点や、劉表が袁紹陣営と交流して連携を試みていたのも史実通り。長子の袁譚が他2人と争っている隙に撃破するのがセオリーだろう。放置すると劉表の使者によって3兄弟が団結してしまう。
なお、烏桓は買収可能だし(緑)の制圧も容易で、シナリオの攻略自体はさほど難しくない。

袁紹死後は曹操に敵なし。

・大脱出(劉備4)

赤壁の戦いの前日譚にあたる。208年、劉表が死去し後継の劉琮は曹操に降伏。劉備は荊州の民、数万を引き連れての逃避行を試みる。このシナリオでは10箇所の村を解放し、別働隊の関羽と合流して江陵(黄色)に立ち寄り、陸路または海路で孫権の陣営地へと向かう。張飛が単騎で曹操の大軍を足止めするシーンも感動的。

張飛の一生の見せ場、長坂の戦い

関羽と合流すれば戦力が充実するが、そこに至るまでがちょっと大変かもしれない。史実/演義の劉備軍の苦境を追体験するのにぴったりのシナリオだろう。

漢水流域(紫)の要塞は一時的に味方につけられる。

不満点

208年ですべて終わってしまうのがやはり不完全燃焼。いち三国志ファンとしては、馬超が登場してほしかったし、219~222年頃の漢中争奪戦関羽の最期、夷陵の戦いといったイベントラッシュをプレイしたかった。欲を言えば、諸葛亮の南征北伐も見たかったな……

個人的には、三国志は三国鼎立後が本番と思っている。やはりクロニクル形式の全21シナリオくらいは必要だったのでは。それから、ストーリーの簡略化のためか史実(演義)と異なる演出が多かったのも気になる。詳細は次項。

史実との相違点(ネタバレ注意)

※史実と違うからダメ、という趣旨ではありません。このDLCで初めて三国志に触れる方もいると思うので、原作(?)に触れた時にまごつかないように一覧です。

魏「曹操の征服」

曹操個人はあくまで漢の忠臣であって、簒奪は息子が勝手にやったことだよ……というのは史観の問題なので脇へ置くとして。

シナリオ1: 誤字
黄巾軍に「張亮」が登場するがこれは張角の三弟張梁と思われる。

シナリオ2: 曹嵩が一勢力として登場する
ストーリー: 曹操の父親である曹嵩は、陶謙との同盟締結を目指し自ら使者になって赴いたところを、陶謙配下の元黄巾賊に襲撃されて死亡。
史実: 曹嵩自身は軍閥の主ではなく、徐州東北部の避難先から曹操の支配地域に帰還しようとしたところを陶謙配下に襲撃され死亡。

シナリオ3~4は上述の通り、びっくりするほどよく出来ていて文句なし。

シナリオ5: 蔡和が生存している
ストーリー: 元劉表軍の武将、蔡和は曹操軍と別行動をしていたが、輸送船7隻を受け取って敵陣へ強襲し戦果をあげる。
史実: 蔡和は架空人物。
演義: 劉表軍の水軍指揮官だった蔡瑁は内応の濡れ衣で処刑される。その従弟、蔡和と蔡中は呉軍へ偽投降をするが逆用され、開戦直前に斬られる。

蜀「劉備の叙事詩」

シナリオ1: 董卓が黄巾賊に捕縛されている
ストーリー: 黄巾賊に捕縛された董卓を助けるか見殺しにするか選べる。助けると、以降のシナリオで弓小屋の作業速度20%アップ。
史実: 董卓は黄巾討伐でまともな戦果はないが、自身が捕まるほどの敗北を喫したことはない。
演義: 劉備の師匠筋である盧植が讒言を受けて更迭されるのを劉備らが目撃する話がある。あるいはこれをアレンジしたものか。

シナリオ2: 劉備の支配都市関係
ストーリー: 小沛周辺の陶謙の民を曹操軍から守る。味方だったはずの呂布に下邳を奪われたので、今度は曹操と共闘して呂布を打倒する。
史実/演義: 曹操が亡父の復讐のため陶謙のいる徐州を蹂躙したのに対し、劉備が招聘された。呂布が劉備のもとに流れてくるのは、曹操が撤退した後のこと。呂布は下邳だけでなく小沛も陥落させ、劉備は支配地を失って曹操に身を寄せる。呂布の処刑に劉備の助言が効いた、というのは演義準拠。

シナリオ3: 諸葛亮の草庵への道のり
蔡夫人の妨害はともかく、こんなに山賊や兵器が跋扈しているところには住んでいなかったと思いますよ、流石に。孔明が嫁の黄月英に命じて、兵器での試練を課したとでも脳内エミュレートしたほうが筋が通るくらい。
後段は、宛城と博望披と思われる敵陣地が史実をよく再現していて◎。

シナリオ4: 文句なしの出来栄え(上述)。
シナリオ5: 赤壁の戦いの劉備サイドも概ね演義準拠でよく出来ている。孫権とはいずれ決裂する定めだったのはそう。

呉「孫一族の台頭」

特にガバガバさが目立つ。映画の「レッドクリフ」とかではどうなってたんでしょうね。

シナリオ1: エンディングで劉表が孫堅を殺害
ストーリー: 孫堅は洛陽で玉璽を発見したあと、荊州の本拠地(長沙?)に帰還する途中で劉表に殺害されるという筋立て。
史実/演義: 孫堅を殺害したのは劉表配下の黄祖(の、さらに部下の呂公)という人物。袁術陣営についた孫堅が荊州に侵攻したのを返り討ちにした。

シナリオ2: 袁紹と袁術の混同
キャラが増えすぎて混乱するのを避けたかったのか……?
ストーリー: 孫策は袁紹から兵を借りて江南の征服に乗り出す。
史実/演義: 孫策が兵を借りた相手は袁紹の従兄弟にあたる袁術

シナリオ2~3: 「ホワイトタイガー」
厳白虎の名前を英語に直訳するというポカミス。群雄というよりは山越・あるいは山賊の頭目に近い存在であったらしいのはそう。

シナリオ4: 孫権が劉表を殺害
劉備のストーリーでも同じ話が出る。
ストーリー: 孫権は父の仇である劉表を攻めて追い詰め、ついに滅亡させた。
史実: 赤壁の戦いの直前、208年6月(または8月)に劉表は病死。なお、孫権はこの年の春に甘寧らの進言を容れて黄祖を討伐し、殺害している。

シナリオ5: 周瑜が諸葛亮を殺害
最終的に劉備軍と決裂確定なのは、むしろ史実通り。
ストーリー: 東南の風を吹かせる儀式に失敗した諸葛亮を、周瑜が一撃で射殺。
史実/演義: 周瑜は赤壁の戦いの2年後に病死。益州進出による天下二分を計画していたが、劉備/諸葛亮に先を越され憤死したとも。もちろん諸葛亮はその後も20年以上生存。

などというツッコミどころはあるものの、AOE2のキャンペーンシナリオとしてはとても良くできているし、各文明の特色をつかむのにも最適なボリュームと思われます。まだの方はぜひ購入してプレイしてみて下さい。

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